ケニアと周辺におけるコロナの現状(5月31日時点)

(アフリカ起業支援コンソーシアムの運営選考委員会の委員長の黒川清先生から共有していただいたレポートの転載です。)

1.アフリカ全土(AU調べ:5月30日現在)

発症:135,292人 死者:3,922人 すでに54か国全土で感染確認https://africacdc.org/#

WHOの統計によると、死亡率は欧州より低い。

欧州:10万人あたり4,900人

アフリカ:10万人超あたり3,100人

アフリカ最多の人口のナイジェリアが南ア、エジプトに続いて3番目に感染の多い国に。

アフリカでは、感染拡大直後に完全外出禁止(ロックダウン)の措置を取る国が多くみられたが、現在は緩和の方向。これ以上ロックダウンを続けると経済情勢が悪化し、治安に影響が出てくるため。

5月25日現在(ABPより)

各国の主な状況:

・セネガル:6月から学校再開。一方、空港封鎖は6月30日まで延長。

https://www.sn.emb-japan.go.jp/files/100060201.pdf

・ウガンダ:大統領が全国民にマスク配布と発表→が、保健省は予算がないと否定的。

・ルワンダ:初の死者が確認(5月31日)

・南ア:

完全ロックダウンを夜間外出禁止令等に(それでも日本より厳格)。レストランの再開、酒の販売解禁(持ち帰りのみ)。

→ワイン大国の南ア国民はお酒が大好き。ロックダウン時に酒屋の閉鎖も決めたため、住民が李カーショップを襲うなどの問題が起こっていた。

6月1日から学校を順次再開(まずはGrade7と12:進学がある子どもたちが対象)。

 鉱山労働者400人の集団感染が確認(5月29日)

※こちらのNHKの報道は「アフリカは恐いという偏見に基づいた報道」と、南ア住民から抗議文が出ているので、注意が必要。

NHK BS1国際報道2020「南アフリカ・学校まで略奪〜新型コロナで社会崩壊寸前」

→ちなみに、南アはロックダウン以降犯罪が減っており、むしろ治安が良くなっているので、正しくない。https://www.ganas.or.jp/20200522rsa/

・南スーダン:10人の閣僚がコロナに感染。

・タンザニア:大規模なコロナ対策を実施していない国の1つ。

経済政策を重視。ジョン・マグフリ大統領は「神に祈れ、仕事を続けろ」と国民に命令(4月17日)。感染者数は、5月初旬の時点で509名(死者21名)となっており,その後更新がなされていない。新型コロナウイルスの検査をする国立研究所の所長と幹部を停職処分にし、検査の実態は不透明なままに。5月18日に空港封鎖解除。

→十分に対策がなされていないことを不安視し、米国大使館等は警報を発令。WHOは、タンザニアの主張に「同意できない」として協議する予定。

https://www.asahi.com/articles/ASN5L354VN5GUHBI00D.html

・マダガスカル:

アンドリー・ラジョエリナ大統領は、伝統的な薬草入り飲料を新型コロナウイルスの治療薬として開発したと発表。が、WHOは臨床試験や治験が行われておらず、潜在的なリスクもあると警告。https://www.cnn.co.jp/world/35153993.html

2.ケニアのコロナまとめ

ケニアのコロナ発症者(保健省調べ:5月30日時点):

発症:1,888人

死者:63人

3月12日に初の患者が確認。

スラムエリアや低所得者地域でも感染が拡大。例:キベラ、ダンドラ、マサレ地区でも複数の感染者が確認。

例えばナイロビの感染報告(5月29日)の86人うち45人がマダラカ(ムスリムの密集居住区)、21人がキベラ(低所得者層:東アフリカ最大のスラム)

このため、保健省はスラム地区・インフォーマルセクターが活動する場所で、毎日、スクリーニング検査を実施中。昨日はカンゲミでも実施。兎に角、スクリーニングして、疑いのある患者を発見するというのが保健省の方針。

以下の措置が実施中:

・夜間外出禁止令(午後7時~午前5時)

・国際便の運航禁止

 6月8日にケニア航空が運航再開を目指しているという報道があるものの、真偽は不明。

https://www.the-star.co.ke/business/kenya/2020-05-29-kenya-airways-jkia-gearing-up-to-resume-operations/

・ケニア人(ビザ・永住権持つ人含む)以外の入国禁止。ビザの発給停止

・ナイロビのイスリー地区(ムスリムのインフォーマルセクターの商業地区、非常に密集した地域)、モンバサのオールドタウン(同じくムスリムの商業地区)6月6日までロックダウン(写真右)→ラマダーン明けにムスリムの人は住民同士が群がって、飲食をするため。

・タンザニア、ソマリアからの入国者でパンデミックが発生したため、タンザニア、ソマリアとは陸路の国境を封鎖

 →ケニアで陽性反応だった患者をタンザニアが検査したところ、陰性だったという報道があり、タンザニアの大統領は報復措置として、ケニア人の入国を禁じているなど、ケニアとタンザニアの関係悪化が懸念されている。

・飲食店は10m×10mに4人のみであれば、営業可能。時間は午前5時~午後4時。

ケニアの主な影響:

・公立の医療施設は人員と資材不足で、受け入れ患者を制限してサービスを提供

→ワクチン接種に遅れが出ている子どもも報告。

・地方のヘルスセンターでは閉まっているところも→3大感染症の薬が受け取れず

・CHVの活動制限により、結核とみられる患者を検査し、治療する一連のフォローアップができない

・コロナで子どもが川崎病のような症状になるという政府発表があったため、お母さんたちから問い合わせが多数くるとのこと。

・ナイロビでは加えて、大雨によるダムの崩壊で深刻な水不足発生。カンゲミやカワンガレなど低所得者層が住む地域では水が得られず。

・ケニアの低所得者層はインフォーマルセクターに従事。外国人居住区の家政婦や清掃員、飲食店の店員として生計を立てている。飲食店のほとんどは依然として持ち帰りのみ、外国人も帰国したため仕事がなくなった低所得者層が多数。キベラなどでは仕事を求める低所得者層によるデモが生じている。治安も悪化。

・コロナの影響で30万人が失業。それぞれの世帯主はおよそ10人の被扶養者がいるため、約300万人が困窮。

未亡人のお母さんは収入がないため、子どもに石を煮ている音を聞かせているという報道がケニアのツイッターで話題に。

https://www.nation.co.ke/counties/mombasa/Widow-boils-stones-to-keep-hope-in-hungry-children/1954178-5538474-52otka/index.html

・学校は依然として閉鎖中。インターネット、ラジオ、TVを持たない世帯が多いため公立学校では、e-learningなどのシステムの整備も進まず。受験を控えるGrade8は毎週What’supで宿題が送られてくるが、それ以外の学年は月に1度~2度しか宿題が送られてこない。また、What’supを見られない世帯も多く、本当に子どもたちが課題をこなしているかフォローできていない。

→ケニヤッタ大統領65億KES(65億円)をe-learningの整備と教員へのe-learning教育に充てることを25日に発表(財源は不明)。https://allafrica.com/stories/202005250243.html

・外出時にマスクをしないと逮捕されるため、マスクをつけているが、マスクの習慣がないため、顎マスクが多数。また、警察の前だけでマスクをつける人も(特にマタツ内など)。そのため、マスクの正しい付け方ときれいなマスクを本当につけているかの啓発が必要。

・食糧無料配布の際にキベラで死者が出たことから、政府は食糧他の無料配布を禁止。

https://mobile.twitter.com/ntvkenya/status/1248597644857008131

貧富の差によって対策にも差が:

高所得者層:高所得者層が買い物をするショッピングモールは。ソーシャルディスタンスを取って買い物が可能。消毒液、手洗い場の設置があり、入り口で検温を実施。スーパーでは使い捨て手袋が配布され、レジではフェイスシールドとマスクをつけたスタッフが対応するなど日本よりも厳重に対応が実施されている印象。サニタイザー(100円程度)やマスク(布マスクが100円程度)も入手可能。

低所得者層:貧困層が暮らすスラムでは水不足が深刻。政府などが簡易手洗い場を設けるものの、ダム崩壊の影響で、水がない状態。特にスラムに暮らす人はインフォーマルセクターで、毎日、スラムやその周辺にあるマーケットで野菜や物資を売って暮らしているほか、建設現場の土木・金属工などをしている人が多い。マーケットや建設、作業現場などは人が密集しており、こうした場所でパンデミックが起こると更なるまん延の深刻化の可能性あり(すでにキベラなどでは確認)。月収は1万円程度のためサニタイザーやマスクなども買えず。キベラなどでは外国人記者が殺害されるなどの報告もあり。写真はケニア最大の中古市場のギコンバマーケット。

アジア人差別:

最初にコロナ発症が確認された場所が中国であったことから、アジア人=コロナという印象がついており。アジア人を「コロナ」と蔑視するケニア人が多く、特に低所得者地域(スラム)にいくほどその傾向が強い。これは、もともと、ケニア含めアフリカ諸国は、中国人のアフリカ開発に良い印象を持っていないことも背景にある。例:中国人オーナーによる労働者への暴力、建設現場における違法な労働環境(低賃金など)、国立公園内に道路を建設するなどケニア国民をリスペクトしない開発等。それに加え、コロナで中国に滞在するアフリカ人が差別されているという報道がこちらで大々的に報じられたため。https://www.afpbb.com/articles/-/3278681

その他:

・NGOのOxfamがコロナによる資金難のため18か国から撤退。うち8か国はアフリカ。https://www.devex.com/news/exclusive-oxfam-to-lay-off-1-450-staff-and-withdraw-from-18-countries-97286

・米国がWHO同様、アフリカ開発銀行への出資についても懸念している。アフリカ開発銀行総裁不正疑惑(私的便宜等)を巡って、外部による調査を主張、アフ銀はこれを受け入れ。アフ銀はコロナや民間ビジネスに融資するアフリカ各国への重要な貸し手。中国の融資に対抗できる唯一の機関。米国は第2位の出資国(日本は4位)のため、出資が止まるとアフ銀の業務に大きな支障が出る。

https://www.bbc.com/news/world-africa-52831185

・米国ベンチャーであるZiplineがドローンを使った輸送事業を米国に逆輸入して開始。米国のベンチャーで、ガーナやルワンダで遠隔地医療配送をしていた。

ケニアはダンスでエールを実施:

ケニヤッタ国立病院で看護師や医療従事者が、ダンサーとズンバというダンスを踊るイベントを実施。感謝と経緯を楽しく伝える取り組みを実施。

https://mobile.twitter.com/MOH_Kenya/status/1265864990751436800

https://mobile.twitter.com/MOH_Kenya/status/1265858476590411778