薬師川 智子

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    〜ケニアに、大豆のサプライチェーンをつくる〜

Snapshots from Africa (Instagram)

Reports from Africa

Alphajiri、大豆生産可能性調査の協働実施により、今日も前進中

農水省補助事業、ケニアでの「大豆生産可能性調査」にかかる大豆栽培試験が進んでいます。

主には、大豆の増収を図る試験、大豆の品種による生育の比較試験、の2試験を実行中です。

これは、日本側にとってはひとまず調査ではありますが、弊社Alphajiriにとっては、ケニア農家の暮らしと、会社の繁栄に関わる非常に、非常に重要な試験です。同時に、Alphajiriにとっては、Alphajiri先頭を切って、アフリカの、小規模農家がつくった大豆を世界に輸出するための、初めの一歩を意味します。この数日の試験に、会社の経営に関わる重要なエッセンスが山ほど詰まっています。

私の社員も、JAICAFの技術参与である新田さんと、ケニアの国家農業機関の研究者Njorogeさんから、様々なことを教わり、非常に成長しています。

新田さんもNjorogeさんも、高い技術と知識だけでなく、ケニアの農業に寄与する視点と人の教育に対する意識をお持ちで、本当に感銘を受けています。これからもこのご縁を切ることなく、共に前進していけたらと心から思います。

農水省補助事業 大豆生産性可能調査がミゴリにて開始

昨日から、「農林水産省補助事業 大豆生産性可能調査」の試験栽培のため、実施主体の国際農林業協働協会(JAICAF)の方がミゴリに来られてます。ケニアの国家農業研究機関の、大豆研究者にも来ていただき、生産性向上の調査や、品種比較試験を行います。
とにかく試験の内容について、私も混ぜていただき長時間の意見交換を行いました。
農業専門家でもなく研究者でもない私は、農業生産性向上にかかる様々なアドバイスをいただき、心から感謝しています。色々小農さんにも間違ったアドバイスをしたこともあったと、反省させられる点は大いにありました。
1つだけ、かなり自信になったことがありました。ケニアの大豆研究の権威に、世間話の中で「小農さんには、何をどう栽培することを勧めますか」とかなり抽象的な質問を投げかけたのですが、返ってきた答えは、私の考えと全く同じでした。
答えは、「売り先があるんならなんでも作れ」
です。市場価格が高いとか、収量が高い品種とか、栽培が楽とか、利益率とか、そんな一側面のことを語っても、実際にそのアドバンテージが結果として出るのは、様々な環境要因が揃った時だけの話です。マジで。大豆よりトマトを作ったほうがいいとか、サトウキビより米を作ったほうがいいとか、そういう議論を始めにするのは基本超ナンセンスです。
つまり小規模農家が農業で持続的な暮らしを実現するには、現状のケニアには山ほど課題があり、全てを一度に取り払うのは不可能です。
研究機関が長い年月をかけて品種改良をしたり、農業専門員が何年もかけて農作業の改良をしたり、大規模な資金投入により灌漑を導入したり。
でも今やんなきゃいけないことって何?とりあえず作れて、それが換金されるってことでしょう。なんでもいいから、小農さんの仕事が、対価として帰ってくるってことです。
農家が作って換金されるなら、なんだっていいんですよ。
作ったもんが流れる。買い手がつく。そこが全ての始まりです。
そこがあるから、他に残された農業の課題が、後々取り組まれ、解決していくのだと思います。
だから私は、別に大豆流通をやってることに特別な意味を持ってません。大豆が好きとか超こだわりがあるとかそんなもんないです。何を栽培するかなんて重要じゃないです、「小農の暮らしを引っ掻き回すことをせずに、市場で勝てる作物の1つが大豆」だと感じてるってだけです。

まずは売れる、顧客が欲しがってるレベルのもんを流せる

ケニアの小規模農家とのアグリビジネスの視点は、ここからだと信じてます。だから私は、農産物流通をやってます。

話がまとまってるよーなそうでないよーな。

ケニアで本当に必要とされている、Alphajiriの事業②

こんにちは。Alphajiri Limited代表の薬師川智子です。

前回の投稿では、Alphajiriの簡単な事業概要について述べました。国産大豆がケニアに流通しないのは、サプライチェーン全体に関わり、各プレーヤーの困りごとを解消して効率化・組織化するプレーヤーが居ないからだということでした。

では、各プレーヤーの困りごと、主に供給側(農家)の困りごとと、需要側(大豆加工メーカー)の困りごとは何か、弊社がどう解決しているのかを今回と次回にわけてご説明します。

まず、困りごとってなんでしょう

供給側の農家さんの困りごと

  1. 良い種を仕入れられない
  2. 作っても、買ってくれる人がいるか定かでない
  3. 地域で沢山つくっても、保存倉庫もないし、集荷できるだけの流通網がない
  4. 生産技術や灌漑がないので、生産が安定しない。

1.良い種を仕入れられない 「種屋さんないの?」と思うかもしれません。でもケニアには、純度の高い大豆の種子(品種に混じりがない)を売っている会社、ほぼ皆無です。大手種子会社が、品種が入り交じった種子を売っていたりします。品種が統一されているのがどうして重要かというと、成熟日数が違うから。日数が違えば、一気に刈り取れず、バラバラに選んで刈り取るしかない。品種統一による高品質どうこうの前に、農家自身が、めんどくさい思いをしています。また、農家さんにとっては、「自分の土地に合う品種」というこだわりもあります。

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農家は種のコストを抑えるため、自分の収穫した大豆を種としてリサイクルする。しかし季節を重ねるごとにどんどん違う品種の大豆も混ざりだすので、農家は新しく純度の高い種が欲しいと感じている

2.作っても、買ってくれる人がいるか定かでない 自給用作物でなければ、本当に良く起こることです。日本でもそうですが、直売所などなければ、多くの農家さんは、そうそうダイレクトに売れるマーケットなど見つけられません。

小規模農家さんには、「私はいつもこんな作物をこの量作ってます」と加工メーカーなどに営業できるだけの生産安定性も、暇も、距離的近さも、心理的近さもありません

Alphajiriは農家さんの生産物の営業代理をしているのですから、営業の大変さ、よーーーーく分かります!アポを取るだけでもケニアでは面倒(ケニア人は良く予定を守らないので)なのに、頑張ってアポを取りつけ担当者と面談、サンプルをみていただいたりして、その後のフォローアップをする。価格交渉の為には時には社長とも会い、了解を得る。永続的な関係を保てるよう、弊社を信頼していただける努力を続ける。こういう頑張りが、売り先の安定をもたらすのです。どの国でも、営業をしている方なら、どれだけ大変かわかりますよね?農業と営業をどっちもやってる暇がないってこと、良く想像つきますよね??

その上、地方には、身元不明の個人ブローカーがウロウロしています。そのブローカーの中には本当に悪い奴もいて、「破格の高値で買ってやる。まずはその1/3の金額を払うから、あとで残りを払うよ」といって大豆を持っていったまま、逃げちゃった。なんていうケースがいっぱいあります。例え悪いブローカーじゃなくても、やってくるのは気まぐれ。農家さんが作物を作って待ってるだけじゃ、誰かが買いにきてくれるかなんて、絶対に分かりません。日本では、想像つかない不安定さですよね?

 

3.地域で沢山つくっても、保存倉庫もないし、集荷できるだけの流通網がない    小規模農家の多くは、写真のようなあたり一面荒れ地のような地域に住んでいます。道はデコボコ、穀物を運ぶのに最も利用されているのは、ロバかバイクです。町中、見かける倉庫といえば、20トンが限度でしょう。50トンや100トンを納められる倉庫なんて、地方の農家さんの地域にはありません。そして小農さんはマイペース。誰かが、リーダーシップを持って、今日はこの日に集荷するぞ!といって皆を集め、きちんと計量をして、誰が何キロ作ったので、いくら支払われるかなどを記録し、正確な事務をおこなう必要がありまです。いくらリーダーシップのある農家でも、在庫管理や数字に基づいた正確な管理というのが得意な人、ほぼ皆無です。いても、在庫管理や支払整理などは、本当に雑多な業務。これを農業と両立するなんて、本当に大変です。

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この写真だけじゃ想像つきにくいが、道は舗装されておらず、家は散らばっていて、集荷しにくい。集荷場も写真の建物の1/4しか使用できないので、収容量は最大で15トン程度。

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ロバに大豆の袋を背負わせて、集荷場にやってきた農家の女性

 

では次に、大豆の需要側である加工メーカーさんの困りごとはというと

  1. 農家が安定的に生産しないので、調達計画がしにくく、安定的に加工できない
  2. 調達先の品質が信頼できない

1.農家が安定的に生産しないので、調達計画がしにくく、安定的に加工できない 加工メーカーの本業は、加工です。小農の身近な存在となり、生産性データをもとに生産計画を立てるというような、厚いサービスをやっている余裕なんてありません。そのうえ、農家グループなどと「50トンの取引をしましょう」と言って合意したのに、届いた大豆は40トンだけ。そんなこと、しょっちゅうあります。繰り返し言いますが、農家さんは在庫管理や、数字における正確性に異常なほど弱いです。もしくは、目先のことしか考えておらず、量が少なくても持っていったら買ってくれるだろう、と思って持っていくんです。

でも会社には、機械の稼働率をフルにして、コストを下げるための計画がある。50トン欲しかったのに40トンしかなかったら、迷惑極まりない!!

会社側が買取にいくとなるとなおさら。50トンのつもりで大型トラックを準備したのに、実際地方に行ってみたら15トン、10トンしかなかったのでトラックが一杯にならず、ガソリン代を無駄にした、なんてこと、しょっちゅうあるんですよ。

だから加工メーカーさんは、自社の原料調達計画に合わせて、在庫を切らさず自分の会社まで運んでくれる業者を切望している。

大豆の荷積み作業。フォークリフトより人で運ぶ。これがケニアの主流。

2.調達先の品質が信頼できない  調達先の品質が信頼できないなんて、ケニアでは普通です。モノを見ない限り、だれも信用してません。

弊社も、契約農家でない農家からの連絡を受けて買取に行ったら、ゴミだらけ、泥だらけの大豆だったとか、雨にさらされて腐ってる大豆だったとか、そんなこと、本当にしょっちゅうあります!!!泥まみれと腐敗大豆。これだけは、混ざっていては、使い物になりません。

大豆の選別後に出る石・砂・茎など

もちろん、加工メーカーは大豆から石などの不純物を取り除く「選別機」なるものを持っていることが多いです。ですが、多くの加工メーカーが持っているのは「比重選別機」です。つまり、大豆より重い石ころなんかを取り除く機械。大豆より軽い、莢や茎が混ざっていても、除去してくれません。

「粗選機」もあります。大豆より小さい異物を取り除く、つまりサイズでふるい分ける機械です。でも、ケニアの大豆なんて、日本みたいに粒が1mmも変わらず揃ってる訳じゃない。サイズの違う品種も混じってる。だから小さい大豆も異物と一緒に選り分けられてしまって、ロスになってしまう。ケニアの加工メーカーは、大豆のサイズになんて興味はありません。大豆の原型を留めてる加工品なんてほとんどありませんし、サイズが違っても商品価値に差がでないからです。

だから、ちょうど良い品質(つまり価格も高すぎず手頃)で、メーカーの手元に大豆が届いた時、自分たちにはロスが発生しない状態で大豆を受け取りたい訳です。500袋の大豆を買ったら、その全500袋が、同じ状態じゃないといけない。

その安定感、ケニアにはない。

 

ということで、農家さんと加工メーカーの困りごとを解説しました。つまり、まともな中間業者がいないというのは、上記のような状態のことなんです。日本はインフラが整っていて、両者が自力でなんとかできることが多いかもしれません。でも、自力で何とかできるほど、色々なものが整ってはいないのがケニアなのです。

きっと、日本から中間業者が消えても、ケニアの状態にはならないでしょう。でも、需要側と供給側をとりもつ存在がいないとは、こういうようなとっても大変な状態を生むんです。

次回は、Alphajiriがその困りごとをどうやって解決しているかお話しします。

ケニアで本当に必要とされている、Alphajiriの事業①

Alphajiri Limited代表の薬師川智子です。

最近色々な方に弊社の事業説明をするのですが、初めは事業の必要性を分かってもらえません。でもきちんと説明すると、みな非常に感心され、事業の現実性・魅力・将来性を感じてくださいます。

なぜ説明しないと中々分かっていただけないのか?

1.日本人のばあい:流通における日本の当たり前が、ケニアには欠けている。欠けていると、どれだけ社会が困るか、多くの日本人は気づいていない

2.ケニア人のばあい:困っているのに、どこに原因があるのか気づいていない人が非常に多い

さてそういうわけで、どのように弊社の事業がケニアの社会に必要とされているかという視点で事業を説明します。

 

Alphajiri Limitedは、大豆のサプライチェーンをケニアにつくる先駆者として発足した会社です。

つまり、小規模農家(1~4エーカー程度の土地を保有する農家)の大豆生産から加工メーカーへの大豆卸を行うまでの全工程について、下図のような流れで、各プレーヤーに対して必要なサービスを提供しています。

 

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元々は、大豆を作ったのに「マーケットがない」と嘆いている小規模農家を知って、どう解決したら良いのか考え始めたのがこの事業のはじまりだったのですが、実際調査を進めていく上で分かったのは、マーケットがないのではなく、供給側(農家)のロジックと需要側(加工メーカー)のロジックのあいだに立って調整できるプレーヤーがいないから、モノがあっても、マーケットがあっても流れないってことです。

これは、大豆に限らず、ケニアでは多くの農産物にとって言えることです。

中間業者がいない。

日本では、農協や商社、問屋というものが存在しますよね。

とても重要な存在なのですが、なぜか多くの日本人はその存在そのものについて「横流しをしている」と揶揄することがあります。それは、そういう存在が一切ないと、どれだけ社会が困るか気づいていないから。

そして、ケニアにも、農協や問屋ほどではないが、個人レベルの農産物ブローカーはいます。ケニアを良く知る日本人はそのブローカーたちが「農家の作物を買い叩いて流している」と批判します。買い叩いているのは確かですが、ケニアに存在するブローカーの根本的な問題は、買い叩いていることではないことに多くの人は気づいていません。

ということで次回は、供給側と需要側のどんなロジックを、Alphajiriがどのように調整しているのかお話します。

実は少しだけ大豆加工も行っています(Alphajiri Ltd)

昨日・本日はキッコーマン株式会社のご担当が、大豆を使用した加工品の、ケニアでの商品化の可能性を調査するため、プロジェクトのメンバーの方と一緒に、弊社の契約農家グループやミゴリの学校を訪問されました。お役に立てて大変幸いでした。

契約農家を訪問した際は、大豆栽培のメリット・デメリットについて、農家側の視点から率直な意見をもらえたことが幸いでした。弊社は大豆のサプライチェーン全体をマネージする会社ですが、大豆の加工メーカーさん寄りになりすぎても、農家さん寄りになりすぎても、サプライチェーンはうまく回りません。ですので、双方の意見に耳を傾けて、バランスのとれた経営を目指したいと考えています。

ところで弊社は、実は細々大豆加工も行っていて、キリスト教一派でベジタリアンのSeventh Day Adventist Churchが全国展開するAdventist Book Centre(ABC)10店舗に、弊社のきな粉と大豆茶を展開しています。たまたま、キッコーマンチームの方とABCに立ち寄ったので、写真を添付します。大豆の流通に尽力することが最優先ですが、大豆加工品を好んでくださるお客様がいる限り、加工もサイドで続けてまいります。

ちなみに、加工のために使用している機械は、日本のODAのファンドで、国連工業開発期間(UNIDO)が「大豆の普及による飢餓救済」プロジェクト」に際して導入した日本製のものです。私たちだけでなく、利用料金を支払えば公に利用が許可されているものです。Alphajiriのきな粉

Alphajiriの大豆茶

出荷作業、今シーズンの大豆種子配布で大忙しです

こんにちは、Alphajiri Limited代表の薬師川です。

本当に寝る時間も少なく忙しい毎日を、ケニアの西部ミゴリという町で送っています。

今夜ナイロビに発送される20トンの大豆の出荷作業のため、20名ほどのケニア人の皆さんが選別作業に追われています。この起業支援ファンドを獲得できたら、選別機械と、フロアスケールを購入して、手作業選別と吊り計りでの重労働な計量に割く時間とコストを、農家さんの指導や営業の時間に割けるようになりたいです。

他にも今、別のスタッフは、今シーズンの契約農家グループを回って、大豆種子を配布、契約締結をしに行っています。私は全体の統括役ですが、時には、私もみんなに混ざって力仕事。小さな会社の社長は、社長自身も自らどんどん動くことが、みんなの士気を高めると思います。

最後に1つ、心から信じていることを言います。

私たちの行いが実を結ぶために一番大切なのは、「現場をで本気で」コツコツやって、着実な進歩をすることです。

ということで今夜は、何とかこのブログをきちんと書く時間を作ろうと思います。

今携帯をぽちぽちやってる暇があったら、仕事です笑。