ダニエラの朝

トーゴの平均年齢は、なんと19歳。日本が45歳くらいだから、かなり若い。ここで過ごしていると、ダニエラくらいの子がかなり多いことに気づく。

.

ダニエラは早起きして掃除をする。ママに頭を巻いてもらって、気合いを入れるのだ。朝日に照らされて、いい感じである。

.

ダニエラは言う。「ちゃんと掃除しないと朝ごはん抜くよ!」きれいに掃いてくれているから、ゴミひとつ落ちてないのだけれど。



いいチームへ

 4月に日本に帰国してから、自分なりに動いて考えた結果として、6月からポケットチーフの販売を開始。およそ3週間で、ほぼ完売した。この1ヶ月は、たくさんのお客さんにフィードバックをもらうなどして、次なるステージへとステップアップできるように動いてきた。そして来月にまた、トーゴへ行く。日本で、たくさんのお客さんに商品を届けてきたことを、トーゴの職人たちに報告してくる。


 現地では格式が高いとされる素材を調達してきた。お金をつめば手に入るものではない。相手は論理では動かない人たちで、そういう人たちと手を携えて前に進もうとするとき、大切なのは、合理性よりも倫理観であったりする。彼らの手仕事へのリスペクト。それはある意味で、愛するということなのかもしれない。


 たとえば、妻や娘と生活していて、彼女たちを利用してビッグビジネスをつくりあげたいとは思わない。どうやって幸せな人生を歩んでいこうか、どんな生活であればハッピーであるかと考えることはあっても、損得勘定で判断することはない。そのような感じで、彼らと一緒に仕事をとおした生活を築いていこうと思うと、家族のように受け入れてもらうことが第一義的に重要になってくる。突如として現れた日本人(それは潜在的に敵である)を仲間に迎え入れてもらうためには、あなたの仕事によって、日本でどのようなことが起こりつつあるかということを伝えなければならない。


 だからぼくは何度でもトーゴへ行く。現地の人と面白いことをするためには、チームビルディングが何より大切だと思っている。いいチームにさえなれれば、ジャイアントキリングを起こすことができる。これまで見たことない景色を望むことができる。もっともっと、幸せになれる。

ものづくりの難しさ

 前職を辞めてから1年を費やして、一つ一つ確認しながら、自分なりに考えて決断を重ねてきた。だからどのシーンを切り取られても、恥ずかしくないプロセスを踏んできたつもりでいる。少し時間はかかってしまったものの、ゼロから進めてきて、企画・製造・販売までをひと通り体験することができた。これからまた、新たなものづくりの企画を進めているのだが、改めてその難しさを痛感している。というのは、事業の進め方と、いま対峙しているものづくりは、ほとんど真逆のアプローチをしているのだ。


 ぼくの事業は、たとえば性別や障害の有無をこえて、みんなが笑って過ごせる世界をつくりたいと思っている。これはいわゆるバックキャスティング的に、つくりたい未来からの逆算で物事を進めている。しかしいま対峙しているものづくりは、目の前にあるアフリカ布から最終の形を模索していく、いわゆるフォアキャスティング的に進めている。そういう意味で思考回路をスイッチしていかないといけないから、とても難しい。ものづくりを進めていると、マーケティングやブランディングの領域に踏み込まざるを得ないのだが、これがまた死ぬほど難しい。


 大阪のメンズ館や巷のセレクトショップに通い、市場に出回っているものを分析するなかで、これまで見落としていたことに気づいたり、作り手の工夫を垣間見たりしている。これまで調べてきたことを見返して、調べ足りないことに絶望したりしながら、また机に向かったりもしている。そしてサンプルを作り、修正を加えて、また街に出る。最近はそんなことを繰り返していて、前進しているのか後退しているのかよくわからない状態が続いている。しかしそういうときこそ、事業としても、自分としても、ワンアップしていると信じて、前を向きたいと思っている。

京都精華大学×アフリカドッグス

 先日、京都精華大学でおこなわれたオープンキャンパスでは、一風変わったコーナーが催されていた。「トーゴ展」と称して、トーゴ共和国をモチーフにした作品や「SDGs(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)」をテーマにした作品の展示会が開催されていた。今学期、田村教授の強力なサポートのもと、厚かましくもトーゴを切り口にした講義をさせていただいた。その期末の成果報告として、学生たちの作品をいろんな人に見てもらう機会をセッティングしていただく運びとなったのだ。トーゴ展では、弊社が取り扱う布を製品化したものだけでなく、トーゴをテーマにした絵画や絵本、マンガ、映像、音楽、さらには料理まで、多岐にわたる作品の完成をみた。

FullSizeRender


 初めての挑戦は、不安も大きいが、それを乗り越えると喜びも大きい。今回の試みも、いい意味で予想を裏切られる結果になった。そして自戒も込めて、学んだことを残したいと思った。学生たちは、トーゴという馴染みのない国について思いを馳せて光を当ててくれた。そこに垣間見たのは、想像することの大切さであった。

 講義中、あるいは講義後に学生からたくさん質問をもらった。自分の体験とすり合わせて、遠く離れたエピソードを自分事として捉えようとする学生たちの姿勢に、ぼくは出来る限り応えたいと思った。そういう連鎖が、新たな可能性を広げると思うし、知らないを知るに変換しようとする努力が、今の自分よりも少し成長できるきっかけになると思っている。だから大使館とビデオ電話で繋いだり、東京のトーゴレストラン経由で食材を調達したりして、考えられる範囲でやれることは全部やった。どこまで伝えられたかはわからないが、成果として出てきた学生たちの作品は、どれもトーゴの息吹を感じられるものになっていた。
 そうしてよくわからないことを想像して自分の立場を表現するのは、人生においてとても大切なのではないかと思っている。ぼくらは根本的に違う。同じ日本人でも、生まれた環境や出会った人たちによって、生き方や考え方がまるで違う。そのような中で、なにか物事を進めたり、互いに納得するポイントを探り合って、生きていったりする。そういう意味で、想像することは大切であるし、お互いにそうすることができたなら、この世界はもう少しだけ優しくなれるのだろうと思う。そんなことを学生から学ぶことができた。

IMG_7008

ものづくりの難しさ

先月末にポップアップイベントを終えて、ゼロからものづくりを進めてきて、企画・製造・販売までをひと通り体験することができた。ここまでに前職を辞めてから1年を費やしたが、一つ一つ確認しながら、納得するプロセスを踏んできた。これからまた、新たなものづくりの企画を進めているのだが、改めてその難しさを痛感している。

というのは、事業の進め方と、いま対峙しているものづくりは、ほとんど真逆のアプローチをしている。ぼくの事業は、たとえば性別や障害の有無を超えて、みんなが笑って過ごせる世界をつくりたいと思っている。これはいわゆるバックキャスティング的に、つくりたい未来からの逆算で事業を進めている。しかしいま対峙しているものづくりは、目の前にあるアフリカ布から最終の完成形を目指す、いわゆるフォアキャスティング的に進めている。だから思考回路をスイッチして、脳みそを入れ替えていかないといけないから、とても難しい。

ものづくりを進めていると、マーケティングやブランディングの領域に踏み込まざるを得ないのだが、これがまた死ぬほど難しい。いまいろんな人の手を借りているが、専門的な知識を必要とするところが多くて奥が深い。そういう意味で、これまで触れたことのないことに挑戦するのは大変ではあるが、楽しくもある。サンプルを作って、そこから修正を加えるのに大阪のメンズ館に足繁く通い、市場に出回っているものを分析したりして、これまで見落としていたことに気づいたり、作り手の工夫を垣間見たりして、めちゃくちゃ勉強になる。

この1ヶ月はそんなことを繰り返していて、頭がおかしくなりそうなのだが、そういうときこそワンアップしていると信じたいと思う。

感情コミュニケーション

トーゴの公用語はフランス語で、ぼくたちが現地法人を置くパリメ地域においては現地語であるエウェ語が話される。人前で話す機会があると、言語の問題はどのように解決しているのか、という質問をよく頂戴する。

もちろんぼくは、フランス語もエウェ語もほとんど話すことができない。しかし現地法人のマネジメント、商品の仕入れ、会社の設立を果たすことができた。なにかプロジェクトを遂行するのに、言語スキルも大切だとは思うが、それ以上に地域の人たちとの関係をいかに築くかということのほうが、ぼくにとっては重要だ。

ぼくらは、同じ日本語を話しているのに分かり合えないことが、けっこうある。腹の探り合いをしたり、本音と建前があったり、とくに京都では独特の行間を読む習慣があったりするから、日本人とコミュニケーションを取ることのほうが、場合によっては難しいことだってある。

ところがトーゴでは、そんな遠回りなコミュニケーションはなくて、感情をぶつけ合うシンプルなコミュニケーションが主流に思われる。だから思いのほか言語が課題になることは少なかった。これからどんな展開になるかはわからないが、お互いの信頼関係だけは崩さないようにしたい。その関係さえあれば、分かり合えないことから、お互いの認識の違いをすり合わせることができると思っている。

宮崎県のトーゴ熱

先日、ちょっとしたご縁で宮崎県へ行く機会があった。今から6年前くらいに、一度だけお会いしたことのある人のもとへ行ってきた。学生時代に初めてアフリカ大陸へ向かい、トーゴをはじめとして、ガーナ、ベナン、ブルキナファソを旅したことがきっかけで、知り合うことになった人だ。

宮崎空港で6年ぶりにお会いしたのだが、その時間を忘れるくらいに車内でマシンガントークを繰り広げ、だいたい5分くらいで空白の時間を埋めることができた。そして県内唯一の国立大学である宮崎大学の学生と、トーゴという多くの人にとっては馴染みのない国を共通項として繋がることができた。

宮崎大学では、一風変わったムーブメントが起きている。東京オリパラに際して、トーゴのホストタウンに宮崎県日向市が選ばれたことで、その地域に大使館関係者やトーゴのアーティスト、アスリートたちが集い始めている。そして宮崎大学の研究室でも、学生たちがコミットしていこうと、知恵を出し合っていた。

彼らはもうすぐ、クラウドファンディングに挑戦する。トーゴにおいて、水の問題は深刻である。およそ40%くらいの人たちが安全な水を享受できない環境に身を置いている。それが感染症の原因になったりして、重い後遺症がのこったり、場合によっては命を落としたりしている。そのことを知った学生たちが、トーゴで井戸の修復作業にかかる資金調達をしようとしているのだ。

ぼくは日本人で初めてトーゴで会社をつくって、またちょうど1年前にクラウドファンディングにも挑戦したことがあったから、そのあたりの意見交換のために宮崎を訪問する運びになっていた。しかし学生たちの熱量がすごくて、そのエネルギーとハツラツさ、そして若いパワーがあれば、だいたいのことは何とでもなるような気がしてきたし、むしろぼくのほうが彼らのその前のめりな姿勢を学ばないといけないと思った。

何度か現地を訪問して、いろんなことを知るうちに、改めてぼくが挑戦しようとしていることの壁の高さを痛感していた。そして現実的なところで、実現可能な方向へと舵を切ろうとしていた。しかし学生たちの姿勢をみて、ぼくはもっと夢を描いてもいいのだと思い直した。もっとダイナミックに、もっと自由に。

だから今、かなり長期的なスパンを必要とするプロジェクトに着手している。学生たちに話していると、ぼくもヒートアップしてきて、本当に到達してみたいポイントが少しだけクリアになった。できるかどうかわからない。でも挑戦する価値のある、あるいは失敗しても後悔がないと思えるプロジェクトだ。そんなモチベーションをあげてくれた学生たち、そして6年ぶりにお会いしたその人への感謝を胸に、ぼくは関西に戻った。

可能性を感じたこと

こないだの初めてのポップアップはお陰様で大盛況に終わり、直近で支払わないといけない税金関係も何とか納付できた。今回の挑戦で限界を感じることも多くあったが、一方で、可能性も垣間見えた。大きな希望となったのは、アフリカ×京都の商品が予想以上の好評を博したことだ。これまでやってきたことは間違っていなかったと、証明できたような気がした。まだまだ改良していく余地はあるが、確かな手応えを得られたのは良かったと思う。


 そしてもう一つ、可能性を感じたことがある。実は販売に際して、かなり前衛的な試みをしていた。ラインナップした一部の商品に価格を付けなかったのだ。お客さんに値決めを委ねて、それがいくらであろうと、お客さんの言い値で販売した。結果として、予想した金額(それは原価を下回る金額だった)よりも高値で取引され、企業として継続していくのに適正な価格でお客さんに届けることができた。

 ぼくたちは、たとえばスーパーで売られている商品の価格を一方的に受け取るのみで、それがどこから来たのか、誰がどのようにして作ったのかを想像する機会は極端に少ない。だから多くの人たちにとって、基本的には値段の安さが決定的に重要になる。そこに生産者が報われているかとか、適正なサプライチェーンを築いているかとかは、さほど気にしなくてもいいシステムになっている。もっと言えば、その商品が誰かの悲しみのうえにあったとしても、大して問題にならないようになっている。そこに対して、小さくても挑戦したくて、値段を付けなかった。


 その結果は、予期せずして持続可能な形に終始した。誰ひとりとして、原価を下回る価格を付けなかった。そのことが語るのは「もっとお客さんを信じていい」ということだと思う。考える機会さえあれば、たとえその相場感がわからなくても、目利きができるだけのスキルをお客さんは既に持ち合わせている。それはぼくたちのような、規模の経済性を発揮できない、あるいは巨大な資本をもたない事業者にとって、かなり嬉しいニュースだった。


 だからぼくたちがすべきことは、臨場感のある情報を提供し続けることだと思う。どこの誰がどのようにして作っていて、それがアナタに届けられることによって、どのようなことが起こっていくかということを、もっとリアルに、息づかいを感じられるほどに、伝えていく必要がある。それは一つの言葉かもしれないし、一枚の絵かもしれないし、一本の映像かもしれない。そのデザインの構築に、ぼくは活路を見出している。

雪辱を果たす

 大阪・中崎町でポップアップストアをオープンし、これまで挑戦してきたことを皆さんに発表する機会を得た。当日は日本初開催のG20サミットで史上最大規模の警備がおこなわれていて、しかも大雨が降り注いでいたにも関わらず、店内はお客さんの熱気と優しさに溢れていた。用意した商品は、ほぼ完売。デザインによっては、しばらくお待ち頂かなければならないほどの注文を受けた。これは大成功といっていい。

FullSizeRender


 およそ半年前、ぼくたちは東京の寒空の下、惨敗を喫した。魂を込めて作り上げてきた会社の全財産をスーツケースに詰め込んで、目の肥えたバイヤーたちにぶつけてきた。しかし思うような結果は出ず、終いには店員さんと口喧嘩みたいになるほど、いろんなことが噛み合わない悔しさを経験した。あのときの悔しさをバネに、アクションを起こし、知恵を絞って前を向いてきた。フランス・パリ市内を徒歩で駆けずり回り、トーゴ中をギュウギュウ詰めの乗り合いタクシーで走り回って、何度もミーティングを重ねてきた。
 そうして迎えたポップアップ当日は、数えきれないほどのお客さんが、たくさんの差し入れを持って来店してくれた。102Lのスーツケースは、みなさんからの差し入れでパンパンになった。幼馴染みや高校・大学時代の友人、先生、なにかのご縁で繋がった大切な人たち、そして前職でお世話になりまくっていた上司の方々。全国各地から駆けつけてくださって、来店が叶わなかった友人からも、お花が届いた。ぼくは幸せ者以外の何者でもない。

FullSizeRender


 営業時間中、途絶えることなく接客をしていたから、口はパサパサ、足はガクガク、まぶたはピクピクしていて、ほとんど立っていられないくらいだった。帰宅してすぐに、3合分の白米をかきこんだ。こくまろカレーが、あれほど美味しく感じたことはなかった。半年前、東京の寒空の下で惨敗を喫したぼくたちは、雪辱を果たした。大阪の夜空を見上げて、ぼくは小さくガッツポーズをした。

ポップアップストアOPEN

 3年以内にコンセプトショップをつくる。そこに至るまでの第一弾として、大阪・梅田から早歩きで5分くらいのところにある中崎町で、ポップアップストアを2日間限定でオープンすることになった。中崎町は妻とよくデートに行ったところであり、建築を学んでいた相棒が大学時代に研究していたエリアでもあったから、なかば運命的な場所での開催だ。夫婦でお世話になっているサロンの店主に事業の進捗を報告していたら「ちょうど1階のテナント空いてるから使っていいよ」ということになって開催する運びとなった。だから運命的であると同時に、奇跡的でもある。


 そんなこともあって、当日は妻と娘も引き連れて家族総動員で臨む。ぼくに商品のラッピングのセンスは絶望的にないから、心強すぎる。しかも妻は「めちゃくちゃ楽しみ」とワクワクしていて、なにか大切なことを思い出させてくれるから、最強すぎる。まさかのG20と日程が重なってしまって混乱が予想されるが、混乱に乗じてしまいがちなクセには気をつけようと思う。すぐ調子に乗ってしまうクセをセーブしてもらうために、もちろん相棒も店頭に立つ。


 いろんな人にアドバイス頂いたことを活かして、商品はポケットチーフだけでなく使い勝手のいいサイズ感のものやランチョンマット、タペストリーも用意する。これまで協力して頂いた職人さんたちの顔がみえるパネル展示もする予定なのだが、その準備をしていると世のアーティストたちはマジで凄いと思う。今まで気軽に個展やギャラリーを見ていたが、その背景には大変なことが目白押しである。そんな初めてのことばかりで、いい緊張感と不安感のなか、バタバタしながら嗚咽が止まらない日々を過ごしている。


〈 ポップアップストアについて 〉

FullSizeRender

6月29日(土)13:00〜20:00, 30日(日)11:00〜20:00D:CINEMA 1階 (www.d-cinema.jp)
大阪府大阪市北区中崎西2-4-35

〈 AFURIKA DOGS | アフリカドッグスについて 〉

これまでの軌跡をまとめた映像→ https://vimeo.com/335797718

ホームページ→ https://www.afurikadogs.com

毎日投稿インスタグラム→ https://www.instagram.com/afurikadogs

1 2 3 9