アフリカの豊かさを

アフリカで製造した商品を日本で販売するビジネスの場合、圧倒的にアパレル関係の商品が多いように思います。

食品や化粧品になると商品化が少ないのは、やはり消費期限があること、衛生基準を満たすための法規制が多く、初期コストがかかるという点が課題です。

「商品作るだけなら誰でもできる」なんて言われたこともあるのですが、

確かに、日本で日本国内で調達できるもの(ほとんどのものが調達できますね)で、商品化をするならば、本当に簡単です。

しかし、現地で作ったものを現地で売るのでもなく、

現地から直接仕入れた原材料やモノ(衛生品)を日本で販売できる形にするということは、

一筋縄にはいきません。

だって、見積もり一つとっても、3ヶ月後に連絡があったりするぐらいですから(笑)

今から思えば、「死」を生まれて初めて意識した、あの状況だったからこそ、思い切ったことができたのだと思います。

金融業界にいた時には、在庫をもつビジネスを自分が行うなんて、考えられませんでした。

でも、死んだら、お金なんて、ただの紙切れなのです。

いかに、生かされている間に、小さな変化を提供できるかが、成功した人生と言えるのではないかと思うようになったのです。

既に、MBAの学費とガーナでの起業で貯金は使い果たしていたので、起業資金には、積立をしていた個人年金を解約し、日本政策金融公庫から融資も引きました。

アイディア段階で、こんなに低利率で、こんなに簡単(ビジネスプランを作成するだけ)に融資を受けられる日本のエコシステムに驚きました。

ガーナでは、中小企業は、まず銀行からお金を借りることはできません。

マイクロファイナンスの金利は、30%超になります。

スキンケアブランドを作るといっても、化粧品業界にいたわけでもないですし、小売流通にも全く知識もネットワークもありません。

前例もほとんどない中で、どういう形が良いかのか、試行錯誤で手探りで、商品化までたどり着き、

2015年10月、アフリカの自然生まれのナチュラルスキンケア、JUJUBODYを日本でローンチしました。

青山でお披露目会もさせていただきました。

日本に帰国してから、ちょうど1年経った頃でした。

最初の1年間が最も転移率が高く、そこを無事に過ぎることが大事ということで、術後1年記念も兼ね、ビジネスパートナーのカールも来日して、イベントを開催しました。

ガーナ人目線から見た日本の総評も、欧米人とはまた違った目線で面白かったです。

・夜が昼間のように明るい

・至るところに神社やお寺があり、ガーナ以上に信仰が生活の中に溶け込んでいる

・トイレだけに、たくさんのテクノロジーが詰まっている

・食べ物で溢れている

・自国の良い製品、ブランドがあるのに、アメリカのブランド(飲食店を含め、ヨーロッパと比べても)への依存度が高い

・電車の中ではみんな携帯をいじっているか、疲れて爆睡

欧米人は、24時間閉まらないコンビニの多さに「とても便利!」と驚嘆することが多いのですが、逆に、「誰が、あんな冷たい飯を食べたがるんだ?」という冷めた反応で、面白いなと思いました。

ガーナの住宅街では、道端の小さなスタンドで食べ物を提供するところも多く、温かい食べ物が食べられます。

外国人からすると、「アフリカ=貧しい」イメージがあるそうなのですが、ガーナに限って言えば、飢えて死ぬ人はいません。

それは、ご飯を食べられない、稼ぎのない人が一人もいないということではなく、

必ず、誰かが他人であっても救いの手を差し伸べるからです。

ガーナで暮らした私の印象を一言でいうならば、

とても豊かな国です。

対して、

日本は、便利な国。

アフリカは、資源に恵まれた国が多いのですが、

ガーナも、金、オイル、ダイヤモンド、ボーキサイト、マンガンなどの天然資源にも恵まれています。

経済規模は、長崎県と同じぐらい。

一人当たりのGDPは、1,700ドル程度。

それでも、日本にはない、いえ、日本が忘れてしまった「豊かさ」があります。

JUJUBODYの「ジュジュ」には、「魔法をかける」という意味があります。

どこの部族の言葉というわけではなく、西アフリカ一体で通じる言葉です。

英語でも、おまじないを「ジュジュ」と表現することがあります。

シンプルにアフリカの自然の力から生まれたスキンケアは、

使ってみると魔法のように、肌の違いを感じることができます。

今、先進国で私たちが手にするモノは、

全て便(都合)が良いように作り上げられたものです。

コーヒーには、コーヒーのように香る香料が使われていたり、

本物っぽく見せかけたニセモノで溢れています。

私は、ガーナで知った本物の素材を味わうという最高の贅沢を届けたい。

忙しい日常のなかで、JUJUBODYを手にして使う、その瞬間だけでも、自分や家族のために、手間をかけられる、忘れがちな幸せを思い出してもらえるように。

アフリカの豊かさをJUJUBODYを通じて届けることで、

日本の生活が豊かに、そして現地の生産者の生活も豊かになればと願っています。