TOPISH Bakery No.81 ~土地探し~

ガーナのパン屋の石本です。
ここ五年程同じ場所でパン屋を営んでいますが、いい加減土地のオーナーとのいざこざが耐えないので、来年6月頃を目処にこの物件から出ていきたいな〜と考えている今日この頃です。

ガーナ第二の都市、クマシも土地価格の上昇が甚だしく、1plotで数千万円するようになってきました。

この値段では弱小パン屋は賃貸でも精一杯です。一方で、クマシの郊外に出るとまだ土地が安く手に入ります。

今までは、自分が長い時間パン屋で過ごしていたので、クマシ市内がいいなぁ〜と探していたのですが、とても手が届かないレベルでした。ただ、自分たちのお客さんたちは、地方に行く道路沿いに多く、クマシの中心地の工場を置く必要はないよね?という結論に至りました。

であれば、高いお金を払って工場となる家を買い取るよりも、自分たちで土地を買って、切り開いて、工場を作る方が面白いんじゃないか、と思うようになりました。幸いにも、ずっと一緒にパン屋をやっているKofiの叔父が5年前に購入した土地があり、その土地を売ってもらえる可能性が出てきた為、今日はその土地を見に行ってきました。

クマシからトゥクトゥクに乗る事30分。Kuffor元大統領の地元にほど近い大きな土地に到着しました。

「5年くらい放置していたんだよね〜」

というKofi。知らない人たちが、オレンジの木と、メイズを植えていました。

とりあえず、端から端まで歩いて土地のコンディションを確認し、どこにどんな感じで宿舎と工場を立てるのがいいかを話し合いました。

その後、Kofiはおもむろにオレンジ畑の中に入り、オレンジを収穫し始めました。

「見たところ、収穫にもきてないし、うちの土地を無断で使ってオレンジを育ててるから、もらってしまおう」

と木に登りはじめ、20個ほどオレンジを持って帰っていました。

帰りに、偶然オレンジの木のオーナーにあった為、事情を話し、将来的にパン屋をその土地でやる場合には、オレンジの木を抜くか売るかするように話していました。

クマシの中心地からはちょっと遠いですが、近隣には田んぼやカカオ畑などもあり、色々な取り組みができそうなので、是非この土地を前向きに検討できたらと思っています。

工場の建設費用の捻出が問題ですが、まずはワクワクする方向に一歩踏み出して見たいと思います。

TOPISH Bakery No.80 ~小さな幸せ~

ガーナのパン屋の石本です。
日々大変な事の中にも、小さな幸せがあるもんで、その瞬間に救われている自分がいます。大きなインパクトがなくたって、誰かが自立したり、結婚して家庭を持ったり、そういう時間を一緒に過ごせていることに小さな幸せを感じています。

ここ一年、パン屋を牽引してきてくれているManagerのNana Yawの結婚が決まりました。未来の奥さんも紹介してくれ、来年1/19に結婚式を挙げるそうです。出張の可能性がありますが、出来れば結婚式に参加したいと思います。

また、5年間ずっと一緒にパン屋や米事業を担当してくれているKofiも結婚予定で、7ヶ月後には赤ちゃんも生まれる予定です。今朝、奥さんを連れて挨拶しにきてくれました。奥さんと子供の為にも、さらに頑張らないとね、と発破をかけておきました。

流石に2連ちゃんの結婚式は金銭的にも辛いものがあるのですが、彼らの一世一代のイベントなので、できる限り応援したいと思います。

また、7月に独立したAbrafiから、頑張ってるよ!というメッセージをもらったので、Kofiと一緒に訪問してきました。2年間、独立のために資金を貯めていたAbrafi。最後に足りない資金を提供し、9月から念願の自分の店を構える事になりました。若干資金が足りなかった為、オーブンを作っているメカニックに1万円ほど借金していたのですが、それも無事返済し、「来月からは石本に借りた分の返済もするからね」と嬉しいコメントもありました。

Abrafiは、Susuという貯金協同組合に参加し、毎日毎日100〜200円ずつ貯金しているのでした。そのノートを見た時に、嬉しくて泣きそうになりました。ちゃんと頑張ってるんだなぁと、とても感慨深くなりました。

Abrafiの作ったパンを買いたかったのですが、その日は売り切れてしまっていた為、彼女が焼いたクッキーを全部買わせてもらいました。また、このクッキーが素朴で美味しかったので、また注文したいと思っています。

今、TOPISH Bakeryのスタッフで2人ほど独立して自分の事業を持ちたいという女の子がいる為、その二人についても応援していきたいと思っています。TOPISH Bakeryはパン屋ですが、ここで培った人間関係・信頼により、スタッフたちは各々やりたい事業で独立していきます。パン屋で働いていたって、将来やりたいことは違う事の可能性があるし、それでいいと思っています。これからも皆んなが卒業して、自分ビジネスを作っていってくれることを楽しみにしています。

TOPISH Bakery No.79 ~工場問題再び~

ガーナのパン屋の石本です。

日々色々あるので、最近は色々な感覚が鈍って来ている気がします。図々しく、適当になって来ており、日本人としてのきめ細かさなどが徐々に消えつつあるように思います。どうか、日本人としての「当たり前」を期待しないで頂けると幸いです。

さて、前回投稿にあった、土地のオーナーからの嫌がらせですが、やはりその後次なる一手がきました。

事の経緯は、10月頃に土地のオーナーからうちのスタッフに、「(クリスマス前でお金がないから)家賃2ヶ月分を貸せ。」と迫って来た事に始まります。

家賃はすでに一年分(8月から)前払いしており、また、こちらとしても来年どうなるかもわからない状況なので、ここで家賃2ヶ月分を渡して、追加で2ヶ月賃借期間を延長するのもあまり得策ではなかった為、事業の状況が良くないので、現在貸せるお金はない、と返答したのでした。

その事に腹を立てた土地のオーナーは以下添付のようなレターを送りつけて来たのでした。

敬われるべき年長者がローンをお願いしているのに断るなんて!
外国人で金持っているくせに!
俺が家を貸してやってるから事業ができるんだろう!
汚く使いやがって!(経年劣化です。ローンの話の前には言ってなかったじゃない。)

きっと色んな思いがあるのでしょう。

最近は平穏無事で過ごせるように、2〜3ヶ月に一回挨拶に行ったり、ウィスキーを買って行ったりしていたのですが、このおじいちゃんオーナーは自分の思うように物事が進まないと騒ぎ立てる習性がある様です。

今回もうちのマネージャーから、「またオーナーが手紙持って来たよ。石本どうする?」とメッセージがきた為、

「どうしたらいいと思う?出ていかないとダメなら廃業しないとだね〜。1月末まで待ってくれるらしいし、クリスマスに一稼ぎして、出て行くか?残りの前払いした家賃を返してくれるかな〜。」

とマネージャー達に送ると、翌日

「町内会長に根回しに行って来たのと、友人の弁護士にアドバイスをもらって来た。今回のケースでは、土地のオーナーは賃借人を追い出す事はできないし、俺たちは前払いしているので契約期間満了まではこの工場を使うことができるって。無視してもいいらしいけど、また騒がれると面倒だね。」

との事だったので、友人の弁護士にレターを書いてもらって、こちらからも土地のオーナーに返答する事にしました。基本的に、内容やどのように交渉するかは、マネージャーたちに任せる事にしました。

一方で、Kumasiの中心地から少し外れる場所に、工場と宿舎として十分な大きさのある家を見つけて来たという事だったので、将来的なことも考えて、来週一緒に時期工場候補地を見に行く事にしました。

現在聞いている値段は、土地と建物つきで約300万円。修繕と工場移転費用を考えると350万円ほどは必要になるのではないかと思われます。

これだけの資金を準備する当てがあるわけではないのですが、とりあえず物件を見てみて、自分がその物件を購入してパン屋を継続している絵が見えるか、確認しに行こうと思っています。

クリスマスに向けてか、少しずつ生産量も販売量も回復して来ており、また売掛金管理を厳しくしたこともあって、収益性は改善して来ているので、もう一踏ん張りしたいところです。

TOPISH Bakery No.78 ~今後について~

ガーナのパン屋の石本です。

最近、文章を書いては消し、放置し、また状況が変わり、書き、消してを繰り返して投稿できずにいました。
パン屋に対する色々な思いや考えがぐるぐるし、また自分自身が今何をやりたいと思っているのか、という事についても考えていました。

結果、半年後を目処にパン屋をスタッフだけで継続的に自立運営していける様にマネージャー達を徹底的にトレーニングし、責任と権限を与えていく事に決めました。過去4年半ほど、多くの時間を費やして来ながら、まだまだ頭の痛い事ばかりですが、先々を考えたら今取り組まねばと思っています。

パン作りのプロでもなく、雇用を作りたい&ガーナ人と何かを一緒に作って行きたいと言う思いだけで始めたパン屋ですが、石本がずっと先頭に立って指示を出し続けなければいけない組織は自分が目指していたものとは違うな、と考え、スタッフたち中心に将来TOPISH Bakeryをどう言うパン屋にして行きたいか議論し、取り組んでいきたいと思っています。

今でも、通常のオペレーションは殆どスタッフ達に任せているので、日々のオペレーション自体はそんなに影響がないのですが、中長期的な計画や、調達・採算については、今後核となる2名のマネージャーに担える様になってもらう必要があります。

これから、クリスマスというパン屋にとっても一大商戦が訪れる中、どれだけ二人のマネージャーが指揮権を持って頑張れるか、クリスマスまでに一層トレーニングにエネルギーを費やさねばならないと思っています。

また、土地のオーナーからの嫌がらせ(今度はクリスマス前で金がないから、ローンを貸せ、貸さないなら追い出すぞと言う脅しをスタッフにかけて来ているらしい)問題もあり、新しい物件探しも始めました。ガーナで新しい物件を探すのは楽ではないですが、落ち着いて仕事をできる環境を用意できたらと考えています。

この4年半で色々老朽化して来ている為、そろそろ追加投資が必要となるタイミングかと思っていますが、殆どの利益を色々の返済に充てている為、プール金がない状況です。資金調達についても考えないといけないタイミングです。頭が痛い。

TOPISH Bakery No.77 ~お好きにどうぞ~

ガーナのパン屋の石本です。
前回、10/1からTOPISH Bakeryを休業します!と書きましたが、どうやらスタッフ達は継続して働いている様です。働け、と言えば働かず、働くな、と言えば働く。何なんでしょうか。

休業宣言の翌日、Nana Yawから事業継続を懇願するメッセージが届きました。

「9月分の給料分が稼げるまでは、給料の支払いはせず、小麦粉の調達を優先させる事にしたよ。売掛金を増やしてた販売スタッフへはパンを供給しない事にしたので、売上自体は落ちるけど、キャッシュフローは改善すると思う。だから、どうかパン屋を続けさせて欲しい。後は、今の生産に対してスタッフが多すぎるのが問題だけど、、、」

他のスタッフからは、

「TOPISH Bakeryが営業をやめても行く所がないから、暫く住まわせてくれ!悪いのは私たちじゃない、ちゃんと管理をしてないマネージャー達だ!」

と、何とも言えないメッセージが届き、返信する気にもなりませんでした。

Nana Yawには、「お好きにどうぞ。何か困ったら連絡してね」とだけ返信し、10/8にパン屋に帰るまでは基本的には彼らの好きにさせる事にしました。その後、別のスタッフ達からは連絡はありませんが、どうやら10/1から通常通り営業している様です。

ガーナに来てから、雇用を作りたい、という思いを持ってやって来ましたが、必ずしも、

雇用を作る=事業主となる(従業員を雇って事業を行う)

という事だけではない、ということを考える様になりました。

今回の事で、自分自身に向いている仕事の方法や立ち位置があると感じ、何かをブレークスルーするきっかけになりそうな気がしています。答えが出るのはまだ先かもしれませんが、もう暫くあーだこーだやりながらもがいてみようと思います。

TOPISH Bakery No.76 ~インターン編②~

ガーナのパン屋の石本です。
休業指示を出したTOPISH Bakeryのその後について書こうと思っていたのですが、インターンに来ていた近藤さんの文章を読んで、是非この文章を皆さんに読んでもらいたいと思い、先にご紹介させて頂く事にしました。では、どうぞ。

皆さん、こんにちは。
パン屋でインターンしていた近藤彩香です。
これを含め後2記事ほど書きたいと思っています。

さて3人衆がパン屋から出ていき、さっそく心配事が。
「果たしてこの3人でパンを売っていけるのか?」

ということでした。Francisは過去に一人で18個売り上げたことがあり、6人の中で一番できる子です。しかしYawとJoeはあまり売り上げの成績が良くなく、特にJoeは10個以上売り上げたことはありませんでした。そんな中迎えた初3人での配達日。その日はKofiの作業を手伝ったので、つきっきりで見ることができませんでした。彼らを迎えに行く前、どのくらい売れたのかと考え、

「5個売れてれば良いな。」

と低く予想しました。なぜなら期待した分結果が出なかったときの失望感を回避するためです。なんと、その日は3人で10個以上売り上げてきてくれました。この数字にKofiと私はびっくり。これなら3人でやっていけるかもしれない、と少し希望をもった日でした。

日本人1人になって初めての配達日。パン屋に向かうといつもHawkersをTanosoに送ってくれるKofiの姿はなく、FrancisとYawだけいました。するとFrancisが、

「Joeが朝からお腹が痛いから今日は売りにいかない。」

と私に言いました。休む必要があるときは休むべきだと思ったのでとりあえず承諾し、その日は2人で売ることになりました。またKofiを待ってから向かったのでTanosoに13時ごろに着いたのもあって、その日は11個しか売ることができませんでした。

一緒に行ったKofiは

「全く彼らはseriousではない。」

と言っていましたし、同じHawkersのおばちゃんが現地語でFrancisやYawを叱っているようでした。しかし万全の体制で売れば良いと思っていたので、次の日に賭けることにしました。

 その次の日。生産のお手伝いをしながらNanayawが、

「11時30分過ぎてるからHawkersを連れていく必要がある。Kofiに聞いてきて。」

と言いました。

なのでKofiに

「今日は何時にHawkersを連れていく?今行きたいんだけど。」

と聞きました。

すると彼は

「燃料費が毎回かかっているのに、彼らがパンを売らないからそれすら回収できない。燃料費の無駄だ。Distributer達が燃料費を出して俺にお願いすべきなのに、全く俺の事をリスペクトしていない。Nanayawが連れてくべきだ。」

と断られてしまいました。こういう時は何を言ってもダメで、ひたすら「OK、OK」と言うしかありませんでした。

NanayawにKofiが言ってことを伝え、彼は、

「今はパンの生地を切っている。忙しいのわかるだろ?今すぐいけない。」

と言いました。KofiとNanayawに挟まれ、お互いの愚痴を聞かされた私は「そうだよね。」としか言えなくて、早く生産が終わるよう一生懸命手伝うことしかできませんでした。

最終的にNanayawが連れて行ってくれましたが、生産の後だったので昨日と同じ時間に着きました。FrancisとYawはすぐに売りにいきました。この日はなぜかNanayawの弟とBrightの弟も一緒に来ていました。もちろん彼らはパンを売ることはなく、スマホでゲームをし始めました。昨日お腹が痛いと言ったJoeはすぐに売りに行こうとしません。なぜならそれをずっと見ていたからです。売りに行こうと声をかけても全く動く気配がなかったので、しばらく相手せずほっておくことにしました。FrancisとYawを見ながらひたすら彼を待ち、動き始めたのはあれから40分経った後でした。Joeには特別に、15個売ったら私のガーナ用携帯、10個売ったらパーカーをあげるというルールを設けています。にも関わらず全く売ろうとしない彼の行動は、特にこの日はひどく、少し苛立ってしまいました。基本パンのストックを置いてある場所から彼らを観察し、戻ってきたら「すごいね!」「やればできるじゃん。」「頑張れ!」など、たくさん励ましの言葉をかけています。またそこから動いて彼らの動きを見ながら声をかけ、パンの持ち方や立つ場所などのアドバイスをしています。しかしその日は一時的に彼らの姿が見えなくなり、普段いる場所のエリアを探しても見つかりませんでした。1時間30分ぐらい経った後、3人がパンを片手に戻ってきました。

「どこ行ってたの?もっと向こうのほうに行ってたの?」

と聞くと、彼らは半笑いしながら「そうそう。」と答えたので、「絶対嘘だな。休んでたな。」と思いながらも、どこか行くときは声をかけるように伝えました。すでにもう17時。彼らは18時を過ぎるといくらパンが残っていようが「もう渋滞がなくなるからNanayawを呼んでくれ。」と私に言ってきます。

その日の午前中は、石本さんからパン屋のグループチャットでなぜ11個しか前日売る事ができなかったのかという理由を聞かれ、路上でパンを売れるような戦略を考えてほしいと言われていました。また独りだったこともあり、「なんとか結果を出さないと。」と自分で自分を追いつめていた、と今になって思います。だからその日は彼らが一生懸命売ろうとしない姿をみて、いつもより苛立ち、彼らに対して「なんで売りに行かないの?」と強く言ってしまいました。またサボっている写真をわざと撮ったりして、自分もされたら嫌だろうなと思うこともしてしまいました。それぐらい焦っていたのです。

そして他の同年代のHawkersと話していたり、「お腹痛くて。」「売っている途中で足を痛めた。」などの言い訳をして売りに行かずただ眺めている彼らに嫌気がさし始めました。時刻は18時を回り、「後1時間しか粘れない。」と感じた私は、両手にパンを持ち、お客さんと一番近くなるところに立つ作戦にして、ひたすら「バターブレッド、5セディ。」と言う事にしました。もちろん売ることはせず、名前だけでも覚えてもらおうと必死でした。「何してんだ?」「アジア人がパンを持ってなんか言ってるぞ。」と道行く人に常に見られ、笑われました。それでも彼らのためになるならと一生懸命やりました。

するとFrancisが「Nanayawを呼んでほしい。」と私に言いました。「全部売れたの?」と聞いたら「うん。」と答えたのでさっそく電話し、彼に迎えてに来てほしいと頼みました。また自分が持っていたパンをFrancisに託し、売るように頼みました。「やった。それ以外全部売れたんだ!」と思い、スタッフの弟たちにも「今日全部売れたの?やったじゃん。」というと「そうそう。」と答えました。こうしてパンのストックしてある場所に戻ると、見たのはまだ残っているパンと、Nanayawを待って動かないJoeとYawの姿がありました。

「あれ?全部売れてない。なのに彼らは私にNanayawを呼ばせたの?」と思いました。

そして失望した私を笑うメンバーの弟たち。Francisもそれ以上売らずに戻ってきました。

「何これ?なんでまだ残っているの?どうして?」

「あんなに笑われても彼らの為にただひたすら立っていたのに?」

「一時的にいなくなったとしても信じて彼らをひたすら待っていた結果がこれ?」

悲しくなって、涙が出てきました。必死に隠そうとしても涙が止まりませんでした。彼らの為に費やすこと、本来は彼らが考えていかなきゃいけないことを、わからない中必死に考えて実行していること、もう全てがばかばかしく思えてきました。彼らに投資した時間と労力が全く帰ってこない気がしてきて、ただただ悲しかったのです。

「彩香、どうして泣いてるの?」

とFrancisが聞きました。

「あなたたちの世話をするのが疲れた。」

と答えることしかできませんでした。私と仲が良いHawkersの方が現地語で私の代わりに「あなたたちが売らないからよ。」と説明してくれたような気がしました。アクラからクマシに戻ってきて以降1日も休むことなくパン屋に通い続け、昼前には必ず到着し手伝い、夜遅く帰る生活をすでに2週間続けていた私は、体力的にも精神的にも疲れていたのかもしれません。あくまでも中心は彼らであり、私はそれのサポートです。パンを売り、パン屋に貢献するのは彼らです。しかし私はマネージャー的な存在だからこそ、いつのまにか彼らに期待し、勝手にガッカリした結果として涙が出てきたのだと思います。彼らに期待しなければ涙なんか出てきません。しかし私の考えを利用し結果を出すには、彼らと信頼関係を築く必要があります。彼らの協力が不可欠だからこそ、どうしても「ここまでやってほしい。」と期待してしまいます。彼らに真正面から向き合おうとすればするほど、期待してしまったのです。

帰る車の中でNanayawに

「今日泣いたのか?なんで泣いたんだ?」

と言われ、思い出してまた泣いてしまい、パン屋についたときも泣いてる私を見て「ごめん。」と謝り、「もし必要だったら俺がishimotoに伝えてHawkersを止めることもできる。彼らの為に出す燃料費や彼らが出したロスを考えても、明らかだ。」

と言ってくれました。ホテルに到着して、いつもお世話になっているJeffryやその友達に出迎えられディナーに誘ってくれました。そのJeffryの友達が私の顔を見て、「今日泣いた?何かあったの?」と聞きました。理由を説明しようとしてまた涙が出てきました。1日で計3回泣きました。こんなに人前で泣き顔を見せたのは久しぶりでした。次の日は水曜日で配達日です。「こんな状態で彼らに会いたくない。何も考えたくない。」と初めて思いました。ガーナに来てから初めて意図的に1日休むことにしたのでした。

TOPISH Bakery No.75 ~ストップ~

ガーナのパン屋の石本です。
ギニアの田舎の風景を見ながら、どうするかな〜と考えていた数日前。9月の最終営業日にマネージャーのNana Yawから連絡があり、包装資材を買うお金も、スタッフに払う給料もないんだけど、小麦粉代を支払う為に貯めてたお金を使ってもいいか?と問い合わせが。

ここ数週間、散々このまま行くと月末に給料払えないよ?と言っていた事が現実に。原因は明確。売上減少、売掛金増加、経費増加(機械と車の老化)。

今日の今日までずっと皆んな無関心でのほほんと適当にやってきた結果がこれです。唯一焦って連絡してきたのがNana Yaw。他のマネージャーはこちらからのメッセージに対して無反応。

「給料払ってもいいけど、小麦粉買えなくなるから今日で営業できなくなるね」

との私のメッセージに、「私たちは働いたんだから給料をもらえるべきよ!」とのスタッフからのメッセージ。

ええ、勿論1ヶ月働いたのだから給料をもらう権利はあるし、もらっていいけど、運転資金なくなるから事業は継続できないよなぁ、それに今のスタッフの無責任・無関心な状態をみるに、追加で運転資金を入れるのは焼け石に水だよなぁと思い、

「取り敢えず、みんなでどうしたら良いか、今後どうするのか話し合って!全員出席する事!」

と、翌日全体会議を開いてもらう事にしました。結果、数人のスタッフ以外会議には参加せず、またその会議の結果についても報告はありませんでした。

自分たちの会社がこれからどうなるか、どうしてこういう状態になっているのか、皆興味ないんだな〜と残念な気持ちになりました。

「運転資金ないし、今日でTOPISH Bakeryは営業をストップします!!皆、頑張って次の仕事探してね!」

と、こちらも無責任な対応をしてみる事にしました。
10/1からTOPISH Bakeryは休業します!

TOPISH Bakery No.74 ~サステイナビリティ~

ガーナのパン屋の石本です。
8月末から1ヶ月ほど日本とベトナムに行き、帰ってきたと思ったらまた10日程ギニア共和国に来ています。何だかんだ1ヶ月半ほどパン屋を放置しております(遠隔では毎日バトルしています)が、9月の1ヶ月間をスタッフ達だけで運営した結果、やはり石本不在だと色々ダメな部分が見えてきました。

7月に販売スタッフを2人解雇してから、新しい販売スタッフを追加しました。そして、自社の直販にトライする為にHawkersを導入しましたが、売上が伸び悩んでいます。勿論、新しい取り組みなので新しいお客さんを獲得するまで時間が掛かる事は承知していますが、3名いるマネージャー達の態度がなんとも苛立たせるのです。売上が右肩下がりなんだからもっと真剣になって欲しいところです。

また、古参の販売スタッフの売掛金はどんどん増えていっている事について、マネージャーと販売スタッフでミーティングをして売掛金の回収について話し合うように指示をしても、マネージャーも販売スタッフも数名がミーティング不参加という始末。売掛金が増える事でキャッシュフォローがきつくなって、原料が買えないから何とかしてくれと言われても助ける気にもならない。。。

生産機械や車が故障し、他のパン工場を有料で借りたりタクシーを使って販売して行ったり、不要な経費が掛かっているにも関わらず、削減しようと試みたり、焦ったりする様子もなし。

ただ一人、販売マネージャーのNana Yawだけが奔走している姿に、彼に対する感謝を感じつつも、他のスタッフに対する残念な気持ちの方が強くなってしまいました。Nana Yawは、生産も手伝い、朝早くから配達し、会計をし、データのインプットをし、いつも石本からの質問にしっかり反応してくれる、マネージャーの中でも一番頼れる奴です。彼にばかりシワ寄せがいっている状況も改善しないといけません。

他のスタッフ達の無関心・無責任なやり取りを見聞きするうちに、このままで良いのだろうか、自分はTOPISH Bakeryという組織に甘えているスタッフたちをダメにしているのではないか、と考えるようになりました。

また、将来の事を考えた時、「最後は石本がなんとかしてくれるから、、、」という体制は自分が望むものではないと考え、真剣にどうする事が彼らにとって本当に良い道なのか、sustainabilityを考えた時にどういう体制にすべきなのか、を考える事にしました。それはまた、自分自身が今後どうTOPISH Bakeryと付き合っていくか、という事だと思い、ギニアの田舎を走る車の中でガーナに思いを馳せています。

TOPISH Bakery No.73 ~インターン編① ~

ガーナのパン屋の石本です。
ここ1ヶ月ほどTICAD7に合わせて日本に一時帰国しております。
TICAD7ではサイドイベントに3つ登壇させて頂き、ガーナでの取り組みについてお話しさせて頂く機会を頂きました。感謝です。

さて、8月から夏休みを使って2ヶ月間TOPISH Bakeryにインターンにきてくれている近藤彩香さんが、石本不在中もパン屋で奮闘してくれているので、今回はその活動をご紹介したいと思います。Hawkersの売上増を目標に取り組んでもらっていますが、早速色々な問題に直面し、悩み葛藤しているようです。では、どうぞ!

みなさんこんにちは!明治学院大学経済学部経営学科2年の近藤彩香です。

8/1からここパン屋でインターンをしていて、今はHawkersを担当しています。まずは「現場を見なきゃ分からない!」と思い、石本さんに同行し彼らが働いているTanosoに行きました。しばらく彼らを眺めていたのですが、

「これは売るのが厳しい。」

と純粋に思いました。
やはり渋滞が多いだけに、ライバルの数が多いです。ロードサイドにはすでに商品を売る場所を確保したベテランのおばちゃんたち。パン以外でも、飲み物やお菓子、アイス、ごはんを販売する他のHawker。バスが通れば、お客さんに選んで買ってもらえるよう必死にアピールし、自分達の売り上げを伸ばしていきます。また例えたくさんのバスが通ったとしても必ずしも買ってくれるお客さんは多いわけではありません。

一度バスの数を数えた事があるのですが、1時間に300台以上通ったとしても、買ってくれるお客さんを乗せたバスは約15台でした。この15台に確実に売りにいくのは難しく、ほかの有名なパンが近くにあればその企業のパンが選ばれる可能性が高くなります。通り過ぎるバスにいかにアピールし、お客さんに選んでもらえるような戦略を考える必要があると石本さんの話を通じて実感しました。

今度は1人で彼らを見にいくことにしました。そして気づいたのは

「彼ら全く売る気ないな。」

という事でした。
石本さんやKofiがいる時はしっかりエプロンと帽子をして、靴を履いていたのに、普段は全く身に着けない。3時間ぐらい経つと「疲れた。」といって、私が見えないところで座ってだらける、しゃべる。私が他の手伝いで1日中そばにいれなかった日、迎えに行くと

「彩香~、4個しか売れなかったよ。」

と笑って、騒いで、20個以上の売れ残りに対して全く責任感を感じていません。他のHawkerに、

「あなたたちのHawkerは何もせず遊んでばっかり。売る気がないなら来なくてよい。」と怒られたこともありました。夜暗くなったら「もう渋滞ないから、明日の朝売ろう。」と言ってパンが売れ残っているにも関わらず早めに切り上げることになりました。その際、

「まだたくさん売れ残っているのにあなたたちは帰るんだね。理解できない。」

と他のHawkerに言われ、当の本人たちではなくなぜか私が悲しくなりました。他のHawkerに比べると積極的に売ろうとする意欲があまり感じられませんでした。戦略を実行していくにはまずは彼らの協力が不可欠です。いかに“やる気を出させ”、トロトロにしっかりアピールし売っていけるようサポートするかが重要だ、と考えました。これを踏まえ問題と状況を整理し、一回マネージャーとHawkersを含めた会議をしました。彼らの前でパンを売る態度を指摘するのは勇気が入りましたが、ほんの少しだけ話をしました。マネージャー達もHawkersのあまり良くない態度は認識していました。この前日も14個しか売ることができず、Hawkersは「ラッパーのせいで売れないんだ。」と主張したので、とりあえず彼らの意見を尊重する事にしました。ラッパーを変え、時間帯も午後から売り始めるのではなく午前中から売ることにし、次の配達日にKofiと一緒に様子を見ることにしました。なんとその日は2個しか売れ残りませんでした。今まで10個以上売れ残っていたので、この彼らの頑張りに私とKofiは驚きました。


彼らのやる気のなさにモヤモヤしつつも奮闘しながら迎えた9月の最初、年上組のKobbyが衝撃の一言。

「彩香、今週俺ら村に帰るんだよね。」

急な告白に驚きました。

またKobbyだけでなく、Danielや最年長のAdjeiも一緒に木曜日村に帰る事が判明しました。石本さんやKofi、生活費を出しているBrightにすら話しておらず、誰も知りませんでした。初めての給料を貰った2日後、髪を切り、石本さんからもらったほぼ新品の靴を履き、大量の売れ残りロスを残したまま村に帰っていきました。しばらくの間Hawkersとして働いていくと思われていた若者3人は、結果“1カ月パン屋で短期バイト”をしにきただけだったのでした。村に戻らずパン屋に残る事になったのは3人。売り上げが一番高く成績が良いFrancisと年下組のYaw、Joeでまた頑張って売る事になったのでした。(続く)

TOPISH Bakery No.72 ~観察~

ガーナのパン屋の石本です。

通常オペレーションは全てガーナ人スタッフ達に任せている為、久しぶりに販売について行くとストリートベンダーのおばちゃんや、他の物売りの人たちからよく絡まれます。好意的な事もあれば、批判的な事もありますが、路肩で10分も話していればみんな冗談交じりでふざけあって仲良くしてくれます。ガーナ人の良いところだな〜と優しい気持ちにさせてくれます。

さて、今日は新米hawkersの販売に同行し、1時間半ほど路肩で彼らが販売する様子を観察するのと同時に、そのエリアにいる優秀かつ一緒に働いてくれそうなhawkersにも声をかける事にしました。

Kokobinと呼ばれるそのエリアは、少し坂道になっており、またバンプもある事から、渋滞が発生しやすい場所となっており、多くのパン売り&hawkersが集まっている場所です。TOPISH Bakery以外にも複数の大手パン屋がパンを売りにきており、「これは中々手強そうだな」と思っていた所、新米hawkersもパンの売り込みに苦戦している様子でした。

基本的には、車の窓からお客さんへいち早く声を掛けて購入してもらうのですが、他社の体格の良いhawkersは強引に割り込んできて、新米hawkersはお客さんを奪われるケースも散見されました。体格差については今後成長する中で是正されて行くものとして、力で敵わなければスピードだ、という事で、hawkers全員にスニーカーを購入する事にしました。

物売りをしている人の足元を見ると、ほとんどの人がサンダルを履いており、ペタペタさせながら走っていました。かなりの距離を行ったり来たりする為、足も疲れる上、他のhawkerと接触した際に怪我する原因にもなる為、エプロンと帽子の他に、スニーカーも購入することを決め、早速次の土曜日(靴の市場が開く日)に新米hawkersを連れて行く事にしました。

また、他のパン屋のhawker達もアジア人がきている事が珍しいらしく、ちょくちょく話をしにきてくれる中で、「今日は、インターンとスタッフの歓送迎ランチ会があるから、うちは12:30で切り上げるよ」と話すと、「お前のパン屋はコミッションだけじゃなくて、ご飯会もあるのか?お前のパン屋はhawkerを募集しているか?」とやたらグイグイとTOPISH Bakeryのhawkerになりたがる人達もいました。ご飯って大事です。

そして、大事な気付きが一点。販売の為のコンタクトポイントは基本的には、渋滞中にはまっている車両の窓で、そこを如何に素早く抑えるかが大事。但し、お客さんから特定のパンのブランドを指定されるケースもあり、知名度のある大手パン屋のパンは指名買いされるケースが多い事がわかりました。

Kofiに確認すると、Kokobinを通るバスの出発場所は大きく分けて3箇所で、そこから7割方のバスが来ているだろうとの事。そこで、Kokobinを通るバスの乗客達に、先にTOPISH Bakeryのパンを認知してもらう事にしました。バスの出発場所で、出発を待っているバスの中の乗客にサンプルを試食してもらい、気に入ったらKokobinを通過する時に買ってください、とお願いする事にしました。(勿論、その場で買ってくれればそれはそれでok)

目標は1日100人の乗客に試食してもらい、反応を見たいと思っています。

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