伝統と、生き残ることと。

新年、あけましておめでとうございます★

アジアンキッチン in Rwanda の唐渡です。

アントレの皆様、お客様、従業員、いつも支えてくださる皆々様のおかげで、また新しい年を迎えることができました。

年末には、私が不在の中、ローカルスタッフだけで大型ケータリングを受注から納品、代金回収までやりきってくれました。(原価率後から見てたまげましたが…おいおい伝えていきます。。)

 

サテーは生春巻きに続きケータリングで受けるメニュー入りかも

 

さて今年初回のブログは、新年らしく「伝統」について触れたいと思います。

 

●新規プレーヤーの参入

2018年秋、キガリのタイレストラン業界(超ニッチ。というかうちだけ)に激震が走りました。

 

バンコクの四つ星ホテルで9年修業を積んだ

オーセンティック」なタイ料理を作れるオーナーシェフ、ムハンマド氏が、

満を持して、キガリでその名も”Pad Thai”(←アジキチの看板メニューです)という店をオープン。

ざわつくエキスパッツ(在ルワンダ外国人)。なんだか色々グローバル。

大げさに聞こえるかもしれませんが、エンタメの非常に少ない国なので、実際、ざわつきます。

腕は確か、これぞAuthentic Thai Cuisine!! と盛り上がる巷。

 

この極小マーケットではどんな形態でもパイは食い合うので、

競合参入は日常茶飯事とも言えるのですが、

「タイ料理」というカテゴリではAsian Kitchen一店のみだったのが、二店になるわけです。

 

実際食べてみると…お、美味しい…!

そして安い。

ただし場所は掘っ立て小屋、スタッフも数名しかおらずサービスはまだまだ。

 

味は確かに美味しい。

 

●アジキチとしての対応

今回の件を、どうとらえるか?

 

各国料理店を、各国のエキスパッツが評価する場面には何度も出くわします。

その店の料理がどれだけ本場に近いかについてもよく議論されます。

あれはオーセンティックだ、あれはなんちゃってだ、と。

 

私は、「本場のタイ料理を作る」ことと、「それをビジネスとしてサステナブルに継続する」ことは全く別物だと思っています。

 

物資調達の難易度が高い国では、

本場と全く同じレシピではなく、

お客様が定期的に通える価格帯で提供できるものを取り入れ

かつ絶え間ないオペレーション・味の改善をその上に重ねつつ、

提供し続けられることが肝だとつくづく思います。

 

例えば、アジキチのグリーン/レッドカレーには、ルワンダの主食である芋が入っています。

 

それについて、「タイカレーなのにじゃがいも入っちゃってるよ!」

という反応をいただいたこともありますが、

「ルワンダはお芋美味しいし、カレーとも合ってていいじゃない。地元の食材上手く取り入れて、何より料理としてちゃんと美味しいから僕は好き」

と言ってくださる常連さんもいました。

そして私のお気に入りトッピングは、自家製の豆腐!

王道ではないけど、私はアジキチでカレー食べる時はいつも豆腐入れます。

この豆腐の触感と濃厚スープの組み合わせがすごく好き

 

タイカレーとして本場とそろえるなら、「フクロダケ」というルワンダにはもちろんない品種を缶で輸入して使うとかでしょうか。

コスト的に続きません。

 

またアジキチでは、こぎれいな店内、教育された従業員、提供時間の速さなどのサービスにも力を入れてきました。

 

競合の登場に一喜一憂するのではなく、何で勝つかは冷静に見極めたいところです。

今のところ彼には後ろ盾の存在を感じませんが、彼が誰かと組んだりしたらかなり脅威ですが。。

 

●「伝統」「本物」を追求することと、生き残ること

 

伝統や本物を追求することって、素晴らしいと思います。

日本人が得意とすることでもあると思います。

 

ただ、伝統や本物を追求しても、それが喜ばれるかどうかは、市場が決めることだと、

海外にいると特に考えさせられることが多いです。

 

本物が分かる人だけ相手にすると決めるのも、戦略の一つでしょう。それで生き残れるなら。

例えばここキガリでは、それで生き残るのは無理です。

 

近年日本食ブームが世界を席巻して久しいですね。

Sushi, Ramen, Tempura などなど。

どれも日本人もこよなく愛する伝統的な料理ではありますが、外国で流行っている店を見ると、

例えば寿司だと握りよりもフォトジェニックかつ野菜中心のロールが人気だったり、

ラーメン店も、黙ってすするのではなく恋人たちがワイン傾け語らいながら楽しむオサレ空間になっていたり。

 

流行っているジャパレスを経営するのは、ローカルにうける趣向を凝らした中国人・韓国人オーナー、という例も珍しくありません。

(キガリではない)

 

日本人としては、正直違和感ありますよね。

 

でも、海外で現地の嗜好を取り入れるのは当たり前かもしれませんが、

日本においても、ゆっくりですが着実にその流れが来ていると思います。

 

以前、ポルトガルの友人が日本に遊びに来た際、Sushiが大好き!とのことで、一時間並んで人気の寿司屋へ行き、その日のおススメ握りをたくさん注文しました。

すると、「生魚苦手なんだよね、キューカンバーロール最高」と言われて思わず いやそしたら並ばず京樽おしえたやん。と突っ込みそうになりました。

でもこれが実際のところ。

 

日本食文化に精通していない外国人客を、大将が追い返すなんて場面、テレビで見たことありますが、

それでその店が回っているうちはいいのかもしれません。

でも一時帰国で百貨店を訪れる度に感じる外国人客比率の凄まじい上がり方を見ていると、

時間の問題なのかなとも思います。

オリンピックも控え、日本政府もクールジャパンを掲げインバウンドを増やすのに必死ですよね。

 

(そしてちょっとそれますが、日本での現金決済至上主義は本当にどうにかすべきだと思います。

観光地なのに現金のみとか謎すぎます。)

 

ちなみに。

私がキガリで飲食店をやることにした時、日本食を選ばなかった理由の一つが上記です。

「ジャパニーズレストラン」というだけで引きが強いのは大きな利点だとは思いましたが、

日本人として伝統を知っている、そして追求したくなる気持ちと、日本文化を知る人が少ない市場で求められるマーケットインの間で陥るジレンマが頭をよぎりました。

 

●強いものが生き残るわけではない。適応したものが生き残る。

というのは有名な言葉ですが、

改めて、今年も変化に合わせて最適解を選びつつ、進化して参りたいと思います。

アジアンキッチンをどうぞよろしくお願いいたします!