E-commerce からの撤退
ガーナ法人MindNET Technologies Ltd.では、2016年の夏頃に、E-commerce のビジネスを閉めることにしました。
「告知しなければ、オンラインサイトなんて存在しないのと同じだから、アップしてから改善していけばいい」と、2014年10月にソフトローンチしてみたら、ファンのついている現地ブランドの商品を扱ったこともあって、オーダーがあいつぎました。
「対応が大変なんだよ」なんて話を、入院中に聞いたものです。
Crocs と正規代理店契約も結び、オンラインとオフラインでの販売も始めました。
オスのメインストリートで、ビキニガールによるCar Wash イベントなどを行いました。
その様子は新聞にも掲載されたそうです。
当初は、バグが改善(カード決済しようとすると、そこから15分ぐらいページがフリーズしてようやく移行するなど)してから、資金調達を考えていました。
日本では、ASPが充実しているためテクニカル面での問題なんてありませんが、ガーナで利用できるものは、Magentoなどのオープンソースだけです。
しかし、本来、資金調達を担う私が戦線離脱し、カールが現場を離れられるような状況ではなく資金調達がうまくいかなかったこと、既存のチームではテクニカル対応が十分にできなかったこと、大きな決め手は、Rocket Internetにバックアップされたオンラインショッピングサイトの売上情報から、この事業をやめることにしました。
同時期にガーナ市場に入った、欧州ファンドにバックアップされたオンラインショッピングサイトKaymu があります。
彼らは、ラジオ広告、ビルボード広告、新聞広告をガンガンしていました。
毎月、1000万円以上広告費を使っていたそのサイトが、一日のオーダー件数が上がってきたといって、当時、20件そこそこだという事実を入手しました。
オーダー平均単価は、うちよりもずっと安い(日用品などがメインで何でも取り扱う)ことは明らかでした。
かなりの長期間(何年かの見込みもつかない)赤字を垂れ流すだけの資本力がないと、会社が回らないと判断するに至ったのです。
また、リーマンショック後、各国の経済状態が悪い中で、唯一と言ってもいいほどレアな、2桁成長を誇っていたガーナ経済も、この頃には冷え込んでいました。
“Dumsor”と呼ばれる停電も、その要因の一つです。
アフリカから世界を見ると、
物事の仕組みがわかりやすくなり、理解しやすくなります。
3ベットルーム+倉庫付きのコンパウンドで、エアコン1台で、毎月の電気代金は、約1万円。
停電なんて、月に1回2,3時間の短時間しかなかったのに、
この年は、2日停電で1日通電するという状況に突如なってしまったのです。
となると、ジェネレーターを用意できる家(ミドルクラス以上)は、ジェネレーターを回すようになります。
丸一日、必要最低限の電気(照明、インターネット、テレビなど、エアコン、電子レンジ、冷蔵庫除く)を使うためにジェネレーターを回そうとすると、そのガソリン代は約1000円。
月20日、ジェネレーターを回すと、約2万円。
通常の電気代に加えて、2倍以上の電気代がかかり、知らず知らずのうちに、ポケットからお金がなくなっていくという状態。
日本でも電気代が倍以上になれば、家計に打撃を与えますが、総じて可処分所得がずっと低い中でのこの電気代の上昇は、より大きな打撃です。
こうして、お金を使っていた家庭は、消費にお金が回らなくなるのです。
私は、これまで金融の仕事をしてきて、
「経済発展には、インフラが重要」とは、知っているつもりでいました。
でも、本当は、その意味を何も知らなかったことに気づかされました。