「HELP」ではなく「対価」を
ルワンダからこんにちは、アジアンキッチンの唐渡です。
さてその後ですが、スタッフたちの、「お金」のとらえ方について、 いろいろと考えてみました。
(パフォーマンスは引き続き低迷中)
★「お金」はもらうもの?
前回社員が「売上増に対する還元」を理解しないと書きましたが、
当然です。
明日の生活に困ってる人にとって、 そのお金がどこから来ているかとか、知ったこっちゃないです。
抜け落ちている大前提、それは、
給料の原資は、寄付金でも、海外からの支援金でもなく、
提供価値に対する対価である
ということ。
おいおい「アントレアフリカ」でなにを当たり前のことを、と思いますか?
それが、この国ではこの概念は理解されるのは容易ではないです。
「お金」は「もらうもの」という意識があるからです。
国の一人当たりGDPは約700ドル(2017年、日本は39, 000ドル)で大きな産業がなく、定職がないのが大多数。
どうやって生活するか?
自給自足を前提とした上で、
収入のある人が、ない人を支える。
お金がある人が、ない人の分を負担する。
そんな現実と、これまでの海外からの援助の歴史。
無理もないです。

人ひとり、大黒柱。一家を、一族を、養っています。
★”HELP”という概念
そこには”HELP”という概念があります。
人助け、って言うんでしょうか。
いいですね人助け。
情けは人の為ならず。
持ちつ持たれつです。
でもそこの言葉って、みんな平等なコミュニティでこそ美しいっていう。残酷ですが。
持ちつ持たれつって、要はGive and Takeで、でもGive側とTake側が固定されてくると、成立しませんよね。
この国では、分かれています。
HELPする人とHELPされる人に分かれています。
この二項対立。
外国人である私はそれだけでHELPする人で、ローカルスタッフは、HELPされる人。
ポジショニングで言うとそうなります。
(もっと腹立たしいのが、”HELP”する側が”HELP”される側を搾取している例。今回は触れませんが…)
★「施し」ではなく「対価」
お客さんがくださるお金は「施し」ではないです。
美味しいから、サービスがいいから、何かしらそこに「価値」を感じ、払っていただく「対価」です。
だから私たちはただひたすら、「提供価値」を追求していかないといけないということ。
「自分はもらう側」、ではなく、give and takeの経済活動に参加しているということ。
店も、スタッフも、市場にさらされているということ。
市場原理が働くということ。
適応できなかったら淘汰されるということ。
これらを社員に理解してもらいたい。
2割くらいの社員は理解してきています。多分。

自分の提供するものに責任をもってもらいたくて、一人ひとりアジキチの顔になってもらいたくて掲示。
★”HELP”を乞う社員
とある社員。
「娘を一人で育ててます。学費が要ります。HELPすると思って、人助けだと思って、給料あげてほしい」
分かりますよ。シングルマザー大変です。
が、できません。
経営者としてはできません。
「じゃあ、パフォーマンス上げるか、職務増やすか、職域広げるか、時間増やすか、どれで応えてくれますか?」
という会話ならできます。
「そっか~大変だね、じゃあ今月だけね」
とか、できません。
必ず次の月も言ってきます。他の社員も言ってきます。収集つきません。
一番初めに雇っていた社員には、そのさじ加減が分からなくなり、結局去ってもらうという結末になってしまいました。
まだまだ手探りだった時期の失敗経験です。
社員の給料は「支援金」から来ているわけではありません。
私のお金でもありません。
(箱には元手がいるわけでそれは自分のお金を使いましたが、それは私が息子と幸せになれそうな場所を探してした自分の人生への投資です。毎月の社員の給与とかにまで自分のお金をまだ突っ込んでいたら、それはビジネスとしては間違いです)
アジアンキッチンは、会社として、利益追求してなんぼです。
利益を上げ続け、事業継続して、事業成長して、なんぼです。
国の経済成長に合わせて、アジアンキッチンの給料だって絶対上がっていくべき。
それを目指し実現させるのが今の私の役割だと思っています。
★厳しい現実
とまぁ、毅然とした態度で書き連ねている風ですが、これは半分自分に言い聞かせています。
給与なんて能力に対する相場以上払えない。
当然ですよね。
でもここに来たら、そんな経営の大原則に従った「相場」の低さに愕然とするでしょう。
HELPのつもりで「ちょっと」乗せるなんて本質的じゃない?
でもその「ちょっと」が生死すら左右しかねなくて、
でもその「ちょっと」がどうしても払えない人が圧倒的多数なんです。
この現実との闘いです。
上げていくしかありません。
今日もそのために働きましょう!

集合写真中の社員の自撮りにかぶってる経営者が私です