私がアフリカで起業に至った経緯(前半)
2013年末に、8年半ほど勤めた起業をやめて、2014年1月に東アフリカへ移住し、半年ほどの調査をへて同年6月にウガンダで起業をしました。
学生自体には、アフリカにも起業にも社会起業にも国際開発などにも全く関心がなかった僕が、なぜ、アフリカでの起業に至ったのか、その経緯をお話したいと思います。
思い返せばそれは、偶然に偶然が重なり、人とのご縁が何重にも積み重なった結果生まれたものでした。元来、人付き合いが苦手な自分が(今も得意ではないですが)、たくさんの人に応援頂き、助けられて、今の事業をスタートすることが出来ました。
乗り物が好きで、エンジニアを目指していた高校・大学時代
小さい頃、私は勉強もスポーツも全然出来ない子供でしたが、算数と理科だけは好きでした。小さいころから自動車や電車、飛行機などが好きな男の子でした。そのままエンジニアになりたいと思い、大学受験では機械工学科一本で受験し、念願のエンジニアへの第一歩に踏み出しました。
早くから実践を積みたいと思った私は、大学時代には、F-SAEという学生だけでレースカーを製作し競うというアメリカ発の競技会があり、1年次からその活動に参加していました。普段の大学の講義では味わえないような実践的な経験が得られる大変有意義な場でした。
幸か不幸か、その実践的な場に居続けたことで、大学3年生になるの頃には、自分がエンジニアとしては向いていない。そして、一生かけて自分が追い求めるものではないのかもしれないと気づくようになっていました。
当初は大学院に行って研究を続けるつもりでしたが、エンジニア以外の道も探り、就職活動をした結果、より幅広く色々なことを学びたいと思い、紆余曲折を経て、外資系のコンサルティング会社に就職することになりました。
当時、英語は全く出来なかったのですが(大学卒業時のTOEICは400点台)、将来は海外を飛び回る仕事がしたいというのもあり、2005年に外資系コンサルティング会社に就職しました。
入社後は、当初想定した以上に様々な業界の事、ビジネスの事を幅広く経験させて頂き、非常に有意義な日々を過ごしていました。
大きな怪我がアフリカへと繋がった
会社内で多忙な日々を過ごし、何とか力がついてきた社会人4年目の頃。大好きなスノーボードで、大怪我をしました。背骨を4か所骨折。1か月の寝たきり生活を含め、職場復帰には3か月かかる重傷でした。
元来、とても自分勝手な人間と自覚しているのですが、入院生活の中で、大きな迷惑をかけたであろう友人、職場の人、そして家族からたくさんの優しさ・励ましを頂きました。
数か月の静養中に思ったことは二つでした。
1.『人生は一度だけ。やりたいことをもっとやった方がいいのではないか』
2.『自分のため”だけ”ではなく、世の中や人に繋がることをやった方がいいのではないか』
ということでした。
私の所属していたコンサルティング会社では、社員の人材育成と社会貢献を目的としたプログラム(VBP:VSO Business Partnershipプログラム)がありました。1999年から実施しており、途上国のNGOや政府、CBOなどに会社のボランティア(無給)として働くというものです。
自分の力を試してみたい、海外できちんと働きたい、出来れば一般のビジネスでは中々行けないようなところで仕事の実力を試してみたいという想いもあり、このプログラムに応募しました。世界では多くの社員の方が参加しているのですが、日本では私が3人目の参加者でした。
その後、ボランティア側と受入側(世界中の途上国のNGOや政府機関など)とのスキルのマッチングが行われるのですが、その結果、私を受け入れることになった団体は、東アフリカ・ケニアの田舎、マサイ族の村で地元のマサイコミュニティへの様々な活動を行う小さな地元のNGOでした。電気も水道もないサバンナの真ん中にある場所でした。(近所を歩いていると、運がよい時はキリンやシマウマ、ゾウ、ハイエナに会うような場所です)
これが、僕とっては初めてのアフリカとの出会いであり、かつ9か月の長期滞在となりました。2010年3月のことでした。
全くアフリカの知識がなかった私は、一般の日本人がイメージするザ・アフリカのサバンナの中で、これが一般的なアフリカだと思っていたのですが、その後アフリカと長く関わる中で、とても特殊な環境にいた事に気づくのは、もっとずっと後の事でした。(アフリカ広しといえど、マサイ族がいて、野生動物が家の近くにいるような場所はほとんどありません。。)
ケニアの大地で感じた、アフリカ社会、アフリカ経済への大きな可能性
ビジネスの経験しかなく、国際開発、国際援助などのバックグラウンドが全くない自分が、いきなり国際援助の草の根活動の末端に放り込まれたのは、驚きの連続でもあったのですが、先入観なく現場を見ることができたという意味でも、とても良い経験になりました。
その小さなNGOの中で、私は色々なことに関わらせて頂きました。代表的なものだけでも、NGOの組織改革、経営改革、各種プロジェクトの立て直し・運営(小学校の建設、小学校の運営、診療所の立ち上げ、マイクロファイナンスの立ち上げ、Youthビジネスの支援)、会計や人事業務の構築、など本当に様々な活動を行いました。
これらの活動を通して、自身のこれまで磨いてきたスキルが目に見える形で社会や人の役に立つことを実感しました。また、アフリカ(ケニア)には多くの課題があると同時に、何とも言えない大きな可能性を感じました。
次回はケニアから帰国。会社に復帰後、アフリカでの起業に至るまでを書きたいと思います。