宮崎県のトーゴ熱

先日、ちょっとしたご縁で宮崎県へ行く機会があった。今から6年前くらいに、一度だけお会いしたことのある人のもとへ行ってきた。学生時代に初めてアフリカ大陸へ向かい、トーゴをはじめとして、ガーナ、ベナン、ブルキナファソを旅したことがきっかけで、知り合うことになった人だ。

宮崎空港で6年ぶりにお会いしたのだが、その時間を忘れるくらいに車内でマシンガントークを繰り広げ、だいたい5分くらいで空白の時間を埋めることができた。そして県内唯一の国立大学である宮崎大学の学生と、トーゴという多くの人にとっては馴染みのない国を共通項として繋がることができた。

宮崎大学では、一風変わったムーブメントが起きている。東京オリパラに際して、トーゴのホストタウンに宮崎県日向市が選ばれたことで、その地域に大使館関係者やトーゴのアーティスト、アスリートたちが集い始めている。そして宮崎大学の研究室でも、学生たちがコミットしていこうと、知恵を出し合っていた。

彼らはもうすぐ、クラウドファンディングに挑戦する。トーゴにおいて、水の問題は深刻である。およそ40%くらいの人たちが安全な水を享受できない環境に身を置いている。それが感染症の原因になったりして、重い後遺症がのこったり、場合によっては命を落としたりしている。そのことを知った学生たちが、トーゴで井戸の修復作業にかかる資金調達をしようとしているのだ。

ぼくは日本人で初めてトーゴで会社をつくって、またちょうど1年前にクラウドファンディングにも挑戦したことがあったから、そのあたりの意見交換のために宮崎を訪問する運びになっていた。しかし学生たちの熱量がすごくて、そのエネルギーとハツラツさ、そして若いパワーがあれば、だいたいのことは何とでもなるような気がしてきたし、むしろぼくのほうが彼らのその前のめりな姿勢を学ばないといけないと思った。

何度か現地を訪問して、いろんなことを知るうちに、改めてぼくが挑戦しようとしていることの壁の高さを痛感していた。そして現実的なところで、実現可能な方向へと舵を切ろうとしていた。しかし学生たちの姿勢をみて、ぼくはもっと夢を描いてもいいのだと思い直した。もっとダイナミックに、もっと自由に。

だから今、かなり長期的なスパンを必要とするプロジェクトに着手している。学生たちに話していると、ぼくもヒートアップしてきて、本当に到達してみたいポイントが少しだけクリアになった。できるかどうかわからない。でも挑戦する価値のある、あるいは失敗しても後悔がないと思えるプロジェクトだ。そんなモチベーションをあげてくれた学生たち、そして6年ぶりにお会いしたその人への感謝を胸に、ぼくは関西に戻った。

可能性を感じたこと

こないだの初めてのポップアップはお陰様で大盛況に終わり、直近で支払わないといけない税金関係も何とか納付できた。今回の挑戦で限界を感じることも多くあったが、一方で、可能性も垣間見えた。大きな希望となったのは、アフリカ×京都の商品が予想以上の好評を博したことだ。これまでやってきたことは間違っていなかったと、証明できたような気がした。まだまだ改良していく余地はあるが、確かな手応えを得られたのは良かったと思う。


 そしてもう一つ、可能性を感じたことがある。実は販売に際して、かなり前衛的な試みをしていた。ラインナップした一部の商品に価格を付けなかったのだ。お客さんに値決めを委ねて、それがいくらであろうと、お客さんの言い値で販売した。結果として、予想した金額(それは原価を下回る金額だった)よりも高値で取引され、企業として継続していくのに適正な価格でお客さんに届けることができた。

 ぼくたちは、たとえばスーパーで売られている商品の価格を一方的に受け取るのみで、それがどこから来たのか、誰がどのようにして作ったのかを想像する機会は極端に少ない。だから多くの人たちにとって、基本的には値段の安さが決定的に重要になる。そこに生産者が報われているかとか、適正なサプライチェーンを築いているかとかは、さほど気にしなくてもいいシステムになっている。もっと言えば、その商品が誰かの悲しみのうえにあったとしても、大して問題にならないようになっている。そこに対して、小さくても挑戦したくて、値段を付けなかった。


 その結果は、予期せずして持続可能な形に終始した。誰ひとりとして、原価を下回る価格を付けなかった。そのことが語るのは「もっとお客さんを信じていい」ということだと思う。考える機会さえあれば、たとえその相場感がわからなくても、目利きができるだけのスキルをお客さんは既に持ち合わせている。それはぼくたちのような、規模の経済性を発揮できない、あるいは巨大な資本をもたない事業者にとって、かなり嬉しいニュースだった。


 だからぼくたちがすべきことは、臨場感のある情報を提供し続けることだと思う。どこの誰がどのようにして作っていて、それがアナタに届けられることによって、どのようなことが起こっていくかということを、もっとリアルに、息づかいを感じられるほどに、伝えていく必要がある。それは一つの言葉かもしれないし、一枚の絵かもしれないし、一本の映像かもしれない。そのデザインの構築に、ぼくは活路を見出している。

雪辱を果たす

 大阪・中崎町でポップアップストアをオープンし、これまで挑戦してきたことを皆さんに発表する機会を得た。当日は日本初開催のG20サミットで史上最大規模の警備がおこなわれていて、しかも大雨が降り注いでいたにも関わらず、店内はお客さんの熱気と優しさに溢れていた。用意した商品は、ほぼ完売。デザインによっては、しばらくお待ち頂かなければならないほどの注文を受けた。これは大成功といっていい。

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 およそ半年前、ぼくたちは東京の寒空の下、惨敗を喫した。魂を込めて作り上げてきた会社の全財産をスーツケースに詰め込んで、目の肥えたバイヤーたちにぶつけてきた。しかし思うような結果は出ず、終いには店員さんと口喧嘩みたいになるほど、いろんなことが噛み合わない悔しさを経験した。あのときの悔しさをバネに、アクションを起こし、知恵を絞って前を向いてきた。フランス・パリ市内を徒歩で駆けずり回り、トーゴ中をギュウギュウ詰めの乗り合いタクシーで走り回って、何度もミーティングを重ねてきた。
 そうして迎えたポップアップ当日は、数えきれないほどのお客さんが、たくさんの差し入れを持って来店してくれた。102Lのスーツケースは、みなさんからの差し入れでパンパンになった。幼馴染みや高校・大学時代の友人、先生、なにかのご縁で繋がった大切な人たち、そして前職でお世話になりまくっていた上司の方々。全国各地から駆けつけてくださって、来店が叶わなかった友人からも、お花が届いた。ぼくは幸せ者以外の何者でもない。

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 営業時間中、途絶えることなく接客をしていたから、口はパサパサ、足はガクガク、まぶたはピクピクしていて、ほとんど立っていられないくらいだった。帰宅してすぐに、3合分の白米をかきこんだ。こくまろカレーが、あれほど美味しく感じたことはなかった。半年前、東京の寒空の下で惨敗を喫したぼくたちは、雪辱を果たした。大阪の夜空を見上げて、ぼくは小さくガッツポーズをした。

ポップアップストアOPEN

 3年以内にコンセプトショップをつくる。そこに至るまでの第一弾として、大阪・梅田から早歩きで5分くらいのところにある中崎町で、ポップアップストアを2日間限定でオープンすることになった。中崎町は妻とよくデートに行ったところであり、建築を学んでいた相棒が大学時代に研究していたエリアでもあったから、なかば運命的な場所での開催だ。夫婦でお世話になっているサロンの店主に事業の進捗を報告していたら「ちょうど1階のテナント空いてるから使っていいよ」ということになって開催する運びとなった。だから運命的であると同時に、奇跡的でもある。


 そんなこともあって、当日は妻と娘も引き連れて家族総動員で臨む。ぼくに商品のラッピングのセンスは絶望的にないから、心強すぎる。しかも妻は「めちゃくちゃ楽しみ」とワクワクしていて、なにか大切なことを思い出させてくれるから、最強すぎる。まさかのG20と日程が重なってしまって混乱が予想されるが、混乱に乗じてしまいがちなクセには気をつけようと思う。すぐ調子に乗ってしまうクセをセーブしてもらうために、もちろん相棒も店頭に立つ。


 いろんな人にアドバイス頂いたことを活かして、商品はポケットチーフだけでなく使い勝手のいいサイズ感のものやランチョンマット、タペストリーも用意する。これまで協力して頂いた職人さんたちの顔がみえるパネル展示もする予定なのだが、その準備をしていると世のアーティストたちはマジで凄いと思う。今まで気軽に個展やギャラリーを見ていたが、その背景には大変なことが目白押しである。そんな初めてのことばかりで、いい緊張感と不安感のなか、バタバタしながら嗚咽が止まらない日々を過ごしている。


〈 ポップアップストアについて 〉

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6月29日(土)13:00〜20:00, 30日(日)11:00〜20:00D:CINEMA 1階 (www.d-cinema.jp)
大阪府大阪市北区中崎西2-4-35

〈 AFURIKA DOGS | アフリカドッグスについて 〉

これまでの軌跡をまとめた映像→ https://vimeo.com/335797718

ホームページ→ https://www.afurikadogs.com

毎日投稿インスタグラム→ https://www.instagram.com/afurikadogs

次なる目標

 まだ事業の体は成していないものの、ようやく売上が立ち始めた。0を1にすることが、こんなにもヤバいことだとは知らなかった。やってみて思うことは、手段さえ選ばなければ、お金を稼ぐことだけなら難しくないということだ。(どの口が言うとんねん。)今やいろんなツールが市場にあるから、ほとんどすべての人に事業を始めるチャンスは開かれている。だから起業すること自体のハードルは、想像するよりも低いと思う。


 しかしそのプロセスを間違うと、事業を進めるスピードが鈍ったり、なにか困難にぶつかったときに簡単に折れてしまうのではないかと思う。ぼくのばあい、売上を立てるまで死ぬほど時間がかかってしまったが、どのシーンを切り取られても、胸を張れるプロセスを踏んできたつもりだ。問題は山積しているが、今のところ諦める理由はどこを探してもない。一方で、諦められない理由はたくさんできた。大切なのは諦められない理由を自分のなかに持つことだと、学生時代の先輩に教えてもらったことが、今はよくわかる。


 商品販売を開始して、また新たな目標ができた。


「3年以内にコンセプトショップをつくる。」


 この状況ではあまりに夢物語な目標なのだが、やると決めた。今年3月のフランス出張のときに出会った素敵なお店。一見してオシャレなセレクトショップなのだが、そこにラインナップされているものは、ほとんどすべてリーズナブルなうえに、どこかの世界の少しだけいい未来に繋がっている。そこで起きているムーブメントは、かなり大きな波になって日本にもくる。そして近い将来、アフリカの時代がやってくる。

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パリ10区にある素敵なお店
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そのお店のオーナーがつくるスニーカー. ブラジルのコットン農家やゴム農家と契約してサステイナブルなものづくりをしている.
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ファッションだけでなく, トータルに商品をラインナップする




トーゴに続き、日本でも

 やはり一筋縄ではいかない。商品販売を開始したものの、驚くほど結果に繋がらない。これだけ空回っているビジネスマンも珍しいと思う。しかしうまくいかないことが諦める理由にはならない。ここは知恵を出して打破しないといけないと思って2秒くらい考えたが、そもそも考えられるだけの脳みそを持っていないし、パソコンの前に答えがあるわけでもないので、外に出ることにした。


 経営者として、ぼくは生後9ヶ月の赤ちゃんであるから、こういうときは大人に頼るしかない。弊社の本店であり、困ったときの駆け込み寺「学び場とびら」へ向かった。すると、ぼくのヤバい状況を笑いものにする悪い大人たちが親身に話を聞いてくれて、数々の的確なアドバイスを頂いたり、商品を買って宣伝して頂くことになったりした。そしてやはり、ぼくはオンライン向きではないという結論になって、草の根的に泥臭く外回りすることにした。京都や大阪を中心に、いろんな人と膝を突き合わせて、ときには批判を受けながらも、お客さんに商品を届けていった。

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 創業してからおよそ1年。ようやく日本の法人でも売上がたった。売上ゼロでよくここまで生き延びたと思う。クラウドファンディングで応援いただいた皆さんや、京都信用金庫の皆さん、アフリカ起業支援コンソーシアムの皆さんからのバックアップがなければ、とっくに資金ショートしていた。事業をしていると、まわりの方々に生かされているということが骨身にしみてわかる。


 そんな日々は、つらくもあるが楽しくもある。ダイレクトな喜怒哀楽の気持ちや、白黒はっきりさせることのできないようなグラデーションがある気持ちを、ぼくたちなりに表現して作り上げている。それはもちろん一筋縄ではいかないし、なかなか目に見える結果には繋がらなかったりもするのだけれど、血の通った温もりが確かにある。そしてそれは、どれもかけがえのない体験となっている。だからぼくは今日も、外に出るのだ。



商品販売を開始して

ぼくたちの事業はポケットチーフ(税抜3,500円〜4,500円)とハンカチ(税抜1,000円)からスタートすることになった。身近な人の、身近なものとして落とし込み、それが日本から14,000km離れたアフリカのトーゴという国の未来を少しだけ明るくするサプライチェーンを築いてきた。

商品の発表をしてからまだ1週間くらいしか経ってないが、いろんなことを学んだし、つぎのアクションも決まりつつある。ぼくのキャパがオーバー気味なのは置いといて、やはり実践のなかで得るものの大きさを再確認した。ぼくはここまで死ぬ気でやってきたから、それなりに自信があった。予約が殺到するのではないかとスマホの充電を100%にして待機したが、その日の問い合わせはわずかに1件だった。(応援メッセージはたくさん頂いたので、元気ではある。)

妻に状況を説明したら「最初やしそんなもんちゃうの」と悟りを開いたかのような声を掛けてくれて、ぼくを落ち着かせてくれた。よくよく考えてみると、確かに1回こうして発表したぐらいで反応があるほうがおかしい。手づくり市に出店側で参加したときに学んだことを思い出した。隣のわらび餅屋さんは悪天候にも関わらず行列ができていた。店主に話を聞くと、10年くらいは全然お客さんが来なかったという。大切なのは続けることだと、その店主は教えてくれた。

 そんなエピソードを思い出して、自分を奮い立たせた。これは動いているからこそ感じられる逆風だ。逆風も、振り向けば追い風になる。どこかで聞いたような名言に励まされたりした。気持ちを切り替えてスーツに袖をとおし、ぼくは営業に出た。

そうじから学ぶ

ここには綺麗好きなひとが多い。幼少期から家まわりをホウキで掃いて、洗濯をして、雑巾がけをする。

ぼくが洗濯をしていたら、「そんなんで汚れは取れない」と押しのけられてレクチャーしてくれたりする。手で触るから、目で見るから、鼻で嗅ぐから、汚れているところがわかる。

ぼくたちは肌で感じることをあまりしなくなった。顔を合わせずに、足を運ばずに、できることが多くなった。「今日ちょっと元気ないね。大丈夫?」って声をかけることが、少なくなった。

商品販売を開始しました

 数えきれないトライ&エラーを繰り返して、ようやく商品ができました。前職を辞めてから1年ほど経ってしまいましたが、自信をもってお届けできる商品です。

 初めてアフリカ大陸を訪れたのが、2012年。昨年、6年ぶりに世界最貧国のひとつであるトーゴ共和国という国を再訪しました。友人の半分くらいはすでに亡くなっていましたが、こんな私を待ってくれていた友人もいました。彼は、ビジネスマンとして帰ってくるという、あのとき私と交わした約束を信じて、ずっとお金を貯めてくれていました。それは日本円にして4万円に満たない金額でしたが、その日を生きるのに精いっぱいの彼にとって、これだけの金額を貯めることがいかに大変であったかを想像すると、シワクチャになった札束を持つ手が震えました。

 赤道ちかくの炎天下、みんなでスコップを握りしめて土を掘り、コンクリートブロックを積み上げて会社をつくってきました。また、現地の情報収集と社会起業家とのパートナーシップを結び、できるだけ適正なサプライチェーンを構築できるように努力を重ねてきました。そうして0からスタートした事業が、なんとかひとつの形になりました。

 ポケットチーフ(3,500円~4,500円:税抜)とハンカチ(1,000円:税抜)。飲み会に行くぐらいの価格設定でありながら、日本から14,000km離れたトーゴという国の未来を少しだけ、でも確実に明るくできる商品です。数に限りはありますが、是非お買い求めください。もしくはお買い求めくださる方を紹介して頂けたら、とても嬉しいです。

 ホームページを開設しています。ほとんどすべて自分で作成したので、あまり出来はよくありませんが、気持ちだけはてんこ盛りです。今月末に大阪・中崎町(梅田から歩いて5分くらいのところ)でポップアップイベントも企画中です。実際に手に取って頂ける機会もご用意する予定ですので、引き続きご協力のほど、よろしくお願いいたします!


https://www.afurikadogs.com/

道端のオバちゃん

道端でお菓子とかを売っているオバちゃんの店でひと休みする。ここから見える景色もいい。バイクタクシーの運ちゃんが、クラクションを鳴らして挨拶をする。

オバちゃんは、いつも余裕たっぷりで、道ゆく人とコミュニケーションをとったり、常連のお客さんと一緒にベンチに座って、世間話をしたりする。なにかに追われたり、なにかにプレッシャーを感じたり、なにかを犠牲にしないといけない生活よりも、こんな生活のほうが優しくなれるのにと思う。

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