テラ・ルネッサンスさんのグル事務所を訪問

先日再びウガンダ北部に調査に行ってきました(そして今はナイロビにいます。この後セネガル、イタリアへと、調査の旅は続きます)。
実は北部の都市グルには、素敵なファッションブランドなどが集まっているんです。とあるブランドでは、グルに暮らす人々に対し、雇用と5年間の教育プログラムを提供しながら自立を促す事業を展開しています。そして何より、商品クオリティがとても高い!今は海外からのオーダー分を作るのに精一杯ということでその場で購入はできませんでしたが、あれもこれも欲しくなってしまう、デザイン性の高い製品がたくさんありました。

さて今回はテラ・ルネッサンス、スマイルハウスについてです。

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こちらの団体はご存知の方も多いと思いますが、ウガンダ北部内戦中、子供兵として扱われていた子供たちに対し、教育プログラムを通じた社会復帰・自立支援を行っています。具体的には3年間のプログラムの中で、トラウマケアやカウンセリング、平和教育、職業技術訓練(大工・ドレスの仕立て・ペーパービーズ製作・バッグなどの小物製作など)、自立に向けた資金支援を提供しています。現在23名の生徒さんがいて、これまでにテーラリングのクラスを卒業した人だけでも200人以上に上るとのこと。ここに来る子供たちの多くは、現在はグル周辺地域に再定住し自活していますが、内戦当時はLRA(神の抵抗軍)に誘拐され、徹底的な暴力と洗脳により前線に立たされて子供兵として戦わされたり、性奴隷として扱われたりなど、悲惨な経験をしていました。

とある卒業生を訪ねてみました。彼女は2008年にスマイルハウスから独立し、自分で場所を借りてテーラー業を営んでいました。黙々とお客さんのパンツの裾上げをしていましたが、他のお客さんが次から次へと彼女を訪問し仕事をお願いしていくところから、ビジネスが順調に進んでいることが見て取れました。

しかし後でマネージャーに聞いたのですが、彼女自身もLRAに拉致され、性奴隷として扱われていた被害者の一人でした。その間に子供を身ごもり、HIVにも罹患し、やっとの思いで解放されたそうです。しかし紛争が終われば彼女の苦しみも終わるわけではありません。彼女がそうだったかは分かりませんが、身体的・経済的困難だけでなく、恐らく自分の所属するコミュニティから社会的差別を受け苦しんできたのではないかと想像がつきます。そんな状況下にいた彼女が、スマイルハウスでのトレーニングを通じてどのような心境の変化があり、今のように自律的な女性になったのか。今後時間を掛けてリサーチしていけたらなと思います。

実はRICCI EVERYDAYでは来年から、スマイルハウスを卒業したテーラーたちと一緒に仕事をしていく予定です。彼女たち一人一人の目指す自立への道を尊重しながら、生活水準の向上とともにプロフェッショナリズムの醸成を行っていけたらと。また近々訪問予定です。

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Chizu