ネットの遮断されたエチオピアより
どうもFood for Future Plcの竹重です。
現在、エチオピア時間で7月2日午前11時です。
6月30日の朝9時頃にネットが遮断されて早2日が経とうとしています。
本当に、エチオピアにいると年に1回は必ずと言っていいほど国をあげたネット遮断が発生するので、常時本や映画のダウンロードなどしておかないとなと言った感じです。
さて、今回のネット遮断はこれまでのモノにも増してキツイ。
なぜか?
コロナ拡大の影響により、そもそも外出を自粛しなければならない点、更に追い討ちをかけるようにネット及び電話の遮断が行われているため、他人との会話ができない点のダブルパンチをくらってます。
ということで、現在、土地の取得完了に伴い首都アディスアベバで工場の設計図を建築士の方と打ち合わせながら作成していた私ですが、ネット遮断が行われた経緯と個人的に背景にはこんなものがあるのではないかという予想なんかもしたためてみようかと思います。
まずはこれまでの経緯を私の体験を織り交ぜて説明してみます。
ネットが遮断されているため情報リソースが限られているので、もしかしたら事実と異なる点もあるかも知れません。
6月29日深夜
首都アディスアベバ郊外カリティにて
オロモ人の著名な歌手であるHachalu Hundessa氏が何者かに射殺されてしまいます。
6月30日朝
私が、建築士との打ち合わせに出かけようとすると、隣人から「今日は出かけない方がいいよ!」と止められる。
んっ?何があったんだろうと事情を聞くと歌手の射殺事件のことを説明してくれました。
この時点で僕としては???なんで?
申し訳ないが、一介の歌手が射殺されてなんで外出控えないといかんのかとシンプルに疑問を持ちます。
知人に連絡すると、射殺事件を受けて、オロモの方々がデモ活動を開始しているとのこと。
危ないから外に出ない方がいいと再度注意を受けたりしました。
この時点でデモの内容については不明。
その直後、ネット不通、電話不通(現在も)、あーまたかと1年前のクーデター未遂が頭をよぎりました。
やってんなーこれ、またなんかおっきな問題が起きてるやーつやんと悲しみに暮れます。笑
唯一連絡手段として使えるSMSで情報収集。
在エチオピア日本大使館の方から、当該事件を受けてネットと電話がシャットダウンされたとSMSで連絡が入りました。
ここまでの流れで、私の頭のなかにはたくさんの?????が。
疑問1
そもそも歌手1人が射殺されただけで、なぜ翌朝からデモ活動が、しかもこのデモ活動かなり大規模だった模様。
実際に私の仮住まいでも、外から明らかに群衆が集まっている気配及び声などが聞こえる。
疑問2
ネット、電話遮断の謎。昨年のクーデター未遂の際にも1週間から2週間ほどネット遮断されたことがありましたが、歌手の死を悲しむ?デモ活動でこんなことが起きるのはなぜ?
疑問3
情報広まるの早すぎやしないか?
29日の深夜に亡くなった歌手の死を受けて翌早朝から人が動き出している。
のんびりしたエチオピアでこのスピード感??
などなど。
そんな中、SMSで情報収集しているうちに、どうもこの歌手お騒がせオロモ活動家のジャワール氏と近しい人物だったとか。
この時点で、はっはーんそういうことねと少しずつ私の脳内妄想細胞が活発化。
今回の事態についてあることないこと妄想を始めるわけです。
上にあげた疑問点なども含めて考察をしてみようかと思います。
まず第一にジャワールに近い歌手を殺して一番得をするのは誰か?
私の妄想細胞がフル回転して導き出した答えはジャワール氏本人。
というのも昨年もジャワール氏は彼の住居を連邦政府に包囲され拘束されそうだと言った情報を拡散し、彼の支持者による大規模なデモを発生させています。
これについては、ジャワール氏と連邦警察(軍かも)で言い分が異なっており、ジャワール氏の自作自演では?なんて話もあります。
そこらへんの情報から私の脳内妄想細胞がピキりんと答えを導き出しました。
反政府デモの口実として身内とも呼べる人を殺害して、反政府デモを企てたのでは?と。
大規模に反政府運動を行うきっかけを作るため、ジャワール氏が友人の歌手を射殺して、早々にメディアを使ってオロモ人の若者に呼びかけた訳だ!だとするとこの超迅速なエチオピア人の時間感覚ではありえないようなクイックデモの実施も納得が行くぞという結論を導き出してみた訳です。
更に、相手がジャワール氏となると政府側もネット、電話の遮断措置を取るのもうなずけます。
なにせ、オロモ人はエチオピアの人口の30%を占める最大民族。
更にこのオロモ人の若者に絶大な支持を持つジャワール氏、更に言えばテレビ局も持ってたよなと、このテレビ局を使えばオロモの若者を上手いこと先導できちゃうよなー。
情報扱うのが上手いジャワール氏、彼に近い歌手を殺害し、彼の持つテレビ局を使って早々に反政府デモの呼びかけを行っていたとするならば、歌手の死後翌朝からの大規模デモも納得できます。
そして、30日夕方、大使館から再度SMSで事態について連絡が、ジャワール氏及び彼が代表を務める野党の副代表が拘束されたとの一報が。
ほら来た、そもそも政府がジャワール氏を拘束する正当な理由とは何か?
①ジャワール氏が歌手の殺害に関与していたのでは?
②歌手の殺害が発生した後、大規模デモを扇動した容疑?
ここについて、①だと結論付けるのはやや早計かとも思いますが、彼のテレビ局では、今回の件について、政府を批判するような内容の番組が組まれているとの噂もあるので、②で拘束されたのでしょうか?
いずれにせよ30日夕方時点で、デモ参加者と連邦警察との衝突やデモ参加者が投石なので、周辺の関係のない住宅などに危害を及ぼしているなどの話も出ており、一部地域では銃撃戦が起こっているなど、情報が錯綜していますが、少なくとも死者が出るような事態に発展しているようです。
いずれにしても、歌手の殺害からこのような事態に発展して、通信網が遮断されているところを見ると、ただの殺害事件というよりは、今年予定されていた選挙にも絡む政局争いに近い何かが発生しているのだろう、早くネット復旧してくれるといいなーと。
7月1日
前日の大混乱を受けて、引き続き通信網は遮断された状態が続きます。
電話の方は多少改善して、つながったりつながらなかったりしていました。
どうも連邦警察などに対して、発砲許可命令のようなものが発令されていると言った噂が。
一部道路封鎖なども行われ、事態収束に向けてどうやら動いているらしい。
引き続き断続的に仮住まい周辺でも人が集まっているような音が聞こえていました。
前日に比べるとだいぶ静かにはなっているものの、緊張状態が継続。
現地の方に話を聞いて、ラジオやテレビで今回の件についてどんな報道がなされているのか聞くも、どうもラジオやテレビでは今回殺害された歌手の追悼番組などはあるが、その後のデモなどについては報道はなく、政府による情報統制が行われている模様。
色々と情報収集してみるもののこれと言った鎮静化に関わるような話は聞こえて来ない。
大事をとってこの日も外出は控えて大人しくしていることに。
この日、知人は自宅からオフィスに移動したようだが、一応街は人出こそ少ないものの落ち着きを取り戻している模様。
これについては地域によってまちまちだったみたいですね。
一部地域では武力衝突が前日に続き起きていたなんて話も耳にしました。
夜になって、先ほどの知人から明日は歌手の葬儀が執り行われるようで、かなり危なくなりそうだから外出は控えるようにと連絡をもらいました。
7月2日
そして、今朝。
昨日と比べると外には出ていないがかなり街は静けさを取り戻している印象を受けました。
少なくとも周辺に人が集まっている気配などはなくなっています。
葬儀がどこで行われているのかは分からないが、かなり広範囲で交通規制が敷かれているとのことみたいです。
電話は昨日に比べてもつながりやすくなってきているが、相変わらずネットは遮断されたままで、ネット遮断丸2日を経過しました。
知人の話によると今週中はネットの復旧もないのではとのこと。
そして現在。
んー。
どうも、歌手の殺害はあくまでも今回の騒動のトリガーに過ぎず、やはり、裏で手を引いているのはオロモ活動家のジャワール氏、アビー首相もジャワール氏と同じオロモ出身。
ここからはエチオピアの歴史とも絡んでくるのですが、アビー首相が就任するまで、エチオピアでは長らく、北部のティグライ族やアムハラ族による統治が続いてきました。
最大民族のオロモ族はこうした中、ティグライやアムハラの支配に対して少なからず不満を抱えていたようです。
そして、アビー氏が首相に就任し、念願のオロモ政権ということで、ジャワール氏なども遂にオロモ政権が建ったということで、当初はアビー首相の支持者として、アビー首相にも比較的近かったようです。
ところが、アビー政権は、これまでの政権とは異なり民族融和を掲げてエチオピアをまとめようと奔走し始める訳ですが、これに不満を持ったのがジャワール氏など一部のオロモ活動家。
これまで、日の目をみなかったオロモ中心の政権を期待していた彼らからすると肩透かしを喰らったような格好になった訳ですね。
ということで、昨年多数の死者を出した、ジャワール氏を支持する若者ケローによる大規模なデモなどに発展してきた訳です。
今回の件について、現状得られる情報を踏まえて考えると、どうもジャワール氏が改めて反政府デモなどを企てるために起こした事件のような気がしてなりません。
そして、残念なのは、こうした問題を起こす一部のオロモ人のために、なんとなく国内でオロモやばいよね。みたいな風潮が出来上がりつつあることです。
これは、個人的に国際社会というか西欧社会におけるイスラム教徒は怖いよねみたいな誤ったイメージに近い印象を受けます。
なんとなく、国際社会でテロリストといえばイスラム教みたいな印象操作がなされているような気がしますが、これもイスラム教徒の中でも一部の過激派と呼ばれるような方々の作り出したイメージですね。
前職でインドネシアで働いている時にも彼らからするとイスラム過激派と呼ばれるような人たちはイスラム京都ではないと言っていましたし。
誤った情報というか、一部の誤った行動を行うことによって、間違ったイメージが特定の宗教や民族についてしまうのは、避けないと行けないよなーなんて思いつつ。
エチオピアの民族融和と平和を願いつつとりあえず、一旦ここで、今回の記事は終えてみようかと思います。
読む本もつき、やることもなくなりそうなので、ネットが復旧するまで、明日以降もその日の出来事などなどまとめてアップしてみようかと思います。
では、ネットが復旧するまでこの記事は私のPCで温めておきます。
チャオー!