マラウイで就職情報サイトを作ってみた

青年海外協力隊としてマラウイに派遣されていた際に試験的に就職情報サイトをつくったので今回はその経緯・内容などを書きたいと思います。

 

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●サイト概要

名称:Malawi Job Hunt

WEBサイト:http://malawi-jobhunt.com/

FBページ: https://www.facebook.com/malawijobhunt/

内容:就職情報の掲載サイト

●問題の背景

マラウイを始めとするアフリカ諸国では雇用が大きな問題です。働きたいという人はたくさんいるのですが、実際に仕事がないという人が沢山います。失業率が改善されれば、人々はお金を稼ぐことが出来、そのお金で家計をやりくりして家族を養うことが出来るようになります。

この雇用問題を短期的に考えた時に、2つに分解出来ます。1つは総量としての雇用が少ないということ、もう1つは雇用者と求職者の効率的なマッチングの問題です。(根本的・長期的には仕事に必要なスキル等教育問題なども挙げられますが)。つまり雇用の総量が増えれば多くの人が仕事に就くことが出来、また仕事のマッチングが効率的・迅速に行われることによってより求職者は適切な仕事に適切なタイミングで就くことが出来るようになるということです。

このMalawi Job Huntで貢献しようとしたことは2つ目の雇用者と求職者の迅速・適切なマッチングになります。

●マラウイの雇用プロセスの現状

マラウイで人を雇おうとしたときの最も一般的な求人の出し方は新聞広告になります。新聞の求人欄を見てその空席に応募するというのが良くある流れです。職場でも、マラウイ人は仕事中に1部の新聞を回して閲覧したりするのですが、よくこの求人欄を見ています。そしてその求人情報に対して、CV(履歴書)やReference Letter(推薦状)などを紙ベースで郵送で応募します。Emailで応募することもありますが、割合としてはかなり少ないです。

協力隊としてマラウイのNGOで仕事をしていた時に採用にも関わったりしていたのですが、1つの空席に対して何百と言う応募があり、それら全てに目を通して選別するだけでも相当時間がかかります。そして適切な候補者複数人を面接に呼び、その結果で採用をするという流れになります。

●マラウイの情報インフラ環境

マラウイはアフリカの最貧国の1つではありますが、都市部ではインターネットが普及しています。スマートフォンを持っている人も多いですし、職場のPCでインターネットにアクセスできるという人も多くいます。識字力がありある程度教育水準がある人はインターネットへのアクセスがあるということです。つまり新聞を読んで空欄情報を探している層はある程度はインターネットへのアクセスが出来るということになります。

であるならばわざわざ新聞ベースの紙情報でなくて、インターネット上に職に関する情報があってもいいのではないかと思いました。サイトをつくったのは2014年の年末年始だったのですが、当時マラウイではウェブ上での就職情報サイトはほとんどありませんでした。

●サイトの内容

サイトの内容としては新聞の求人広告欄のウェブバージョンです。就職情報を掲載して、求職者は彼ら彼女ら自身でその企業に応募するという流れです。他にも直接CVの選別と1次面接まで行うサービス、CVをデータベース化して企業の要望に合わせて適切な人をデータベースから探してくるサービスなども思いつきましたが、協力隊の活動もある中だったので、もっとも直接の関わりが少なくて済むような形を選びました。そもそも年末年始の空いた時間で作っただけなのでサイトもかなり雑な感じになっています。。。

試験的に作っただけだったので収益化などは考えていませんが、仮にマネタイズを考えた場合はオーソドックスに広告収入か掲載手数料といった感じになると思います。

●プロモーションの方法

特に予算があったわけではなかったので、プロモーションは最も安く済む方法、また労力が極力掛からない方法を考えました。SEO対策を考えたコンテンツマーケティングなどは手間がかかるので却下、リスティング等も費用の観点から却下しました。結論としてSNS、フェイスブックでの拡散手法を取ることにしました。具体的にはページへのいいねに対してのインプレッション広告を出し、結果的に短期間でかなり多くのページへのいいねを獲得することが出来ました。

●サイトを作ってみて気づいたこと

・途上国に置けるインプレッション広告の有用性

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フェイスブック広告を使用する場合、2つの方法があります。1つはクリック課金、もう1つはインプレッション課金です。前者はクリックした数に応じて費用が発生する課金体系で後者は表示された回数に対するそれになります。広告を出す段階で2つの仮説を基にインプレッション広告を選びました。1つはマラウイではウェブ広告が氾濫しておらず、インプレッションに対して素直にクリックするという反応が比較的高いということ、もう1つは就職情報に関しての需要が高くインプレッションに対してクリックをする確率が高いということです。結果としてこの仮説はただしかったように思います。例えば2015年1月16日~22日の間にページへのいいねのインプレッション広告を出したのですが、39,893人にリーチ(表示)することが出来、4213人にいいねを押してもらうことが出来ました。この4,000いいねに要した広告費は32.53$でした。つまり1いいね辺り、0.007$ということになります。ネット広告に精通しているわけではないのですが、CTR(クリック率)やCPC(クリック単価)は相当良い数値なのではないかと思います。その後広告運用で短期間で15,000いいねを越えて以降は広告は使用していないのですが、現在では18,000いいねに近づいています。

もちろんこれはあくまでもマラウイの就職情報サイトにおけるフェイスブックのいいね広告の事例に過ぎないのですが、途上国においては日本等の先進国とは違った視点や前提に基づいてウェブ広告を企画する必要があると言えそうです。

・フェイスブックの力

上記のインプレッション広告もそうですが、フェイスブックに投稿するとそれで多くの人にリーチすることが出来ます。例えば広告なしで、Malawi Job Huntのフェイスブックページに情報を投稿するだけで1000近くのリーチを得ることが出来ます。少し広告を回せば一気にリーチは上がるはずです。検索エンジンベースでの露出を増やそうと思えば相当労力がかかります。それに比べれば安価に興味を持つ多くの人にアプローチすることが出来ます。この背景の1つとして、フェイスブック上で多くの時間を過ごしているということがあげられます。実は昨年マラウイではフェイスブックの通信料が無料になったのです。これはフェイスブックが現地の通信業者と契約を結んで可能にしました。マラウイの前にもザンビアなどでもフェイスブックの無料化が導入されました。

・求職者からのアプローチ

企業から情報掲載についての連絡はもちろんあるのですが、求職者からの仕事を欲しいといった連絡もかなりおおくあります。上記にも書きましたが、CVの情報をデータベース化することで企業への便益を図るというビジネスモデルの実現性も高いと感じました。何故なら求職者のCV情報を得ることはそこまで難しくはないと感じたからです。仕事は無い人はもちろんですが、ある人でもより待遇のよい仕事を常に求めているのでCVの提出をお願いするのはたやすいと感じました。もちろん国により文化や感覚の違いはありそうですが、日本など先進国に比べると総じて求職者からの情報を得るコストは低そうです。

・就職・転職情報の需要

日本であれば正社員になればすぐには転職先を探したりはしないと思います。数年間、場合によっては10年以上働いていく中で転職を考えるタイミングになって就職・転職情報を探したりすると思います。普段から情報を探している人もいるとは思いますが、そこまで多くはないと思います。対して途上国の人は常に就職・転職情報に飢えています。第一に失業している人が多いので彼らが捜しています。第二としては仕事をしている人であっても常により良い条件を求めています。その背景の一つの要因としては非営利系の仕事がたくさんあるという事情があります。NGOなどの仕事は修身雇用であることは稀です。基本的には数年契約で更新されるというような形になります。逆に言えばファンドがつかなかったりすると切られます。またマラウイなど途上国では民間企業よりも非営利系の仕事の方が待遇が良かったりするので優秀な人も多くいます。そういった背景があり、途上国では先進国以上に就職・転職情報というものに対しての需要が高いと感じました。

 

雇用は経済の根幹で、経済こそが国の根幹であると信じているので、今後もアフリカの雇用問題に関わっていければと考えています。