卸販売はむずかしいよ

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

今日は、最近食パンを卸しているスーパーマーケットで起こった、あまり喜ばしくない事件についてのお話です。

いくつかスーパーマーケットに卸していますが、そのうちの一つに、外国人富裕層向けの高級スーパーマーケットがあります。お店があるのも外国人が多く住んでいるエリアです。

プロダクト管理はトルコ系の外国人が行っており、我々の商品のとりまとめも、その外国人が担当してくれています。

こちらのスーパーマーケット

これまで散々このブログで、タンザニアで起こる珍事件を書いてきたので、あらゆることにおいてのその杜撰さ(よくいうとおおらか笑)は、なんとなくお分かりかと思います。笑(もちろんビジネスにおいてもそのおおらかさは変わりません)

ところが、このスーパーマーケットは外国資本かつお客様も外国人。色々な面でタンザニアナイズドされていない、つまりはちゃんとしているのでは?と期待していたのです。

ところがどっこい!

蓋を開けて見ますと、めちゃくちゃタンザニアでした。笑

いや、もっとひどいかもしれません。。。笑

まずは、商品管理がめっちゃ杜撰。

食品ですので、当然賞味期限があるわけですが、その期日になっても商品が捨てられないのです。涙

うちの食パンは4日後に賞味期限がやってきてしまうので、それまでに売り切ってしまうか、残ってしまった場合は残念ですが廃棄する必要があります。そのまま放っておくと腐ってしまうため、そこは口酸っぱく言ってお願いしていました。

しかし、管理してもらえず・・・。

挙句の果てには、自分達で見にいって、残っている数を数え、マネージャーさんに棚から下ろすようにせっつく始末・・・

流石に毎度それをするわけにもいかないので、なんとかしてほしいものですが・・。いや、売り切れてしまえばなんの問題もないんですけどね。

ほんと、骨が折れます。

二つ目は、まったく支払いがされない!問題です。

このスーパーマーケットでは、一週間後にまとめて後払いしてもらう契約にしてあるのですが、一週間後に行っても支払いの準備がされておらず。。2週間以上待たされたこともありました。

しかも3時間も待たされた挙句、ようやく、です。

実は、うちと同じように受け取り待ちしている他の会社の方たちが何人も列をなして待っており、準備もできていない状態だったので待つ羽目になったのです。

こういう時、ちゃんと時間を見積もって伝えてくれたらこちらも後のスケジュールとの兼ね合いを考えて、後日にずらして再度くるとかできるのに、「もうすぐだから」と言われ続けるので、本当に頭に来ますよね。笑

この日は流石に待っていた他のタンザニア人もブチ切れていて、それを見て私の溜飲も下がりました。笑

というような感じで、卸しもやってみると前途多難だな〜と感じている日々です。笑

やってみて初めてわかることのなんと多いことか。。。。!気持ちは前向きに、対処していきたい所存です💪

最後まで読んでいただきありがとうございました。


原料の値上げ

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です!

タンザニアはいよいよ暑くなって参りました。夜寝る時にもクーラーがないと暑苦しくて眠れやしない。。。というような時期に突入です。

さて、今日は、ここ数ヶ月で数度にわたって原料の値上げがあったので、そのことについて書こうと思います。

まず一つ目は、砂糖!

これはタンザニアのニュースでも頻繁に取り上げられていますが、タンザニアはここ数年ずっと砂糖不足なのです。

タンザニアでも砂糖を作ってはいますが、それだけでは全然足りず、ウガンダを筆頭にその他の国から砂糖を輸入している現状があります。

https://www.thecitizen.co.tz/tanzania/news/tanzania-looks-to-china-india-to-up-sugar-output-3523312

こちらの8月の記事によると、

・タンザニアは、国内需要の約67万トンに対して、年間推定37万トンの砂糖しか生産できていない

・タンザニア国内では、慢性的な砂糖不足となっており、過去に一部の悪意のある貿易業者が製品を買いだめし、価格を引き上げたと報告されている。

・ ほとんどの地域で1kgの砂糖が2,500-2,800Tshから4,500Tshに高騰した。

そう、めっちゃ価格高騰しとる!のです。

うちではパン作りに砂糖を使っているので、なかなかの打撃です。

もう一つは、小麦粉!

小麦粉といえば、タンザニアは天下のAzam様が作っている小麦粉があります。パン屋様の業務用小麦粉をおろしてもらっているので、少しは安く入手可能なのですが、こちらもこの2年で3度に分けて値上げがなされ、末端業者の我々はそれを指を咥えて見ていることしかできない・・・という状況なのです。

というのも、業務用の小麦粉に関してはAzamの一強。他の会社のものでは品質の面からも選ばれません。そんなわけで「また値上げしてる〜!」と、毎度泣いております。

当然我々としては、原料の値上がりに合わせてプロダクトの値段を上げれば良い話です。しかし、そんなに簡単な話ではありませんよね・・・・。

価格を上げようとすると、「それなら取り扱わない!」「他のパンは値段据え置きなのになんで!」などと卸先に怒られたりするのです・・・・。

そんなわけで値上げしたいとは思いつつ、なかなか踏み切れずにいます。とはいえ、うちだけが損するなんてことは避けたいですし。

こればかりは自分ではコントロールできないので、仕方がないですね。。。

原料の値上げには、毎度頭を悩まされます。

今回も読んでいただきありがとうございました。


ドライバーを雇おうと思ったら

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

今日は、ドライバーメンバーを増やそうとした時に起こった出来事について、お話したいと思います。というのも、私が思いもかけていなかったことが起こったからです。

弊社は、食パンをスーパーマーケットやストリートのキオスクに卸しているため、工房から卸先へのデリバリーが毎日必要となります。そのデリバリー人員を増やそうという目論見です。

タンザニアでは、パンを小さな商店に卸すことを生業としている人がいます。商店に卸すことが彼らのお仕事です。彼らはパン工房から数百個単位でパンを預かり(契約によりますが)、それを独自のネットワークを活かして商店に売り捌きます。パンが売れるとパン工房に戻り、預かった数百個分のお金を戻す、という仕組みです。

これと同じことを弊社でもやろう、と今回踏み切ったわけです。

条件は、これまでに同じようなことをしたことがある、バイクの免許を所持しているドライバー。とにかく商店への顔が広くないと務まらない仕事です。

そこで、弊社の社員のツテを辿って、興味があると言ってくれた数名を面接することにしました。

条件が合わなかったりで数名とさようならをし、なかなか見つからないものだなあ、と頭を抱えていたとき。一本の電話がかかってきました。

英語を流暢に喋る彼の要件は、「あなた方の作る食パンの美味しさに感銘を受けました。」「もっと広めたいと思うから、販路の方を自分に任せてほしい」とのこと。

もちろん、商店への卸しの経験もある、とのことでした。

誰の紹介でもなく、ただ、うちの食パンを買って食べてみて、感動したから電話をくれた、そんな人でした。

初めての経験でしたが、(ラジオ出演の影響で、これまでもそちら経由での応募はたくさんありましたが)せっかくなので会ってみることにしました。

後日、工房に来てもらった彼は、綺麗なシャツをしたシャンとした青年でした。

しか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜し!

彼は私が全く想像もしていなかったお話を持ってきたのです。そう、ビジネスとは全く無関係の・・・

彼は重い病気を患っていました。回復のための手術を受けるためには、インドに行かねばならない。そのための資金を援助してくれないか。

ということでした。

初めはパンの話をしていたのですが、あれよあれよという間に彼のペースに引き込まれ、気づいたら彼の身の上話を聞いていました。(おい!笑

すごい営業マンです。笑

聞くと、同じような手法で、たくさんの外国人のところを練り歩いていると・・・。

手術の話があまりに突飛だったので忘れていましたが、「パンを売りたい」といってくれたことには嘘はなかったようです。どちらにせよ手術費を工面しなければならないので、働けるだけ働きたいと思っていたところ、うちのパンを見つけたということだそう。

小一時間ほど話を聞いて、しかし、うちの仕事をお願いするには条件が合わなかったため、お見送りしました。ほんの少額の募金をして・・・・。

こういう時、いつも感情に引っ張られすぎてしまい、つい「もっとたくさんお金を渡せたなら・・・」とか「私が今夜飲み会に使う金を渡せるほど善人だったなら」とか、よくない考えが頭をかけ巡ります。彼のように自分の非でなくても運命の悪戯で病気にかかってしまった人などに会うとなおさら、何もできない自分にどんどん落ち込んでしまいそうになります。

でもこのような考え方は改めるべきだと思っています。(突然。笑)というのも学生時代にボランティアをしていて、同じように、何もできない無力な自分に嫌気がさすことが何度となくあったからです。

一人の人間にできることは限られています。私は、すべての社会問題を把握しているわけではないし、知っていたとしても、それらすべてに能動的に関わりたいと思えないはずです。現に私は地球環境問題についてのアンテナは張っているものの、プラスチックを使わないように、そういった製品を買うことをやめたわけではありません。

頑張ったらできるかもしれないけど、それを頑張るためには他の色々を犠牲にしなければならず、それをすることが面倒だからです。

私たちは、日々、そんな小さな取捨選択をしながら生きています。

すべてを抱え込もうとしてしまうと爆発してしまいます。だから、各人が自分の琴線に触れたことにできる限りでゆるく関わっていけばいいと思っています。

そこで、今回話題にした営業募金青年に話は戻りますが、彼に仕事を渡せないからといって、彼に必要な額をありったけ渡せないからといって、自分を責める必要はないよ〜と、後日自分に言い聞かせてやっています。(それにお付き合いいただきありがとうございます。笑)

私が彼にできたことは、少額の募金をすることだけだったけれど、きっと彼を心から応援したい!と思う人が出てきて、その人が彼の人生を前に進めるための手助けをしてくれることを願おう、と思います。すごく他力本願だけれど。

私は、今自分にできることを、淡々と粛々とやっていこう。パン、売ろう。と思いました。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。



現地のニーズに合わせて

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

前回、食パンの袋を作ったはいいものの、現地で売られている他の食パンと見た目が違いすぎて、クレームをいただいたお話をしました。笑

タンザニアの普通の食パンに比べると、うちの食パンは大きさは半分だし、何より、食パンの耳じゃない白い部分が剥き出しで見えている状態で売られているのが、現地の人にとってはあり得ない!ということだそうです。笑

初めは「お客さんも見慣れたら何も思わなくなるよ」と、真に受けていなかったのですが、あまりにもたくさんのクレーム・・・と言いますか「なんで空いてるの?(食パンを焼いたままの丸ごとで売らないの?)」という趣旨の質問をいただくので、重い腰を上げて、ついに善処することにいたしました。

そもそもこの問題、何によって起こっているかというと、食パンを焼き上げる時のボックスの大きさです。

うちの工房で使っているサイズは、タンザニアの普通の食パンを焼くボックスに比べて一回り大きく、長さもあるものだったのです。(日本では一般的な大きさ)

そんなわけで、焼き上がりの食パンをそのまま袋に入れてしまおうとすると、大きすぎる!というわけで、半分にカットし、日本では忌み嫌われるパンの耳の部分はカットして販売しておりました。

このサイズ問題を解決するためには、そう、焼成用のボックスをタンザニアの現地サイズにして作り直すしかないのです。

というわけで、オーダーメイドで依頼してきました。

ちゃんと測ってくれてる。

ミリ単位のお仕事なので慎重です。


そして完成!ぱちぱちぱち

これで全方位耳付きの食パンを売り出すことができます。

ちなみに、この食パンのボックスができるまで、3回サイズ直ししてもらいました。ちゃんと測ってくれなかったからです。さすがタンザニアクオリティ・・・笑

サンプルのボックスが上がってきたので、これを複数個量産して、また食パンを現地マーケットに売り出していきたいと思います!

中が見えるデザインはダメ?

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

最近食パン売りの話ばかりしていますが、今回もどうぞお付き合いくださいませm(_ _)m笑

今日は食パンを売っていて驚いたことをここでシェアさせてください!!!

まずはこちらがうちの食パンです。

入れ方は違えど、日本の食パンに近いと思います。

食パンを一本焼いて半分にカットし、1cmの暑さにスライスしています。中身が見えるよう、袋も透明にデザインしました。

と・こ・ろ・が!

キオスクで販売していると、この食パンにたくさんのクレームが・・・!

さて、一体何を指摘されたのでしょうか。みなさんはわかりますか?笑

正解は、「なんで食パンが全部ホールで入っていないんだ!」です。笑

さて、これの真意ですが。。。

タンザニアの食パンは普通、一本丸ごと袋に入って売られています。


こんな感じ


「どうして上が空いているのか?」

という聞かれ方をするのです。笑

これには私も驚きました。上が空いている、というのはつまりスライスした後のパンの白い部分が見えている状態のことです。日本でいうパンの耳の部分で全部が覆われていないと気が済まないらしいのです!笑

冗談半分だと思いますが、「デリバリーの途中で腹減って食べてしまったんじゃねえのか?」と言われました。笑

店のマネージャーさんに聞き取り調査をした限りでは、「上が空いている」のが原因で買わないというお客さんが結構な数いるよ、とのこと。

まさかの、こんなところで躓くとは・・・。笑

弊社の社員は焼成時に使っているボックスをリニューアルしよう!と盛り上がっています。笑 これを理由にリニューアルすべきか?とても悩んでいます。。。



キオスクでの闘い方

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

今日も前回に引き続き、食パンを一生懸命売っているお話なのです。笑

前回は、スーパーマーケットで一生懸命食パンを売り込んでいると言うお話でしたが、今回はミニスーパーマーケットとキオスクでのお話です。

キオスクと言うのは、タンザニアのストリートでよく見かける小さな商店のことです。大抵の場合は、食料品に加え、日用雑貨なども販売されている日本で言うコンビニのミニバージョンのようなお店です。

先週から、現地の方向けに、小さな商店でも販売を始めていますが、なかなか課題が多く立ちはだかっています。

①魅せ方が難しい

乱雑・・・といっては商店の方に失礼ですね。いや、お店にもよりますが、あまり綺麗に商品を並べていないところがあります。

また、狭いスペースに所狭しと商品を並べるため、競合他社の商品に埋もれて置かれてしまうケースも多々散見されました。

せっかく綺麗に並べても、翌日行くと、上から別のパンが山積みにされていて、せっかくのパンが全て潰れてしまっている・・・というケースもありました。笑

②添加物を使っていないために賞味期限がすぐにきてしまう

これはしょうがないことですね。。。

うちのパンは4日しかもちません。食品添加物を使っていないからです。しかし、高温多湿のダルエスサラーム・・・しかも商店は冷房なしの状態。工房で実験的に置いておいてみていたよりも、ずっと足が早かったのです。これは私の算段ミスでした。。。

うちの食パンは焼きたてから一日くらいが美味しく、時間が経つにつれ、水分も抜けてくるためパサついてきます。タンザニアの方はトースターで焼き直すということをしないため、袋から出したそのままの状態がいかに美味しいかが勝負なのです。

しかし、たくさんの小さな商店に取り扱ってもらうことで、その管理が思っていたよりもずっと難しいことがわかってきました。。。A 店ではパンがなくなっていて、B点では2日前の食パンが売れ残っている。売れ残っていたら捨ててくれたら問題ないのですが、お店の方は決して捨ててくれません。賞味期限が切れていようと、切れてなかろうと、手元に商品がある限りは売ろうとします。

それを事前に防ぐためのオペレーションを組むことが難しいのです。厳密に言えばできることにはできますが、そこに時間とコストをかけるべきではなかろう、と今は思っています。難しい判断ですね。。。外部からのドライバーさんを雇えたらいいのですが・・・。

それもまた困難だというお話はまた次週以降でしましょう。笑

おかしな感覚ですが、最近まで食パンの袋がなくて、売りたくても売れない状態が続いていたので、課題は山積みではあるけれども、できることがある、というこの状態はとても楽しいです。変態みたいですね。笑

本日も読んでいただきありがとうございました。


スーパーでパンが完売!yay!

こんにちは、タンザニアのパン屋さん松浦です。

今日は前回に引き続き、食パンの販売進捗でございます!タイトルにあります通り、今回は嬉しいご報告です・・・!

スーパーマーケットで食パンが完売し、追加のオーダーをいただきましたーーーーーーーーーー!ぱちぱちぱち!

(といっても工房近くにある外国人向けの高級志向なスーパーマーケットなので、我々のターゲットとは少しずれているのではありますが・・・。)それでも販売できずに待ち続けていただけの時期が長かったため、感慨深いです。

何より、お客さまに買っていただけた!ということがうれしいですね。

今回は初回だったため、20袋を置かせていただいていました。売れ行きをみて、増減させましょう、とマネージャーさんと話していたのです。

しかし、我々の予想を遥かに上回る好調な滑り出しで、数時間で20袋全てが完売してしまったとのこと。すぐにマネージャーさんから連絡があり、「明日40袋持って来てくれ」と言われました。嬉しいですね〜。

これには、工房のボーイズも歓喜しており、報告するとみんな一様に満面の笑みでした。一人は嬉しすぎて顔を覆っていたのが印象的でした。

もっと多くのスーパーマーケットで飛ぶように売れるよう、気合い入れていきたいと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました。



待望の食パン販売へ

こんにちは!タンザニアのパン屋さん、松浦です。

タンザニアのダルエスサラームは、最近徐々に暑くなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。こちらでは、エアコンを稼働させなければやってられない季節が到来しつつあります。。。

さて、本日は、待望の食パンを販売し始めましたよー!というお話です。

食パンの袋がなかなかできずに、なんと8ヶ月(!)以上も右往左往しておりましたが、やっとでき上がったのでスーパーマーケットやキオスクへの卸しができるようになりました!というわけです。

待望の食パンの袋

営業部隊を組成し(といってもメンバーは4人しかいないため総動員笑)、めぼしいスーパーマーケットやミニスーパーに営業をかけていきます。

食パンの袋が出来上がるのを待っている間、スーパーマーケットのリストを作成していたので、それをもとに片っ端から食パンを売り込んでいきます。

大抵の場合は、マネージャーさんが店頭にいないため、食パンを1袋売り子さんに預け後日手直しとなります。運良く、マネージャーがいる場合は、その場で食パンを食べてもらい、壁に行ってもらえるようプレゼンします。

弊社の食パンは、日本らしい甘くて柔らかいのが特徴です。タンザニアのほとんどの食パンは乾燥気味でパサパサしているため、そこが大きな差別化ポイントとなっています。

ただ、クオリティにもこだわって作っているため、原料で他の食パンには値段でかないません。

例えば、他社の食パンが2000Tshで売られているとすると(日本の食パンと異なり、丸ごと一本で売られているのでめちゃくちゃ大きいです)、弊社の食パンは大きさはその半分ですが、同じく2000Tshします。

つまり、クオリティが高い分、お値段が張ります。

中間層はそのクオリティにお金を出してくれるだろうと思っての戦略ですが、いかに・・・・。

数日間営業を続けてみての所感ですが、マネージャーさんが一度食べてくれるとその美味しさを気に入ってくれ、値段にも納得してくれます。「この美味しさでこの値段だと安すぎやしないか?」と心配してくれたところもありました。笑

今までずっと待ち続けていたので、新しい現地のお客様から、生の声が聞けることは本当に本当にありがたいことですし、何よりやっていて楽しいです。

また一週間後にここで進捗をご報告できたらと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました!m(_ _)m

タンザニアのシャーマンキング

タンザニアでパン屋をやっています、松浦です。

今回は、タンザニアの呪術にまつわるお話です。


ひょんなことから「タンザニアには死者を蘇生できる人がいる」という情報を得た。日本語で聞くとインパクトがある。

タンザニアに長く住んでいると、現地の人が日常的に呪術を話題にしていることに気づく。私もこれまでに何度か聞いたことがあった。

だがしかし、今回は「死者蘇生」である。黒魔術はよく聞くけども、死者の蘇生については初耳だ。シャーマンキングだ。阿弥陀丸だ。麻倉葉だ。私は、それはそれは胸を躍らせた。科学では説明できない目に見えない世界のお話が好きな性分なのだ。

さて、「死者蘇生」スキルを持つ人物とは一体?私は好奇心120%で少し調べてみることにした。

その前に、何ゆえ私がこんなに興奮していたのかを説明しておきたい。それはこの情報を得ることになった経路にある。実は、このお話、タンザニア人ではなく、日本の、しかも普段はタンザニアないしはアフリカとは縁遠い生活を送る方の発信で知ったのである。

なので、私の調査のモチベーションは、①なぜアフリカから縁遠い日本の方が「タンザニアの死者蘇生能力を有する人物」について知り得ることになったのかということと、②そもそもその人物はタンザニアに実在しているのか、しているとして、現地ではどういう見方をされているのか、ということを知ることであった。めちゃくちゃ気になるじゃないか。

タンザニアの「シャーマンキング」の正体

さて、その人物について事前に分かっていたことは、

・死者蘇生スキルがある

・タンザニア人の牧師である

という2点のみであった。

ちょうど仕事をしていたので、社員にそれとなく尋ねてみた。しかし、「霊魂を呼び寄せるとかなら聞いたことあるが、死者蘇生は初耳だ」という。う〜ん、やはり噂に尾ひれがついていってしまったパターンか、と思った。

しかし、小山田まん太のファンはここで諦めるわけにはいかない。Googleよりもよっぽど精度の高い解答が得られることがあると名高いTwitterでも聞いてみた。

1時間後、

さすがTwitter!!!!!!!

まさかこんなに詳細の回答をいただけるとは・・・(中村葉子さんリプライいただきありがとうございます。)

これで名前が判明いたしました。ここからはGoogle先生に聞いてみる。

「タンザニア ガジマ 牧師」と検索窓に入力すると、記事がいくつか・・・ヒットするぅぅぅぅううううううう!!!!!??ちょっと動悸がした。だってちゃんと日本語なんだもの。日本語のめぼしい記事に目を通し、さらにスワヒリ語で検索すると、牧師について以下のことがわかった。

・牧師の名前は、Josephat Gwajima(ジョセファット・グワジマ)、2021年時点で51歳

・キリスト・タンザニア教会(GCTC)創設者、WEBサイトもしっかりしている

・Ufufuo Na Uzima(キリストタンザニア教会の栄光)省を率いるペンテコステ派の牧師であり、2021年現在、与党CCMのダルエスサラーム地域のカウェ選挙区の国会議員でもある

・2015年4月にタンザニアで武器・兵器の不法所持で逮捕された過去あり

・大和カルバリーチャペルの招待で数回来日し、宣教活動をしていた日本での集会の例)

・これまでに蘇生させた人間は400人以上と言われている

・日本語で本も出版されている

現在、タンザニアでCOVID-19ワクチン陰謀説を説いており、度々紙面を賑わせている

なんと、あのジョセファット・グワジマ氏であった。今月も数回紙面でお見かけしていたあのグワジマ氏だ。彼は、コロナワクチンが西欧諸国による陰謀であると説いており、現タンザニア政権の対コロナ政策と激しくバッティングするため、逮捕を巡って政府と一進一退の攻防を繰り広げている、時の人なのだ。しかも、なんと、保健大臣のドロシー・グワジマ氏は、彼の義理の姉だというから驚きだ。家族内に、ワクチン普及させる者とそれを陰謀説だと説く者が共存するというカオス・・・

しかしまあ、死者蘇生能力があると聞いてワクワクしていたのに、それが政治家だとわかると途端に胡散臭く感じるのは一体どういった摂理か。森の中で隠遁生活を送っていてほしかった。というのは、呪術に明るくないマグルの私が呪術師に対して持っているイメージの押し付けだ。

さて、人物が特定されたところで、肝心な彼の死者蘇生能力について見ていこう。

彼のWEBサイトを見てみると、死者蘇生に関する本も出版しているではないか。ちょっと購入してみようかと思ったが、34ドルと絶妙に高い値段設定だったので我慢しておいた。

WEBサイトには彼のYoutubeチャンネルもリンクが貼ってあり、見ていると、そこに死者蘇生のライブ動画があった。

亡くなった小学生女児を蘇生している。かなり大規模なイベントとして執り行っており、観客を前にステージ上で蘇生の儀式に取り組んでいる。

私のイメージしていた死者蘇生の儀式とはかなりかけ離れていたので、少々面食らった。私には詳しいことはわからないので、真偽の程を議論することはここでは避けたい。

ただ、ちょっと、おもてたんとちがう。

正直に心中吐露すると、残念である。

残念な気持ちの仔細を鑑みるに、それは彼が政治家であることと、この蘇生方法ゆえに、信憑性が疑わしくなってしまったことが起因しているように思う。

本当に死者蘇生ができるとして、なぜそれがステージ上でのパフォーマンスである必要があるのか。そこには本当に蘇生以外の不純な目的は介在しないのか。

彼がどういった思いで政界進出しているかは知り得ないが、政治家である限りは、自分の描くビジョンに向け、自分の動員できる人的資源や財を投じて大なり小なり戦略的に動く必要があるはずだ。

かなり大胆ではあるが、このステージ上での儀式も、支持者を集めるための単なるパフォーマンスではないのか、と勘ぐってしまったのだ。それが残念な気持ちの正体だ。

※日本とのコネクションについては、調べた限りにおいては、どういうきっかけでつくられたのかはわからなかった。

タンザニアの呪術事情

さて、グワジマ氏がおもてたんとちがったのは、ザニアで暮らす私が度々呪術(スワヒリ語でUchawi)について聞くことがあり、それで得た呪術に対するイメージと随分かけ離れていたからだ。調べながら分かったことだが、おそらく、グワジマ氏の蘇生の儀式は、そもそも呪術(Uchawi)に分類されない。

「死者蘇生」と聞き、私が勝手にスーパーヒューマンな力 = 呪術!Uchawi!と結びつけてしまったが、グワジマ氏は私の知る限り、死者蘇生をUchawiと関連づけてはいないのだ(そこまで詳細に彼の発言を知らないのではっきりとは言えないが)。

というわけで、ここから先は、死者蘇生の話は一旦箱にしまって、タンザニアの呪術(Uchawi)について私の見知ったことを書きたいと思う。

タンザニアの呪術にも色々な種類があるが、よく聞くのは怨恨による呪いだ。(豊作を願う雨乞いの儀式も昔聞いたことがあったが、私がいま住んでいる地域はシティシティしているためあまり聞かない。)

呪術師の元を訪れると、まずはカウンセリングがあり、その内容によって生贄として献上するものを指示され、終わると謝礼金を渡すという流れだ。(場合によっては謝礼金は先払いである)

ダルエスサラームでは、何か悪いことが起こると、「私、呪われてるかもしれない」ということがある。冗談めかして言うこともあるが、私の体感としては冗談じゃない場合の方が多い。口にする人は本気でそう思っているのだ。(この辺りのことは、井上真悠子さんの手記に現地の人がどのように捉えているのか詳しく書いてあるので、ぜひ参照されたい。)

とある事象を解決するために、科学では説明のつかない方法に頼るという点では、日本の霊媒師や陰陽師と似たようなものかもしれない。もっと身近なところでいうと、交通安全を願ってお守りを車に吊り下げたり、年初めに今年こそは大学に受かりますようにと神社に詣でたり、50m走のタイムが10.9秒と絶望的なので翌日の運動会が中止になるようてるてる坊主を逆さに吊るす、といったような類のものだ。

タンザニア人にとっての呪術が、今挙げた日本の例ほど身近な存在かと問われると、もうちょっと気合を入れて取り組むものだと思われる。だがしかし、ダルエスサラームでも都心からちょっと外れると、呪術師の名前と電話番号が書かれた手書きの看板がそこらに貼ってあったりするため、やはり我々日本人が「呪術」と日本語で聞いて連想するイメージよりは、ずっと身近な存在な気がしている。

昔、私が友人から聞いた話を紹介したい。彼は、Sumbawanga(スンバワンガ) というタンザニア西南部に位置する、呪術が活発であることで有名な地域の出身だ。話はこうである。

ある男がバイクを盗んだ。バイクの持ち主は犯人を特定し、返却を依頼したが、あれやこれやと理由をつけて返却してもらえなかった。怒った持ち主は、呪術師に相談した。呪術師に指示され、彼は、盗んだ者に掛け合い、返却までに1週間の猶予を与えた。これが最後のチャンスだと。しかし盗んだ者は相手にしなかった。そこで1週間後、呪術師によって黒魔術がかけられた。盗んだ者は、数日後に雷に打たれ、還らぬ人となった。

友人曰く、このような事例が彼の出身地では溢れているそうだ。

呪術の様子がより仔細にわかるレポートとして、2013年からダルエスサラーム大学に同時期に留学していた小池茅くんの呪術師弟子入り体験話がある。もちろんこれも呪術の一例でしかないが、写真付きなので、よりイメージしやすいと思う。

タンザニアの呪術をより詳細にイメージできるものとして、作家の中島らもさんの著作「ガダラの豚」も大変助けになると思う。私は人生初めてのタンザニア渡航前にこの作品を読み、まだ足を踏み入れたことのないタンザニアへの憧憬を募らせまくった。今から9年も前のことである。

ちなみに、日本でアフリカの呪術が話題にのぼるときは、大抵「アルビノ狩り」がセットになっている。一部の呪術師の間では、生贄としてアルビノの人の身体の一部(臓器である場合もある)が重宝されることがあり、国際社会から批判を受けまくっているのは、何を隠そうタンザニアのお話なのだ。(日本財団監修のこちらのレポートに詳細が書かれています。)

タンザニアの呪術は、こういった闇も孕んでいる。

ソーシャライズされた今時の呪術

先に紹介した私のTwitter投稿を見て、アフリカの大先輩が面白いことを教えてくださった。今時の呪術師はSNSで広告を打っている、と。

試しに教えてもらった通り、Facebookで「witch doctor」と検索窓に打ち込んでみる。「near me」や「for hire」が自動サジェストされるのが面白い。

画像1

いくつかの投稿が出てくるので見てみると、TOPのイメージ画像がきちんと設定されていたりと抜かりがない。

画像2

呪術師がSEO対策したりターゲティング広告を打ったりしていると思うとちょっとおもろい。何がおもろいって、ちゃんとマネタイズして呪術でもって生計を立てようとしていると想像すると、人間臭さが立ち込め、たちまちスーパーヒューマンな厳かさが消え去ってしまうではないか。

だがしかし、今時の呪術師は、そんな古臭いブランドイメージなどとうに刷新済みなのだ。いつだって時代の最先端をいく者は、クリエイティブでなければならない。

(私は普段Facebookを使うことがあまりないため、これまで呪術広告にお目にかかることはなかったが、アフリカのとある地域では広告が出るそうです。)

治安を維持する呪術

書きながら思ったことだが、呪術は今でいうところの警察の機能を担っていたのではなかろうか。

行政の発達していなかった時代は、村に悪を成敗できる絶対的な権力がなかったはずなので、治安を維持するための存在として呪術師が重宝されたのかもしれない。

「悪いことをすれば災いが訪れる」と人々が信じることは、悪行を企てる者にとっての抑止力になるはずだ。

かくいう私も黒魔術をかけられることは怖い。誰かに恨まれていると想像するだけで気に病んでしまう。そして、誰かを恨んでしまうことはもっと避けたい。だから普段から徳を積んでおきたい。

しかし、徳が積めているかは不安なので、その不安を解消するために、予防としてお守りなんかがあるのかもしれない。

そういえば昔、マサイのおばあちゃんから「邪気を払う砂」と「悪いことが起こった時に割れる木肌の破片」を購入したことがあった。あれをもう一度買っておいたら良いだろうか。

あの「砂」と「木片」が、災いから私を守ってくれたのかは知れぬ。だが、私は今も元気に生きているので、然るべき時に何かしらの効力を発揮してくれていたのかもしれない。あのおばあちゃんの行方はわからないので、私もSNSで呪術師にコンタクトしてみようか・・・。


今回も読んでいただきありがとうございました。m(_ _)m

私は呪術についてあまり明るくないので、こういった研究の論文やおすすめの参考図書があればぜひ教えてください!(パン関係ないという・・・笑)

鳴り止まぬ電話

タンザニアのパン屋、松浦です。

今回は、前回の記事で書いた「ラジオ出演」のお話に引き続き、起こった出来事にまつわるお話です。


2021年8月1日、タンザニアの国営放送局(以下TBC)のラジオに出演した。日本でいうところのNHKみたいなものだ。日曜日の午後、小一時間ほどパーソナリティとおしゃべりする小さなコーナーだった。

ラジオっ子の私は、タンザニアでの収録の様子がどんなもんなのかを知りたいという好奇心のみで引き受けた。タンザニア生活における珍経験としてまた一つ経験値があがる〜うふふふふ、てなくらいのノリだった。

今回、私がゲストとして声をかけられた経緯としては、NHK WORLDのスワヒリ語放送でのゲスト出演がきっかけとなり、それを聞いてくれていたTBCのパーソナリティの方(私が対談したご本人)が指名してくれたとのことだ。大変光栄なことである。

うっきうきドキドキして臨んだラジオ収録は大変楽しかった。全く想定していなかったが、公共電波の影響力は大きく、反響もとても大きかった。(現在進行形で続いている)

だがしかし、副産物的に自分の力の無さを思い知り、うんと悶々することとなった。今回は、そんなラジオ収録にまつわる小話を備忘録的に残しておきたいと思う。

突きつけられるコミュニケーション能力不足

タンザニア人のアベレージのコミュ力が著しく高いことについては最早疑いの余地のないことであるが(前回のnoteにも書いた)、それに輪をかけて放送局の方々は凄かった。パーソナリティなんかはその道のプロなのだ、そりゃうまいに決まっている。

彼らはオンエアーだろうとそうでなかろうと、時折爆笑を交えながらおしゃべりに興じていた。ずっと話しっぱなしで疲れないのだろうか?と心配になるくらいであった。

私の前にも一人ゲストが来ていたが、彼女は、放送持ち時間の1時間を20分ほど過ぎてもなお喋り足りない様子で、スタッフが周りで止めようと必死だったのが面白かった。パーソナリティのガンガナさんに半ば強制的に話を切られ、開口一番「まだ10分しか話してないわよ?」とケロっとした顔で言ってのけていたのには大変驚いた。

しかも、彼女はウィットの効いたジョークを連発してスタッフを何度も笑わせていたので、後続の私は無駄に緊張することになった。できもしないのに精神面だけ一丁前に芸人である。

そんな緊張の中、臨んだ生放送。あろうことか、私は踊らされた。

画像1

ラジオ放送だぞ。もちろん視聴者には見えない。

なぜこんなことになったのか。

理由は明白である。私の話術の欠如が災いし、持ち時間を盛大に余らせてしまったのである。

しかも、パーソナリティのガンガナさんは、事前の下調べもめちゃくちゃしてくれていた。私の細かい経歴はさることながら、Instagramから色々なおもしろ写真まで引っ張り出し、わざわざコピーして収録現場で見せて話のネタにしてくれたのだ。

それなのに。私の前のゲストは時間が足りなかったというのに。のに、のに、のに・・・・。

結果がこれである。汗だくで踊るアジア人。

実は収録後に聞かされたのだが、この収録の様子は後日テレビでも放映するためにビデオにしっかり納められていた。いかついカメラを抱えたお兄さんの存在には気づいていたが、Youtubeをやっていると言っていたので、一部を宣伝用に流すのかな?と思っていた。がっつりテレビでの放映だったとは。

そのために、私の頭上では照明が焚かれていた。激アツの熱が降り注ぐなか、空調がほとんど効いていない室内での収録はめちゃくちゃ暑かった。そんな中で踊ったので、私は汗みどろである。今年最大のこんなはずでは、だ。

これもそれも全部、私の話題提供能力が足りないからだ。

鳴り止まない電話

想像していなかったが、放送後、電話がめちゃくちゃかかってきた。

特に、テレビ放映後の方が凄かった。さらにDMが止まらなくなった。昼夜問わずスマホが鳴り止まない。ついに私はスマホの通知をオフにした。

ガンガナさんは放送中、機転を利かせて弊社の電話番号を公表することを控えてくれた。放送後に連絡が殺到することをわかっていたそうだ。代わりにInstagramのIDを伝えるだけに留めてくれた。彼の英断に感謝したい。(それでもパン屋の名前で検索したりすればすぐに電話番号は出てくる)

InstagramのDMは放送から2週間以上たった今でも来続けていて、合計1,000件は超えているのではないかと思われる。(Instagramの機能で、一度にたくさんメッセージが来ると、99件以降は件数が表示されなかった。)

さて、連絡してくれた人々は、放送中宣伝した食パンに関するお問い合わせか?と思われた。思われたというか、そう願っていた。

しかし、99%が「仕事をください」という内容の問い合わせだった。

残念ながら、弊社もコロナの打撃をもろに食らったので、結構ギリギリでやってきている。今、空いているポジションはないのだ。涙

仕事の電話もかかってくるため、電話がかかってきたら出ないわけにもいかず、応答すると、こちらの心の準備もできていないうちに、「困窮しているので助けてくれ」と、悲痛な嘆きを聞かされることになった。

中には、工房(兼私の自宅)までアポなしで直接来てしまう人もいた。熱意は認めるけれども、正直言って迷惑だ。私たちは、その都度作業の手を止め、突然の来訪者のために時間を作らないといけない。(パン屋だって忙しいんだぞ・・・!笑)

切腹願望を誘発するもの

数々の人がうちで働きたい!と果敢に連絡をとろうと画策してくれたが、一人だけ、強く印象に残った人物がいる。

彼は、他の数多の人と同じように電話をかけてきてくれた。ただ一つ、他の人と違ったことは、彼が電話先でビジネスの話を持ちかけてきたことだった。

彼の話はこうだった。

1. 自分はセールスの経験が豊富なので、パンをマーケットに売り込むことができる。

2. 個人的に孤児院をサポートしているのだが、その孤児院で朝食として提供する食パンとしてオーダーは可能か?

とのことだった。

特に、セールスパーソンについては、人員を増やそうかと検討していたので、経験者なら契約しても悪くないか、と思った。二つ目の孤児院についても、弊社としてサポートできることがあればそれは本望だ、と思い、一度詳しく話を聞きたいと思った。

ところが、後日やってきた彼の話を聞いてみると、なんと主題は彼自身の手術にかかる費用のカンパ依頼だった。電話でそれを話しても聞いてもらえないと知っていた彼は、彼なりに知恵を絞ったのだろう。

もちろん、彼が電話で提案してくれたことは嘘ではなかった。しかし、それ自体は条件が合わず、一緒にはできないこととなった。

私は仕方なく、彼の莫大な手術費用の足しになるかならないかわからないくらいの雀の涙のような額を渡し、お別れをした。

ラジオ放送の反響が思わぬ形でもたらした副産物を前に、私は見えない刀を引き抜き、腹を切った。小心のせいか脂肪が厚すぎるせいか妄想の中でさえうまく切れない。

自分の無力を思い知った。

「タンザニアにきて出会った青年を直接雇用したい」と思って始めたパン屋であったが、全然人は増やせないし、ビジネス自体も底辺を這いつくばりながらなんとかやっているレベルなのだ。

自分のことで精一杯な私は、本当に助けが必要な人に手を差し出すことができない。DMはあまりにも件数が多く対応できなくなって、ほとんど無視していることだし。

きっと放送されたインタビューの中で私は、「女神様」のように写ってしまったのではないか?もちろんそれは私が意図していないことで、インタビュアーの質問に正直に応えていただけなのだが、「どんな人でも助けてくれる人」のように写ったかもしれない。現実はそんなことないにもかかわらず!

※インタビューの内容はスワヒリ語ですが、主にこのページで語っているような内容を受け答えしました。

人一人ができることなんて高が知れている

少しく時間が経過し、少しだけ心の整理がついた。

「誰しも一人で全世界の哀しみを背負えるわけがないので、私は私にできることをやろう」

と開き直ることにしたのである。

いや、こんなに悩んでる風やったのに最後は開き直りか〜い!とツッコミたくなることだろう。すごく、よく、わかる。

でも、どんなに思い悩んだところで、弊社のパン屋の事業が明日から急拡大するわけでもないし、お空からお金が降ってくるわけでもない。

だから、思考法を変えるしかない。

私に今できることだって限られているのだ。

他力本願極まりないが、私ができないことについては、誰か他の人の琴線に触れ、それが良い方向にいきますように、と祈ることしかできないのである。

全部はできない。できないけれども、目を瞑って居続ける方が苦痛だったので、私はタンザニアにのこのこやってきてパン屋などしている。

奇異な目で見られることも多々あるけれども、何もアクションせずにいるよりは悶々とする時間は格段に減った。

放送を見たり聴いたりして、ここだったら仕事もらえるにちがいない!という思いで連絡をくれたたくさんのタンザニアの方、ごめんなさい。私はあなたが思っているほど優しくないし、力もないんだよ。

と、ここで懺悔しても届かないが。

コミュ力も欠如している私は踊り狂うしか能がないが、行くつく先もきっと微々たるものだけども、とりあえず私は今日も明日も一生懸命にパンを売る。


今回も読んでいただきありがとうございました!m(_ _)m

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