ケニア半乾燥地域のマンゴー栽培の可能性
今回は、ケニアの半乾燥地域の農業事情、特にマンゴー栽培に関して。
ケニアは乾燥地が大部分
ケニアの国土の大部分の地域は農業には適さない乾燥地(下図の水色の部分)です。農業に適しているのは、下図の緑と黄緑色に塗られた西部と中央部のムエア周辺の2地域だけです。
私が対象としているのは、図の黄色で塗られた半乾燥地域の農家です。降雨量は約400m~800m。年に2回の雨季がありますが、近年の気候変動の影響で雨の降り方が安定せず、主食のメイズや豆の収穫ができないという状況を協力隊員のときに何度か目の当たりにしました。WFP(世界食糧計画)が貧しい農民を対象に、メイズ粉や豆を無償配布している現場も見ました。
ケニアの乾燥の激しい農業に適さない地域には、1日1食しか食べれない人たちが、過去の話ではなく今も、多数生活しています。
マンゴー栽培に大いなる可能性があるのでは!?
農業省は干ばつに強いメイズの品種や干ばつ耐性のあるソルガム・緑豆・カウピー(ササゲ)・サツマイモなどの栽培を推奨しています。マンゴーも干ばつに強い作目のひとつです。私はこのマンゴーにケニアの半乾燥地域を活性化する大いなる可能性を秘めていると考えました。
私が隊員のときに考えたケニアのマンゴー栽培の可能性は次の4つです。
1.マンゴーは栄養価(ビタミン・ミネラル類)も高く、農村部での良質な栄養源になる。
2.安定した売り先が確保できれば、農家のいい収入源になる。
3.マンゴーの樹を植えることにより、地域の環境を保全できる。
4.干ばつ耐性が強く乾燥の激しい地域での栽培に適している。
なぜ同じ国の仲買業者が別の民族の農家を苦しめるのか・・この仕組みを変える方法はあるのか。
マンゴー農家の現状は、ブローカー(仲買業者)への販売が一般的です。キクユ族というビジネスに長けた部族の人たちがカンバ族の農家から安く買い叩くということが長年続いており、農家の方々を悩ませています。
なぜ同じ国の商売人が他の地域の農家たちを苦しめるのかと理解に苦しみますが、長年この状況は続いています。仲買業者の健全化が必要不可欠です。安定した適正な価格で買い取るバイヤーが必要数いれば、農家の人たちは結束して、安く買い叩く業者には売らないと決めて、悪質な仲買業者を排除することができます。
シーズンの前に農家と契約を結ぶ健全な加工業者や輸出業者が増えていく必要があると考えています。
これからのマンゴー産業の発展に期待
既に近年、国・地方政府・外国援助機関・NGO・協同組合等が様々な取組みを始めています。まだ大きな変化はみられないように感じますが、あと5年、10年すれば少しづつ良い変化が見られてくるのではないかと予想しています。マクエニ・カウンティ(群)では、協同組合が群政府の支援で大規模な工場を既に建設して、来年からマンゴーのパルプ(ジュースの原料になる果汁)加工を始める準備をしています。
(↑マクエニ群に建設中のマンゴー加工工場)
安定した売り先を確保したいというマンゴー農家の人たちの切実な想いを何とかしたいと事業を始めましたが、加工の品質が安定せず、製造量が思うように上げられないという現実に直面しています。この問題を乗り越えるためにもっと集中していこうと思います。
解決できる知識と経験をもった人たちがいるはずです!
ご意見があれば、是非お聞かせ頂ければ幸いです。info@kenyafruitssolutions.comまでお気軽にメールください。