女性たちが安心して働き、自らの可能性を広げられるように

RICCI EVERYDAYを語る上で欠かせないのが、プロダクトの作り手である女性たち。彼女たちの大半は、子どもを抱えたシングルマザーです。私はできる限り、このシングルマザーたちを自分の事業に巻き込みながら、彼女たちの生活向上にも寄与できたらと考えています。今回はその理由についてまとめます。

現在ウガンダの18歳以下の若年層は全人口の60%を占め、その大部分が初等教育は受けられるものの、何らかの理由でドロップアウト、もしくは経済的な理由で高等教育へのアクセスが限られています。とりわけ女児はドロップアウトするリスクが非常に高いと言えます。先日とあるママから聞いた話では、学校の長期休暇の終わりになると、親は女児を病院へ連れて行き、妊娠検査を必ず受けさせなくてはいけないそうです。その結果を学校に提出し、仮に妊娠していたらその子は学校に戻ることができません。つまりここで彼女の教育を得る機会は半ば強制的に奪われてしまうわけです。妊娠が彼女の意図したものかどうかは関係なく。。。また農村地域に行くと、学校数が限られている分、授業料が割高で、家族の多い家庭に生まれた女児は、経済的理由により学校へ行かせてもらえなくなります。このように、高等教育や技能を得る機会を奪われ社会に出ることになってしまった彼女たちは、失業率の高いウガンダでは、まともな職業につくことは難しく、生計をたてることを困難としています。

中には苦境に追い込まれ、やむを得ず売春婦となるケースもあります。しかし売春婦として働くことは、客からの暴力や、性感染症の罹患、望まない妊娠をしてしまうリスクを高め、彼女たちをさらなる経済的苦境に立たすことになるだけでなく、偏見に伴うその社会的地位の低さゆえに、コミュニティの中で隠れて生きていかなくてはならない状況を生み出しています。そして一度陥った貧困から抜け出すことは難しく、彼女たちの子どもたちにも、貧困の連鎖が影響する可能性があるのです。

うちで働く女性たちも例外ではありません。辛うじてテーラリングのスキルを有していたので、職にはついてはいましたが、田舎から子供たちと出てきてアパートを借り、子供を学校に行かせ、最低限の生活をしていくには、どう考えても少ない賃金しかもらえていませんでした。どうにかやりくりしながら常にギリギリのところを生きてきたわけですが、働き手の母親が元気の内はまだいいです。仮に病気になったり、事故に遭ったり、問題に巻き込まれて突然解雇されてしまったらどうなるでしょうか。日本のように医療保険や失業保険、労災保険、生活保護など、色々課題はあるにせよ最低限の生活を支える仕組みがあればいいですが、ウガンダのような開発途上国では、緊急時のセーフティーネットが全くなく、一気に貧困状態に転がり落ちてしまうのです。

RICCI EVERYDAYではこのような社会的背景から、シングルマザーたちを積極的に雇用し、事業を通じて、彼女たちが教育の機会を奪われたことでストップした自らの才能を開花させるプロセスを、再びスタートさせるサポートをしたいと考えています。そのために、テーラリングや革の縫い付けなどの日々の仕事だけでなく、ビジネススキルトレーニングを実施したり、緊急時のセーフティーネット不在の問題を企業努力で解決していきます。例えば医療費の一部負担や緊急時の支援制度などです。まだまだ導入初期段階ですが、女性たちが安心して仕事に取り組みながら、自分の可能性を信じて仕事に邁進できる環境を作っていきたいと思います。

 

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プロジェクトをスタートしたての頃

Chizu