走るのと立ち止まるのと

 京都精華大学のサコ学長が企画とナビゲートを務める「現代アフリカのパワーと可能性を知る」というイベントで、恐れ多くもお話する機会を頂戴した。人前で話すのはいつまで経っても慣れない。居酒屋とかでお酒を飲みながらだったら、けっこう雄弁になれる自信がある。ただ、こうして普段あまり体験できないことがあると、いい出会いがある。そんな出会いに支えられて、ぼくはここまで走ってきた。


 しかしいつまでも走り続けるというスタンスでは、限界がある。一流選手は、立ち止まることを恐れない。まわりと波長をあわせながら、うまく間をとって、立ち止まる勇気をもつ。たとえば、サッカー史上最高の選手といわれるメッシは、トップスピードで走り込んでくるまわりの選手に同調しながらも、立ち止まったり歩いたりすることで、いとも簡単に相手を出し抜いている。走り続けることしかできない人は、結果として立ち止まる人に追いつけないのだ。


 会社が2年目を迎えて、将来を考えることが多くなった。もちろん資金繰りは心配で、いつまで耐えられるかわからないのも悩みのタネだ。しかしそんなことより、昨年度のような動きでは越えられない壁があるという現実のほうが気掛かりだ。1年前のことを思うと、信じられないくらいの人たちが声を掛けてくれるようになった。ぼくは何もできないけれど、まわりの人たちを総動員すれば、何とかできる気もする。


 そしてぼくは、壁を越えていくにあたって、その鍵を握る人物に辿り着いている。これまで集めてきたピースを整理しながら、かなり大きく前進した未来を描いている。まだ紙とペンで描いた二次元の世界だが、もっとクリアにして三次元に落とし込んでいきたい。それを実現するのにどれくらい時間がかかるのかわからないけれど、今は走り続けたい。走り続けた人だけが、立ち止まることができるとも思う。

モデルをスカウトするの巻

 先日、神戸のポートアイランドで「アフリカミーツ関西」というイベントがあって、家族で参加してきた。歌やダンス、ファッションショー、フォーラムが催されたりして、めちゃくちゃ満喫してしまったのだが、ぼくは決して遊びに行ったわけではない。いま新商品の企画を急ピッチで進めていて、商品が完成したらすぐに撮影に入ろうとしている。モデル事務所でお願いすればヤバい金額を請求されてしまうから、経費削減のためにモデルをスカウトしに行ったのだった。やりたいことがある一方で、絶望的にお金がないので、そのバランスをうまく考えないといけない。

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 しかし会場には思っていたほど多くの人はいなかった。しかも半分以上がアフリカが好きな関西人で、アフリカ大陸出身のモデルらしき人は見当たらなかった。ただ、ぼくは引きだけは強い。たまたま声を掛けてくれた人の繋がりで、大学院生のアガノさんと友だちになった。奇跡的に京都にもよく来られるということで、モデルを依頼したら快諾してくれた。

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 会場では、普段お世話になりまくっている京都精華大学のサコ学長にもお会いして「羽のばしすぎちゃう」というツッコミを頂戴しながら、有意義な時間を過ごした。お話していて印象的だったのは、アフリカ熱の高まりに中小企業がアクションを起こしていくことの大切さだった。確かに関心はあるし、なにかコミットしていきたいというモチベーションもあるが、具体的なアクションに繋がらない。そこに潜むハードルに対して、どのようなアプローチを仕掛けていくかということについて贅沢な談話をいただいた。難しいことはよくわからないが「踊る阿呆に見る阿呆、おなじ阿呆なら踊らにゃソンソン」のリズムで、ぼくはアフリカミュージックをBGMに体を揺らした。

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朝日放送テレビ「キャスト」特集

 帰国から3週間ちかく経って、ようやく便が固まってきた。長かった。よくがんばった。体調は万全ではないけれど、だいぶ回復した。早速、次の企画に向けて動き回っている。


 先日、朝日放送テレビの「キャスト」で、ぼくたちの挑戦を特集して頂いた。商品をリリースしたときには、問い合わせが1件しかなかったとは思えないくらいに反響がすごくて、しばらく携帯が鳴り止まなかった。これまでやってきたことを見守ってくれる人がいて、これからやろうとしていることを応援してくれる人がいる。それだけで、まだ走れる。むしろ挑戦はこれからだ。

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 こんなことは滅多にないので、ちょっと恥ずかしいぐらい身内がザワついた。地元の友だちや親戚からひっきりなしに連絡がきて、なかには、お赤飯を炊く人まで現れた。放送日当日が祝日だったことも功を奏して、いろんなジャンルの、いろんな世代の方々からオファーを頂いた。京都の職人界隈でも反応があったみたいで、可能性は広がりつつある。みんなで前に進んでいけるような道を模索している。

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 ぼくたちが見据えている景色は、けっこうヤバいと思っている。アパレルに限らず、様々な分野でパラダイムシフトが起こるかもしれないことに挑戦している。いまはまだ信じてもらえるだけの用意がないけれど、少しずつ現実をつくっていきたい。特集を組んで頂いて、体はついてきていないが、気持ちは高まっている。これまでやってきたことは、間違ってなかった。

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【 番組内で紹介された名刺入れはコチラ↓ 】

https://www.makuake.com/project/afurikadogs/

※期間限定・数量限定生産です。

※一部商品は売り切れています。

※一点一点、風合いは異なります。(手織り・手染めによるもの)

〜ポイント〜


①アフリカ最貧国・トーゴ共和国を中心に住まうエウェ族と京都の職人がコラボレーションしています。


②エウェ族の伝統的な布「ケンテ」ならではの生地幅を活かした独自のデザインです。


③裏地には再生可能素材であるコルク材を使い、持続可能でエコなものづくりを意識しています。

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今夜、朝日放送で特集されます

ぼくたちの挑戦が、朝日放送テレビで特集されることになりました。わざわざアフリカにも取材に来てくださったので、撮れたてホヤホヤの貴重なトーゴ共和国の画も入ると思います。近畿2府4県にお住まいで、ご都合あう方は是非、ご覧ください!

< CAST – キャスト- >

▷日程

2019年10月11日(金)18:15〜19:00のどこか10分間くらい

▷チャンネル

6ch

※速報などで番組内容が変更になる可能性があります。

アフリカドッグス、2期目に突入

帰国して早速いろいろピンチなことが続いているが、これまでピンチじゃなかったことのほうが珍しいので、逆にいつもどおりの生活に戻っている。ただ、気づいたら会社が2期目に突入していて、ちょっと立ち止まって振り返る時間をつくっている。みなさんの激烈なサポートのおかげで、1年を無事に(?)終えることができた。今年度はクリエイティブディレクターの神野さんが仲間入りして、一緒にヤバいことをやる。お互いに、どうせやるなら誰もやったことないことに挑戦したい欲求が強めなので、かなり前衛的な試みを企てている。

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 この1年間でやってきたことを、もう一度やれと言われても無理かもしれない。再現性がないのはビジネス的に微妙なのだけれど、そんな奇跡の連続でここまでやってきた。たまたま出会えた人との刹那的な時間のなかで、温度感が高まる感覚を大切にしていたら、1年前には想像できなかったところまで来ることができた。アフリカのトーゴ共和国という国にぼくたちの会社ができて、現地では弊社の提携先が7先にまで広がり、事業化するのに必要な生産ラインも確保できた。ゼロから始めたものづくりは販売までの一連の流れを経験することができただけでなく、モードの最高峰であるフランス・パリでも確かな手応えを得ている。


 驚くべきことに、これらすべてにおいて、ぼくは他力本願を貫いてきた。やってみたいことは思いつくのだが、自分にスキルがなかったり、お金がなかったりすることが多すぎて、誰かを頼らざるを得なかった。おかげさまで、未だにぼくは何も持ち合わせてない。だから今年度は何か身につけたいと意気込んでいたのだが、今朝になって、やはり一人で出来ることには限界があるからいいチームをつくってみんなでやろうといういつも通りの結論に至ってしまった。今年度も面白い人にたくさん会えたらいいなあ。


2期目を迎え、期間限定の新商品をリリースしています。今後とも、よろしくお願いします!

https://www.makuake.com/project/afurikadogs/

https://www.makuake.com/project/afurikadogs/

ひとつずつ、クリア

 現地法人の運営については、ぼくたちなりの落としどころを見つけてリスタートをきった。しかし問題は山積みである。安定して、いい素材を調達し続ける難しさに直面していた。以前に生産を依頼した職人の親方が行方不明になったり、別の生産現場では、あまりよくない品質の原材料を使うようになっていたりして、納得のいくものになかなか辿り着けなかった。ただ、それくらいの困難であれば、もう慣れっ子である。いろんな人を頼って、新たな調達先を開拓することに成功した。

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 ひとつずつ、前へ。それから早速、現地法人の改修工事に着手した。今回も知らないあいだに何人かの仲間たちが手伝ってくれて、ぼくたちのリスタートを応援してもらった。前回はすべて素人で会社を建てたのだが、しっかり測らずにコンクリートブロックを積み上げたので、土台が少し歪んでいた。それを見た職人が「ちゃんと測ってやらなアカンやんけ」と、見たことない道具を取り出して、地面と水平であるかを逐一確認しながら改修を進めてくれた。

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 朝早くから10時間くらい、ノンストップで汗を流してもらったりして、なんと2日で全ての改修工事を終えた。様々な備品なども揃えて、再挑戦に向けての準備は整った。つぎの商品企画に係る素材も調達できたので、日本に帰る。関空に着いたら絶対にラーメンを食べる。何度でも往復して繋いでみせる。

前向きリスタート

 うまくいかないながらも、立て直しを模索している。もう一度ここでやりたかったことを再確認したり、話し合いを重ねて、どんより漂う雰囲気を払拭しようとしている。問題は山積しているが、今回の出張中に実現できそうな落としどころを見つけてリスタートをきった。どうなるかわからない。でも、いま考えられるベストを尽くさないと後悔が残る。

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 さしあたって、お客さんの足が遠のいてしまっている現状は、新規事業を立ち上げることで解決を図る。美容用品をラインナップしたり、クチュールの仕事を請け負うなどしてキャッシュを回していたが、新たにオープンテラスのカフェを開業することにした。当初は「日本とトーゴをむすぶ、おむすび屋さん」をコンセプトにしたレストランをオープンする案もあった。しかし、隣接するお店もレストランであるため、お客さんの取り合いに発展しないよう、お互いが連携していく方向で話がまとまった。隣のレストランに食事に来た人が食後のティータイムを楽しめるように、また、テラスでゆっくりしてもらいながら店内の商品を案内できるようにする。


 地域の人たちとの関係性が悪化している問題は、ぼくたちが相手を信じることから始めることにした。質の高いサービスを提供し続ければ、理解してもらえるはずだ。そしてそのサービスに人が集まるようになれば、その現実こそが納得してもらえるだけの理由になり得る。この世界を変えるには時間がかかる。いまは我慢のときだ。


 ぼくが金融機関を退職してアフリカで起業しようとしたとき、もちろん賛否両論で、なかにはかなりダメージを受ける意見も頂戴した。しかし、ひとつずつ現実をつくりあげていったことで、こちらを向いてくれるようになった。だから理想を語るだけでなく、ダサくても挑戦し続ける姿勢をぶつけることが必要だと思う。そのプロセスを見てもらえれば、いかにぼくたちが本気であるかを伝えられるはずだ。そう信じて、ぼくたちはまた前を向いた。

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【 Makuake(マクアケ)で商品をリリースしました 】
11月8日までの限定で第2弾の商品を公開しています。エウェ族と京都の職人がコラボした名刺入れ。
①「ケンテ」と呼ばれる西アフリカ地域の最高級品とされるエウェ族の布に、京都のハイクオリティな染色を施しました。
②ケンテ布独特の生地幅を活かした、弊社オリジナル仕様です。
③裏地には再生可能素材であるコルク材を使い、エコなものづくりを意識しています。
https://www.makuake.com/project/afurikadogs/

変わらないものをみて

 今回のトーゴ出張は、正直なところ、あまりうまくいっていない。これまではイケイケどんどん、体を動かしていれば、わりとスムーズに事が進んだ。しかし今回は、ちょっとした人間関係の歪みが、いろんなところで大きなすれ違いとなって歯車が合っていない。そのうえ猛烈に体調を崩していて、赤痢の疑いが出てきた。一緒に来てくれている大学生にカッコいいところを見せたかったのだが、めちゃくちゃダサいことになっている。

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 気分をかえて、歩いてみた。最近は専ら、時間を短縮するためにバイクタクシーで移動していたから、いろんな景色を見過ごしていた。ゆっくり歩くと、たくさんの人が声を掛けてくれて、初めてみるような木の実や、豆を練ったお菓子をおすそ分けしてくれた。そんな優しさに触れると、渇いた心が潤っていくのを感じた。それはぼくが初めてここへ来たときから変わらない、初心に戻れる瞬間だった。


 木陰で休むオバちゃんとの時間、近づいてくる子どもたち。鼻をつくガソリンのにおい、そこらじゅうで交わされる陽気な挨拶。ニワトリの鳴き声、みんなの笑い声。空は青く、高くて広い。こちらから現地語で挨拶すると、すぐ友だちになれる。


 変わっていくものや変えたいものがあるなかで、変わらない、変えたくない大切なワンシーンが、歩いているとよく見えた。だからといって、特別なことはなにもない。ただ、そんな微妙なニュアンスのなかで生きるぼくは、誰と、どこへ行きたかったのかと、地平線を眺めて思った。正解のない答えを求めていくなかに、人生の充実がある。まだまだやれる、がんばれトシハル。

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絶望のなかに希望を

 半年ぶりにまた帰ってきた。素材の仕入れや現地法人のマネジメントを中心に動き回っているが、やはり思うようにはいかない。昨年の11月にスタートをきったトーゴでの事業は概ね順調ではあるが、不良在庫を抱えてしまっていたりして、お客さんが離れ始めていた。立て直していくにあたって、この地域の人たちとの連携が不可欠であるのに、関係性は悪化してしまっている。ぼくの会社で採用している人たちについて、まわりからよく思われていないことが理由に挙げられる。

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 そもそもぼくが起業しようと思ったのは、たとえばトーゴの障害をもつ人や女性が極度の貧困に陥るケースが多かったり、暴力や差別を受けやすいという状況を変えたかったからだ。だからぼくの会社では7人いるスタッフのうち、6人は何らかの障害を持っていたり、性被害に遭ってしまった女性たちだ。ところがそういう境遇の人を、いわゆる「健常者」の人たちは心よく思っていなかったりする。「身の丈にあった生活をしろ」と、豊かな未来を夢みることさえ許されない現実が、目の前にはある。


 そんなマインドを持っている人に対して、こちらがやろうとしていることを理解してもらうのは難しい。マネージャーのリシャは、その妬みによる仕打ちを受けて、右足の一部を斧でエグられていた。気丈に振る舞う彼と話すほど心は痛くて、ぼくがやろうとしていることは果たして本当によかったのだろうかと考え直している。仲間を暴力の危険に晒してまで挑戦することは、世の中にとって価値があることなのか。それはぼくの独りよがりで進めているだけではないのか。


 自問自答を繰り返して、もがきながらここまできた。ぼくたちはもっと、可能性にひらかれているべきだし、自由や理想に向かって努力するチャンスがあっていいと思っている。しかしここの人たちの多くは、この社会に蔓延するスティグマによって人生が決められてしまう。自分の力ではどうにもならないのはわかっている。でも誰かと手を携えることができたなら、状況は少しだけ変わるかもしれない。絶望のなかに希望を見出すために、ぼくはまた帰ってきたのだ。

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↑弊社パートナー工場で働く女性

【 Makuake(マクアケ)で商品をリリースしました 】
11月8日までの限定で第2弾の商品を公開しています。エウェ族と京都の職人がコラボした名刺入れ。
①「ケンテ」と呼ばれる西アフリカ地域の最高級品とされるエウェ族の布に、京都のハイクオリティな染色を施しました。②ケンテ布独特の生地幅を活かした、弊社オリジナル仕様です。③裏地には再生可能素材であるコルク材を使い、エコなものづくりを意識しています。

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https://www.makuake.com/project/afurikadogs/

いつもどおりが難しい

トーゴに到着した。ありがたいことに、今回はぼくの密着取材でメディアの方も同行してくださっている。これまで1年くらいかけて築いてきたことを見てもらっているのだが、ぼくもトーゴの職人も、すこしソワソワしている。

早速、提携している職人さんとの仕事を取材してもらっているのだが、カメラのまえではエウェ族の人たちも、もちろんぼくも心なしかシュッとしてしまっている。表情や振る舞いがぎこちなくて、これまでその場のノリで物事を進めてきたことが、いかに刹那的だったかを思い知らされた。誰かに見られているなかで、いつもどおりにするのは難しい。

しかしそれは、奇跡ともいうべき時間を彼らと過ごしてきた証ではないかとも思えた。たまたまその時間、そこに居合わせた人たちとの対話のなかで生まれていく生き物のようなアイディアや感性を大切にしてきた。ロジカルに、建設的に組み立てた戦略ではないにしても、なによりここの人たちと一緒にワクワクする時間をつくりあげてきたことを、改めて認識した。

まだまだ事業としては駆け出しで、実績や売り上げも積み上げていかなければならないが、それ以上に、ここの人たちとの充実した時間をこれからもつくっていきたいし、そういう財務諸表にはのらないような価値ある「資産」を増やしていきたいと思う。実際に、そんな資産が今の事業を後押ししてくれているのは間違いない。ぼくたちなら、もっとできる。いろんな景色を見に行くことができる。

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