政府の力が絶大であることのいい面・悪い面
ルワンダからこんにちは、アジアンキッチンの唐渡です。
来月の一時帰国にあたり、渋澤さんはじめ本コンソーシアムの方々があのNewspicksとともに素敵なイベントを開催してくださることになり、今から緊張しておりますが、楽しみです!
(詳細はこちら)
さて、5月のTransform Africa Summitもあり(私の書いた記事はこちら)、日本のメディアで取り上げられることが多くなってきたルワンダ。
最近はサムライインキュベート出身の寺久保さんによる”Leapfrog Ventures”の設立が話題になりました。(記事はこちら)
そんな中、ルワンダのメディアでの報じられ方が実態と乖離している、というケニアで活動される日本人起業家の方のツイートが、twitterで盛り上がりを見せました。ルワンダが「IT大国」って日本で広まっているけど、それってどうなの、と。
まとめ記事がこちら。タケダさんというルワンダブロガーの方の記事です。
●ルワンダの両極端なイメージ
ルワンダというと、
ジェノサイドの凄惨なイメージや「貧困」というネガティブなイメージ、
または「IT立国」という煌びやかなイメージ。
この両極端な印象に偏っている気がします。
キガリに住む私(地方はまた全く違います。正直地方へ行くと、その「貧困」に全然に違う気持ちになります)の感想としては、どっちも当てはまりません。
最近よく見かけるルワンダが「既に」IT立国であるかのようなメディア。
どこから来ているのか?
それはまさにルワンダ政府のマーケティングであり、外交戦略。
そうやってイメージ戦略で人材や外資をルワンダへ引っ張って来るのがルワンダ政府の狙いだったりするわけです。

キガリの未来(予定)
●ルワンダ政府の卓越した「見せ方」
ルワンダ政府は本当に見せ方が上手です。
魅せ方と言いましょうか。
経済は未発展なので、外国からの支援がまだまだ必要。そんな中、資源がなくてもICT立国を打ち出したり、「アフリカのシンガポール」というポジションを謳ってみたり、ビジネスの立ち上げやすさ整えたり、とにかく外資welcome感満載。(特に近隣のエチオピアに行ったとき、比較するととても顕著でした。その時のブログ)
でもハッタリもそのうち本当になったりしますからね。その様子を見守るのも面白いかもしれません。
というかそういう戦略なんだと思います。
でもビジネスの面からルワンダを選ぶかどうかは自己責任ですヨ!
(私は息子との暮らしやすさでルワンダを選んだクチです)

夜中まで光り輝くのコンベンションセンター
●とにかく強いルワンダ政府
そういったイメージでルワンダに来たとしたら、びっくりするのがその「超強力なリーダーシップ」(良く言って)だと思います。
実際国のステージを考慮すると、独裁的なリーダーシップというのは必要なのだと思います。
カガメ大統領は憲法まで変えて、三選目。
選挙の時も、数時間後の速報で得票数9割超えてて、この国は民主主義なのか…と思ったのを覚えています。残りの1割…
シンガポールが明るい北朝鮮と言われますが、そういう意味では確かに、ルワンダはアフリカのシンガポールと言えるでしょう。
●いいところ。治安がいい、汚職がない
政府がここまで強いと何がいいか。
まずは、圧倒的な治安の良さです。
政府が軍と警察を完全に握っているからです。もはや三位一体なイメージです。
街のいたるところに銃を持った警官が立っています。逮捕も結構身近です。
そして驚きなのが、私は3年近く住んでいて、警察から賄賂を要求されたことは一度もありません。
先日、私としたことが、車検の更新を忘れて運転していたのですが、警察に道で止められ(止められることはよくあります。が、暇だから止めてみただけなのか、そのまま世間話して解放されることが多いです)、期限切れを発見され、イエローペーパーという車のIDのようなものを没収されてしまいまいした。
「25,000RWF(約3千円)の罰金だ」
「ぎゃーごめんなさい。急いでるんで今キャッシュで払いますのでID返してください。」
「いやだめだ。銀行に行って振り込みなさい。振り込んだら領収書持ってきなさい。そしたら返す」
「え?銀行行かなきゃだめ?ここで払うのじゃだめ?」
「ダメ。絶対」
この会話、他の多くのアフリカ諸国在住の方が読んだら驚かれるのではないでしょうか。
キャッシュを頑なに拒み、銀行送金を強制する警官。すごいです。
(ちなみに銀行に振り込んだ後、その振り込みと私のIDを照合するのに時間がかかり、取り返すの時間かかった…それが見えていたからキャッシュで払いたかったんだけど…なんというかこの国らしい)
●カスタマーとしての弊害
逆に、この軍隊仕込みさながらのオペレーション、サービス業、特に政府のお金が入っている企業ではカスタマーにとって弊害も起きます。
お客さんではなく、上を見て仕事をするからです。
お客さんの求めているものに興味はなく、トップが何と言っているか、トップが決めたルールは何か、そこから外れたらどんな懲罰が待っているのか。行動は全てここに則ります。
某航空会社(一つしかありませんが、どことは言いません)なんかはその傾向が超顕著です。CEOも軍出身ですし。そこのカスタマーサービスはまぁ本当に最悪です。体験談は多分30スクロール分くらい書けてしまうので割愛します。
逆に、担当者と話して全然埒が明かなくても、政府系知人の名前を出すとすんなり行ったり…
合言葉は、「持つべきものは政府系友達」。です。(こちらもルワンダブロガー根本さんとのtwitterの会話から生まれました)
●民間のビジネス面での弊害
ルワンダは手続きの面での起業のしやすさはお墨付きですが、その後は内需がとても小さかったり、課題は山積です。
そして。政府の力が絶大ということは、どういうことか。
シンプルに言うと、「政府の気に障らない」ことがビジネスをする上でマストになってきます。
政府系組織の利益に競合するものだったり、政府系組織の利権を脅かすようなことがあると・・・(あとはご想像にお任せします。)
例えば独り勝ちしているような外資のバーは、「若者のドラッグ乱用を促進する要素のある店」として名指しされていました。アジキチも、外資というだけで、その薬物乱用禁止フォーラムみたいなのに呼ばれてシビアに出席確認されました。
大通りに面したオープンレストランでグリーンカレーとか食べながら麻薬売買されてたら面白いですよね。

薬物禁止フォーラム。大臣や軍の方々
と、言うわけで、今回はルワンダ政府の強さについて書いてみました。後からこの記事が削除されていたら、その時は察してください。
ではまた!