コロナ禍でのルワンダの観光業

ルワンダからこんにちは、アジアンキッチンの唐渡です!
さて、前回の続きです。国境は依然閉じられているものの、厳格なロックダウンは徐々に緩まっていき、国内の活動はかなり通常に戻ってきました。7月15日には、3月14日の初の感染以来禁じられてきた、教会での活動の再開にも条件付きでGoサインが出ました。

娯楽の少ないルワンダでは、市民にとっては日曜の教会は大きなエンタメです。ルワンダはキリスト教、その中でもカトリックが多く、国民の過半数を占めます。敬虔な方も多く、日曜に礼拝に行けない日が続いたのは、なかなか鬱憤が溜まったことでしょう。日曜日は、色とりどりの正装に身を包んだルワンダ人たちが道を歩いているのが見られます。

限られる国内の購買力

先週、ルワンダの六本木ヒルズ(と勝手に呼んでいる)「キガリハイツ」に入っている、ケニア発のコーヒーチェーン店に行ってみました。席はこれでもかなり間引かれていますが、こんな感じでアフリカ系の方々で賑わっています。例えばコーヒーは300円くらい。利用できるのは富裕層に限られますが、そうした方々は街に戻ってきたと言えるでしょう。

ただ、いかんせん、こうしたコーヒーが買える富裕層は国民のうちのどの程度かで言うと、極々一部です。(そもそもコーヒーは、輸出して外貨を稼ぐものであり庶民の嗜好品として浸透していません。紅茶文化です。)ワンダは国内の購買力がかなり低く、内需が小さいです。特に観光業やその周辺のホスピタリティ部門は、アウトバウンドが命。ここにお金を使える層が国内ではかなり限定されるからです。(そのかなり限定された方々がお客様のボリュームゾーンなのがアジキチなのですが。)

延期されたイギリス連邦首脳会議

ルワンダでは近年、MICE (Meetings, Incentives, Conferences and Exhibitions) Strategy を掲げ、安定した治安を生かした国際会議や展示会を積極的に誘致してきて、それに関連してホテルやレストランなどのホスピタリティ部門も成長してきましたが、この辺りもコロナで根こそぎやられてしまいました

3月、4月、5月にはかなりの会議がキャンセルになり、それに加えて6月にはCommonwealth Heads of Government Meeting 2020(イギリス連邦首脳会議、CHOGM2020)がなんとルワンダのあのコンベンションセンターで開催される予定だったのです…!

政府はそれに向けて1,050億ドルかけてインフラ整備をすると宣言、キガリのあちこちで中国の建設会社が突貫工事を行っていました。

またさらなる景観整備のため、キガリ中の道路の中央分離帯にはせっせとお花の球根を植える作業。それにはたっぷりの牛ふんが使われるので、空港からのメインロード沿いのアジキチ前にももれなく、強烈な牛ふんの臭いが一時期流れてきていたのですが、それに耐えた努力も虚しく、もちろん開催は延期…。

店の前の道路。下に植わっているのは、今回植えられたお花です!

牛糞臭はさておき、現実的な損失を数字で見ると震えます。こちらの記事に詳細がありますが、CHOGM2020では、それによる関連取引額も含めて、観光業の年間収入の2倍近く、実に7億ドル近くの収入を見込んでいました。52か国から集まる約1万人の使節団員は8,000万ドルをルワンダに落としてくれると読んでいました。(https://www.newtimes.co.rw/news/rwanda-resumes-conference-tourism

7億ドル飛んだ…
使節団の3%が一回ずつアジキチをテイクアウトしてくれるだけでも、300人×10ドルで3,000ドルの売り上げが立ったのにな…(遠い目)

The National Institute of Statistics of Rwanda (NISR)によると、訪ルワンダ外国人がもたらす収入は、今年の1−3月では昨年同時期比で35%減だそうです。ロックダウンが始まったのは3月下旬ですが、深い関係にある中国でパンデミックが先行して始まったこと、またロックダウンのインパクトが巨大なことが分かります。4−6月はまだ集計中と思われますが、目も当てられない結果が出そうです。

1−2月の好況感はアジキチでも実感値としてあり、2019年の成長率は9.2%とこの10年でも最高値を出していただけに、コロナでの減速が悔やまれます。

実際観光業はコロナ禍による被害をもろに被ったセクターと言えますが、4月にルワンダ政府が出した”Economic Recovery Plan May 2020- December 2021”にはロックダウンによって収入と消費がほぼ100%なくなる人が人口の60%にのぼるという衝撃的な数字が出ていました。そしてコロナが直撃するのは、やはり貧困層です。そうした貧困層には、食料配布などが実施されていますが、根本的な解決はまだまだ先が見えません。

先日の投稿で、4月の売上作対比は59%減と書きましたが、ルワンダ税務局のレポートによるとサービス業の4月の売上は60%減(製造業は45%減)と出ていて、実態とかなり一致しています。アジキチは、希望的観測を含めて、9月に昨年の30%減までに戻ると見ています。

商業便、いよいよ復活!

さて、いよいよ来月8月から、止まっていた国際便が復活します。そうです、アジキチの売上の回復には空の便の復活が必要条件です。

ルワンダ入国には、72時間以内に受けたPCRの陰性結果が必要で、かつ入国時にも再度検査、所定の場所で待機、などなどかなり厳格なルールのもと運用がされる見込み。ルワンダ発の飛行機でさえ、陰性結果がないと搭乗できないことになっていて、情報が錯綜しています。本当に、旅が大変な時代になってしまいました。。

初動で厳格なロックダウンを断行して、封じ込めはよくやってきたルワンダですが、いかんせん内需が小さいと閉じた後の経済政策が難しい。7月後半、新規感染者数はずっと二桁台で、これまでよりも多い日が続きます。それでも8月国境を再度開けるのは、初動は上手く行って時間を稼げたので、今度は感染拡大のリスクをギリギリのところで取りながら、経済を回すという意志の現れですね。

アジキチ的には、8月はもともとホリデーシーズンなので、おそらく一旦アウトバンドへ流れてお客さんが更に国内から流出し、9月の学校再開と共に、徐々に戻ってくるかなと見ています。今できることを地道にやっていきたいと思います。