ウガンダの紡績・縫製産業

先日ビジネスパートナーと共に、紡績工場及び縫製工場をもつFine Spinners社を訪問してきました(最近同社はPhenix社を買収したとのことで、現在ウガンダ国内では2社のみ紡績以降の加工を行っています)。

ここではウガンダ西部で収穫した綿花を買付け、紡績→生地の製造→主にTシャツの製造を行っています。実はメイド・イン・ウガンダのコットン生地を手にすることは稀なのです。紡績技術のないウガンダでは、収穫した綿花のほとんどを原料のまま諸外国に輸出し、そこで紡績して布にし、再度輸入しています(RICCI EVERYDAYで使用している布も、ウガンダ製ではなく、ほとんどがガーナやナイジェリア、コンゴ民主共和国から入ってきたものです)。

そんな背景を知っていたため、ここで紡績以降の加工を行うキャパシティをもつ会社があることに驚きました。そして好奇心旺盛な私は、ビジネスパートナーを伴って早速訪問したわけです。

工場全体の構造や流れについてマーケティングマネージャーに案内してもらいつつ、印象的だったことをいくつか。

・工員1人が1日で縫えるTシャツの枚数が、中国の工場では95枚である一方で、ケニアは50枚、ウガンダだと25枚と、生産効率が圧倒的に低いウガンダ(とはいえスタートした当初は15枚だったから向上してはいるみたい)。

・ローカルマーケットに出す用の布or糸と、海外向け輸出用の布or糸の製造過程では、プロセスが異なり、綿花をクリーニングする時点で完全に別にして作られるということ。

・ここで働く1,000人以上の工員は、月60ドル程度の月給及び1回の食事しか提供されないということ。交通費等なし。

・EdunやCalvin Klein、Walt Disneyなど海外ブランドからオーダーが来ているということ。ちなみに日本のブランドからのオーダーはこれまでなし。

・Tシャツの縫製過程において生産効率を毎時集計してチェック。午前中は11時がピークだが、それ以降ランチまでは作業効率が下がり、またランチ以降も睡魔が襲うのか作業効率は落ちるとのこと。

・同社はスリランカ人による経営で、各工程がかなり厳しく管理されている印象。出来上がった製品はきちんとパッケージングされ、メイドインウガンダのクオリティとは程遠い、グローバルスタンダードに則ったレベルのものだった。

まさにファッション産業の末端を目にした気分でした。綿花の生育・収穫からTシャツが作られるまでのすべての工程がここで行われ、そしてそれらに付加価値が付いてファッションマーケットで販売されていく。。。かつては中国が中心だった縫製業の波が、南アジアを経て、今東アフリカにも来ていることを実感せずにはいられませんでした(確かエチオピアも盛んでしたね)。

ただ、工場を見学しながら確かに生産効率は重要と思いつつも、生活を成り立たせるのが困難な程度の給与しか支払われず、個性も何もない環境で、単なる「工員」としてひたすら効率効率と言われながら働かなくてはならない人々を横目に、自分の目指すべきものづくりの方向性はこうではないなと、改めて確認することができました。

 

 

Chizu