こんにちは。有坂純子です。昨日ナイロビに到着しました。スタート地点に立ったというだけですが、ずっと夢見てきた地点に立つことができて嬉しいです。
今月ケニア経由でモザンビーク入りする予定です!モザンビークでは中低所得層にとって『なくてはならないもの』を安価かつ高品質に届けるべく、木炭代替となる有機廃棄物由来のブリケットの生産販売に取り組みます。
今回はどうしてブリケット(形成炭)で起業することに決めたのかを4つのポイントからお伝えしたいと思います。
1, 市場規模
東南部アフリカでは8割以上の家庭が木炭や薪を主要熱源として使っています。特にこれは都市部の低所得者居住区で高く、電気やガスを引くお金がないけれども薪を集める環境にもいない人たちが調理エネルギーとして木炭を日々購入しています。マプト市内の75%の家庭が調理エネルギーとして木炭のみを使用していると報告されています。(Cleanstar Ltd., 2014年)2007年世界銀行の調査によるとアフリカ全土の木炭市場では年間8,000,億米ドルもの巨額が動いているそうです。
(木炭卸市場で働く女性達 ザンビア首都ルサカ)
2, 安定需要
アフリカビジネスを志してから3年間、庶民の暮らしにおいて”なくては生きていけないもの”という軸で事業案を検討してきました。“なくてはならないもの“=生活必需品をお客様に届けることにより、彼らの生活を底上げするお手伝いができると信じているからです。また、生活必需品であるからこそ顧客はお金がある日もない日も購入せざるを得ないのです。このニーズに応えることができれば、地域社会に支えられた外的ショックに強い事業が展開できると考えます。
3, 地産地消
起業の際にもう一つ叶えたかったのが“現地で作り現地で売る”ことです。ザンビア、ジンバブエ、モザンビーク、マラウイなどの国は南アフリカの影響が色濃い経済圏にあり、オレンジジュース、乾麺、調味料、衣類などの基本的な日常品も同国からの輸入に頼っています。その為か庶民が愛用できるようなブランドが育たず、富裕層は輸入品を購入し、貧困層は10年前と同じ粗悪で割高な製品を使っている場合が少なくありません。だからこそ弊社は現地から買い取った原料で、現地の人が使える安価な製品を、現地の労働力により作ることにこだわっています。
(マプト市の市場で15年木炭を売っている女性と弊社アイレスさん)
4, 将来性
木炭の代替エネルギー需要は今後アフリカの都市部で高まり続けると考えます。一つに都市化があります。例えばマプトの都市化率は36%(2013年、Master Card調査)ですが、農村部の貧困層流入による都市化が進むサブサハラアフリカでは、今後インフラの整備が追い付けない速度で都市郊外の非正規居住区が拡大していくと考えます。そこに暮らす人々に電気やガスのような次世代エネルギーが安価に提供されるようになるかという問題があります。これについては、それぞれの予測があると思いますが私達はこの先10年以内に日本の高度成長期に起こったような急速なインフラ普及が進むことは難しいと考えています。マプトでは電気の開通工事に7734メティキャシュ(113ドル2016年10月)を要するのですが、(2016年3月、EDM聞取り)これは貧困層にとってはかなりまとまった出費だといえます。加えて、森林伐採による木炭の価格高騰があります。現在マプト市内で流通している木炭は300キロ~500キロ離れた地方都市近辺で仕入れられています。この距離は森林がなくなるにつれて前線のように遠くなっていき価格高騰がより進むはずです。
(木炭は田舎の小作農家が現金収入の為に作り、このように道端で木炭仕入れ商人に売る場合が大半です)
私達は『木炭のように使えて、木炭より優れて』いるブリケット生産を目指しています。顧客に届く商品価格が木炭より安いこと(80キロ袋あたり0.8~3.9ドルほど安くできる想定)、優れた熱効率で月次エネルギーコストが節約できること(木炭より15~20%燃焼時間が長い)、初期設備を購入する必要がないことがあります。顧客は慣れ親しんできた調理方法を変える必要がなく、煙による肺炎などの健康被害も減らすことが出来ます。
今月はケニアやウガンダのブリケット生産販売会社を視察予定です。その様子などご報告したいと思います。