『責任感』が通じなくて頭を抱える

こんにちは!タンザニアでパン屋を経営しております、松浦です。
異国の地でのコミュニケーションはそれだけでも苦労するものですが、ボーイズとのコミュニケーションには、『頭痛も痛くなる』くらい幾度も挫折しそうになってきました・・・。
そんな私も!ついにお手上げ!今度こそ!マジで!もう!無理!!!!!
と発狂しそうになってしまいました。(笑)
あんこが炊けない
事件はあんこの仕込みから始まりました。
その日、私は営業のため外に出かけていました。工房に残ったボーイズ三人は、いつも通り、翌日のための仕込みであんこを炊いていました。
通常は、三時間程度あれば炊き終わるのですが、その日、私が夕方に戻ると、まだ炊き終わっていませんでした。なんと6時間もグラグラと火にかけ続けていると・・・。(朝5時から仕事していたので、昼過ぎには全ての仕事を終えて、三人とも帰っているはずだった)
はて、これは間違ったな。
砂糖を投入するのが早すぎたのです。あんこを炊くときは、豆の芯がなくなり柔らかくなってから砂糖を入れないと、芯が残ってものすごく硬くなってしまいます。
問いただしますが、「今日のは豆が悪かった」とかなんとか苦し紛れの言い訳を並べます。(いつも同じところから仕入れているのにんなわけあるか!w) 怒られるのが怖い彼らはついに口を閉ざしてしまいます。笑
とにかく、このあんこはもう使い物になりません。どちらにせよ、翌日のオーダー分が既にあるので、新しく作り直さなくてはなりません。
その日、運悪く、私は外でホテルのオーナーさんとアポが入っていました。支度をしてすぐにでも出なければなりません。
三人残っていましたが、1人だけが残ってあんこをつくり、翌日はいつも通り全員5時に出勤すること。と指示を出しました。
すると全員が「嫌だ」「こんなに朝早くから働いてるんだから疲れた」「翌日朝起きれなくなる」とかなんとかゴネだしたのです。
いや、ミスったのあんたたちやで?
じゃあ明日のオーダーどうするん?
私これから大事なアポ入ってるって言ったよな?
冷静に伝えてみますが、誰も理解しようとしません。とにかく帰りたいのです。子どもか。w
とにかく私はアポで急いでいたので、「今はあなたたちの文句は聞けない。明日は既にオーダーが入ってるの。とにかく1人残ってあんこを炊きなさい。翌朝はいつも同じ時間に全員出勤。以上!」
と残して工房を後にしました。
そして夜21時に工房に戻ってくると・・・
真っ暗なキッチンで火にかけられたあんこの鍋がグラグラと揺れていました。もちろん、無人です。
そう、彼らは私の言いつけを無視して帰ったのです。
これまで責任感とは無縁のところで生きてきたのでしょうがないのかも・・・しれないですが、とにかく火を放置するのは危ないし、明日のオーダーよりも自分の帰りたいと優先するのは許すまじ、です。
これはもうボイコットだな。彼らはここを出て行く決断をしたのだな。と解釈しました。
しか〜〜〜〜〜〜〜し!
彼らは翌朝いつも通りの時間にのこのことなに食わぬ顔で現れたのです。信じられますーーーーーーーー?!!!!wwwwwwwwwww
自分の常識が、言葉が、思いが、一ミリも通じない相手との対峙・・・
人は予想外の出来事に直面すると、声を失うということを学びました。笑 (一体何度目だろう・・・トオイメw)
そんな事件が起こったのが先週金曜日。それから毎日彼らは自らの主張を通そうと私にメッセージや電話をよこしてきます。
彼らは、「時間を8時間に固定して欲しい」と主張するばかり・・・。
私は「正社員は責任感で動く必要があって、自分のミスは自分でカバーすること。それが理解できない人は工房に入れられない」と何度も伝えますが、全く聞く耳を持ってくれません。そもそも、8時間固定ならパートタイムだから、保険も会社から払ってあげられなくなる。社宅もなし。年間の休みだってないからね。と言ってもダメです。
とにかく、自分が正しいの一点張りなのです・・。
これが4日間続くと流石に私も疲弊しました。こちらの話を聞いてくれない。もしくは聞いてはいても全く理解してくれない。ちっとも建設できな会話ができないのです。
これはやっぱり無理かもしれない・・・学校にいったことない子を雇うのはハードルが高すぎた・・・もうダメだ・・・ここで終わりだ・・・・
と何度も何度も思いました。。
しか〜〜〜〜〜〜〜〜し(またw)
昨日、彼らは急に態度を一変し、「ごめんなさい。僕たちが悪かったです。」と謝ってきたのです。
マネージャーが私の代わりに彼らとコミュニケーションを取ってくれていたのですが、会社から受けている恩恵がすべてなくなることを理解し、これはまずいと思い、態度を改めたようです。可愛い奴らめ!(笑)
もちろん、謝罪を受け入れる際、『責任』について滔々と説明しました。自分のことばかりではなく、顧客のことを一番に考えて行動すること。チームで動くということは、自分のミスでなくても、協力しあってカバーしあうこと。自分がボスの立場だったら、この会社を持っていたら、どう行動すべきかを考えること。
もしかしたら一割もわかっていなくて、ただただ「わかった」と頷いているのかもしれません。(先日のブログで紹介した『ケーキの切れない非行少年たち』では、認知力が低い場合、多くの子がわかったフリをする、と書いてありました・・笑)
それでも、仕事とは何か?働くとき何が求められるのか?ということを耳にタコができるほど言って聞かせて、それでもダメなら時には叱って罰を与えて教え込んでいくしかないのかもしれません・・・・。
本来であれば「そんな奴らは全員解雇じゃ〜!」とすべきだと思います。
教育コストがあまりにかかるようでは、事業を円滑に進めるのに少なからぬ障害になるからです。
でも、彼らを雇った時点で、普通のやり方ではやっていけないのです。
だから、私も忍耐力と精神力を磨いて、器をうんと広げていかないといけないと思っています。心がポキっと折れるのは、一体これで何度目だったのでしょう。(笑)
ボーイズは今日も何事もなかったかのように、元気に出勤してきました。
忘却してしまうのは素晴らしい特技です。
学びは得つつも、私も彼らを見習って、過ぎたことは一旦水に流して前に進む力が欲しいものだ・・・と呆れ、いや半ば羨望の眼差しで今日もボーイズを見ています。