ナイロビイチ押しのスタートアップ- 宅配業界のUber: Sendy

 

今、ナイロビでイチ押しのスタートアップ、それはSendyです。

 

https://sendyit.com/

 

ビジネスモデルは一言で言うと配達版Uberで、専用のアプリで地図を開くと付近を走るバイク・ドライバーが表示され、それを押すと料金が出てきて、確認ボタンが出てきて物品の配達依頼が出来る、というものです。タクシー業界を揺るがしているUberと同じく、トラックを購入しドライバーを雇って教育するというモデルを変えた、宅配業界を揺るがしそうなモデルと言えます。

 

ただ、アイデア自体は全くの異次元という感じではなく、Uberのビジネスモデルを知っていれば誰でも思い付きはしそうなものです。

 

Sendyがイチ押しなのは、それを現実にするまでのプロセスが教科書のようにしっかりしているから。ナイロビ滞在中に同社のCEOをお茶をする機会を得て、どうやってビジネスを軌道に乗せたのかを聞いた時、そのしっかり具合と思考の明瞭さに思わず感動してしまいました。

 

前回、「思いつくビジネスアイデアの大半は間違っている」と述べたが、それを防ぐ為の方法論であるLean Startupを地で行っていました。

 

特にMVP(Minimum Viable Product:最小限のコストと時間で作った製品)の考え方が素晴らしい。Lean Startupの究極的な目的は、「誰も欲しくないゴミを作る時間とコストを省く」ことで、その中で重要な位置を占めるのが、どのようなMVPを作り、MVPの結果をどう評価するかですが、良くある落とし穴は、MVPをminimumに出来ないこと。どうしてもあれも、これも、と余計な機能やデザインを足してしまう。

 

MVPがMinimumでないと、作るのに時間とコストがかかる上、検証の評価がしづらくなる(見るべき項目が多いので)、そして、検証の結果修正をしようとしてもまたそれに時間がかかる。結果、本当にお客が欲しいものが出来るまでに逆に長い時間を要してしまうということです。

 

Sendyはすごい。

 

彼らのMVPは、

 

①会員登録一切必要なし

②一画面だけのアプリ

③その画面にドライバーの位置が表示される(あらかじめ4人だけにスマホを支給していた)

④ドライバーのアイコンをクリックすると即電話がかかる

 

以上、です。

 

 

 

 

すーぱーーーーーーシンプル。

 

 

 

 

私のような素人だと、「ログイン画面はこうでー」「ドライバーを選ぶと星が表示されてー」「支払いはカードかM-pesaかが選べてー」等と、永遠に機能を追加し続け、サグラダファミリアアプリを構築してしまうこと間違いなしですが、彼らはここまでLeanにスタートしたわけです。

 

 

 

彼らは、検証したい仮説が明確だった。だから、ここまでシンプルなMVPに出来たのです。

 

 

一番確かめたかったこと、それは「宅配を頼みたいけど、どこに頼めば良いかわからない」という課題を顧客が抱えているのかどうか、でした。

 

 

そして、このアプリを無料で配布して、実際にユーザーが使うかどうかを見れば、それは検証できるのです。だって、このアプリの機能は「ドライバーの位置を見える化して、宅配を依頼できるようにする」ただそれだけだから。

 

 

そして、このメインの仮説が実証された上で、顧客の他のフィードバックを参考にしながら、アプリの形を変えていったのです。例えば、「ドライバーとの料金交渉が嫌だ」という声を受けて(そしてそうなってから初めて)、アプリ上での決済機能をつけました。また、「毎日最低いくらか儲かるという保証がないとやりたくない」というドライバーの声を受けて、Sendy登録ドライバーは毎日1,000kshの最低報酬を得られるという形にしました。

 

 

ウーバーのパクリをしただけでは、おそらく後者の発想は出てこないと思います。人を雇わないのが売りのモデルなんだから、固定報酬を与えるのは間違っている、と考えてしまいそうです。まさにアイデアは実際に検証されるまでは誰も正しいかどうか言えない、ことの好例と言えます。そして、Sendyはこのプロセスを、偶然ではなく、全て初めから意図して実行してきたのです。

 

 

Sendyはこうして得た生のフィードバックを活用し、最初は4台しかいなかったドライバーを半年のうちに数百台の規模にまで拡大し、今ではナイロビ以外の複数都市にも展開するようになりました。創業開始が2015年なので、たった2年半で、今ままで存在しなかったビジネスを全国展開するところまでもっていったのです。

 

2015年6月にエンジェル投資家から約5千万円程度のプレシード資金を得たのを皮切りに、その後もSeed(投資家不明)、(Pre?)Series A(Safaricom)と着実にFundingを得ています(Series Aまで行ったということは、既にValuationは10数億円には達しているものと思われます)。

 

 

すごいぞ、Sendy

 

 

 

 

思いつくビジネスアイデアの大半は間違っている- Lean Startup

 

Lean Startupという言葉は起業を志している人であれば大体耳にしたことがあると思います。Leanとは英語で「引き締まった」とか「脂肪がない」等を意味する形容詞で(傾く、寄りかかるという意味もあるがそっちではない)、Lean Startupは直訳すれば「引き締まったスタートアップ」ということになります。

 

取締役以下全員が体脂肪率2%、顧客も10%以下でないと会員にはなれない。社内ランチは常に鳥ささみ一本勝負。給湯室には常にZAVAS PROが鎮座しており、最適なタイミングでの動物性たんぱく質補給が可能。業務時間中もしっかり筋肉に負荷をかけられるよう、社内の全てのドアは10トン以上の荷重をかけないと開かないようになっている、そう、ゾルディック家の試しの門のように・・・

 

というわけではなく、作業の無駄を極力なくそう、という意味でLeanと言っています。ここで言う無駄とは、「世の中が求めていないものを作ること」になります。作ってみたはいいけど誰も使わない、使ってくれるけど誰もお金を払わない、お金を払ってくれるけどたくさん作れない、そんな商品を作るのははなから無駄ということになります。だから、そんなことはしたくない。

 

しかし、人間はどうしても自分のアイデアを愛したいし、考えを否定されたくない。また、思い切りが大事とか、やってみないとか分からないという精神論も一理あるから、まず商品を作るところに命をかけてしまう。

 

でも、本当はいかなるアイデアも、全ては検証をしてみなければ正しいとは言えないのです。たとえそれが専門家の言葉だろうが、具体的な・客観的な検証を得ないアイデアが正しいかは、だれにも分からない。そういう生煮えのアイデアのまま商品開発まで突き進んで、いざ商売をしようとすると上手く売れない、売れてるけど増産が出来ない・・・等となって大失敗。

 

ということに警鐘をならし、具体的な対処法を示したのLean Startupという手法です。

尚、詳しい方法論はハーバードビジネススクールのケーススタディ”Hypothesis Driven Startup”に書かれています。

https://services.hbsp.harvard.edu/services/proxy/content/60498278/60498280/f6cc58ac7626aba05fc9512df647fb09

 

私の理解する限り、具体的に以下のプロセスを踏みます。

 

①そのビジネスが成立するのに必要な仮説を全て整理する

②全ての仮説に対して、顧客インタビューによって検証を行う

③検証を通過した仮説は、Paper Prototype(紙芝居で製品やソフトウェアを表現したもの)やWire frame(みかけ上だけ動くソフトウェア)でさらに検証

④それも通過した仮説は、最小限のコストと時間をかけて作ったプロダクト(Minimum Viable Product)を実際に使ってもらうことで最終検証する

⑤途中で得られた検証結果を踏まえて、何度も修正していく

 

 

具体的なアイデアで考えてみると以下のような感じでしょうか?

①そのビジネスが成立するのに必要な仮説を全て整理する
ー 海外の会議に参加する学者は、滞在先でホテルが取りづらいことに辟易している
ー 都市部に住む中所得層は、自分の家の空いてる部屋をどうにかしてお金にしたいと思っている
etc…

②全ての仮説に対して、顧客インタビューによって検証を行う
ー 海外の会議に参加したことのある学者数十人に「ホテルが取れなくて苦労したことはあるか?」
ー 都市部に住む中所得層数十人に「空いている部屋を活用したことはあるか?」「どう使いたいか?」

③検証を通過した仮説は、Paper Prototype(紙芝居で製品やソフトウェアを表現したもの)やWire frame(みかけ上だけ動くソフトウェア)でさらに検証
ー 民間人の家に泊まれるサービス、を表現した紙芝居を見せてアイデアへの反応を見る
ー 旅行者が自分の部屋にホテルように泊まりに来るサービス、を表現した紙芝居を見せてアイデアへの反応を見る

④それも通過した仮説は、最小限のコストと時間をかけて作ったプロダクト(Minimum Viable Product)を実際に使ってもらうことで最終検証する
ー Air Bed and Breakfastと銘打ったブログを開設し、空いている民間人の部屋の写真を掲載。Inquiryフォームから予約ができるようにして、実際にユーザーが使うか、何を気にするか、等を見る

 

上記はかの有名なAirBnBの事例で、正確にどのような仮説を持って検証していったかはわかりませんが、概ねこのようなプロセスを経たはずです。そして、④のブログによってサービスを開始するというアイデアは実際にAirBnBが行ったことで、その狙いはやはり仮説の検証にあったはずです。今のAirBnBはスーパーおしゃれなデザインで、たくさんの機能がついていますが、そこまで作りこんでからサービスを始めるのではなく、最小限の努力でサービスを作り上げ、実際の顧客の反応を持って仮説を検証していく、という方法です(最も重要な仮説は、「これ、お客は使うの??」)。

 

この方法論がどこまでアフリカの文脈で通用するのか分かりませんが、少なくとも今生き残っているスタートアップでこのプロセスを経ていない会社は存在しないと思います。ある種まどろっこしいとも言えるこんなプロセスを経るのは、やはりスタートアップは「すごいポテンシャルがあるけど、まだ誰も成功していない」ような突飛なアイデアを攻めるものだからで、逆に言えばモデルとして確立しているビジネス、例えば床屋とか八百屋とかならあんまり必要ないとも言えます。

 

アフリカでスタートアップ、を標榜している以上は、こういったプロセスを意識して、しっかりとした検証を踏まえて事業を進めて行きたいと思います。

もりかけ問題どころではないケニア②

 

“Corruption is an industry on its own, and it’s eroding people’s morality”

 

***

 

前回、政府の調達活動に根強く存在している賄賂の慣行についてお話しましたが、こういったいわゆるcorruptionはもう少し身近なところにも存在しています。その代表例が交通警察から要求される賄賂です。「切符切るのを見逃してやるから、金よこせや?」というまぁ非常にシンプルかつありがちなものですが、警察側も市民側ももはやそれを所与として生活している程の浸透具合を見るとなかなか異世界な感が致します。

 

所与、とは言いつつも、市民はそれを良いとは決して思っていません。ケニア人に政治や行政の話をすると、殆どの人がKenya is very corrupt, that’s the problem of this countryと言い、それが問題であるということを認識しています。それでも、それが当たり前のものとして生活に存在しているのです。

 

一体どのような仕組みで回っているのか?

 

気になって、交通警察賄賂の一番の餌食になっていそうなUberドライバーに聞いて回りました。

 

やはりどのドライバーも頻繁の交通警察にやられているとの話でしたが、中でもショッキングだったUberを始めて1年くらいの青年、Jacob君(仮名)の話を紹介します。

 

===

ほう、交通警察について知りたいのか。良いことを教えてあげよう。

 

Corruption is an industry on its own, and it’s eroding people’s morality

(賄賂はもはや一つの産業と化している。そして、それは僕らの良心を蝕んでいる)

 

俺の叔父さんは長らく交通警察をしている。彼は毎日、交通量の多い交差点に立って、交通整理という名の交通妨害をしながら、交通違反車両の摘発をしている。彼の給料はとても安く、10数年勤務した今でさえ月1万2千kenya Shilling(1 Kenya Shillingは1日本円とほぼ同額)程度しかもらっていない。しかし、彼は親戚筋の中でも突出して金持ちなんだ。

 

なぜかって?

 

賄賂による安定収入があるからだ。

 

普通なんらか交通違反をすると5,000から10,000kshくらいの罰金を課される。問題は違反をしたかどうかの判断は全てその場にいた警察官の独断に任されているということだ。違反になるかならないかは彼ら警察官のさじ加減一つなので、一般市民は従う他ない。

 

彼らはこう言うんだ。

 

「切符を切られたくないだろ?Then, grease my hands(賄賂よこせや)」

 

俺の叔父さん相場は500kshで決して総額じゃない。でもだからこそみんな従うんだ。そりゃ、十分の一以下の支払いで済むなら当然そうしたいだろ?

 

叔父さんは、毎日毎日、この500kshをコツコツと何回も徴収してお金を稼いでいる。その額は一日10,000kshを優に超える。つまり、彼の基本給は、わずか1-2日分の賄賂で稼げてしまうんだ。だから、彼にまじめに働こうなんてインセンティブは1ミリも生まれてこない。

 

更にまずいのは、これは彼の個人的な悪事ではないということだ。全ては組織的な仕組みの中で回っていることなんだ。

 

現場の警察官は、月次単位で賄賂の徴収額の目標を上官から課されている。一定額が現場の警察官から上官へと流れる仕組みになっているので、自分の食い扶持を残すには、ある種一生懸命働く必要が出てくる(けっして「まじめに」ではない)。だから彼らは一日に何十回も取り締まりをするんだ。

 

たとえ、良心に従って上官にたてついても意味はない。上官は、各警察官の任命権を持っているから、従わない部下がいればすぐにド田舎の交差点に左遷することが出来る。そうなると、賄賂での収入は見込めなくなり、薄給の基本給だけでは生活の維持が難しくなる。そうなりたくないなら従うしかないんだ。地域の教会のYouth Leaderをやっている若手警察官でさえ道端では、嘘の交通違反で賄賂を巻き上げていることを俺はしっている。宗教的価値観とか、個人のモラルとか、もはやそんなものは機能しない。

 

そして、賄賂のような汚い金で私腹を肥やすようになると、とてつもなく横柄な人間で出来上がる。叔父さんは今とても裕福だ。市内の綺麗なアパートに住み、実家には賃貸用のアパートを所有し、もはや不労所得だけで暮らせるくらいの財を築いた。それでも毎日毎日賄賂でお金を稼ぐことに血眼になって、家族や親せきには目もくれなくなり、冠婚葬祭にはほとんど顔を出さなくなった。彼は今、1日の休暇はすなわち10,000kshの損失だという考え方を持っている。そんな損はしたくないので、毎日毎日交差点に立ち続けるんだ。

 

そして、お金が全てを解決できると、本当にそう信じている。自分の姪の結婚式に理由もなく参加しなかった時、怒った姪夫婦に対して一言「sorry」と言っただけで、あとはお金で解決をしようとした。もちろんそれは姪夫婦をさらに怒らせる結果になったが、叔父さんは気にも留めていないようだった。僕の目から見て、友人や家族といった人間的つながりの多くを失ったが、彼自身はそれに気づいていないようだ。

 

こんな状況がそこかしこにあるこの国の状況を恥ずかしく思う。いつか賄賂の慣行が撲滅されればと心から思うけど、それはきっと長い道のりだと思う。

 

===

 

もりかけ問題どころではない、ケニアです。

 

もりかけ問題どころではないケニア①

 

「成功のカギ?   賄賂だ。それ以上でも、それ以下でもない」

 

***

 

今年前半から日本のニュースを騒がせている森友学園・加計学園問題。金銭の授受が無かったとしても、権力者の恣意によって特定の集団を制度上優遇することが許されて良いのか?行政ルールに基づいた意志決定がなされたのか?といった疑問から、国民の注目を浴びたものと思います。

 

翻ってアフリカはどうか?個人的な印象ですが、アフリカの政治というと、モブツ・セセ・セコ時代のコンゴ民主共和国を初めとして、政治・行政関係の汚職が蔓延しているというイメージがありました。みなさんもおそらくアフリカの政治行政が少なくとも公明正大に行われているという印象はないかと思います。

 

政治的安定性と透明性から「アフリカの優等生」と言われているボツワナ共和国ですら、私の駐在時代に現地政治家に対する賄賂まがいの話を見聞きしたのですから、その他のいわゆるbad governanceの呼び声が高い国々における状況は押して図るべしという感じです。

 

一方で、じゃあ実際のところはどうなのか?日々の生活にどう影響しているのか?という肌感覚はあまりありませんでした。それが、この夏2カ月のケニア滞在でなんとなく輪郭が見えてきました。

 

この夏の現地調査の大半は、顧客候補に対してインタビューを行い、想定している課題が本当に存在しているかを見るものでした。私の事業コンセプトは「相見積もりを瞬殺で終わらせる」なので、そういった作業を良く行う問屋系のビジネスが顧客対象となります。30社くらいをインタビューしたところで、あることに気が付きました。同じような事業内容・商品ラインナップ・人員数にも関わらず、一部の会社は売上規模が突出していたのです。

 

顧客対象としている会社の規模感は社員2-3名で、売上は100万 Kenya Shilling/年前後というのが相場観なのですが(1 Kenya Shillingは1 日本円とほぼ同じ価値)、中には数百万Ksh、すごいところだと数千万Kshというところが稀に出てきます。ビジネスモデルとしては同じことをしているのになぜこんなに差が出るんだ?と気になり、従業員3名ながら5千万Kshという会社に出会った時に聞いてみたのです。

 

君の会社は他の会社と比べて突出して成功している?その理由は?

 

 

「成長のカギ?   賄賂だ、それ以上でもそれ以下でもない。」

 

 

その会社は中央・地方政府の調達案件が事業の大半で、曰く、「勝負は全て賄賂で決まる」とのこと。どのようなプロセスで進むのか?

 

①契約先の選定

政府の調達は、法令に則り、表面上は全て公開入札で行われることになっています。調達の情報は政府の官報ホームぺージ(IFMISと呼ばれるポータルが存在している)や民間のポータルサイト(TendersUnlimited等の大手サイトが存在している)、または、大手新聞の広告欄に毎日のように掲載され、巨大案件の獲得を夢見て多くの業者が応募します。しかし実態は、入札情報公開した時点で既に発注先は決まっており、公開入札の形を取るのは、あくまで見た目上法令違反にならないようにフリをしているだけなのです。

誰に発注するかは、もっぱら調達担当が決めることが出来ます。そして、この調達担当とどれだけ関係を築いているか、そして、その案件毎にどれだけ金銭的利益を渡せるか?がカギになるのです。関係構築というのはまさにこれまでの賄賂の実績で、調達担当の財布を潤わせてきた会社には優先的に声がかかり、その中でも多くの賄賂を渡せる会社に契約が回ります。

 

②契約金額の妥当性の確保

賄賂という余計なコストがかかるわけですから、当然契約金額は市場価格に比べて高止まりします。そもそも公開入札を行う理由の一つは、価格の妥当性の担保なわけですから、賄賂を上乗せし、市場価格から逸脱した契約金額は問題になるはずです。政府内にも価格の妥当性を検証する部署があり、「形式上は」そこの許可を得ない限りは購買契約は結べないことになっています。

しかし、ここでも賄賂が必殺兵器として活躍します。価格の妥当性を検証する部署にも金を渡すのです。そうすることで、いかに市場価格と合致していない価格水準であっても許可を通すことが出来ます。ここでもある種の信頼関係が大事でこれまでどれだけその担当者にカネを落としてきたかという実績がカギになります。

 

③納入後の入金

財政上の問題か、行政の非効率が問題か(もしくはその両方か)ははっきりと分かりませんが、ケニア政府は非常に金払いが悪いと言われている。ひどい案件だと納入後2年も入金がこないこともあるようです。2-3名程度の小さな会社にとって入金の遅れは死活問題なので、いち早くお金が欲しい。こういう時にも賄賂が活躍します。資金支出を担う財務部門の担当者に賄賂を渡すのです。こうすることで、彼らが抱える他の支出項目に先立って入金を受けることが出来ます。

 

 

そんなこんなしていると、賄賂の規模はどんどん膨れ上がります。私がインタビューしたある業者は、原価20円/本程度の鉛筆1万本を100円で売りさばいていました。そのうちの半分以上が賄賂に消え、残った30%程の利益をその業者が享受するのです。ここまで多くのステークホールダーに後半に賄賂をしていくにはそれなりの人脈が必要で、事実この業者の経営メンバーの一人は現ナイロビ市長と懇意な関係にありました。

 

ところで、私がケニアに6年ぶりに降り立って一つショッキングだったのが、道路のインフラが殆ど進歩していなかったことです。私が滞在していたWestlands地区は、ナイロビ近郊でも比較的富裕層の多い、裕福な地域と言われています。それでも、アパートの前の歩道はほとんど未舗装で、土や岩がむき出しになり、気を付けて歩かないと簡単に捻挫をしてしまいそうなクオリティーです(ちなみに同じ道路沿いにドイツ大使館がある)。

一定のGDP成長率がありながらなぜ道路一つ綺麗にならないんだ?と疑問に感じていましたが、おそらく、政府支出の多くがこうした賄賂として漏れ出て、本来公共財に使われる資金が棄損されているのだと思います。

 

ちなみに賄賂の実態が分かってから、インタビューをするたびに「賄賂を要求されたり、したりしたことはあるか?」と必ず聞くようにしたところ、90%の確率で、「YES」という回答が返ってきました。まさに日常、いたるところに賄賂あり、といった様相です。

 

もりかけ問題どころではありません、ケニア。

“起業”と”スタートアップ”の違い(結論:私はアフリカでスタートアップがやりたい)

 

(ちょっと長いので先にまとめ)

① スタートアップは起業とは違う。急成長を目的として、全てを設計するのがスタートアップ。

② 急成長の実現は生半可なことではない。それに見合う市場、製品、資金調達が必須。八百屋なら今すぐ始められるが、それはスタートアップにはなり得ない。

③ アフリカの経済に貢献したいと願うなら、スタートアップだろと思った。

 

***

 

“Startup=Growth” by Paul Graham

 

 

MBAの後何するの?と良く聞かれます。返答は一言で言えば「アフリカで起業する」なのだけど、特に英語で答えている時に、回答の表現にぶれがあることに気が付きました。

 

“Run my own business” “Start a startup” “create a new business”….etc

 

こうして眺めてると、自分の頭の中でビジネス・起業・スタートアップといった言葉が区別無く混在していて、よくよく考えると結構気持ちが悪い。私は本当は何がしたいんだろう???と。

 

最近、資金調達計画を考えるにあたって、アメリカ西海外の有名なアクセラレーター(創業間もない企業に、百万円~数千万円の資金及びトレーニングを提供して成長させ、後に株式売却して儲ける人達)であるY Combinatorのブログを眺めていた時にある記事に目が留まりました。

 

 

それがこちら。“Startup=Growth” by Paul Graham

 

 

そしてこの記事は、起業という営みにまつわる、私のぼんやーりした思考に数々の強烈なフックをかましていきました。

 

フック① 成長を考えないならそもそもスタートアップじゃねぇからな?勘違いすんなよ?

 

冒頭から、がっつり攻めてきます。

 

A startup is a company designed to grow fast. Being newly founded does not in itself make a company a startup. Nor is it necessary for a startup to work on technology, or take venture funding, or have some sort of “exit.” The only essential thing is growth. Everything else we associate with startups follows from growth.

(スタートアップとは急成長するよう初めから作りこまれた企業のことを言う。ただ新しい企業というだけではスタートアップとは言えない。なんらかの技術を開発しているとか、VCから資金調達を受けているとか、将来の株式売却のオプションがあるとか、そういうことも別に関係ない。唯一の本質的定義は、成長だ。スタートアップに付随するその他全ての要素は、この成長に起因するだけだ。)

 

つまり、成長を目的としない企業はスタートアップではない。そして、

 

Startups are so hard that you can’t be pointed off to the side and hope to succeed. You have to know that growth is what you’re after. The good news is, if you get growth, everything else tends to fall into place. Which means you can use growth like a compass to make almost every decision you face.

(スタートアップはそう簡単なものではなく、成長という目的を理解しないで成功を望むことなど出来ない。成長が最大の目標であることを認識する必要がある。逆に言えば、成長さえあれば他の全ては着いてくる)

 

フック② そもそも見てるマーケットが違えからな?

 

Let’s start with a distinction that should be obvious but is often overlooked: not every newly founded company is a startup. Millions of companies are started every year in the US. Only a tiny fraction are startups. Most are service businesses—restaurants, barbershops, plumbers, and so on. These are not startups, except in a few unusual cases. A barbershop isn’t designed to grow fast. Whereas a search engine, for example, is.

(要約:新しい企業というだけでスタートアップにはならない。そして、新しく生まれてくる殆どの企業はスタートアップではない。例えば床屋に急成長は望めない。一方、サーチエンジンはそれが出来る稀有な例)

 

When I say startups are designed to grow fast, I mean it in two senses. Partly I mean designed in the sense of intended, because most startups fail. But I also mean startups are different by nature, in the same way a redwood seedling has a different destiny from a bean sprout. That difference is why there’s a distinct word, “startup,” for companies designed to grow fast.

(要約:Design to grow fastには成長する意思という意味もあるが、もう一つ、成長する余地という意味もある。例えば、縄文杉と大豆の苗では、同じ苗でも成長余地に圧倒的違いがある。そのくらい圧倒的に違う世界だから、スタートアップという言葉がわざわざ別にあるのだ)

 

フック③ ただ、デカいマーケットを獲得するなんて尋常なことじゃねぇぞ?

 

For a company to grow really big, it must (a) make something lots of people want, and (b) reach and serve all those people. Barbershops are doing fine in the (a) department. Almost everyone needs their hair cut. The problem for a barbershop, as for any retail establishment, is (b). A barbershop serves customers in person, and few will travel far for a haircut. And even if they did the barbershop couldn’t accomodate them.

(要約:急成長するビジネスは、①多くの人が欲しがるもので、②その多くの人の大半を顧客に出来る、必要がある。例えば、床屋は①は当てはまるが、②が無理。)

Writing software is a great way to solve (b), but you can still end up constrained in (a). If you write software to teach Tibetan to Hungarian speakers, you’ll be able to reach most of the people who want it, but there won’t be many of them. If you make software to teach English to Chinese speakers, however, you’re in startup territory.

(要約:ソフトウェアの会社は②はやりやすいが、①は難しい。例えば、チベット人にハンガリー語を教えるソフトを作ったら、その特定の人にはむっちゃ刺さるが、そんな人ほとんど存在しない)
Most businesses are tightly constrained in (a) or (b). The distinctive feature of successful startups is that they’re not.

(要約:殆どの会社は①と②のいずれかに制限がある。スタートアップというのは①②二つを実現する存在だ)

 

フック④ だから、スタートアップになり得るアイデアなんてそうそうねぇんだよ?起業のアイデアはいくらでもあってもな。

 

The constraints that limit ordinary companies also protect them. That’s the tradeoff.  If you open a bar in a particular neighborhood, as well as limiting your potential and protecting you from competitors, that geographic constraint also helps define your company. Bar + neighborhood is a sufficient idea for a small business. Similarly for companies constrained in (a). Your niche both protects and defines you.

(要約:こういう制限は自分を守る武器にもなる。例えば、バーを開いた場合、そのマーケット規模は「バーの近所」に制限されてしまう(①の制限)が、逆に競合からの圧力もその近所いないに制限される。)

Whereas if you want to start a startup, you’re probably going to have to think of something fairly novel. A startup has to make something it can deliver to a large market, and ideas of that type are so valuable that all the obvious ones are already taken.
That space of ideas has been so thoroughly picked over that a startup generally has to work on something everyone else has overlooked.

(要約:一方、スタートアップのビジネスは一定程度真新しいものになる。大きなマーケットを対象にし、かつ、大きなシェアを得るには、多くの人間が考えるくらい価値のある領域をアイデアのベースにしつつも、他の誰しもが見落としている何かに着目する必要が出てくる)

 

フック⑤ なぜスタートアップが資金調達するかって?成長の為に決まってんだろ!

 

Why do founders want to take the VCs’ money? Growth, again. The constraint between good ideas and growth operates in both directions. It’s not merely that you need a scalable idea to grow. If you have such an idea and don’t grow fast enough, competitors will. Growing too slowly is particularly dangerous in a business with network effects, which the best startups usually have to some degree.

(要約:なぜ資金調達が必要なのか?それもまた成長の為だ。大きなマーケットを対象にしながらも、もしも成長が遅かった場合どうなるか?競合がその成長を持っていくだけだ。ネットワーク効果(参加者が増えるほどに価値が上がっていき、上がった価値がさらに参加を呼び寄せるという効果。Youtubeが好例で、ビデオが多ければ多いほど視聴者は見に来るし、視聴者が多い程、多くのビデオがアップロードされる)があるようなビジネスだと、この危険はさらに大きくなる)

 

***

 

いわゆるスタートアップとされる企業の株式価値は時にたった数年で数兆円の規模になります。Air BnBは3兆円以上、Uberは7兆円以上、もう少しマイナーなところでもSlackが5,000億円程度です(ちょうど今朝Softbankが主導するVision Fundが買収とのニュースあり)。

 

ケニアに目を向けてみるとOff-Grid Solar Panelを東アフリカで展開するM-Kopaはこれまで70億円近い金額を調達しており、百億円規模の株式価値がついていると思われます。また、顧客ベースで見ても、創業7年程度ながら無電化地域の60,000件以上の家にSolar Panelを設置してきました。

 

既に純利益を出しているかは別にして(Uberは創業以来純利益を出したことはないはず)、これだけの規模(株式価値)のビジネスを展開しているということは、それだけ顧客に価値を提供し、ビジネス上の支出を行い(現地経済に還元される)、人材を雇用していることです。

 

6年前、ルワンダで感じた気持ちに立ち返れば、私がやりたいのはこっちでしょう。

 

ということで、私のやりたいことは、「アフリカでスタートアップをやる」です。

 

 

相見積もりを瞬殺で完了させる

これが私の事業のキーコンセプトです。

ケニアには登記されている数で約160万、登記されていない企業数(いわゆるインフォーマルセクター)も含めると500万超の中小企業が存在しています。(*1)

 

事業を行う上で様々な物品・サービスを購入する必要があるわけですが、その取引先を見つけるのに非常に多くの時間をかけています。取引先を見つける現状の主な手法は、①とにかく練り歩く、②ダチに聞く(Referralと呼ばれる手法)、③Google検索をする、ですが、いずれも「欲しいもの」を「納得できる値段」で発見するまでには、1週間以上を要し、時にはさっぱり見つからないというケースもあります。

①はそもそも歩いてる場所が間違っているかもしれないし、②はダチとの間のミスコミュニケーションやダチの情報不足もありえる、③はきちんとSEOをしているウェブサイトを持っている企業は殆どいないのでバシッと見つからない、という問題が発生します。またいずれの方法でも、結局一件一件同じ説明をして見積もりを得ないといけない。ということで、「あーもう夕方かっああっ!一日つぶしてもうた。また明日街に行くか・・・ダルっ」というのが中小企業が相見積を取る際の日常風景となります。

 

(ケニアのダウンタウンはこんな感じ。世紀末版秋葉原という趣)

 

この状況は、General Supplierというある企業タイプにおいて最も顕著に現れます。ケニアでは、失業率対策の一環として、Youth(設立5年以内)・Women(女性がDirectorにいる)・Disadvantaged(障碍者を雇用している)の条件に合致する企業に対して、優先的に政府関係の調達案件を受注させるという政策を持っています。AGPO(*2)と呼ばれるこの制度に登録された企業に対して、政府の全調達の30%を渡すというのが政策目標として掲げられており、General Supplierはかなり大きな(優遇された)市場の中で活動していることになります。そして、彼らは政府から調達案件を受注すると、LPO(Letter of Purchase Order)という納入品目が書かれた紙ぺらを持って意気揚々と調達活動を始めるのです。

しかし、その時の彼らは心の中でこう呟いているのです。

 

「これどこで買えんの?」

 

そして、翌日から①②③のステップを繰り返し試行錯誤し、夕方4時半くらいになると「あーもう夕方かっああっ!」とオフィスで一人叫ぶ。そんな感じで一週間が過ぎていきます。政府からのLPOは時限爆弾のようなもので、多くの場合、依頼から20日以内に納入という期限がついています。配送の手配を考えると、遅くとも2週間以内にはきっちりとどこから買うかを決めたいのです。つまり、彼らは焦っている。しかし、焦れば焦る程、手は汗ばみ、グーグリングするタイピングスピードも落ちていくわけです・・・

それに対する解決策が、買いたい商品を元にした相見積もりプラットフォームです。アプリ上で、買いたい商品をタイプ⇒それに対応した企業がリスト化⇒発注したい企業を選んで依頼⇒企業から見積が来る、という流れになります。マーケットプレイス系のサービスとしては、アフリカのAmazon的なJumia(*3)やKili Mall(*4)、掲示板的なサービスとしてはOLX(*5)がありますが、売り手が売りたいものを掲載するシステムなので、window shoppingには向いているものの、買いたいもの・スペック・条件がより厳しく決まっているB2B向けの調達には不適。

Seller側(主に街に店舗を構えるRetailerやWholeseller)も営業活動に課題を抱えていて、売上を伸ばすべく広告を売ったり、FBページを構えてみたり、OLXに投稿したり、はするものの、問い合わせは増えても、なかなか本当に買うお客は来ないというもの。要するに、物見遊山の客が多く、SeriousなBuyerが増えない。

であれば、両者をプラットフォームに乗せてしまえば良いじゃないか、というのが本事業の発想です。

ピッチペーパーはこちら
https://drive.google.com/file/d/0B1jILOgOp8RlLU9WWlo3cDZhdkk/view?usp=sharing

 

(*1) ケニア政府統計局2016年調査:https://www.knbs.or.ke/download/the-2016-msme-survey-highlights-of-basic-report/

(*2) Access to Government Procurement Opportunities

(*3) Nigeria発の大手ECサイト:https://www.jumia.com.ng/

(*4)Kenyaの大手ECサイト:http://www.kilimall.co.ke/

(*5)インド企業が運営する個人間売買掲示板(*5):

自己紹介②

「僕はこの仕事が好きだ。だからここまで頑張れたんだと思う」

 

何故そんなに頑張れたのか?という私の問いに対して、現地スタッフのJからこんな言葉返ってきました。それは2011年、大学生活最後の夏休み。ビジネスの面白さを噛み締めた瞬間でした。

 

 

私が小学校6年の時に、父親に浪費が原因で蓄積した一千万円以上の借金があることが判明し、両親が離婚。元々仲睦まじい家庭ではなかったので、離婚自体は驚きでは無かったものの、その後の清貧生活には苦渋を飲まされて来ました。

まず家がぼろい。父親が当初の約束を反故にして家を出て行かなかったので、しびれを切らした母親が子供を連れて、実家に帰ることになりました。しかし、実家の祖父母はすでに7年程前に亡くなっており、実家の家はその後ずっと空き家になっていて、また、その時点で既に築年数70年以上という超アンティークハウスだった為、その家は事故物件のそれと言うべき異様な雰囲気を放っていました。そういう家に住んでいるとなかなか人を家に呼べないし、呼べないと周りから「なんで?」と怪訝な表情をされ、たかだか住んでいる家ながら、じわじわと自尊心が傷ついていく感じがしました。

 

(劇的ビフォーアフターのビフォーの権化がここに降臨。階段、扉、雨どい、すべてが斜めっている。「過去5世代にわたってこの家の呪いに苦しめられてきました」と言われて納得感のあるクオリティ)

 

また、当然お祝い事のプレゼント等もほとんどないし(クリスマスは虚構であると教育されていた為、大学で付き合っていた彼女にクリスマスプレゼントをなんの悪気もなく渡さなかったことで大喧嘩になった)、学校行事も場合によっては参加出来ない。もちろん、(そもそも勉強する気もないが)塾に行くお金なんてないし、高校も私立には絶対行けない。そんな感じで、お金がないことからくる様々な制限が思春期の自我を真綿のように苦しめて、気づけば、中学校一年生の後半には、毎日カラオケでオールをして、酒飲んで、原チャリを盗んで、といったしょうもない生活を送るようになっていました。

 

それでも2年生になった時に転機が訪れて、殆ど私を見限っていたはずの担任が(2と1が乱れ咲いていた通信簿のコメント欄に「今学期は取り返しの付かない失敗を重ねました。一生後悔するでしょう」と書かれたと記憶している)、生徒会長に立候補してみないかと打診してきたのです。今となってはその意図は良くわかりませんが、お調子者が人気を得るという中学校特有のメカニズムのおかげであっさりと生徒会長に選出されました。立場が人の意識を変えるのか、就任して以降、「どうせなら意味のあることをしたい」と思う気持ちが強くなり、いくつかの無駄な校則を緩和しようと試みました。そして、登校時にスピーチをしたり、ビラを配ったりする努力を重ね、結果全校での投票にて可決されることになりました。これまで感じたことのないような達成感に包まれ、その後はなぜか学業もグンと成績が伸びていきました。

 

この一連の経験を経て、「人生は自分の手で変えられる」という学びを得たような、そんな気がしました。

 

高校3年生の時、哲学者ニーチェの「人生愛」という言葉に出会い、まさに自分の考えと同じだ!(本当にそうかよくわかりませんが)と思い、ドイツ語でニーチェを読んでみたいと思い、大学ではドイツ語専攻を選んだのでした。しかし、実際にドイツ語を学んでみると、その文法のまどろっこしさに、教科書を読んでいると2-3分に一回吐き気を催すという劇症に見舞わられました。

 

「ニーチェなんて読んだら一日中吐き気を催して死んでまうでこりゃ・・・」

 

大学を志望した理由をあっさりと切り捨てなければいけない状況に絶望していた1年生の暮れ、とある本を手に取りました。武装解除という、シエラレオネ内戦の停戦後の武装解除を担った伊勢崎賢治氏が書いたルポタージュでした。シエラレオネ内戦のその凄惨たる事実を知って以来(映画ブラッドダイアモンドのテーマになった内戦です)、アフリカの経済開発に興味を抱きました。小さい頃から自分は不遇であると思っていたが、全然比較にならないではないかと。自分の目でアフリカを見るべきと思いつつ、アフリカには何のあてもない。どうすっぺかなぁ~と途方に暮れていたところに、在外公館派遣員という、若者を日本大使館に送り込むという制度を知ったのでした。
そして、大学3年生の春から2年間、アフリカのボツワナ共和国で大使館の立ち上げスタッフとして勤務し、ODAを含めた開発の現場を垣間見る機会を得ました。しかし、「まぁアフリカ向けのODAは所詮、国連常任理事国入りの為の道具だから」と言った現役外交官の言葉を耳にし、供与後1年で錆びついた数十台の農業トラクターの山を見るにつけ、公的な立場からの経済開発は少なくとも自分のしたいことではないなぁと感じました。

民間の視点からはどうなのだろう?という疑問の答えを見つけるべく、大学最後の夏休みにルワンダの現地起業でインターンをしました。そこで出会ったJは現地ののスタッフで、最初は掃除夫として採用され、その後努力を認められ、オフィスの雑用係、工場担当、そして工場のマネジャーとわずか三年で職位を駆け上がっていったのでした。採用当初は殆ど話せなかった英語も、私が出会った頃には日常会話は問題ないレベルにまでなっていました。

どうしてそんなに早く職業人として成長出来たのか?そしてなにより生き生きと働けているのか?彼を見ているとそんな疑問が湧きました。「仕事が好きだから」という明快な彼の明快な回答は、私の中に強い想いを残しました。

 

「人生は自分の手で変えられる」

奇しくも、夜更かしアル中中学生からなんとか社会復帰した自分が得た学びと、同じようなものを、遠く離れたルワンダの地で垣間見たのでした。

 

自分も自らの手でこのような場所を作ってみたい。それを何個も、何百個も実現したい、と。これが私がアフリカで起業したいと思ったきっかけで御座います。長々と失礼しました。

自己紹介①

(投稿後確認したら、いきなりトップ画像で私の顔が切れている。なんでやねん。ここから本サイトのプラットフォームであるWordpressと私の間の熱き戦いが始まるに違いない)

 

初めまして!

現在アメリカのカリフォルニア大学バークレー校のMBA課程に在学中の山脇と申します。ナイロビ・ケニアを対象マーケットにしたB2Bの見積比較プラットフォームを開発中です。

 

アフリカとの関わりは2008年に大学を休学して、在外公館派遣員としてボツワナ共和国に赴任して以来なので、もうかれこれ9年以上になります。時が経つのは早い!!

当時の写真はこちら。デジカメの手ぶれ補正機能を見事に相殺する手ぶれの持ち主である私はあんまり自分の写真が手元にないので、なけなしの写真を探したらこれしかありませんでした。Instagram含め、まさにinsta映えな写真が並ぶ他の候補者の方々の投稿に一手目から圧倒的差をつけられている気がしてなりませんが、そこはノリでカバーしたいと思います。

(2010年、2年間の任期を終えて職場の仲間と記念写真。勤務先日本大使館からすぐそばのタイ料理屋Goldcoin Thaiレストランはボツワナの二郎と呼ぶべきソウルフード。本物の二郎に行ったことはない)

 

(昼寝をよく妨害されていた)

 

なんとなく経歴を箇条書きします。

・東京都出身、小学校は品川区・中学は台東区・高校は葛飾区の江戸っ子グランドスラム達成

・東京外国語大学ドイツ語専攻入学

・3-4年次に大学を休学し、在外公館派遣員として在ボツワナ日本国大使館に勤務

・復学後、アフリカ地域研究ゼミというゼミに所属、6年次の夏休みにケニア・ルワンダの現地企業で一カ月ずつインターン

・卒業後、三井物産株式会社に勤務、金属資源関連の貿易(主に日本向けの鉄鋼原料輸入)と事業投資(鉄鋼原料関連企業の買収)に従事

・2016年夏に三井物産を退社、渡米しカリフォルニア大学バークレー校のMBA課程に入学

・2017年夏にケニアのナイロビで現在アイデアの実効性検証の為のインタビュー調査を実施

・なんとなく方向性が見えたのでそろそろ商品を開発すっか(いまここ)

 

次回以降、そもそもなんでアフリカに興味が出たのか?ドイツ語専攻ってなんやねん?等その辺をお話して行きたいと思います。そして、自己紹介ネタが尽きたら、やうやうと重い腰を上げて事業の話をしたいと思います。