本音

ウガンダ・カンパラでは週に一度、東アフリカ中の様々なクラフトが集められたFriday Marketが開催されます。先日マーケットに行った際、とても素敵なペーパービーズを作っている生産者さんを見つけ、その方のお宅を訪問したことがありました。

カンパラのナカワから少し入って丘を登りきったところに、ローカルの人々が暮らすバラックがあり、そこをずんずん歩いて行った先に彼女の家がありました。土壁でできた3m四方の小さなお家。そこにベッドやソファ、テーブル、キッチン用品などなど、彼女の持つあらゆる家財道具が所狭しと置かれていました。

彼女はテーブルの下に置かれたペーパービーズ作りセットを取り出し、最近出来上がった商品をいろいろ見せてくれました。色鮮やかでデザインも豊富な可愛いアクセサリーたち。こんなにたくさんのアクセサリーを作りながら、マーケットでは観光客や地元の小売店相手にそれなりの数を販売しているのだから、さぞ仕事も楽しんで取り組んでいるんだろうと期待し、「アクセサリー作りは好き?」と聞いてみたんです。

答えは無言。

聞こえなかったのかと思い、もう一回同じ質問をしてみましたが、反応は同じ。

そしてその後、「ただやってるだけよ」と暗い表情でボソッと答えが返ってきました。

 

帰り道、なんだかそのやりとりが忘れられず、友人とそれについて話していた中で気付いたのですが、私はたぶん無意識的に「途上国でものづくりをやる女性はみなHappy」だというステレオタイプに捉われていたんだと思います。

このステレオタイプのせいで、私は彼女から”I like my job”という答えが当然のごとく帰ってくることを期待したし、でも実際はあまりにも期待していたものとかけ離れた回答だったから、衝撃を受けたんだろうと感じました。

北部から身一つでカンパラに越してきた彼女。恐らく身寄りもなく、土壁の、強い雨風にさらされた途端に崩れてしまうんじゃないかと思わせる家に一人住んで、アクセサリーを作りながら、ギリギリのラインで日々の生活を成り立たせるためのお金を稼いで暮らしている。アクセサリー作りを楽しむなんて、そんな余裕はない。アクセサリーは生きるための手段、ただそれだけ、と言われたような気がして、そんな彼女に「楽しくものづくりをする姿」を期待した私は、本当にエゴの塊だなと、反省しました。

翻ってうちの工房の女性たち。私が「仕事は楽しい?」と問いかけると、必ずと言っていいほど笑顔で「楽しんでるわ」と返してくれます。これまではその回答に安堵しきっていましたが、もしかしたら私に心配を掛けるまいと無理して作った笑顔かもしれない、本当は何か問題があったりするのかもと、さらに考えを進めてみることも必要なのかと思いました。そのためにはローカルの人々のお金の回り方や生活様式についてリサーチしなくてはいけませんが、彼女たちが本当に心から笑顔で仕事に取り組めるようにすることが私の今の仕事だと、改めて感じた次第です。

 

Chizu