WEBメディアプレオープン@「面」で「ケニア」を伝えたい

㈱グラスルーツウォーカーズの長谷川です。ようやくWEBメディア用のサイトのプロトタイプが出来たので色々サイトをいじくっている最中です。

下記が弊社のジャーナル用サイトです。URLはこちらになります。

https://thegateway.thegrassrootswalkers.com/

まだ手直しが必要ですが、原型さえできればあとは割かしスムーズにいくのではないかと考えています。記事ストックが50個ほどあるのでサイト手直しと記事のアップロードでてんてこ舞いになりそうです。良い記事山ほどあるんですよね!ぜひ読んでほしいでっす!

今一番やりたいことは、各分野の記事をばんばんアップし、このWEBメディアが「面」でケニアを伝えられることができるということを伝えることです。統計情報だけでは分からない、現場情報だけでも一部分しか見えない、有識者のインタビューや学術研究や一次情報を冷静に伝えることでケニアの実像を伝えるメディアとして機能させることができると考えています。

このビジネスモデルは有料課金で個人や法人に購読していただくモデルになります。果たして本当に課金をしてまでこのメディアを読む方がいるのか?とっておきの記事が沢山あるので、それらを読んで判断してほしいと思います。また、前回の投稿で挙げた公共インフラ、根拠、触媒として機能するメディアとして成長したならば、勝算は十分にあるのではないかと考えています。

サイトの修正が終わるまでは無料で記事をアップしていく予定なので、よければご一読ください。ケニアの現場を伝えるメディアになると思います。

フィールドワーカーはメディアをこう使いたい@ケニア

㈱グラスルーツウォーカーズの長谷川です。近頃周りを見てみると、本当に色々な方がアフリカやケニアに来ているなー、と改めて思います。ほんの十数年前までは援助関係者が中心でしたし、四十年ほど前には日本人ビジネスマンがアフリカの草の根に踏み込み、イケイケドンドンでやっていた時代もありました。最近新たにアフリカ熱が高まっているものの、ケニアの場合だと1980年代には1000人ほどいたという日本人が今では750人ほどと、人口だけを見れば相対的に後退している現状です。今後人口減の影響をもろに受けて国内市場が縮小し、貿易依存度もOECD加盟国内でかなり低い日本では、この先海外で活路を見出さざるを得ない企業や日本人は増加していくと思っています。この点においても、今後経済成長が期待されているアフリカ、そしてJETROの企業実態調査で三年連続で最も投資先として注目されているケニアの現場情報を伝えることはますます重要になっていくでしょう。

 

とはいえ、弊社の主力事業として考えている日本人向け現地発WEBメディア事業は、これまでサブサハラアフリカで前例のない事業なんですね。日本人の方が管理されている、アフリカを伝える個人サイトやブログがある中、なぜ「現地発メディア」が必要なのか。「現地国内紙や海外ジャーナルでも現地情報が手に入るのになぜWEBメディアを行う必要があるのか」、「そもそも事業として成り立つのか」等々、様々な疑問を持たれている方もいらっしゃるでしょう。私の結論から言えば、現在、そしてこの先の日本企業と日本人に現地情報インフラとしてのWEBメディアは必要不可欠です。今回は弊社がメディアをどのようにケニアで機能させていこうとしているかについてご紹介したいと思います。

 

1.現地日本人コミュニティ活動をさらに円滑にしたい=公共インフラとしてメディア

ケニアには日本人会というものがあって、多くの催しやイベント、サークルや部活動を通して相互の交流に貢献しています。しかし、フィールドワーカーとして日本人コミュニティを見た場合、属する集団によってコミュニティが細分化(分裂化)しており、あっちで知られている情報がこっちでは全然知られていなかったりすることが多々あります。また、短期滞在者がメインのため、コミュニティとしての共有知がなかなか蓄積、共有されません。たとえば自分が所属している会社や組織あるいは仕事(職種)の関わりのある周辺の人とだけコミュニティが形成されており、会社や仕事以外では中々交流がないことです。これはある意味当然で、こちらで業務に励んでいる方は基本的に多忙で仕事がバンバン入ってきており、そこに割かれる時間も多い。コミュニティ内での結束が強まる一方でコミュニティ外との交流時間が少なくなってしまいます。そうすると、日本人にとって有意義な情報があったとしても細分化した一部のコミュニティの中で留まってしまうことがあるのです。

具体例としてはナイロビで日本語対応の医療が受けられる病院があるにも関わらず、日本人の間で広まっていなかった事例です。私が作成した記事があるので参照ください。

http://afri-quest.com/archives/14286

Forest Japanには日本人スタッフが駐在し、最先端の医療機器もある。ケニアで健康や医療問題は、現地に住む日本人にとって重大な問題です。しかし、担当者の方からは「認知度が低く、日本人利用者が伸び悩んでいる」とご相談を受けました。上記記事を公開後は日本人利用者も増加し感謝していただいたのですが、おそらく定期的な情報発信をしなければ以前の利用者数に戻る可能性もあるでしょう。したがって、ケニアにいる、あるいはこれから来るという方が先ずチェックするメディアとして弊社のWEBメディアを確認するというような体制を作り、公共の(誰にとっても)利益になる情報の発信と共有、そして蓄積が行われる公共インフラとしてのメディアを作ることにより、在ケニアの日本人が不安を少なくしたり、よくある問題への対処法などを共有することが必要なのです。

2.学術研究・一次情報を発信したい=根拠としてのメディア

いきなりですがケニアでどんどん平均(名目)賃金が上がっていることをご存知の方は多いのではないでしょうか。法律で定められた最低賃金を物価上昇に対応して上昇させ、被雇用者の生活を守るためうんたらかんたらとか聞くときもありますね。下記リンク先の研究では、2009年に平均(名目)月収が31,932シリングだったのが、2015年には50,356シリングまで上昇しています。これは経済成長の証!中間層市場も期待できるぞ!…とは単純にはならないのがマクロ経済なんですね。では、この情報を知っている方はどれだけいるでしょうか。同レポートによれば、賃金労働者の平均実質賃金はほぼ横ばいで、2009年に平均(実質)月収が31,291シリングだったのが、2015年には31,382シリングとほぼ変わっていません。興味ある方は下記リンクのp15を参照ください。

http://www.ieakenya.or.ke/publications/research-papers/how-kenya-is-failing-to-create-decent-jobs

これ、結構重要なデータでして、それだけ物価上昇率が高いんですね。当然可処分所得も変わらない。消費に割ける金額も変わらない。更に重要なのは、これは法律によって保護されている賃金労働者の間の数字であって、残り83%のインフォーマルセクターの労働者ではむしろ可処分所得が下がっている可能性が極めて高い。こうした市場に中間層の伸びを期待して投資したとしたら、おそらく事業計画が破綻する可能性が跳ね上がると考えています。

これは学術研究側からの情報ですが、ケニア市場に詳しい、現場も良く歩かれている方から、私は中間層の伸びが順調だという発言を聞き取りしたことは一部市場を除きほとんどありません。ネスレのケニア撤退とその経緯はそれらを裏付ける情報と言えるかもしれません。社会実態を反映した統計情報は現場の肌感覚と一致することが多いです。だからこそ、信頼できる数字と現場の一次情報を根拠にすることで、実態に即した事業なり活動を展開することが求められています。アフリカ統計の脆弱性はあちこちで指摘されていますし、現地メディアの情報に対する信頼も高いとはいえない。弊社では信頼できる統計情報に基づいた一次情報を軸に確度の高い情報を提供していければと思います。

 

③日本×ケニアの活動を促進したい=触媒としてのメディア

私も参加したTICADⅥがナイロビで開催されて早二年が経ちます。日本企業あるいは日本人のアフリカに対する関心は間違いなく高まっている一方で、実際にアフリカで何か事業を起こしたり活動を開始するという動きはまだ限られていると考えています。お金もある、人材もいる日本とアフリカを繋ぐ上で何が決定的に欠けているでしょうか。私は情報とコネクションだと考えています。現地大手メディアを見ても現場の肌感覚、あるいは普通のアフリカ人の生活感というものが伝わってくることは稀です。彼らにとって当たり前の情報で、わざわざ伝える価値がないためです。しかし、これから現地で活動しようという日本企業や日本人にとってはその感覚や情報こそがとても重要ではないでしょうか。実際に現場を歩いてみて、生活をしてみて初めて分かることが沢山あるためです。

とはいっても、態々現地に赴きいきなり何かを始めることは依然としてハードルが高いし、コストもかかる。それならば可能な限り現場の情報を伝えて、「現場感覚を伝えられるメディア」があればこうしたハードルをクリアできるのではないかと考えています。アントレアフリカの支援者の事例でいえば、彼らは直接事業を起こし、雇用を生み、現地に貢献しています。これを仮に直接貢献型のアプローチであるとするならば、弊社が目指すところはより現地参入のハードルを下げ、より多くの日本人や日本企業が挑戦できる環境を整え、必要な情報を提供することで事業・活動成功の可能性を上げることです。これは間接貢献型のアプロ―チに当たると考えています。

今回のアントレアフリカ支援プログラムへの応募者は現在16名です。日本の人口が1億人以上、アフリカの国数が54(または55)ヵ国。この応募人数を多いとか少ないとかは言えませんが、「アフリカで挑戦をしたい」と思っている方はもっと多いでしょうし、これからアフリカで挑戦される方は更に増えるでしょう。特にケニアは日本人にもなじみ深く、これから更に多くの日本人が活動する舞台になると考えられます。だからこそ、公共インフラとして、根拠として、そして触媒としてのメディアを整備し、現地における生活の部分から事業・活動の部分まで現場に基づいた情報を提供する情報インフラを機能させることは社会的に重要な役割を担うでしょう。

 

弊社WEBサイトがもう少しで公開可能になるので、次回は実例もあわせてご紹介できればと思います。長文お読み下りありがとうございました。

取材ミーティング風景

弊社では月曜日は定例ミーティングの日。社員がかき集めてきた記事プランや私が興味ある分野の記事作成を頼んだりしています。面白い記事プランの場合でも実際に記事を作れそうかとは別の話なので、時間をとって取材の段取りまで考える必要があります。

 

 

「ミーティングでは誰もがEqual(平等)」が弊社のキーワードなので、遠慮が一切ない議論が展開されています。今日も一つの取材プランに30分ほどぶっ通しで議論が続きました。発案者には理論武装と根拠の提示が求められ、編集者(私)にはその案が実現可能かどうかを判断するだけの知識量や情報量が求められます。

 

今日のプランで特に注目を集めたのがサブサハラで活動している北欧の環境コンサル会社の事例。ザンビア、タンザニアではスムーズに案件を受注できているのに、ケニアでは賄賂の強要によってこれまで受注できていない。ケニアは他の国より本当に賄賂が横行しているといえるのか、その根拠は何か。デリケートな話題を本当に聞き取りすることができるか。既にネットワークはあるものの、どこまで踏み込んだ記事を書けるか、書くべきかというのが焦点になりました。既に下準備は終わっているので後は相手側担当者と調整しつつ、結構生々しい記事が書けるのではと思っています。

 

他にもケニアでコーヒー豆を使ったスクラブ製品の会社や農業系ファンドの案など、様々な案が出ました。良い記事を作れるように頑張りたいと思います。

激動のケニアの現場を伝えたい!

初めまして、㈱グラスルーツウォーカーズの長谷川将士(はせがわ まさし)です。2016年からケニアでWEBメディア&リサーチ事業を行うために会社を立ち上げており、これまで調査案件や現地調整案件を中心にケニアを歩き回っています。ようやくメディア用WEBサイトも準備できそうなので今月末を目途にメディア事業も開始していきます。

 

アフリカで日本人の先輩方が様々な事業で起業されている中、「なぜわざわざメディア事業なの?」、「そもそもアフリカでメディア事業は必要なのか?」と疑問に思われる方も多いかもしれません。自己紹介も兼ねてここら辺をざっくり説明できればと思います。

 

<自己紹介>

北海道の北見というオホーツク海に面したところで生まれ、海を眺める度に「この海の先には何があるんだろう、いつか海の向こうへ行ってやるべ!」と思ってました。実際には地元で農家になろうとしていたつもりが祖母の勧めもあり大学、大学院と進学。20歳からケニアでフィールドワークと開発研究(政治経済学)を続け、紛争や市民暴力などのおっかない分野を専門にしていました。リサーチパートナーと二人で紛争加害者側(とされている)村の全数調査(一軒残らず全ての家庭の調査を行うこと)を行い、指導教官との共著論文が書籍化、英訳もされました。興味ある方はリンク先からご参照を。アフリカに興味ある方には面白いっすよ!

 

http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=2114&lang=jp

https://muse.jhu.edu/book/51761

 

<なんで起業しちゃったの?>

それまで危ない調査もこなしてきましたが、就活の時期に入り両親にも心配をかけていたので、ようやく安定した社会人になれると思っていました。そこで一冊の本を読んだことをきっかけにアフリカでの起業へ大きく舵を切ることになります。それが白戸圭一教授の『ルポ資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄(朝日文庫)』です。そこではアフリカを伝える大手日系新聞社についてこのように書かれています。

「(ヨハネスブルク)支局にいると、ロイター通信や現地アフリカ各国の現地メディアの情報がパソコンの画面上に次々と入ってくる。私の仕事は、こうしたニュースを日本の読者向けに分かりやすく、かつ短い日本語の記事にし、本社へ送ることだ」(p84)

「つまり、あの広大な地域に、日本人記者は四人しかいない」(p84~p85)

当時は4社がそれぞれ一名の常駐員を配置し、サブサハラアフリカ全域を各々に担当させていました。10年ほどたった今でもほとんど体制は変わらず、朝日新聞がナイロビ(ケニア)から支局を撤退するなど後退しているといっていいかもしれません。

一人でサブサハラを全てカバーするという無理難題の中、多くの日本人記者は何とか時間を捻りだして現場取材を行います。しかし、苦労して作った記事を本社が採用することはとても少ないのです。本書にありますが、心理的にも地理的にも遠いアフリカの記事は序列的に最下位にあるためです。先日朝日新聞の駐在員の方に一人で本当にサブサハラ全域をカバーできるのかと聞いたところ「物理的に不可能」と回答されました。つまり、10年前も今も、アフリカの現場を伝えるメディアや情報が極めて少ないのです。

本書を読んでこんなことを思いました。日本人のアフリカへの関心は間違いなく高まっている。実際に現地に赴き、ビジネスなり援助なりに関わる人口は間違いなく増えていく。その一方でアフリカを伝える情報が決定的に足りていない。アフリカで活動されているほぼ全ての人が思っているだろうことですが、日本メディアと現地で体感する『アフリカ』には絶望的な距離がある。

沸々と抑えきれない気持ちが沸き上がりました。地球の裏側の情報が簡単に手に入る今、なんでここまでアフリカの現場が伝えられていないのだろう。この先誤った理解でアフリカに向かった日本人や企業は危険なのではないか。なにより、この状況はあまりにもアフリカやそこで住む人々にフェアじゃないと。フィールドワーカーとして目の前の相手に一言一句を大切に扱ってきました。1ミリでも相手の心に寄り添うために泥だらけになってきました。メディアで伝えられる情報とアフリカの現実には今でも大きな溝がある。現場に行けば簡単に分かることなのに。それを伝えるメディアがあれば簡単に解消できる問題なのに。

現場を歩き、そこで生きる人々の声を伝えずして、本当にアフリカを理解することはできるのだろうか。その感情が生まれたときが、自分がアフリカでの起業を決めた瞬間でした。

 

<実際にはどう動くか>

起業を決めてからは、勢いだけではなく本当にアフリカで起業すべきかを見極めるため一度半導体企業に就職し、一年間働いた後2016年の6月にケニアに渡り会社を設立しました。色々理由はありますが、アフリカ発のTICAD開催があったことが大きかったかなと思います。

その後は悪戦苦闘の連続です。警官に手錠をかけられたり銃を突きつけられて脅されたり取材中選挙の暴動に巻き込まれ催涙ガスを食らったりケニア人パートナーが問題を起こしたため解雇したり不正を働いた従業員から訴えかけられたり。そんなこんなを乗り越えながら、多くの方に助けられたおかげでようやく二つの事業を始められそうな状況になりました。

 

一つ目は既に行っている調査事業。研究者や援助機関向けの学術的なものと企業や個人向けの商業調査を行っています。元々現地調査を得意としていたこともあり、論文に乗せられるレベルのデータをお客様に情報をお届けしています。

二つ目は本丸のWEBメディア事業。取材自体は昨年から続けており、ケニア人SEとのトラブルを乗り越えながらようやくWEBサイトが今月末くらいに完成しそうです。弊社のフィールドワークで得られた独自ネットワークを基に、他社では絶対に得られない情報を公開していきます。

元々フィールドワークと取材活動は親和性が高いといわれていますが、弊社ではフィールドワーカー=記者として相互の活動をカバーしており、一次情報を取ってくるのにめっぽう強い体制を生むことができました。サイトを公開後、どんどん情報をアップしていきたいと思います。

 

長くなってしまったので会社のことはまた別の記事でアップしたいと思います。読んでいただきありがとうございます!