商品販売を開始して

ぼくたちの事業はポケットチーフ(税抜3,500円〜4,500円)とハンカチ(税抜1,000円)からスタートすることになった。身近な人の、身近なものとして落とし込み、それが日本から14,000km離れたアフリカのトーゴという国の未来を少しだけ明るくするサプライチェーンを築いてきた。

商品の発表をしてからまだ1週間くらいしか経ってないが、いろんなことを学んだし、つぎのアクションも決まりつつある。ぼくのキャパがオーバー気味なのは置いといて、やはり実践のなかで得るものの大きさを再確認した。ぼくはここまで死ぬ気でやってきたから、それなりに自信があった。予約が殺到するのではないかとスマホの充電を100%にして待機したが、その日の問い合わせはわずかに1件だった。(応援メッセージはたくさん頂いたので、元気ではある。)

妻に状況を説明したら「最初やしそんなもんちゃうの」と悟りを開いたかのような声を掛けてくれて、ぼくを落ち着かせてくれた。よくよく考えてみると、確かに1回こうして発表したぐらいで反応があるほうがおかしい。手づくり市に出店側で参加したときに学んだことを思い出した。隣のわらび餅屋さんは悪天候にも関わらず行列ができていた。店主に話を聞くと、10年くらいは全然お客さんが来なかったという。大切なのは続けることだと、その店主は教えてくれた。

 そんなエピソードを思い出して、自分を奮い立たせた。これは動いているからこそ感じられる逆風だ。逆風も、振り向けば追い風になる。どこかで聞いたような名言に励まされたりした。気持ちを切り替えてスーツに袖をとおし、ぼくは営業に出た。

そうじから学ぶ

ここには綺麗好きなひとが多い。幼少期から家まわりをホウキで掃いて、洗濯をして、雑巾がけをする。

ぼくが洗濯をしていたら、「そんなんで汚れは取れない」と押しのけられてレクチャーしてくれたりする。手で触るから、目で見るから、鼻で嗅ぐから、汚れているところがわかる。

ぼくたちは肌で感じることをあまりしなくなった。顔を合わせずに、足を運ばずに、できることが多くなった。「今日ちょっと元気ないね。大丈夫?」って声をかけることが、少なくなった。

商品販売を開始しました

 数えきれないトライ&エラーを繰り返して、ようやく商品ができました。前職を辞めてから1年ほど経ってしまいましたが、自信をもってお届けできる商品です。

 初めてアフリカ大陸を訪れたのが、2012年。昨年、6年ぶりに世界最貧国のひとつであるトーゴ共和国という国を再訪しました。友人の半分くらいはすでに亡くなっていましたが、こんな私を待ってくれていた友人もいました。彼は、ビジネスマンとして帰ってくるという、あのとき私と交わした約束を信じて、ずっとお金を貯めてくれていました。それは日本円にして4万円に満たない金額でしたが、その日を生きるのに精いっぱいの彼にとって、これだけの金額を貯めることがいかに大変であったかを想像すると、シワクチャになった札束を持つ手が震えました。

 赤道ちかくの炎天下、みんなでスコップを握りしめて土を掘り、コンクリートブロックを積み上げて会社をつくってきました。また、現地の情報収集と社会起業家とのパートナーシップを結び、できるだけ適正なサプライチェーンを構築できるように努力を重ねてきました。そうして0からスタートした事業が、なんとかひとつの形になりました。

 ポケットチーフ(3,500円~4,500円:税抜)とハンカチ(1,000円:税抜)。飲み会に行くぐらいの価格設定でありながら、日本から14,000km離れたトーゴという国の未来を少しだけ、でも確実に明るくできる商品です。数に限りはありますが、是非お買い求めください。もしくはお買い求めくださる方を紹介して頂けたら、とても嬉しいです。

 ホームページを開設しています。ほとんどすべて自分で作成したので、あまり出来はよくありませんが、気持ちだけはてんこ盛りです。今月末に大阪・中崎町(梅田から歩いて5分くらいのところ)でポップアップイベントも企画中です。実際に手に取って頂ける機会もご用意する予定ですので、引き続きご協力のほど、よろしくお願いいたします!


https://www.afurikadogs.com/

道端のオバちゃん

道端でお菓子とかを売っているオバちゃんの店でひと休みする。ここから見える景色もいい。バイクタクシーの運ちゃんが、クラクションを鳴らして挨拶をする。

オバちゃんは、いつも余裕たっぷりで、道ゆく人とコミュニケーションをとったり、常連のお客さんと一緒にベンチに座って、世間話をしたりする。なにかに追われたり、なにかにプレッシャーを感じたり、なにかを犠牲にしないといけない生活よりも、こんな生活のほうが優しくなれるのにと思う。

仕事はここから

先日、お世話になっていた人に、1年ぶりくらいに近況を報告する機会があった。その人からは、経営者になるにあたっての心構えというか、スタンスみたいなものを学ばせてもらっていた。お話していたら、自分でも驚くほどいろんな体験をしてきたと気付かされた。そして、絶対に一人ではここまでこれなかったと再認識した。話せば話すほど、ぼくは何もしていなかったからだ。


  アフリカ・トーゴ共和国で会社をつくり、独自の素材を仕入れることができたと、意気揚々と日本に帰ってきた。しかし、実際に会社をつくったのは現地の職人たちであるし、素材をつくってくれたのも現地の職人たちである。ぼくも頑張って手伝おうとしたが、「足手まといやねん」と押しのけられた。今ここに至るまで、いろんな人たちに動いてもらって、ぼくは何もしてこなかったし、何もできなかった。だからこそ、ここからがぼくの仕事だと思う。繋いできたものを、しっかりお客さんに届ける。


 来月から、コツコツと準備してきたことを世に発信していく。しっかりお客さんに届けるためには、ちゃんと伝えなければならない。これまで手作業で繋いできたから、商品も手渡しで届ける。インターネットですべてが繋がる時代に、ぼくたちは手で世界を繋ごうとしている。時代に逆行してでも、ぼくは直感を信じる。

エウェ族の子どもたち

町を歩けば、子どもたちが絡んでくる。アフリカ・エウェ族の住まう国(主にフランス語圏)では、子どもたちは外国人をみると「YOWO YOWO, Bonsoir! Ça va bien, merci!」と唄ってくる。「YOWO(ヨヴォ)」というのは、現地の言葉で「白人(黄色人も含む)」を意味する。集団で大合唱が始まることが珍しくなく、放っておけばいいのに、ぼくはそこで小一時間ほど彼らと遊んでしまうことになる。

遊んでいると、彼らのこのエネルギーはどこからくるのかと思う。彼らと遊んでいると、途中から遊ばれていることに気づく。体力がもたない。遊ばれ疲れて、倒れ込むまえにシャッターを切った。
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彼らは、遊びながら学ぶ。教育とはなにかを考えさせられる。大人が勝手に組んだカリキュラムで、大人は学ばせていると勘違いする。彼らは大人以上に、多くのことを感じて学んでいるのに。
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大人の枠組みにハマるな。きみたちはもっと、大きくなれる。

点と点が線になるとき

商品サンプルが完成して、撮影も終えた。いま、このアナログなぼくがパソコンをポチポチしてホームページをつくっている。謎のバグ(か、操作の不手際)を繰り返して、もうすぐ公開できそうなところまできた。そんなことをしながら、いろんな人にお話したり、商品に興味をもって頂いた方と商談する日々を過ごしている。もうすこしで、また一歩、進めそうな気がしている。

 人の縁というのは不思議だ。株式会社夢びと・代表の中田さんの粋な計らいから、ヤバい会社の営業部長と商談する機会も得た。結論から言えば、SDGs(Sustainable Development Goals, 持続的な開発目標)へのアクションとして、ぼくたちの商品を活用してもらえるよう社長に話をあげてもらうことになった。でもぼくは、変なことを書いてしまうかもしれないが、この商談の結果がどうなろうとも成功だと思っている。それくらいにシビれる体験をした。

 今から2ヶ月前、ぼくはフランスで営業活動に邁進していた。そこでいくつかのブランドとブティックからオファーをいただいたのだが、売上代金が入る直前で商談をすべてキャンセルした。最終販売価格が高すぎて、少なくともぼくのまわりの人たちには手が届かない商品になっていたのだ。ぼくは身近な人の、身近なものになりたかったのだと、そのとき初めて気づいた。だからこそ、いまハンカチーフで勝負しようとしている。

 そんなことを経て、商談に臨んでいた。部長に商品をお見せすると、「キミみたいな人に出会えて嬉しい」と固く手を握られた。ぼくは目の前の人に喜んでもらえることが、こんなに尊いことだと知らなかった。ここまで一緒につくりあげてきた人たちの顔とか、アフリカの炎天下で土を掘り続けたシーンとか、職人に何度も交渉に向かった道のりとかがフラッシュバックしてきて、喫茶店で涙が止まらなくなった。悲しくないのに涙が出たのは久しぶりだった。


 そんな体験をして、ぼくはこれからも鳥肌が立つほうを選びたいと思った。フランスの有名ブランドと一緒に仕事ができる喜びよりも、目の前の人にしっかり届けられる喜びのほうが大きい。そういうやり方で、どのようにして事業を前に進められるかを考えたいと思えた。商談はいつのまにか人生の話になって、最近ぼくが父親になったこととか、部長にはぼくと同じくらいの息子さんがいることとか、そんな話をした。そしてぼくらは、いい未来を残したいと強く願う仲間になった。点と点が線になるときは、こんな感じなのかもしれない。

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みんなで、前へ


ロメの夕日

生活がシンプルだからこそ、夕日の綺麗さが映えるのかもしれない。こうしてずっとボンヤリ見ている時間は、いつでもつくれていいはずなのに、なぜかできなかったりする。毎日が忙しなく過ぎていって、いつしか空を見上げることもしなくなった。
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鳥が飛ぶ音、女性が笑う声、バイクのクラクション。風がとおって海のにおいがした。

大学は自由であってこそ

 まさか、こんなぼくが再び大学の教壇に立つとは思わなかった。「再び」というのは、母校の滋賀大学で、SA(Study Assistant)として簿記会計の授業を担当していたことがある。ぼくなりに趣向を凝らして好き勝手にやらせてもらったのだが、その癖がなおっていないようだ。社会人になった今は、学生のとき以上にやりたい放題である。でも大学という場所は、自由であってこそだ。

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↑火災警報器の下でトーゴ料理をつくる※ちゃんと許可とってます

 今の時代は便利で、スマホさえあればいろんな人と繋がれる。トーゴ大使館とテレビ電話でコンタクトをとり、かれこれ7年ぐらいお世話になっているジュルスさんに、超多忙のなか特別出演してもらった。トーゴという日本から14,000kmくらい離れていて、しかもほとんど情報がない地域に思いを馳せるのは至難の業だ。ぼくが持って帰ってきたブツ切りのシーンを伝えるだけでは不十分で、もっとタンジブルなものとして伝えたいと思った。そしてお得意の他力本願で、ジュルスさんにお話してもらう運びとなったのであった。
 ジュルスさんは大人気で、一瞬で学生たちの心を掴んでいた。授業後のショートレポートをみても、これまで一生懸命プレゼンテーションをしてきたのは何だったのかと思うくらいに響いていた。遠いところのことを知るのに、そこの人と話すことや、そこの人と友だちになること以上に有効な方法はないと思った。友だちになったら、その人のことをもっと知りたいし、喜びとか痛みも含めて分かち合いたいとも思う。最近は商品リリースにあたってのもろもろの準備などで死にそうになっていたが、こうした仕事以前の人との関わりのなかで、改めて気づくことを大切にしていきたいと思った。

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↑いかにもいろんな人の心を掴みそうなジュルスさん

商品撮影

 商品リリースのタイミングを7月に決めて、急ピッチで準備を進めている。これから詰めないといけないことが山のようにあるのだが、やると決めてしまったほうが、いろいろ確認できるからいい。失敗なんてない。うまくいかなくても、それはうまくいかないことを確認できた成功だと思えば、それでいい。自分で自分を奮い立たせないと、不安で押しつぶされそうだ。


 こないだの土日は東京出張だった。いまは夜行バスより飛行機のほうが日によっては安い時代で、今回は格安航空を利用した。毎月のように関空へ行き、一番デカいサイズのスーツケースでチェックインして、受付の人に国際便と間違えられながら成田空港へ向かった。これまでいろんな空港に行ってきたが、成田空港は少しわかりづらい。都心へいくのも一苦労で、海外の人ならなおさら難しいだろうなと思った。

 昼間に出発したのに、ほとんど日をまたぎそうな時間帯に到着して、今度はハイボールで自分を奮い立たせながら、明け方まで相棒と打ち合わせをした。そして翌日には、商品撮影に入った。こんなぼくたちのために、5時間以上をかけて、ヤバいスタジオで、ヤバい人たちに、数々のヤバい写真を撮ってもらった。そこでぼくたちはプロの技をまざまざと見せつけられて、自分たちの未熟さを知ることになった。ぼくたちはもっと仕事に真摯に向き合わなければならない。気を引き締めなおした。

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 今回、ぼくたちはハンカチーフをメインにラインナップを考えている。この撮影に協力してもらったクリエイターは、昨年からぼくたちのプロジェクトを知ってくれている。彼は撮影前の打ち合わせでも、撮影後のお酒の席でも、ハンカチーフに留まるのはもったいないと言ってくれた。ここまでやってきたことに対して、同じ気持ちでいてくれたことがめちゃくちゃ嬉しかった。次はもっとバージョンアップしていたいし、そしてそれを、また彼に見せたい。

 そんな少しアツい感じになっていたら、飛行機を逃してしまって夜行バスで帰ることになった。メールを見ると、ありがたいことに商品の問い合わせが何件か入っていた。ぼくたちがラインナップするのは、ただのハンカチーフではない。少しだけ、でも確実に、いい方向へと世界が動き出すハンカチーフだ。つぎのステップに向けて、まずはこのハンカチーフで勝負する。


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