アラブからケーキ依頼の電話?!

こんにちは!タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。

最近、タンザニアは小雨季に入っているらしく、連日土砂降りが続いています。。(地味に、デリバリーの時にパンを入れたケースが濡れないよう気を遣います。)

さて、前回はレストランへの卸しについて書きましたが、本日はカフェへの営業について書いていきたいと思います。

おしゃれなカフェ①

ダルエスサラームにも最近、おしゃれなカフェがどんどん増えてきました!(隣国の都市ナイロビには負けますが・・笑)外国人向けのハイソなカフェです。

しかーーーし!!!こんなに内装がおしゃれでも、カフェ内に立派なパティスリーを抱えているところは、実はあまりありません。

どのカフェを回っても、置いてあるケーキや小腹を満たすためのパン、ドーナツはどれも同じようなものばかり。正直言ってクオリティもあまり高くありません。

そこで弊社の出番でございます!そう、当店の美味しいパンやサンドウィッチ、そしてケーキを取り扱っていただけないか・・と。

そんなわけで、デリバリーに支障を来さない範囲にあるおしゃれカフェに、先日から営業に回っておりました。

私たちの作っているパンを、コーヒーのお供のスナックとして取り扱ってもらえないか・・と。

営業のお供は、普段作っている惣菜パンや、菓子パンのラインナップです。

日本でもおなじみのメロンパンやカレーパンなど。

ありがたいことに、どのカフェの反応も思っていたよりも好感触です。あまり馴染みのない惣菜パンや菓子パンも、「ぜひ取り扱ってみたい!」と言っていただけました。

しかし、どのカフェからもすべからく同じ一言が。

「・・ところでケーキも持ってきてもらえないかな?」

これはタンザニアあるあるなのかもしれませんが、「ベーカリー」と聞くと、みんな「イコールでケーキも作れる!」と思っているようです。

日本では多くの場合、パン屋とケーキ屋さんは別れているため、はじめは「そんなバカな?!!」と面食らいました。きっと、「同じ小麦粉を混ぜて焼くんだから大体一緒でしょ?」ということだと思います。さすが大雑把・・!(笑)

友人の誕生パーティにて。カラフルで華やか。

ちなみに、タンザニアのケーキも例に漏れず、砂糖たっぷりの硬くてパサパサした超甘々ケーキがスタンダードです。おしゃれなカフェでも、美味しいケーキで出会えることは早々ありません。

そんなわけで、カフェのマネージャーもこぞって、私にケーキについて尋ねてきたのです。

とはいえうちはパン屋です。はじめは、「うちはパン屋なんで。」とハッキリキッパリ断っていました。が、毎度ケーキについて尋ねられるので、とうとう重い腰をあげることにしました。

「そんなに欲しいなら作ってみてやろうじゃないか・・・!」こうして、カフェで卸せるケーキ開発の日々が幕を開けました。

以下、最近作ったケーキたちです。

ガトーショコラとパウンドケーキ3種
パイナップル、ココナッツ、バナナなどタンザニアのフルーツたっぷりのマフィン

以上のケーキを社員たちにはマスターしてもらいました!

焼き菓子以外にも、もう少しラインナップを増やしたいところですが、これまでのところの成果はこんなところです・・。

(実は、これまでも誕生日会用のデコレーションケーキの問い合わせを何度もいただいておりました。が、デコレーションケーキとなると、工数が焼き菓子以上にかかってくるため、一旦は保留・・とさせていただいております。)

早速カフェのマネージャーさんたちに試食してもらいます。

「・・・!これは!superだ!!!!!」

と絶賛していただきました。(笑)来週から3店舗で置いていただく予定です。

さて、このケーキを開発している最中、なんとアラブ人のカフェマネージャーから先日電話がかかってきました。

「君のところのケーキがfantasticだと聞いたんだが、一緒にビジネスができないか?」と。

どうやら、カフェマネージャーさんたちの横のつながりで、噂はアラブまで飛んでいっていたようです。(ありがたや・・)

話を聞くと、数ヶ月後にダルエスサラーム市内でカフェをオープン予定とのことで、それに合わせてケーキやパンを卸してくれるところを探していたようです。

と、このような感じで、最近はパン屋改めケーキ屋さん(?)のようなことをしておりました。

しかし、安心してください。(笑)今まで通りパンは毎日焼いており、社員たちの腕もメキメキ上がってきています!成形のスピードは速くなり形も前より随分よくなりました。

そんなわけで、最難関である「クロワッサン」づくりにも着手しております。

次回はその様子をお届けしたいと思います^^

パンの卸先開拓!①

こんにちは!タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。

さて、今回は、パンの卸先開拓について書いていきたいと思います。

いま、弊社ではランチタイムのデリバリーを主に行なっております。が、それだけでは足りない・・売上が足りないのです。そんなわけで、卸先を開拓すべく、めぼしいレストランやカフェを見つけては売込営業をしています。

以前卸していたスーパーマーケット

以前、ハイソな奥様方をターゲットにしたオーガニックスーパーマーケット(上の写真)にもパンを卸していましたが、売行きが思っていたよりも芳しくなく、1週間で撤退しました。

そんなわけで、先週から新規で2軒の卸先を開拓しました。

1軒目は、お昼時に外国人も多く集まるというレストランです。

2階席は風が抜けて気持ちいい。

隣は、スタートアップ企業やフリーランスワーカーが集まるシェアオフィスになっている、おしゃれなカフェレストランです。

朝はチャパティ、昼はタンザニア料理のビュッフェを提供しています。が、メニュー数が少ないため、常連客からは「もうちょっとバリエーションが欲しい」という意見が寄せられていたそうです。

そこに運良く、弊社のパンの営業がやってきた!ということで喜んで受け入れてもらえました。

そして早速、先日卸してきました様子がこちらです。

パンも値段もみえない・・

ってオオオオオオオーーーーーーイ!!!!!!!!

前日にディスプレイの指示を出していたのに全く無視されている!(笑)さすがタンザニア・・期待を裏切りません・・・

その場で自分でディスプレイをやり直しました。(笑)

ディスプレイを変更し、翌朝パンが5つ売れた、と連絡がありました。これからもう少し動きを見ていきたいと思います。

2軒目は、お金持ち外国人向けのジムに併設されているレストランです。

ゴルフ場、テニスコート、サッカー場など施設が充実している

こちらのレストランでは、お昼過ぎ〜夕方にかけ、子どもを連れたマダムがよくお茶をしにくるということで、そういった人たちのティーセット商品としてパンを売り出すことにしました。

というわけで、まずはディスプレイ用の棚の準備です。自分たちでサイズや資材を決めてデザインし、作り手さんにお願いしました。

そして上がってきたのがこちら・・

ってオオオオオオオーーーーーーイ!!!!!!!!(本記事2回目)

言うてたサイズもマテリアルも全然違うっっ!!!!!!(笑)センチ単位で測って指示書に書いていたのに、まるっきり無視です。そして仕事が限りなく雑。(笑)

このあと、3回やり直しをしてもらい、ようやっと使えるものになりました。

ディスプレイ棚の準備を終え、お次に立ちはだかる壁はレストランマネージャーとのアポ取りです。

これはタンザニアあるあるですが、アポは取れるのに実際に会えないのです。・・え?

そうです。タンザニアでは当日ブッチされることが日常茶飯事なのです。

ここのマネージャーさんはインド系の方だったので大丈夫だと思っていましたが、やはりタンザニア人でした。(笑)毎度2時間待たされることはザラで、悪い時には連絡が一切取れません・・。

結局ちゃんと対面で会うことができたのは2週間後でした。

ここもどれくらい売れるのかウォッチしていきたいと思います!

以上、ここ最近の卸先開拓でした!次回は、カフェへの卸しについて書いていきたいと思います。

タンザニア人にも日本のパンはウケるのか?!

こんにちは!タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。

今回は、先日ダルエスサラームで開催された夏祭りの様子をレポートしたいと思います!

「え?タンザニアで夏祭り?」

そうです、そうなんです!ダルエスサラームでは毎年、現地の日本人会によって夏祭りが開催されています。

模擬店では、焼きそばやかき氷などの日本食が振舞われ、ダンスなどのパフォーマンスも楽しめる一大イベントとなっています!

剣道のパフォーマンス

真昼間に外で開催される夏祭り。「パンなんて一個も売れないのでは・・・?」と心配が拭えぬまま迎えることになった当日。各店舗で200食以上用意することが決められていたので、不安に思いながらもとりあえず準備をします・・。

もしもの時のために・・と、この日は気合いを入れて朝3時から仕込みをはじめました。

というのも、ボーイズがパン作りをはじめたのはほんの1ヶ月前。時々(いやほぼ毎日…?笑)何かしらのサプライズを起こしてくれるので、万が一のことを考え、いつも少し早めに始業しています。

この日もいつも通りに仕込みのミキシングを終え、成形へ・・と思いきや!!!!

やはり、期待を裏切らないボーイズ・・。なんとお塩の分量を計り間違えてしまっていたらしく、いつまで経っても生地の発酵が進みません。土壇場ですべて作り直しになってしまい、みんなでドタバタする羽目になりました。(笑)

いくら我々が失敗しても夏祭りの開始時刻は待ってくれません。この日1日で、私は会場と工房を5回行き来することになりました。こんなに走り回ることは2度とないと思います。(と、願っています。笑)

ともあれ、200食分用意したパンの行方は・・?

なんと、皆さまの応援のおかげもあり、すべて完売しましたー!(パチパチ)

嬉しいことに、現地のタンザニア人も私たちのパンをとても気に入ってくれました。多い人は一人で4回も買いにきてくれました。

カレーパンを何度も買いにきてくれたお兄さん。

カレーパン、照り焼きチキンパン、クリームパン、メロンパンなど、日本ではお馴染みの惣菜パン・菓子パンを販売したのですが、ダントツで一番人気だったのは・・・

そう、カレーパン!カレー人気は国境を越えるんですね・・!(感動)

タンザニアには惣菜パンや菓子パンがないので、皆さん、パンの中に一体何が入っているのか興味津々なご様子でした。

また、その場で食べてくださった人たちは「柔らかい〜!」「美味しい〜!」と大変喜んでくださいました。

というのも、タンザニアのパンはどれもパサパサですから・・。(^_^;)

夏祭りが終わる頃には、ありがたいことにお客様が殺到してくださり、お手製のディスプレイもボロボロに・・(笑)

まるで怪文書

何はともあれ、完売してよかったです!

普段、パンを食べてくださった方のコメントを直接聞く機会がない社員たちも、この日ばかりはたくさんの「美味しい〜!」が聞けてとても嬉しそうでした。

スワヒリ語しか話せない中、接客よく頑張りました!

この日、もう一つ大きな収穫がありました。

なんと、国際機関で勤務されている方がパンを買ってくださり、「ランチデリバリーをお願いしたい!」と声をかけてくださったのです!!!(歓喜)

営業先の開拓で行き詰まっていたところだったので、願ってもみない依頼でした。次に繋げられるように地道に頑張りたいと思います。

タンザニアの夏祭りレポートいかがでしたでしょうか?私は、この日忙しすぎて盆踊りに参加できなかったことだけが心残りです。来年はもっと余裕を持って臨みたいと思います!(笑)

さすがタンザニア!一筋縄にいくわけがない。。

こんにちは!タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。

さて、2019年8月に無事(?)オープンした工房ですが、実はオープン前にたくさんのドタバタ劇がありました。今回はその様子をダイジェスト版でお届けいたします!

役所にて賄賂要求、たらい回しにされまくる

アフリカでビジネスを始めるにあたっての最初の関門といえば、なんといってもワークパーミットやビジネスライセンス等の役所手続きです!

なんとなく人づてに噂は聞いてはいたのですが、待ち受けていたのは聞きしに勝る大きな壁でした・・・。

「取得の必要はない」と後からわかった、たくさんの書類たち

いざ役所へ行くと、役所同士が連携していないためにたらい回しにされてしまうのです。例えば、ある書類を取得しに役所Aへ行くと、

「書類Aの取得には書類Bが必要です」と言われ、

役所Bへ行くと、

「書類Bの取得には書類Aが必要です」と追い返されてしまい、謎のループからなかなか抜け出せないのです・・

それに加えて役所には、まるでハイエナのような目をした役人が、勝手を知らないガイコクジンを狙ってここぞとばかりに賄賂を要求してきます。

「書類Aの作成は本当だったら1週間かかるんだが、そこを私の力で1日でやってあげよう。さあ、金を出しなさい。」

と、耳打ちしてきます。もちろんそんなお金を支払う必要は全くありませんが、相手もなんとかポケットマネーを手にしようと言葉巧みに私を惑わしてきます。

そんなことが日常茶飯事なので、

もう、一体全体誰を信じたらええねぇぇぇええぇえええぇぇえぇええん!

と、エセ関西弁が口をついて出てきて無いちゃぶ台を何度もひっくり返したくなりました。

「アフリカでビジネス始めるのマジ大変」とはよく言いますが、その理由の一つは、役所での手続きの複雑さにもあるようです・・。

早朝からたくさんの人が並ぶ労働局支部

私の場合、法人登記をしたのが2019年1月でしたが、やっとワークパーミットが取得できたのが半年後の7月でした。そして、9月末にもなる今、未だにレジデンスパーミットは許可が降りるのを待っている状態です。

同様に、ビジネスライセンスや食品衛生管理局の許可取得にも数々の関門が待ち受けており、ビジネスを始める環境を整えるのにも一苦労です。。

工房が決まらない。。

さて、役所手続きのお次は工房決めです。御察しの通り、こちらもなかなか決まりません!(笑)

5ヶ月間のうちに契約までしたのが2件、3件目でようやく今のところに落ち着きました。

はじめに入居を決めたところ

はじめに入居を決めたところは、半年分の家賃を納めた後でしたが契約を解除しました。オーナーさんが海外在住ということもあり、約束していたにも関わらず、家の修繕に全然コミットしてくれず、諦める形となりました。(門の鍵はずっと壊れっぱなし、かつ契約直後からオーナーさんと連絡が全くつかない)

その後、弁護士を間に挟んで揉めに揉め、2ヶ月後にようやく前納金の一部を返済してもらうことができました。

2件目は、契約書にサインした後で、オーナーさんに「やっぱりダメ」と断られ泣く泣く諦めることになりました・・。

なぜ断られたかというと、もともと普通の住居である場所をパン屋の工房として使うため、一部キッチン用に内装工事をする必要があったためです。

契約に際し、担当してくれていたマネージャーさんは「オーナーと話はつけておいたから全然OK!」と言っていました。しかし、実のところはオーナーさんの許可をとっていなかったのです・・!1ヶ月以上かけて交渉を進めていたのに、土壇場でダメになってしまいました。

3件目でようやく決まった念願の工房!

家がなかなか決まらなかったもう一つの理由は、交通アクセスの良いところを選ぶ必要があり、そうなるとダルエスサラーム市内ではかなり場所が限られてくるからです。

ダルエスサラーム市内では、他の発展途上国でも見られるように朝晩の渋滞がとても酷いです。

もともとホテルなどへデリバリーすることを見越していたため、あまり街から離れてしまうと、配達地への往復だけで毎日数時間ロスすることが考えられます。

なんとかしてそれは避けたい・・!と思うと、どうしても高級住宅地になり、そうなってくると今度は家賃がべらぼうに高い・・天秤にかけてもどちらも良い勝負っっ!

と、頭を抱えていたところに救世主が現れてくれました!

以前より親しくしてくれていた中国人の方が、困っている私を見かねてシェアハウスを申し出てくれたのです・・!

「毎日パンを食べさせてくれるなら良いよ!」と快諾してくれ、家賃を半々にしていただきました!(泣)捨てる神あれば拾う神あり、ですね。。

中国から届いた機材はポン・コツの助でした。

「おい!今門にぶつけたぞ!どうすんだよオイ!!!!」

さて、クラウドファンディングで資金を募り、中国から輸入した製パン機材のお話です。受取がかなり難航したものの、7月末にようやく搬入させることができました!(パチパチ)

3月に中国に買いつけに行ってから、約4ヶ月後の受け取りとなりました。本当は1ヶ月半後には受け取れるという話だったのですが、支払いや製造の件で大層揉めました。。何はともあれ、無事に受け取ることができ、ホッと一安心ですー。

と思ったのもつかの間!やはり4千年の歴史を重ねた大国が相手では何事も一筋縄ではいきません!

届いた機材のうち不良状態だった機材は3台もあり、翌日からジャクソンは腹と頭を痛めることとなりました。(笑)

まず、ミキサーが動かない!

タンザニア人技師「このメーカーさん仕事テキトーすぎるアルヨ!」

こちらは中の配線がうまくいっていなかった模様。タンザニア人の技師さんを呼んだところ、すぐに直してくれました。・・一生動かないと思いました(涙)

そしてオーブン。

こちらはスチーム機能がついたものですが、見事に蒸気が出ません・・!蒸気が出ないと、バゲットなどハード系のパンをつくることが難しいので大変困りものです。

さらに追い討ちをかけるように発酵機(ドーコン )が正常作動しない!!!!!

エラー表示・・

こちらの機械は天候に左右されずにパンを発酵させるために、内部で安定した温度・湿度環境をつくりだす機械なのですが、まるで勢いよく大気圏を突破するロケットのように温度も湿度も永遠に上昇し続け制御が効かない!という代物だったのです。


これはパン屋さんにとっては致命的なので、連日文句の電話をかけ続け、スペアパーツを送ってもらいました。

そして3週間待ってようやく届いたスペアパーツが、こちら。は?

ご覧の通り、全くサイズの異なるパーツが届きました。(笑)

この状況には、さすがのジャクソンも怒りの感情を通り越し大爆笑を禁じえませんでした。

同居人「ワイにまかしときなはれ〜!」

もうこの発酵機は諦めなければ・・と思っていたのですが、なんとサイズの異なるパーツも力業で取り付けることができました!(驚)耐久性がどれほどあるかは謎ですが、今のところ温度も湿度も地球上レベルで留まってくれているのでこのまま使ってみようと思っています。

もともと資金が不足していたので中国からの輸入は致し方なかったのですが、やはり日本の製パン機材は素晴らしいです・・。中国の機材を2ヶ月使ってみてひしひしと感じています。(せめて、ミキサーは日本製のものに替えたい・・)

粉を扱うのにネイビーのエプロンを選択するというド素人ぶりを発揮!

いかがでしたでしょうか・・?今日までの奔走っぷりを楽しんでいただけましたら幸いです!

次回は、タンザニアで開催された夏祭りの様子を記事にしたいと思います!

アラサー女がタンザニアで一人パン屋を始めることになった理由②

タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。

前回、自己紹介として、私がアフリカはタンザニアに流れ着いたところまでをお話させていただきました。

今回の記事では、なぜパン屋さんをすることにしたのか、についてお話したいと思います。その前に、少しだけ社員のことについて話したいと思います。

明日のご飯の心配をしなくてもよくなるの?

さて、タンザニアで雇用をつくるために現地でビジネスをはじめることに決めた私ですが、対象としたいのは、いわゆるホームレスの青年たちです。

例えば、今年25歳になるKelvinは、生まれてすぐに両親をエイズで亡くし、おばあちゃんに育てられていました。しかし、6歳になった時にそのおばあちゃんも亡くしてしまい、それからはストリートで生活しています。

一度は学校に通っていた時期もあったそうですが、一人で生きていくには食い扶持も稼ぐ必要があります。昼間は、信号待ちしている車の窓拭きで小銭を稼ぐようになり、学校へ通うことは諦めざるを得ませんでした。

うちの工房にくる前までは、同じような境遇の仲間で集まり、助け合いながらストリートでの生活を送っていました。

ストリート生活を送る少年・青年には十人十色の事情がありますが、彼らの多くは、Kelvinのように幼い頃に両親を亡くしたりして学校をドロップアウトし、学歴のないままに大人になってしまいます。

毎日がその日暮らしのため、それを打開するための十分なお金やそのための教養も身に着けることが難しいのです。

私がタンザニアのダルエスサラームで出会った青少年たちは、助け合いながら清く生きていましたが、何かのきっかけで彼らが窃盗集団に成り果てても誰も責めることはできません。実際、ダルエスサラームでは、夜間の青年による窃盗事件が多発しています。

上の写真の子たちが寝泊まりしているエリア。この辺りで雑魚寝している。

また、タンザニアでストリート生活を続けるのは、常に危険との隣り合わせでもあります。

寝ている間にスコールがくれば、避難場所を探すために夜中に雨の中を彷徨わなければなりません。また、マラリアを媒介する蚊に刺されれば、翌日から高熱と闘う羽目になり食い扶持を稼ぐことができなくなります。

こういった負のスパイラルに陥っている子たちに職をつくるべく、私はタンザニアでビジネスを始めることに決めました。現在、4名を雇っています。

ところでなぜパン屋さんを?

学歴のない彼らに職をつくるには、スキルが必要な手仕事をつくろう!と考えました。

手を使う仕事としていくつものビジネスプランを検討したのですが、中でもパン作りは、産業としての発展の余地があると感じました。

タンザニアにはパン食の文化がありますが、日本のものと比べると、まだまだ伸び代があると言えると思います。

というのも、タンザニアのパンにはバリエーションがあまりなく、どれもぼそぼそとしており味気がないのです・・。

長期で滞在していた頃、パン大好きな私はどうしても美味しいパンが食べたくなり、「それなら自分でつくってしまえ!」と、つくってみることにしました。(これまでに作ったことはありませんでした)

お試しで作ったメロンパン

すると案外美味しくでき、試しにタンザニア人にも配ってみると、とても気に入ってくれた様子でした。

その様子に気をよくした私は、「日本の惣菜パンや菓子パン、繊細なクロワッサンはこの国でもビジネスになるかもしれない!」と思ったのです。

事業開始前に、実際に需要があるのかどうかを確かめるため、朝食ビュッフェ用のクロワッサンを携え高級ホテルに営業をかける毎日・・2週間ほどで5つのホテルから受注をいただき、パン製造事業に手応えを感じました。

かくして、パン作りド素人の私は「自分にもできる!」と強く思い込み、ストリートボーイズをパン職人へと育てるべく、パン屋のオープンを決めました。

とはいえ、パンづくりの経験がこれまで全くなかったため、一度帰国し、短期間ですが日本のパン屋さんで修行をさせていただきました。

そこでパン作りの基本を叩き込んでいただき、2019年の8月、タンザニアのダルエスサラームにてパン工房をオープンしました。

現在は、オフィスへのランチデリバリーを中心に事業を行なっています。今後、ホテルやスーパーマーケットへの卸しもスタートしていく予定です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。次回は、工房オープン前のドタバタ劇をダイジェストで大お届けいたします!

アラサー女がタンザニアで一人パン屋を始めることになった理由①

タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。
いつも「ジャクソン」というかっこいいあだ名で呼ばれています。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、2019年1月より、ストリート生活を送っている青年に職をつくるためにタンザニアで活動をしております。パン屋さんとして営業を始めたのは今年の8月です。

今回は、私がタンザニアで一人、パン屋を始めることになった経緯についてお話したいと思います。

話はさかのぼること約10年・・まだ私がミニスカートで街を闊歩していた頃へと遡ります。

マイケルジャクソンに導かれて

東アフリカの伝統的な布「カンガ」

「初めて訪れたアフリカで、貧しいのに目がキラキラした子どもに心奪われて・・」

と言いたいところですが、実は私、そんな強烈な原体験があってアフリカに導かれたのではありません。

私の運命は、マイケルジャクソンが亡くなった日に既に決まっていたのです・・。

彼が亡くなった当時、大学受験を控えていた私はキング・オブ・ポップの死を悼みながら、「Man In the Mirror」を聴いている時に神のお告げを受けました。

「彼の思いを継承するのは君だ」と。

ショービジネスの世界で神と崇められたマイケルジャクソンは、実は、陰で世界の恵まれない子どもたちへの支援を続けていました。そんな姿に感銘を受けた私は、いつか自分も誰か他の人の役に立つことをしたいと願うようになっていました。

天啓を受けた後は、脇目も振らずに国際協力の道を志すと同時に、アフリカの魅力にどっぷりと浸かりました。

ちなみに、なぜアフリカ?と聞かれれば、それは「国際協力→アフリカだー!」という、乏しい知識からなる単純な連想ゲームの賜物でありました。何はともあれ、私はマイケルジャクソンを通してアフリカに出会ってしまったのでした。

大学ではスワヒリ語を専門に勉強し、タンザニアで1年間留学をする機会を得ました。その留学中に、将来はここで現地の人のためになることをしようと決意しました。

ボランティアの限界・・

大学時代は、NGOでの活動に精力的に携わっていました。そこでは、ケニアのHIVポジティブのシングルマザーたちを支援していました。

はじめての国際協力で、私は日本とケニアを繋ぐことに大きな喜びを感じていました。

しかし一方で、ボランティアの限界を感じることも多々ありました。

当時、私たちは、支援をしているママたちの手作りバッグを日本で販売する活動を行なっていました。現地のお母さんたちへの支援方法はというと、バッグの製作代としてお給料を送金するといったものでした。

つまり、日本での売れ行きに関わらず、現地のお母さんたちには一定の金額を送り続けていたのです。

当然、売れ行きの芳しくない月もあるため、そんな時には、泣く泣くマクドナルドのアルバイト代を充てていました。ボランティアのあり方としては最悪です。

また、毎月一定額のお給料をもらえることがわかっている現地のお母さんたちは、新たなインセンティブがないことには一生懸命改善しようとはしてくれず、遠隔でのやり取りは非常に困難でした。

ビジネスをすることを決意!

この活動を持続的に続けていくためには、携わる人が生活をかけて全力で取り組むものに変える必要があると感じました。「支援する人」と「される人」という上下関係ではなく、お互いが対等な立場に立ち、一つの方向に向かって事業を進めていけるような仕組みに変えたいと思ったのです。その時、「ボランティア」という枠組みから離れ、「ビジネス」として事業に取り組むことが将来の志となりました。

当時私たちがNGOで行っていた活動も、きちんとマネタイズし、プロダクトとして売れるものを追求していれば、ビジネスになり得ていたと思います。しかし、当時の私にはビジネスとして事業を回すスキルが圧倒的に不足していました。

そんなわけで、大学を卒業した私は、ソーシャルビジネスを学ぶために株式会社ボーダレス・ジャパンにジョインさせていただきました。ここでは、ネット通販やライティング、店舗設計など、ありとあらゆる分野の業務に携わらせていただきました。本当に貴重な経験をさせていただいたと感謝しています。

そして、2019年1月より単身タンザニアに渡り、「タンザニアで雇用を創出するためのビジネスを始める」という、兼ねてからの目標に取り組んでいます。

次回は、経験もない私が「なぜパン屋さんをすることにしたのか」そして、社員のことをお話したいと思います!

初めまして、タンザニアでパン屋を経営している松浦です。

はじめまして、タンザニアのダルエスサラームでパン屋を経営しております、松浦由佳と申します。

ストリートで生活している青年たちの雇用創出のため、昨年の10月より現地で活動しています。現在4名を雇用しており、日本らしい惣菜パンや菓子パンを中心に販売しています。

8月初旬より社員のトレーニングを開始し、いまはランチタイムのオフィスデリバリー、工房での直販を中心に事業を行なっています。

これから、この事業を始めるようになった背景、現地での活動の様子をこちらで投稿していきたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

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