ルワンダでタイ料理屋1 「陸の孤島の物流」編
ルワンダでタイ料理屋をやると動き始めたときに、一つ大きな方針としたのが、
「現地調達できるもので作れるものを提供する」。
ビジネスである以上、コスト面でも、オペレーション面でもサステナブルでなくてはなりません。
現地調達でいきましょう。
が、ルワンダの物流がそもそも全くサステナブルじゃないことに後から気づく…。

関係ありませんが今日日蝕がありました。
まずはメニュー決めから。
タイ料理おいしいですよね。
私の一押しはクンオップウンセン。
初めてのタイ料理で習った、大好きな一品です。
蒸しあげられたエビがジューシーで。エビ。ルワンダにはないです。却下。
トムヤムクン。
定番ですね。
トムは「煮る」、ヤムは「混ぜる」、クンは「エビ」…却下。
というわけで、シーフードを筆頭に一気にメニューが絞られました。
冷凍エビもたまに白人向けスーパーで見かけますが、べらぼうに高いです。そしてこの停電ばかりの国で、何度凍結・解凍を繰り返しているかと思うとちょっと。。
あとうちは豚もNGですからね。(参照:ルワンダの宗教と「食」)
タンパク質がだいぶ限られますね。
でも我々には大豆がある。豆腐がある。Healthy Asian Cuisine なのである。
「進化は制約の中からしか生まれない。」by 前職の上司
次いで仕入れ先の選定。
メーカーから直接仕入れて安くしたいですね。
ってそもそも国内食品メーカーがほぼないです。製造業全然発達していないので。
なので今国内メーカーから直接卸してもらっているのは水とごく一部の食材に限られます。
ちなみに野菜なども農家さんや卸から直接買えればいいのですが、まだ一店舗では量が少ないこともありますが、今のところルワンダのマーケットは実質そうなっていません。そういったプラットフォームが未整備です。今はまだいちレストランですが、いずれは上流の方と提携なり協業なりを考えています。
で、そうなると野菜以外の調味料などはほぼ全部外からということになります。どうするか。
例の印僑・華僑のお世話になっています。
値札がついているような一応スーパーと呼べるものは、ケニア系のものと、インド系、中国系に限られます。
インド系のスーパーには各種スパイスがたくさん並んでいます。さすがです。
ですが先日white pepperを買いに行かせたら、品切れ中とのこと。
インド人のスパイス屋でコショウが品切れってそんなことあるかいぃぃ と再度行かせるも、見つからず、
自分も行って確かめましたが、本当に品切れでした。
インド人もびっくり。
中国系スーパーでは、アジア系の食材を調達します。
オイスターソース、ナンプラー、きくらげ、赤唐辛子、卵麺、など。
これらは見たら、買い占めるようにしています。
キャッシュフローが時々えらいことになりますが、ちょっとずつ買っていると、ある日忽然と姿を消して「次いつか分かりません」となることが多々あるので、買えるだけ買います。
ちなみに今は、生春巻きに入れるビーフンと、米粉がキガリから姿を消しています。どうしよ。

日本の百均の粗悪品がものによっては1,000円とかします。
ちなみにカレーのペーストについて、どうしているのかとご質問を時々いただきますが、そのインド人スーパーのスパイスをメインに、自前で作っております。
とあるタイのメーカーのペーストがこれまた美味しいのですが、輸入に頼っていては高くつきますからね。
このペーストの完成ストーリーはまたどこかで。
こうしてオープンしましたが、例外もあります。
例えば米麺。
オープン当初から、Pad Thai、パッタイは多くのご要望が寄せられ(特にアメリカ人)、ついにパッタイ導入を決定。
ですが、平たい米麺が手に入りません。
最初はナイロビ視察がてら買い付け。でも量はスーツケースに入る程度に限られます。そして空港セキュリティチェック受けるときに、引っかかります。爆弾のケーブルに見えるようです。
次はナイロビからEMS。麺自体よりも圧倒的に輸送費が高い。
その次はいくつか選択肢があったのですが、タイから空輸!しました。

原価率高いのです、パッタイ
なぜ船じゃなく空輸か?
1 船となると、コンテナになります。すごい量です。他の人とコンテナを共有する、いわゆる という方法もあるのですが、やや煩雑。
2 ルワンダは内陸のため、タンザニアのダルエスサラームやケニアのモンバサに着いてからの陸送費がこれまたかさむのです。鉄道はありません。輸送手段は車のみです。
陸の孤島・・・
先日インスタでもあげましたが、スタバの飲料がとあるスーパーに並んだだけでルワンダ在住Expats界隈がざわつきました。
実際この物流はルワンダの経済発展において大きな障害となっていて、沿岸国のケニア、タンザニア、南アなどに比べると、第一次産品以外の物価が高いです。飲食店の価格もGDPに対して高いです。

中国人スーパーで米麺かもしれないものは見ましたが、この状態で売られているので原料が全く分からない。プラスチックでも驚くまい
ちなみに、そもそも選択の分岐点に
「製造する」
もありました。現地調達の究極系です。米麺の調達が難しければ、作ってしまえと。
ですが家庭用製造機だと、そもそも適した米粉が手に入らず、電圧も異なり、不可。
業務用のは投資額が莫大になりもはや本業が変わってくるレベルだったので見送りました。
アリババで結構調べたので、未だに
「キャッサバ粉製造機 特別オファー24万ドル 今なら2%OFF!」
などのいかついバナーばかり出てきます。
さてこうした状況からもルワンダはIT立国を目指しています。
技術革新が目覚ましい昨今、それもリープフロッグでの革新を続けるアフリカでは、例えば数年後はドローンで毎朝エビが届いているかもしれません。
今はまだネットも安定しませんが。
…養殖の方が早かったりして。

世界のkikkoman。たまに見ます。この量で1,000円。