TOPISH Bakery No.101 ~これからについて~

ガーナのパン屋の石本です。
一ヶ月半ほど記事を書かずに、どうしたもんかなぁと思っていましたが、今日少しだけ今後の方向性について考えがまとまったので、書き残しておこうと思います。

コロナによって移動制限がされる前、マネージャー達にパン屋を譲渡する前提で新しい体制に移りました。もう、細かい報告はしなくていいよ、その代わり毎週一定額を支払ってね、そして合意した金額の支払いが完了したら、会社は君たちに譲るよ、と。

パン屋を始める時、自分のゴールがいまいち見えていませんでした。日々の業務、営業、資金調達、トラブルシューティングに取り組んで、あっという間に時間は過ぎ、その密度の濃い時間を堪能しました。稼ぎは少なくても、スタッフ達が安心して働き続けて自分たちの生活を守れるくらいは何とか実現したい、と考える様になり、その為にも利益を上げ続けられる仕組みを作らなければ、と管理を徹底して行きました。

減らない生産ロス、消えるお金、間違いだらけのレポート、そういったものにピリつきながら、スタッフ達のためにも、と厳しく対応していました。自分自身、たまにしか顔を出せないのにいつも怒っていて幸せではないなぁ、と思っていましたし、スタッフ達もまた同じ様な顔をしていたので、これはそろそろ潮時なのかもしれないなぁと感じていました。

マネージャー達に任せて、ダメだったらダメで諦めよう。今まで培ってきたもので、なんとかなるなら、そのまま頑張っていく為のサポートだけしていこう、そう決めました。

この7ヶ月間、資金が瞬間的に枯渇して助けを求められる事が一度、そして車の修理代とパンの型の買い替え代のサポート依頼がありましたが、その代金もしっかり分割で毎週返済をしてくれました。

今朝、新しく配送車両の購入と配送スタッフの増員をしたいから、サポートしてくれと、必要な資金と返済額・期限をメッセージしてきたマネージャー達とのやりとりを通じて、なんだ、ちゃんと自分たちでやれば出来るんじゃないか、と少しホッとし、そして、そろそろ「ガーナのパン屋の石本」も卒業する時期かなぁと考えました。

TOPISH Bakeryが石本のパン屋、からガーナ人のパン屋になる日までまだ時間は掛かりそうですが、彼らに任せて見守り続けていければと思っています。

TOPISH BAKERY NO.100 ~Molding動画~

ガーナのパン屋の石本です。
Dropboxに保存していたパン屋の写真や動画が消え、データを復旧させようにも上手くいかず、意気消沈しておりました。切ないです、、、

データ削除前にYoutubeにupしていた最後の動画がMolding編という事で、とりあえずこちらをどうぞ。
最初の頃はデジタルの計量器を使って計量していたのですが、反応が遅すぎるという事でアナログな計量器を買い直すことになりました。1日に約2000個のパンを切り分けている為、Scalerと呼ばれるポジションをこなす彼は大凡のパンの重さを把握し、ものすごい速さで切り分けていきます。

そして、簡単に成形していく様に見える作業ですが、ガーナのパンは水分量が少なめという事もあり、力を入れてパン生地を机に押し当てていく事で、継ぎ目が剥がれない様に一発で成形するのは結構コツがいる作業になります。
因みに、私はこの成形作業をやるのに何回もコネコネしていて、中々綺麗に成形できないので、ラインから外されました。

また次回、改めてパンを焼く作業、包装する作業、配達する作業などを撮影して来たいと思います。

TOPISH BAKERY NO.99 ~Roller動画~

ガーナのパン屋の石本です。
なかなか時間取れず、ガーナのパン作り動画をup出来ずにいましたが、第二弾の「Roller編」をupしました。
お時間のある時に是非ご覧下さい。

さて、パン屋の方はコロナによるロックダウンの影響からも立ち直りつつあるのですが、製粉業者がコロナショックに乗じて小麦粉の値段を10%近くあげるという暴挙に出ており、パン業者はつらい局面に入っています。

新システムに入ってからは、マネージャー達は支払いの遅延もなく、今の所はうまく機能している様です。パンの製造以外にも、今ある設備を使い、マネージャー達はケーキ作りも検討しており、先日サンプル作りをしていました。食パンで利益が出ているうちに、収益性の高い新しい製品開発を目指し、試行錯誤をしていきたいと思っています。

また、「パンの値段を上げる」または「重量を減らす」という議論が繰り返されている様ですが、昨年の残念な結果から、期待はせずに様子見をしようと思います。

TOPISH Bakery No.98 ~mixing動画~

ガーナのパン屋の石本です。
コロナによるロックダウン・都市間移動は解除されたものの、5月いっぱいはアクラとアクラ近郊で様子を伺っていました。
徐々にアクラ市内でも、マスク、消毒、ソーシャルディスタンシングと気をつけながらの通常運転に戻りつつある事を受けて、2ヶ月半ぶりにTOPISH Bakeryを見にいってきました。

TOPISH Bakeryではのびのびと、いつも通りやっているスタッフたちを見て、なんて平和なんだと久しぶりに心が和みました。
ガーナのパン屋ってどんな感じなの?と聞かれるけど、今までは「日本人がいるのにこんな程度なの?」と言われるのにビビって、あまり動画や工場の様子をアップしない様にしていました。

が、ある程度うちのスタッフたちにパン屋を任せる方向性で固まりつつある今、うちはガーナ人による、ガーナ人のためのパン屋である、と腹を決め、恐れるのをやめました。

ガーナのパンの作り方、mixing編。お楽しみください。
https://youtu.be/btYAnn4IRX4


TOPISH Bakery No.97 ~配送車~

ガーナのパン屋の石本です。

女性スタッフが皆卒業してホッとしていたのも束の間、男子だけになったパン屋では毎日色々起こります。もう、色々起こりすぎて、日常化しているので、大半のことは既読スルーするか、クマシで石本の代理として頑張ってくれているKofiがトラブルシューティングに駆けつけます。

先日も突然の豪雨と暴風で、隣の家の木が倒れてきて、パンを作っているスペースの屋根が壊れた!とスタッフの一人が写真を送って来ました。

スタッフに怪我がなかったことを確認し、「良かったね〜、じゃあ、ちゃんと隣の家の人と話をつけるんだよ〜」と会話を終わろうとすると、「石本、屋根を直すお金が必要なんだ、、、」としれっとお願いしてくるスタッフ。そのメッセージを見たKofiが、「まずはちゃんと隣の家の人に請求するのが筋だろう!」とすぐにスタッフと一緒に隣の家に行ってくれ、修理代を払ってもらう事で話をつけて来てくれました。偉いぞ、Kofi!

現在、TOPISH Bakeryでは、クマシ近郊のKIOSKと、クマシから地方へ行く道沿いのおばちゃん達へ食パンを降ろしている他、クマシから1時間半ほど離れた場所へも食パンを卸しています。今の配達車両がボロく、また小さい為、よく故障はするわ、必要な量のパンを販売できないという問題がありました。

そんな時、お金を貸していて返済が滞っていた友人が、小型の中古トラックの売り手を探しているという話を聞き、だったら債権の差し押さえとして俺がもらっておこう、という話になりました。当初は転売先を探そうと思っていたのですが、ちょうどパン屋に良いのではないかという事になりました。

車のエンジニアに状態を見てもらい、エンジンは丈夫だがバッテリーは買い換える必要があると言われ、急いで買いに行きました。その後アクラからクマシまで車を運ぶのに、DVLAでの車両登録が済んでいない為、道中で警察に捕まる可能性がある、というドライバーからの不安の声が上がった為、知り合いの警察官に同乗してもらってトラックをクマシのパン屋まで届けてもらいました。目には目を、警察官には警察官を。

その後、無事DVLAでの登録を済ませ、パン配送用のコンテナと棚を作る事にしました。クマシのエンジニア街であるMagazineには沢山の車のパーツや、溶接工などがおり、結構何でも作ってくれます。今、うちのパン屋で使っている、ミキサーやローラーやオーブンも全部Made in Magazine。なので、壊れてもすぐに直してもらえます。

マネージャー達に幾らでコンテナと棚を作れるのか予算を確認したところ、全部で5万円くらいかかるとの事。痛い出費だが仕方ない、とKofiに渡して一緒にMagazineに行かせると、Kofiから「石本、5万円じゃ足りないよ、3件回ったけど安くて10万円はかかると言われたよ。マネージャー達は確認もせずに5万円と言っていたみたいなんだ、、、」と呆れた様子で電話がかかって来ました。

追加で5万円はきつい、と思いつつ、ここで出し渋るとトラックが配送に使えない、、、

今月は色々我慢しないとだなぁと思って5万円を追加で送金した3月後半。ガーナの主要都市であるクマシもロックダウンの対象となり、外出禁止となってしまいました。幸いにも、食料品は仕事・外出をしてokという事で、お客さんの数は減ってしまっているものの、生産量を減らして営業を継続する事にしました。いつもの生産量の1/3程度に絞りつつ、みんなが食べていけるくらいの利益は出そうと、刻一刻と変わる状況に困惑しながらもスタッフたちは頑張って働いてくれました。

ところが、今度は2台ある配送車両のうちの一台が故障。直ぐにMagazineのメカニックに連絡するも、今外出をすると警察に捕まるから修理しにいけないと言われてしまいました。このままだとロックダウン期間中、1台しか車が使えず、またその車もいつ故障するかわからない為、マネージャー達には、罰金で許してもらえるならメカニックを迎えに行って、ついでにMagazineのエンジニアにトラックのコンテナを完成させる様に伝えるんだ!と指示を出しました。

案の定、パンを積んでいない配送車を警察は止め、工場に帰れと命令しました。出費okとGoサインをもらってるマネージャー達は警察にうまいことやり、メカニックを連れて来て配送車両を修理、そして、Magazineのメカニック達にも特別ボーナスを支払い(そこは払っていいと言ってないよ、俺)、何とかロックダウン中にトラックのコンテナと棚も完成!より多くのパンを地方に配達できる様になりました。

都市間の移動禁止などもあり、2ヶ月近くパン屋に戻れていませんが、今の所頑張っている様です。

そろそろクマシのフフを食べに行きたいです。

TOPISH Bakery No.96 ~独立~

ガーナのパン屋の石本です。
ロックダウン中は家の外でも中でもマスクすべし、という話を友人から聞きました。外ではコロナウィルスからの感染を防ぐ為、家の中では暴飲暴食を防ぐ為、と。なるほどなぁ、と手の届く範囲にチョコレートとウィスキーを置いている自分も気をつけようと思います。

さて、昨年7月にはAbrafiが独立し、自分でパンとクッキーを焼いています。彼女は働いていた2年間で少しずつ資金を貯めて、独立する為の道具を買い集めていました。家族も約束通りショップを借りる資金を捻出してくれた為、オーブンを買う為の不足分の資金を支援しました。今では少額ですが、利益に余裕がある月には返済をしてくれる様になりました。

今はケーキ作りを学びたいらしいAbrafi(左から二番目)

今回TOPISH Bakeryを卒業するのは4名。

一番しっかり者のJanetは、出産を機に一度TOPISH Bakeryを離れていた事がり、その時に家の近くで飲み物屋さんで働いていました。その時の経験から、何が売れ筋で、どのくらい売れるのか、利益がどれくらい出るのか、を知っており、独立するのであれば子供の面倒を見ながら飲み物のショップをやりたいと、必要な資金と収支についてメモ書きを提出してくれました。家族も応援してくれるとの事であり、私の方では冷蔵庫代と最初の仕入代金を支援する事にしました。

営業に駆り出されるJanet(真ん中)

3人の子供のシングルマザーであるAkuaには、いつも部屋の掃除と洗濯物をお願いしていました。物静かで、お願いしたことをしっかりやってくれる真面目な彼女は、とても信頼ができる為、いつも私は自分の部屋の鍵を彼女に託していました。いつも休みの日には子供達に会いに実家まで帰っており、交通費もかかる為、私も子供達の学費の支援やご飯代などを渡していました。Akuaは、自分ではビジネスをする自信がないから、継続してパン屋で雇って欲しいとお願いしてきましたが、家族とKofiと話す中で、Pure water (飲料水)とIce kenkeyを販売するビジネスをする事になりました。一人では不安だった様で、もう一人のAkuaと2人でやってみる、という事になり、こちらも冷蔵庫とショップ代を支援する事にしました。

Akuaと子供達三人

最後の5人目はやんちゃなFranciscaは、よく男子達と喧嘩をしたり、whatsappのメッセージで私に「自分のビジネスするから100万円貸して」と送ってきたりと、最後まで心配で、親御さんとの対話にKofiが一番注意して時間をかけて話し合ったスタッフです。勢いとノリは良いのですが、大雑把で短気な所があるから何をやるのが良いかと考えていると、持ち前のパワーで、福祉省の方からオーブンを買ってもらったと連絡をしてきました。自分はこのオーブンでパン屋をやりたい、家族も応援してくれるから、型と材料と他の機材を買う資金を支援して欲しいとの事だったので、ここまで頑張ったなら、応援するしかないと思い、最後にFranciscaも独立を応援する事にしました。

福祉省からゲットしたオーブン
パワフルなFrancisca(右)とお父さん(左)

これにて、TOPISH Bakeryで働く聴覚障害を持つ女性スタッフは全員卒業する事になりました。

残ったのはやんちゃな男性スタッフ達のみ。彼らとは相変わらず日々バトルですが、とりあえず彼らが食って行けるくらいはしっかりやって言ってもらえたらと思っています。

また、これからもご縁のあった人たちとはまた新しい何かをやりたいと思っていますし、働きたいと思っている人たちに機会を提供し続けていける様に、自分自身も引き続き頑張って行きたいと思います。

TOPISH Bakery No.95 ~区切り~

ガーナのパン屋の石本です。
コロナの影響により、ロックダウンとなりもうすぐ3週間となります。
最初の二週間は、それなりにやる事もあり、いつもと変わらず比較的快適な日々を過ごしていましたが、3週目に入ると少しずつ精神的な疲れが出て来たようです。

今日、4/18(土)には、日本行きのチャーター便が出て、また多くの日本人が帰られました。今の所、多少の不便はありつつも、アクラは安全な様です。新型コロナの感染者数は日々増えていますが、政府の迅速な対応とガーナ国民の協力により、これ以上の感染拡大が広がらないことを祈るばかりです。

さて、外出禁止となっているKumasiではありますが、パン屋の方は引き続き営業しております。パン屋の状況についてはまた今度にして、今回は、聴覚障害を持った女性スタッフの独立についての話を書きたいと思います。

聾学校を卒業した学生たちの働ける場所を作りたいという友人の思いと、働きたいという思いを持った人達に機会を提供したい、という自分の思いを叶える為、2015年にTOPISH Bakery(当時はTOP Bakery)を立ち上げました。

2月にパン屋を引っ越しした際に、このままの体制で働き続けることが果たしてみんなにとって幸せなのかどうか悩みました。多くの人から、健聴者と聴覚障害者の方が働ける場所を作り運営してきた事を、素晴らしいと褒めて頂く事があり、嬉しく感じるとともに、胃の中気持ちが悪いものがムクムクと膨れ上がってくる感覚を感じる様になってきました。

残念ながら現実的にはそんな美しい成功談の様な形ではなく、いつも健聴者の男子と、聴覚障害を持つ女子達が対立していたり、信頼関係が損なわれた状態でいる事が多くなってきたという問題がありました。健聴者の男子達の教育水準や若さによる所もあったのかもしれませんが、石本が言うから一緒には働くけど、、、というマインドは5年経っても変わる事がなかった様に思います。色々な困難がありつつも、一緒にやってきてくれた男子達を責める事はできません。ただ、このままではいけないという思いだけが大きくなってきました。

働く仲間に対してリスペクトも優しさもない職場では、安心して働くことはできません。現に、聴覚障害を持つ女性スタッフの家族からは、彼女達の身の安全が心配だ、という連絡を頂く事がありました。昨年夏ころからのスタッフによる一連の事件や、原料の高騰による収益性の低下なども重なり、TOPISH Bakery内の雰囲気はずっとよくない状況でした。

新しい工場に移る時、一度は全ての女性スタッフを雇用継続する事を決定していました。しかし、その後、女性スタッフとそのご家族と話をする中で、自分が彼女達をパン屋で雇用し続ける事がベストな選択肢ではないと考える様になりました。最初、女性スタッフ達は困惑して、継続して雇ってくれと懇願してきましたが、彼女達と一緒に何が彼女達の人生にとってベストなのかを考えることにしました。

自分にとって大事な事は、働きたい人が働ける場所を提供する事、でした。スタッフ達もパン屋になりたかった訳ではなく、働ける仕事がたまたまパン屋だったから、という子が殆どだったかと思います。機会があれば、テイラーやシェフになって自分のショップを持ちたいという人や、エンジニアや銀行員になりたかったという人も子もいたかもしれません。でも、自分ではその機会を提供する事はできず、パン屋として一緒に働いてもらうことしかできませんでした。

今まで安い給料でも頑張って働いてきてくれた女性スタッフ達には、感謝の想いと信頼があります。

女性スタッフの中には、旦那や子供のいるスタッフ達もいます。子供達を家において、工場に住み続ける事がその家族にとって幸せとは思えませんでした。工場移転までの時間を使って、彼女達が自分でやりたい事、やれる事、生活していく為の基盤を作れる仕事について考えてもらい、家族にも彼女達のビジネスを応援してくれる様お願いしました。一度に全員の起業資金を準備する事が難しかった為、3月前半と後半の二度に分けてサポートしていく事にしました。

TOPISH Bakery No.94 ~コロナ対策 in ガーナ~

ガーナのパン屋の石本です。

前回の投稿からまたもや時間が空いてしまいました。書こう書こうと思いながら、一刻一刻と変わる状況への対応にバタバタし、漸くロックダウン最初の週末なり、時間を取ることができました。
今日は、ガーナの現在の状況について紹介できればと思っています。

3月中旬、ガーナ政府が国境封鎖及び空港封鎖を示唆した事により、3/22〜23にかけて青年海外協力隊及び一部の日本企業・駐在員のご家族の方々が日本に帰国されました。

3/23から2週間の国境封鎖・空港封鎖が宣言され、その一週間後の3/30から2週間のロックダウン(外出禁止令)となりました。

当初ロックダウンが宣言された時に、どれだけ食料が手に入るのか、水や電気や通信関係へのアクセスはどうなのか、と不安になる気持ちもあり、最低限必要となるものを2週間分ほど調達しました。

買い物の時には、入り口で石鹸で手洗い+エタノール消毒が基本。この店では更にお客さんに手袋までつけるように指示していました。

3/30から2日間は外出せず、簡単な運動と、できる限り野菜など缶詰を使わない料理を手作りする様か、デリバリーをしてくれる和食屋さんからご飯を取り寄せたりしていました。3日目に、徒歩圏内のスーパーに歩いて買い物に行きましたが、その時には殆ど通りに人はおらず、15分ほど歩いて4〜5人ほどしか会いませんでした。

いつもは沢山の物売りの人がいる交差点。ロックダウン以降はゼロ。

いつもは沢山いる物売りの人たちもおらず、許可されているはずのフードベンダーも出店しておらず、とても街は静かな状態でした。比較的車通りが多い道に出ても車はまばらで、いつも沢山走っている市民の足である乗合バスのトロトロも殆ど走っていませんでした。珍しくトロトロが走ってるな〜と見てると、メイツ(トロトロの集客・集金係)に”Go back to your country”と叫ばれたので、一瞬驚きましたが、よく分からないわ、不安だわ、ビジネスも下がったりでイライラしてるんだなぁと思い、ちょっと申し訳ない気持ちになりました。

いつもは人で賑わうモールも食料品と銀行と薬局と通信関係以外は閉鎖。

幸いにも、近所のスーパーではエタノール消毒液も食料品もお酒も販売してくれているし、八百屋兼お肉屋さんも稼働しており、食料品も十分な在庫がある様なので、物資が不足する心配はなさそうでした。

近所のスーパーにはビールの在庫が沢山あるので安心。

一方で、日銭を稼いで生計を立てていた人たちが沢山いることもあり、その方達がどの様に生活しているのかは心配であり、ロックダウンが長引く場合には彼らの不安・不満が爆発するのではないかと心配しています。ガーナ人の友達に聞くと、大丈夫だよ〜、皆んなで助け合うから何とかなるよ〜と楽天的な回答がありましたが、私もきっとガーナは助け合って何とかこの難局を乗り越えて行くのではないかと思っています。

4/5の大統領講話では、40万食の食料品が配られる他、3ヶ月間の水道の無償化、医療従事者への待遇の改善、GHS600Millionの民間へのローンの提供、マスクの自国生産などが取り上げられており、矢継ぎ早に対策が取られています。

4/5に解除される予定であった国境封鎖・空港封鎖についても、追加で2週間の封鎖となる旨の通達がありました。まだまだ人の移動が許可されるのは先の話になりそうですが、今の所、物資の輸送はokとの事であり、港湾も稼働率は下げながらも食料品や医療品、生活必需品については輸入もしていますし、工業団地でも生産しています。お酒のメーカーも、不足しがちだったエタノール消毒を作り始めるなどしています。

一時は一本50ghs(約1000円)で売る人もいましたが、今では価格も落ち着いています。

2週間前とは全く異なる非日常を生きていますが、意外と対応はできるもので、治安の悪化が起きない限りはガーナでの生活は何とかなりそうだと感じています。早期の終息を祈るばかりです。

初めて作った抹茶クッキー。Youtube見てたら焦がしてしまいました、、、

TOPISH Bakery No.93 ~ガーナの医療事情について~

ガーナのパン屋の石本です。

早速新制度で揉めていますが、最初の2週間は何とか合意した金額をマネージャーたちから納めてもらいました。創業からずっと手伝ってくれているKofiにはいつまでも苦労をかけているなぁと申し訳なくなります。

Kofiについて話をすると、Kofiの両親は聴覚障害を持っており、小さい時におばあちゃんの下に引き取られて育てられてきました。(Kofiと弟は健聴者であった為、両親と一緒にいると話す機会が少なく、Kofi達も話せなくなってしまうのではないかとおばあちゃんが心配した為だそうです)

その為、deafの人たち為のパン屋を作ろう、と話した時に自分ごとの様に喜び、全力で応援してくれ、TOPISH Bakeryの草創期から支えてくれた、不器用ながらも信頼できる大事な人材です。2019年初頭、若いマネージャー達へ体制を移す事となり、KofiにはTOPISH Bakeryのマネージャーから退いてもらい、石本の代理人という立場で事業を見守ってもらう事となりました。

TOPISH Bakeryの為に色々動いてくれてはいますが、Kofiの給料はTOPISH Bakeryからは出ておらず、別にお願いしている仕事から支払われているのですが、それでも、deafのみんなの為、手がかかる弟分であるスタッフ達の為、何とかTOPISH Bakeryが存続できる様にと今も頑張ってくれています。

昨年秋頃、Kofiは奥さんとの間に子供ができたと嬉しそうに話をしにきてくれました。Kofiも子供ができたから頑張らなきゃ、まずは二人で住む家を借りたいと忙しい合間をぬって場所を探していました。

お給料や日当が出ると、せっせと奥さんにプレゼントを買ったり子供の検診費用にしたりと、幸せそうなKofiでしたが、嬉しい連絡をもらってから2ヶ月後、急遽奥さんの容態が悪くなって病院に入院することになってしまいました。言われた通りに妊婦健診に通っていた様ですが、どうやらお腹の中の赤ちゃんが亡くなってしまったとの事で、手術をしなければいけなくなってしまいました。

連日、仕事が終わると病院に行き、奥さんの側につき添うKofi。ガーナ第二の都市クマシであっても、手術をするとなると不安です。そもそもお腹の中の子供の異変も検知してもらえなかったとあって、病院に対する不信感もあります。Kofiはこのままでは奥さんまで失ってしまうのではないかとひどく心配して疲れきっていました。自分も同じ環境だったらと思うと胸が締め付けられる思いがしました。

数日後、Kofiから手術は無事終わり、赤ちゃんを埋葬してきたとだけ電話がありました。

翌週Kofiと会って話をすると、赤ちゃんの事は残念だったけど、きっとまた自分たちの所にきてくれると信じてるし、奥さんが無事だったことを神さまに感謝している、と言っていました。世界中どこでも子供や大切な人を失う悲しみは同じです。日本にいたら良い医療サービスを受けられて、医者や看護師の診断も信じられ、必要な薬も手に入るけど、そうではない場所はまだまだ多くあり、久しぶりに理不尽さを感じました。

奥さんの治療の経過も芳しくなく、しばらく出血が続いたりと1か月ほど家事もできずご飯も食べれないほどでした。Kofiの看病もあり、今年頭からは知り合いのご飯屋さんに手伝いに出れるほどに回復しました。その知らせを聞き、Kofiと二人でご飯を買いに行くと、奥さんが照れ臭そうに迎えてくれ、いつも私たちを支えてくれて有難うございます、とお礼を言われました。いつも私を支えてくれているのはKofiの方ですよ、頑張り屋さんのいい旦那さんですね、と伝えるとKofiが嬉しそうに笑い、奥さんを抱き寄せました。

翌日パン屋に顔を出すと、スタッフの一人から、昔働いていた同郷から来た女の子の一人が亡くなったとの知らせを受けました。その子は子供ができたから実家に帰ると言い、出産後は彼氏が消えた為、お母さんに子供を託して働きながら頑張っていた様です。スタッフの結婚式の時に一度だけ子供に会った事がありますが、その子にはIshimotoという名前がつけられていました。二人目を授かり、出産をする時になくなってしまったとの事でした。Kofiの奥さんのこともあり、母子ともに健康で安全に出産する事が当たり前ではないという事にガツンと頭を殴られる思いでした。

自分には何もできないけれど、多くの専門家の方々が、日々ガーナの医療サービスを良くしようと奮闘されている姿をみると、本当に尊いなぁと感じます。自分は、自分なりにできる事で貢献していけたらと思います。

TOPISH Bakery No.92 ~主体性~

ガーナのパン屋の石本です。
前回投稿から時間が空いてしまいましたが、ガーナのパン屋は今日もマイペースでやっています。前回は新しい工場での生産がスタートした事について書きました。

今回は、どうしたら主体性を持って取り組んでくれるか、という事について考えた結果とそのトライアルについて書きたいと思います。

今までのTOPISH Bakeryでは、基本給があり、生産量が減少した場合には一定額を減額、Missing breads(良く焼いたパンが消えます)があった場合にはそのロス分を減額、とここ最近は減点される方が多かった状況があります。競合が増えた事で、残念ながら生産量が減り、また材料価格が上がった事で利益率も下がり、中々加点式に皆んなの給料を上げることが難しかった状況があります。

そんな中で、もっと売上を増やせ〜!もっとロス&経費を減らせ〜!とやって来たわけですが、どんなに頑張っても給料が増えない中では、スタッフたちも給料以上に頑張る気になりません。石本に言われているうちは神妙な顔をしていますが、その数分後にはサッカーボールを蹴って、きゃっきゃ騒いでいるので、これは仕方がないなぁと呆れていました。

ただ、もし自分が皆んなの立場だったら、確かに一定以上は頑張らないよなぁ、と思ったこともあり、どうすることが会社にとってもスタッフにとっても良いのだろうか、と考えました。今までの仕組みは、お前が作った利益は会社のもの、お前が作ったロスはお前のもの、という、普通に考えてジャイアンよりタチの悪いものでした。これは根本的に考え方を変えなければいけないと思いました。

一般的な会社経営者からするとダメ出しされる事ばかりかと思いますし、恐らく批判的なご意見を頂く事もあるかと思うのですが、会社の設立方針からして、聴覚障害を持つ人・仕事を求めている若い人たちが働ける場所を作る、というものなので、利益を最大化するというのは、より多くの人の雇用を作ることの1つの方法論であり、ゴールではないと考えました。

勿論利益を増やせれば、より多くの人を雇えるし、新しい事業を行えるので、利益が多い事に越したことはありません。ただ、現状利益を増やす為に、会社がスタッフたちに無理強いすることが果たして正解なのか、と思った時に、このやり方は良くないなぁと反省をしたのでした。一方で、会社を回して行く為には、一定の利益を上げてもらう必要がありますが、逆に言えば、その利益さえあげてくれれば、他は頑張った社員たちが山分けしてもらえばいいのではないかと考えました。

会社の利益を拡大しない。会社がスタッフたちの業務量を管理しない。

頑張って利益を上げたらあげた分だけ、自分たちの給料が増え、自分たちが必要と思う設備投資もできる。

めちゃくちゃを言っているようですが、5年間一緒に働いて来たスタッフ達だからこそ、任せてみようとやってみる事にしました。起業家マインドの高いガーナ人スタッフたち。まずは数ヶ月ほど現在の体制でやってみようと思います。

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