クリーンエネルギー、総合商社モデルへの転換

では、E-commerceから撤退したあと、MindNETはどうしたか?

これまでの社員を全員一度レイオフし、カールだけに戻りました。

解雇通告は、彼にとって辛いものでしたが、

驚くほど、皆、理解を示し、「たくさん勉強できたよ、ありがとう」と言ってくれた人もいて、思わず泣きそうになったと言っていました。

資金も底をつき、そこから、コンサルティングの仕事を本格的に開始しました。

一番、大きなプロジェクトは、オランダ企業のWaste to Energy Projectで、Project managerとして参画しました。

このプロジェクトには、アイディア以外のexecutionは、全部請け負い、テクノロジー選定、資金調達も行いました。

一番の成果は、クライアントに代わり、

オランダ政府の助成金10millionユーロ を調達したこと。

そうして、彼がエネルギーセクターで経験を積んだことと、

今後のセクターとしての展望も明るく、社会へのポジティブインパクトも強いことから、

Clean Energy セクターを、

コアコンピテンスにして事業展開しようという方針に決まりました。

ただ、コンサルティングは、上手くいくようになれば資本なく、そこそこ稼げますが、パートナーシップ制が一般的なように、株主に還元できるほどにはなりづらく、スケールする事業ではありません。

MindNETは、日本人個人投資家2名に投資してもらっています。

限られた資本で、どうスケールする事業を作るか。

色々な事業をテストしたり、模索する中で辿り着いたのが、

「SHOSHA」日本の総合商社モデルが良いのではないかという答えでした。

今はどうやってこの組織を作り上げたのだろうと思う大企業ですが、みんなどこかから始めたはず。

最初は同じ小さなスタートだったはずです。

事業投資や不動産投資、コモディティトレーディングをしながら、自社プロジェクトも保有する。

現在は、自社で購入した土地(長期的には、不動産開発にも向く場所で、キャピタルゲインも狙える)で農業を開始したり、ガーナに進出する外国企業のセクレタリーサービスから、ディストリビューションチャネル作り、スタッフィング、ガーナ人クライアントから引退した軍人居住コミュニティー開発のプランニングとプロポーザルの作成などなど、多岐に渡る案件を受け持っています。

フルタイムスタッフは、4人で、プロジェクト毎に適任者をプロジェクトに迎えています。

社員には、月1000ドル以上の給料を払えるようになりたいと考えています。

これは、ガーナではエリートサラリーマンの高給取りの給料です。

(日本の商社マンの給料と同じようなイメージですね)

年金ファンドへの投資も開始しました。

優秀な人が長く働きたいと思ってもらえる会社を作る、第一歩をようやく踏み出しました。

自社プロジェクトとしては、下記ビデオのようなソーラーパネルのインストレーションなどを今年から始めました。

このケースでは、3KWのソーラーシステムを個人邸宅に設置しました。

毎月、3,200 GHC ($735) 電気代に支払っていた家です。
ソーラーパネル設置後、今では、1ヶ月の電気代が300GHC ($63)になりました。

2年でペイバックするような形です。

今は、初期導入コストが高いので、導入できる家庭、機関が限られています。

しかし、導入費用にローンが組めるような仕組みを作れたら、どうでしょう?

また、帳簿もつけていないけれども、業界のシェアはそこそことっているというプラスティックリサイクル会社などに出くわすことがあります。

内部体制や効率改善をし、設備投資ができたら、もっと伸びるのではないかと思えるのですが、小さすぎてVCやファンドに見向きもされないような会社です。

海外から投資をする人は、現地事情がわからないので、政府関係機関に資金を投資します。

すると、政治家の親戚などのダミー会社にお金が流れ、結局何の実態のある事業が生まれない・・・というのが、アフリカでよくある現状です。

この状況にもどかしさをずっと感じていました。

では、私たちで投資する会社を選定し、その会社に役員を送り込み、改革を一緒に実行できたら、どうでしょう?

昨年から温めてきたアイディアですが、このアイディアの実現に一筋の光がさしました。

今年、カールがガーナ代表として、Eisenhower Fellowshipsのフェローに選出されました。

世界中から23人のそれぞれの分野で活躍する中堅リーダーが招待されています。

10月1日から6週間、米国でネットワーキング の機会をいただき、50以上のミーティングをアレンジするそうです。

“Creating a fund to support environmental and development initiatives”

彼が今日からどんな経験をし、ガーナに持ち帰るのか、楽しみです。