TOPISH Bakery No.72 ~観察~

ガーナのパン屋の石本です。

通常オペレーションは全てガーナ人スタッフ達に任せている為、久しぶりに販売について行くとストリートベンダーのおばちゃんや、他の物売りの人たちからよく絡まれます。好意的な事もあれば、批判的な事もありますが、路肩で10分も話していればみんな冗談交じりでふざけあって仲良くしてくれます。ガーナ人の良いところだな〜と優しい気持ちにさせてくれます。

さて、今日は新米hawkersの販売に同行し、1時間半ほど路肩で彼らが販売する様子を観察するのと同時に、そのエリアにいる優秀かつ一緒に働いてくれそうなhawkersにも声をかける事にしました。

Kokobinと呼ばれるそのエリアは、少し坂道になっており、またバンプもある事から、渋滞が発生しやすい場所となっており、多くのパン売り&hawkersが集まっている場所です。TOPISH Bakery以外にも複数の大手パン屋がパンを売りにきており、「これは中々手強そうだな」と思っていた所、新米hawkersもパンの売り込みに苦戦している様子でした。

基本的には、車の窓からお客さんへいち早く声を掛けて購入してもらうのですが、他社の体格の良いhawkersは強引に割り込んできて、新米hawkersはお客さんを奪われるケースも散見されました。体格差については今後成長する中で是正されて行くものとして、力で敵わなければスピードだ、という事で、hawkers全員にスニーカーを購入する事にしました。

物売りをしている人の足元を見ると、ほとんどの人がサンダルを履いており、ペタペタさせながら走っていました。かなりの距離を行ったり来たりする為、足も疲れる上、他のhawkerと接触した際に怪我する原因にもなる為、エプロンと帽子の他に、スニーカーも購入することを決め、早速次の土曜日(靴の市場が開く日)に新米hawkersを連れて行く事にしました。

また、他のパン屋のhawker達もアジア人がきている事が珍しいらしく、ちょくちょく話をしにきてくれる中で、「今日は、インターンとスタッフの歓送迎ランチ会があるから、うちは12:30で切り上げるよ」と話すと、「お前のパン屋はコミッションだけじゃなくて、ご飯会もあるのか?お前のパン屋はhawkerを募集しているか?」とやたらグイグイとTOPISH Bakeryのhawkerになりたがる人達もいました。ご飯って大事です。

そして、大事な気付きが一点。販売の為のコンタクトポイントは基本的には、渋滞中にはまっている車両の窓で、そこを如何に素早く抑えるかが大事。但し、お客さんから特定のパンのブランドを指定されるケースもあり、知名度のある大手パン屋のパンは指名買いされるケースが多い事がわかりました。

Kofiに確認すると、Kokobinを通るバスの出発場所は大きく分けて3箇所で、そこから7割方のバスが来ているだろうとの事。そこで、Kokobinを通るバスの乗客達に、先にTOPISH Bakeryのパンを認知してもらう事にしました。バスの出発場所で、出発を待っているバスの中の乗客にサンプルを試食してもらい、気に入ったらKokobinを通過する時に買ってください、とお願いする事にしました。(勿論、その場で買ってくれればそれはそれでok)

目標は1日100人の乗客に試食してもらい、反応を見たいと思っています。

TOPISH Bakery No.71 ~初陣~

ガーナのパン屋の石本です。

ここ暫く休みらしい休みを取ってなかったのですが、学生インターン達と友人達とKintampoにある滝を見にいきました。期待していなかった分、思った以上の滝(雨季の為か泥水)にテンションが上がり、写真を撮りまくりました。暫くはガーナにいるし、いつか行くだろう、と思って行けてない観光地が幾つもあるので、今後は少し時間を作ってガーナをもっと知っていきたいと思いました。

さて、まさかのプロhawkersが逃げ出した後、6名の若者に路肩での販売は託されたわけですが、ちょっと心許ないな〜と思っていた所、1人だけ好印象だったプロhawkerが継続してパンの販売をしたい、と連絡をくれました。彼曰く、他の4名は全然ガッツがなく、不真面目だったとの事で、彼の方でも真剣なhawkersを探してくれるとの事でした。

取り敢えずは、そのプロhawker(名前をtimothy)をリーダーとして、6人の若手hawkersを渋滞のある場所に送り込む事にしました。初陣は、渋滞が始まる午後3時過ぎと決め、陽暮れまで路肩で売り歩く事になりました。

結果は、4時間で82個!

まずは20〜30個売れれば上出来かな、と思っていた予想を大きく上回り嬉しい誤算。

そして、その結果にhawkersもマネージャーも勇気をもらい、久しぶりに士気が上がって行くのを感じました。

「やれるぜ!もっと売れるぜ!」

そんな自信に溢れる声に、前向きな声に、嬉しくなりました。

翌日は生産日で、配達のない休みの日だったのですが、他の場所でも販売して見たいから、焼き上がり次第販売しに行く、と夕方からまた販売に向かっていきました。

残念ながら完売とはいかなかったものの、少しずつ手応えを感じているようでした。

Hawkersとリーダーに、その日の売上について、直面している問題について、改善策についてヒアリングしたものの、あまり状況の分析まではできていない様子だったので、翌日は一緒について行く事にしました。

TOPISH Bakery No.70 ~Hawkers~

ガーナのパン屋の石本です。

先日、投稿に「三輪バイクで移動しまくっていたら腰痛が悪化した」と書いたら、優しい出張者の方がめっちゃ良い湿布を2箱も買って来て下さいました涙
毎度、出張者の皆さんからの日本のお土産に励まされて頑張れています。有難うございます。

さて、ここの所、長々とディストリビューター背任事件について書いていましたが、No.63〜直販体制〜に書いた、直販体制の構築(Hawkers)についても色々と進めています。時間と予算の関係もあり、古いTOP Bakeryの頃のロゴが入ったエプロンと帽子を急遽作りました。

当初アクラから4名のプロHawkersを呼び出す予定で、指示と資金を出していたのですが、結局来たのは3名。その内2人は、ガムをクチャクチャしながら「おう、お前のパン売ってやるぜ、任せなブラザー」とちょっとこいつ好きになれなさそうだな〜と思うヤンキー崩れ。一人は真面目そうで、こちらの話にも相槌をちゃんと打ったり、他のスタッフに対しても友好的に話しかけたりと、頑張ってくれそうな雰囲気。

そして、他2名のHawkersも加わり、クマシ到着してから2日後に早速売りに行ってもらう事になりました。80個持って、渋滞がひどい地域に売り歩きに行ってもらいました。4時間ほど売り歩いて、販売結果はなんと

15個!5名で4時間売って、たったの15個!一人平均3個!

マネージャー達は売れ残りのパンに焦り、急遽ディストリビューター達を使って売りさばきにいきましたが、翌日も売れず、結果的に15個ほどのパンが売れ残り、廃棄になってしまいました。

その後、hawkersは「クマシじゃ売れねーぜ」と捨て台詞を吐いて、販売に来なくなりました。

そんな中、生産マネージャー(うちの生産チームのほとんどが同じ地域出身)のお母さんから、村に職がなくてフラフラしてる男衆がいるから、引き取ってくれないか?と連絡がありました。

生産マネージャーからも、「俺たちが面倒みるから、彼らにHawkersとしての仕事を任せてくれないか?」とお願いがあり、とりあえず4名呼んでみようと言う事になりました。

生産マネージャーが自分の村まで4名の若者を迎えに行くと、近隣の村にも話が伝わっていたらしく、「うちの息子もクマシに連れて行ってくれ、仕事を見つけてくれ」と押し切られ、2名を引き取って帰ってきたました。

急遽2名分のマットレスを購入し、6名全員を迎え入れる事にしましたが、小さい工場内に18歳の男6名が追加され、なんとも騒がしい様相になってきました。

TOPISH Bakery No.69 ~再犯~

ガーナのパン屋の石本です。
パン屋にいると、日々色々な事件が起こり、本当に飽きません。刺激的な毎日を送りたい方は、是非ガーナで起業されて見てはいかがでしょうか。

さて、配送チームの二人に解雇を言い渡した翌日。失った顧客を取り返す為に、別の配送スタッフとマネージャーのKofiに、解雇された二人が担当していた配送地域へのパンの配達を指示しました。いつもより少し多めのパンを持って、配達に向かった2人。工場を出てから30分後、Kofiから電話があり、

「石本、信じられないよ。またあの二人が今朝お客さん達にパンを配送しに来ていたらしく、みんなTOPISH Bakeryのパンを受け取ったから、今日はもういらないというんだ。」

なんと、何度も何度も頭を下げて謝罪する父親の横で神妙な顔をしていた配送スタッフが、また隠れて配送している事に怒りを通り越し、呆れるというよりも、可笑しくなって来て、笑えてきたのでした。

すぐさま生産チームに共有し、警察に通報してもらいました。
そして、昼頃、何知らぬ顔で配送スタッフの一人が工場に来た所で補足し、今朝のことを問い詰めましたが、自分は行っていないと否定し続けました。警察が到着し、事情聴取している際に、もう一人の配送スタッフから親を連れて工場に行きたい、という電話がかかってきました。てっきり、知らんぷりして連絡を断ち続けるのかと思っていたので少し驚きましたが、彼らを待つ事にしました。

そして待つ事30分、もう一人の配送スタッフが彼の産みの母と継母と一緒にパン屋にやってきました。パン屋のスタッフ5名と、配送チーム2名、お母さん2名、警察1名で公開事情聴取が始まりました。

最初にKofiが代表して何が起こったのか、を説明し、その後配送スタッフによる反論となりました。結果的に、母親と一緒に来た配送スタッフは自分たちのした事を全て認め、未返済の売掛金についても毎月少額ずつ返済していく事を約束しました。

最後に、過ちを認めた配送スタッフと二人で話をすると、

「大学に行く為の学費を貯めたかったんだ。親にも親族にも頼れない。僕はいけない事をした。本当にすまなかったと思っている。でも、どうかもう一回チャンスを、仕事をください。」

と、号泣しながら懇願して来ました。

今はもう、彼と一緒に働くことは難しいけれど、いつかまた違う形で彼とは関わっていけないかと考えています。

4年間ずっと真面目に働いて来た彼が、悪さを働いた原因の一端は自分にも責任があると反省し、今後自分が会社の為、スタッフ一人一人のために何ができるのか、考え続けようと思います。

TOPISH Bakery No.68 ~解雇~

ガーナのパン屋の石本です。

パン屋を始めてから、実は今までスタッフを解雇した事がありません。問題があった場合にも、チャンスを与えたけどそれを断って去って行ったスタッフ、他社に引き抜かれて行ったスタッフ、色々な事情があり去っていった人たちは多数いますが、石本の決断で解雇を言い渡した事はありませんでした。

遂にその時か、と思いながら、暗い部屋でKofiと配送スタッフとそのお父さん(とトイレになぜかスタッフの彼女が隠れている)と4者で面談が始まりました。まずは、Kofiがここまでこちらが突き止めた情報を元に、彼らが行なっていた悪事を暴きました。配送スタッフは、否定するでもなく、空を見るような目で話を聞き、聞こえないほど小さな声で、Sorry Sorryと繰り返しました。

TOPISH Bakeryとしては、彼を解雇し、警察に通報する事、未払いの代金の請求をする事(序でに壊れて戻って来た配送車両の修理費用も請求)を伝えました。

お父さんは何度も、息子の過ちをこれから自分が正して行くので、今回は見逃して欲しいと許しを請い、継続して息子を雇い続けて欲しいと懇願して来ました。

「息子が仕事を失ったら、彼の生活がめちゃくちゃなる。返済すべきお金も返せなくなってしまう。人間誰しも間違いを犯す。これは初めての過ちのはずだ、会社として再度彼にチャンスを与えてくれ。」

何度も何度も頭を下げるお父さんにKofiは同情し、鼻水をズビズビすすっていました。

「もう、許してあげてもいいんじゃないか?」という表情でこちらを見てくるKofiを目で制し、

「私達は15人のスタッフ達を抱えており、みんな一生懸命働いてパンを作っています。その皆が作ったパンの代金をちょろまかすだけでなく、他社のパンをTOPISH Bakeryとして偽って販売するなど、会社へのロイヤリティも責任感もない、そんな人と一緒にこれからも働いて行く事はできません。皆んなの会社、皆んなの生活を危険に晒すわけには行きません。」

と、解雇を伝えた上で、警察への通報に関しては、お父さんがしっかり教育する事、そして未払金を返済して行く事を条件に引き下げる事としました。(ただ、返済が滞る場合にはすぐ警察を連れてくるつもり)翌日、未払金の請求書を送付し、誓約書にサインしてもらう事になりました。

未払金については、自分の中で既に戻ってこないものとして損金扱いしているのですが、最後までしっかり取り返す姿勢は全てのスタッフ達に見せていかないと思っているので、全ての状況をスタッフ達に共有しています。少なくとも、彼らが働いた分、もらえるはずだった収益分が、なんで消えたのか、スタッフ達にも知る権利があると考えています。そして、二度とこういう事が起こらないように、少しでも抑止力となればと思っています。

TOPISH Bakery No.67 ~悪事~

ガーナのパン屋の石本です。
捜査ばかりじゃなくて、ちゃんと仕事もしてます。将来に向けての準備も着々と進めています。一方で、今後掛かるであろう資金の調達をどうしたもんかと、悶々としたりもしています。いつか報われる日が来る事を祈ってます。

さて、翌日、まずは配送チームがパンを買い付けにきていたと思われるパン屋に再度訪問しました。新しい情報は得られなかったものの、話を聞いた人の話に少し違和感を覚えました。何かわからないけど、何かを隠している、そんな感じです。

そんな時、また仲の良いストリートベンダーから、「昨日、また君のところの配送スタッフがパンを配達に来たんだけど、、、ちょっと会って話せないかな?」と連絡が入りました。昨日どころかここ4日ほど、その配送スタッフにはパンを提供していません。彼がパンを配達することなどできないはずです。

直ぐにそのストリートベンダーのところに急行すると、そこには確かにTOPISH Bakeryのパンが、、、

ただ、おかしいのです。まず、サイズが小さい。袋の口が紐で結ばれている。

そして、そのストリートベンダーに事情を説明すると、「やっぱりそういう事だったか、、、」と彼が見た事を全て話してくれました。配達チームは一週間くらい前から、別のパン屋のパンをTOPISH Bakeryの袋に入れて販売し始めたそうです。そして、1日に300個くらいしか売れない、とTOPISH Bakeryには報告してたのは嘘で、実は裏で別のパン屋のパンを600個近く販売していたそうです。それも盗んだTOPISH Bakeryの包装資材に入れて、、、他のパン屋からはコミッションの他、配送車両代も受け取っていたと思われます。

行方不明の配送スタッフが借りていた部屋はもぬけの殻。他のスタッフに彼の実家を聞くも知る人はおらず、唯一知っているであろう配送スタッフの相方は知らぬ存ぜぬの一点張り。その時、行方不明のスタッフのお婆ちゃんが近くに住んでいるという情報を聞き、会いに行きました。

その後、お婆ちゃんに聞いた地域の名前を頼りに、荷台付き自動三輪車で走り回り、近隣のKIOSKで聞き回り、ついに行方不明だった配送スタッフのお父さんが経営しているKIOSKを発見。お父さんには詳細を離さず、「最近息子さんが仕事に来ていないので、心配になって見に来ました」と伝え、自宅まで案内してもらいました。

そして、ついに連絡が途絶えてから5日目にして行方不明となっていた配送スタッフと対面する事になりました。

TOPISH Bakery No.66 ~役者~

ガーナのパン屋の石本です。

最近、辛いことが多いのですが、うちのスタッフを見ていると、昨日あった悪い事をコロッと忘れる天才なのではないかと思う事があります。悪いことは引きづらない、今楽しい事に集中する。それこそ人生を楽しく生きる秘訣なのでは、と思いつつ、彼らを現実に引き戻すのが仕事とばかりに、今日も吼えます。

さて、捕捉した配送スタッフに対し、ここまで私たちが収集した情報を伝え、説明する様に促しました。すると、突然マネージャー達に対して暴言を吐き、あるスタッフが自分を貶めようとしていると、マネージャー達に喧嘩をふっかけ始めました。一度部屋に帰る様に促し、10分後に再び呼び戻し、今度は石本自ら一つ一つ真偽を確認する事にしました。

「他のパン屋で働いているのか。」 → 「働いていない、TOPISH Bakeryだ。信じてくれ」

「〇〇というパン屋でお前がパン作りをして、販売しているという話があり、今日確認して来た。」 → (一瞬顔がこわばり)「あそこには、同郷のやつが働いているからたまに会いに行くだけだ。一回だけ販売の手伝いをした事があるが、TOPISH Bakeryの配送車両は使ってない」

「〇〇というパン屋でうちの配送車両が目撃されている、お前が包装資材を持ち出したのを見たスタッフがいる、販売していない日にうちの包装のパンが販売されている、どいういう事だ」 → 「ボス、本当に俺は他のパン屋で働いたりしてないし、包装資材も持ち出してないし、配送車両も使ってない。皆んなに誤解を与える様な行動をしていたのなら謝るし、もう二度とこんな事をしないので許して欲しい」

と、涙ながらに声を震わせて、膝をつき、許しを請うのでした。

この姿にマネージャー達も、「石本、もう一回彼にチャンスを与えてくれないだろうか」と意見が揺らぎ始めました。彼を信じたいという思いと、まだ見えて来てない部分があるという不信感、過去にもこのパターンはやられているので注意すべし、という考えが交錯しました。

マネージャー達も配送スタッフの涙に絆され、「彼は両親もなくなり、頼る家族も近くにいない。今彼が仕事を失ったら彼の生活は困窮を極めるだろう、、、」と完全に同情モード。(この辺り、ガーナ人の優しさであり、私自身も決して嫌いな所ではない。)

翌日、更なる裏取が必要と考え、また未だ連絡がつかず売上金を持ってこないもう一人の配送スタッフの所在を探す為、再度Kofiと捜査に出る事にしました。

TOPISH Bakery No.65 ~捜査~

ガーナのパン屋の石本です。
TOPISH Bakery捜査本部指揮官として、この二日間、相手の動きを読み、捜査員に各情報収集を支持し、こちらの動きが把握されない様に守り、更なる被害を食い止める為に協力者達に根回しをし、とパン屋以外の仕事に追われていました。

さて、ある配達チームがTOPISH Bakeryの配送車両を使って他社のパンを販売しているという情報を元に、とある地域にある小さなパン屋が特定されました。そこには、元TOPISH Bakeryで短期間働いていたスタッフがおり、どうやら彼と結託していた様です。

生憎その日は既にパン屋が閉店していた為、近隣のパン屋(2件隣接している)に話を聞くと、「最近は白と黄色の配送車両がきてるね、若い男の子もパン作りの手伝いに来ているよ」との情報が。うちの配送車両がここにパンを積みに来ている事を確認しました。

また、生産チームの一人から、「そう言えば、朝早くに配送チームの奴がパンの包装を持って行ってたよ」との情報が入りました。また、別の配送チームから、「4日ほど配送してないはずの地域に、TOPISH Bakeryのパンが売られている。おかしい」という連絡が入りました。

取り敢えず、売上金の回収と事情を聞くのに、パン屋に来る様に伝えるために電話をするも配送チームは連絡を無視し、携帯をオフにする始末です。ただ、配送チームの一人は工場内に住んでいる為、彼が部屋に戻ったらすぐに石本に報告する様に全スタッフに指示を出しました。

その間、他スタッフ達への聞き込みを続ける中で、その配達員の様々な問題が明るみになって来ました。問題児だけど、頭も良いし、悪い奴ではない。

石本がちゃんと面倒を見て、方向を間違えない様に指導して行ったら、きっと将来はいい人材に育つ。そう思って接して来たし、他のスタッフと衝突する度に本人にも直接伝えて来たつもりでしたが、結果は、そんな簡単なものではなく、期待は淡くも消え去りました。

マネージャー陣で情報を精査し、大まかなストーリーを把握しました。そして、配送チーム二人の処遇について協議し、対応を決定しました。同じ村から来た仲間を、自分たちの意思で、言葉で、解雇するということの重さに、マネージャー達は何度も沈黙し、そして「俺には判断できない、石本の判断で決めてくれ」と懇願して来ました。

「解雇かどうか、決めるのは俺だ。伝えるのも俺の仕事だ。ただ、マネージャーとして、仲間として、君たちの意見を言って欲しい」

と、本音で意見を言ってもらうまでひたすら待ちました。

夕方、隠れる様に帰って来た配送スタッフの一人を捕捉し、マネージャー陣と話し合いをする事になりました。

TOPISH Bakery No.64 ~背任~

ガーナのパン屋の石本です。
ガーナでパン屋をしていると色々日本では味わえない様なウルトラCの様なトラップに出会うことがあります。凹む反面、笑うしかないか、と思って楽しむ様にしています。

TOPISH Bakeryでは、生産チームと販売チームに別れています。販売チームは、パンをストリートベンダー達に販売し、その代金を回収してくる義務があるのですが、ここ数ヶ月、ひと組の販売が芳しくなく、また代金回収率も悪いという厳しい状況に陥っていました。

何度もその販売チームとは協議を重ね、会社としても、生産チームとしてもできる限りのサポートをしていたのですが、全くの改善の余地が見られないことから、何か背後で怪しい動きがあるのではないかと勘が働きました。

配達のない日なのに配送車を持ち出す、代金回収に行ってくると言いながら代金を持ってこない、配達もそんなにしてないのにやたらと車両の故障が増える、販売数量は減る一方、みるみる売掛金の未回収額は増える。

マネージャー達に指示し、その配送チームの動向を探らせたりしましたが、中々尻尾はつかめません。そんなある日、配達に行ったのに代金を持ってこない日がありました。マネージャー達が電話すると、「車が故障したので、あるガソリンスタンドにおいてきた。明日には売上を渡しに行く」と言うので、怪しいと思ったマネージャー達はその一帯のガソリンスタンドを周り、配送車を探しに行きました。

ところが、どこに行っても配送車両は見つからず、そして配送チームは携帯の電源をオフにしたのでした。翌日、TOPISH Bakeryは配送のない日だったのですが、仲の良いストリートベンダーから、「珍しく休みの日に御宅の販売員がパンを売りにきてたよ」と連絡が入りました。

怪しい動きをしている配達員に、売上金を持ってこないのであれば、パンの販売をしない、と告げ、彼ら向けのパンの生産を停止しました。最後にパンを配達に行ってから3日間、配達チームは配送車両を会社に戻さず、電話で言い訳を続けました。そして4日目、更に他の筋から、配達チームがTOPISH Bakeryの配送車両を使って他社のパンを販売している、という情報が入ってきました。

この情報に、マネージャーおよび生産スタッフ一同ブチ切れ、すぐさま捜査に取り掛かる事になりました。

TOPISH Bakery No.63 ~直販体制~

ガーナのパン屋の石本です。

最近、スタッフから様々な資金援助(子どもの学費、親の入院費、ミシンの購入代金など)を求められる機会が増え、緊急性の高いものからサポートして行ったら、銀行残高200円、手持ちと合わせて2700円という状況になり、結果数日間ハラハラする状況になりました。

さて、パン屋会議が失敗に終わったその日、マネージャー達とTOPISH Bakeryの今後について話し合いをし、次なる一手を指示しました。

新しい方針は、

「どこよりも強い、TOPISH Bakery直轄の販売チームを作る」

というもので、とてもシンプルな方針なのですが、これが実は言葉以上にタフである事は自分たちが一番良く理解しているで、マネージャー達は理解を示しながらもノリ気ではありませんでした。

今のクマシのパン業界は、パン屋はパンを作り、そのパンを配達員がお客さん(ストリートベンダーやKIOSK)に届ける、お客さんが消費者に販売するという構造となっており、このストリートベンダーやKIOSKが値上げに反対したり(自分たちが売りにくくなる、という理由)、腐らせたパンの代金を踏み倒したりするので、パン屋が苦しくなる一因ともなっています。

十分な利益が確保できている状況であるならば、多少は大目に見ながらストリートベンダーを使って、消費者への販売を委託するのも良いのですが、現在のような薄利でやりくりしなければいけない状況下では、ストリートベンダー制度の弊害の方が目立ち、パン屋の収益を圧迫しています。ストリートベンダーは複数のパンを取り扱っているため、一つのパン屋に対してロイヤリティはなく、こちらが値上げしようものなら取り扱いを拒否する上、パン屋が潰れれば買掛金を踏み倒す為、中々難しい存在なのです。

一方で、優秀かつロイヤリティのあるストリートベンダーを新たに雇う事は、人材面からも場所の問題からも容易ではありません。人材面では、クマシの人たちはプライドが高く、道端でパンを売ってる姿を友達に見られたら恥ずかしくてやってられない、というのです。また、人材を確保したとしても、既存のストリートベンダー達が新たなベンダーの参入を邪魔する為(場所を与えない、口撃してくるなど)、一朝一夕にはいかないのです。私たちも、TOPISH Bakeryを始めて半年後くらいに一度試したのですが、見事に失敗に終わりました。

今回は、プロのHawker(頭にものを乗せて売りあるく行商)集団をアクラから呼び寄せ、それ以外にもクマシ外の地域から来たHawker達を雇い入れる事で、直販体制を作る事を決めました。

何か新しいことに取り組む事があまり得意ではない、うちのスタッフ達にも、

「Hawkersによる直販体制構築を最優先とし、ストリートベンダーへの依存を下げる!」

と、石本が本気である事を伝えました。

早速、アクラでパンを売っているHawkersを知っている人にアクラへ行ってもらい、引き抜きをかけてもらう事にしました。新しい事をする時にはある程度のリスクがある事は承知ですが、クリスマスまでに体制がしっかり作れるように頑張りたいと思います。

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