ウガンダ北部に来て農業を考える
今日は別件でウガンダ北部の都市リラに来ています。
ここは2006年までジョゼフ・コニー率いる「神の抵抗軍(LRA)」と政府軍との間で、約20年にもわたる内戦が行われていた場所です。幼い子どもたちを誘拐し、暴力と支配により兵士に仕立て上げ戦闘に参加させた、いわゆる「子ども兵」で有名になった内戦でもあります。
2006年に停戦合意が締結されると間もなく様々な援助機関が入り、国内避難民の帰還・定住支援やインフラ再構築などが行われ、最近ではそこで暮らす住民の生活・収入向上にフォーカスした支援活動が行われています(ウガンダ国内の他の地域と比べても、圧倒的に生活レベルが低いです)。住民の収入向上のために何をすべきかということですが、住民の90%が農業従事者であることを鑑みたら、農業支援が有効であると考えられ、多くの援助機関やNGOが各種事業を行っています。
私も農業支援に関わってきた端くれとして感じた、この地の農業の課題の一つに、様々なアクターは存在するけれど、互いにきちんとリンクしておらず、必要な知識・モノ・カネ・人材が流れていないということが挙げらるのではないかと思っています。
例えば農業省直轄の農業研究機関はあり、そこで改良種子や肥料などの研究はされていますが、そこで得られた知識や研究結果が農家にまで普及されていなかったり、ローカル企業で種子や肥料を販売する企業はありますが、農家のニーズに基づいたものを提供できていなかったり(例えば農家はまとまった現金がないので、ローカル企業が販売するようなサック単位での購入は難しく、1kg, 2kgの小口パッケージ化が必要)、農地で病気が発生しても誰に対応を聞けばいいか分からずそのまま放置していたら、そのシーズンの収量が少なくなってしまったり、品質の高い農産加工品を購入したいというバイヤーはいるのに農家がそのことを知らなかったり。とにかく挙げたらきりがありませんが、細かいことでも実はクリティカルなことだったりするんです。
まずはどんなアクターがいるのかを把握し、彼らが本来どう繋がり合うべきかを考え、しかしなぜそうならないのか課題を一つ一つ抽出・解決し(必要があればリソースを投じ)、アクター間をコーディネートしていく、北部の農業振興に関わる援助機関に求められることの一つかと思います。
最近の動きとして面白いのは、それら問題の解決にtechnologyが使われ始めていること。ケニアだと結構盛んなイメージですがここウガンダでも、例えば農作業やってて分からないことが生じるとSMSを通じて質問投げて、少しすると答えが返ってくるといったe-extensionシステムが導入されたり、市場での穀物価格をSMSで毎週知らせるサービスがあったり、面白い展開が生まれつつあります。
Chizu