緊急事態におけるリーダーシップの重要性を実感

ウガンダで宅配事業をしている伊藤です。

多くの方もあげていますが、アフリカでもコロナウイルスの感染者が出ており、ウガンダもここ1週間で事態が激変しています。

感染者は先週土曜日3/21に一名。その後、今週3/23月曜日に新たに8名、計9名となりました。

感染者がゼロの段階で学校が休校し、群衆が集まる施設が停止。感染者発覚と同時に国境が封鎖され、そして公共交通機関の使用に制限がかかりました。

このような状況で経営者としてリーダーとしてどう振る舞うか?が試されているように思います。

どう対応すべきか?など正解のない問いですが、弊社の事例について共有できたらと思います。

ウガンダにおける緊急事態宣言について

まず、前提となるウガンダでのこれまでのコロナウイルス対策について概要を共有します。

  • 2月上旬(中旬?)あたりから、中国からの渡航に対して制限。中国経由で来た渡航者に対して14日間の自宅による隔離
  • 3月初旬あたりから、中国に加えて、日本やイタリアなどの重感染国からの渡航者への14日間の自宅隔離(日本は数日後に外れる)
  • 3月中旬、感染国が増えるにつれて、カテゴリー1の国が増え、14日間の自宅隔離などを強化
  • 3/18先週水曜日に大統領演説にて、32日間の学校休校、群衆の集まる施設やイベントの禁止。ウガンダ人の海外渡航禁止。カテゴリー1からの渡航者に対して施設での強制隔離。
  • 3/21先週土曜日。2回目の大統領演説にて、陸路、空路、水路ともに、翌日の日曜日24時を持って国境完全封鎖。
  • 同日、大統領演説直後に、初の感染者を報告。ドバイから渡航のウガンダ人男性。
  • 3/22先週日曜日。3回目の大統領演説にて、公共交通機関(乗り合いバスのマタツ、およびバス)の制限(完全禁止ではない)を発表。

マタツとバス以外は公共交通機関の無いウガンダにおいて一般市民の移動が大幅に制限される。(バイクタクシーやUberは可能な様子)

上記を受けてのスタッフの反応

先週土曜日時点では、感染者も出ていなかったので対岸の火事のように振る舞っていたスタッフも、感染者が一名出て混乱し始めました。

これまでエボラの発症例などがあっても特に動じなかったウガンダ政府。そして市民もそこまでリスクに感じていなかったようですが、

今回の数々の日常生活に影響する施策で、スタッフの中には少なからず恐怖でパニックになっている人も多い一方、

超楽観的なスタッフもいたりと混在な状況です。

ちなみに、先進国とは違い、ウガンダは死が日常の身近にある国です。

5歳未満の死亡率も高く、大人になってもマラリア等で亡くなる方は多いですし、交通事故や出産で亡くなる方も多いです。

お金が無ければ医療サービスにすらかかれず、亡くなってしまう方が多い状況です。

いくつか例を紹介すると、

悲観的なスタッフ:

『家から出たくない。人と会うのが怖い。かかったら死んでしまうんでしょ?』のような反応。

エボラが出た時には、特に対策もせずに笑って過ごしていたよね。。

楽観的なスタッフ:

『俺はヒーローだ!ウイルスに何てやられるわけがない!』のような反応。

どっから来るんだ、その自信??

一部のスタッフは、楽観的なスタッフに知らしめようと、スペインやイタリアで起こっている写真や死亡例を全社員のグループチャットに送り、悲観的なスタッフはさらに恐怖になっていました。

元々情報収集をする習慣もなく、冷静に論理的に事実を見極めて行動する事に慣れていないスタッフばかりで、カオスな状況になりそうでした。

まずはリスクの見極めから

上記のように判断したのは、スタッフの感染リスクよりも、社会が公共交通機関の制限に対してどう反応するか?が見えなかったために、一日判断の時間が必要と考えたためでした。

日曜に公共交通機関の制限が発表されてから、すぐにスタッフにはマネジャー達(経営陣)以外は月曜日は自宅待機。

マネジャー陣は社用バイクやタクシーで出勤し、対策を相談しようとメッセージしました。

大統領の公共交通機関の制限は実際の制限を曖昧にしていました。

この気持ちは良く分かります。

大統領としても、日雇い労働者が多いウガンダ社会。そして、マタツを完全制限すると多くの労働者の移動手段を止め経済破綻に繋がります。マタツ運行者自体も日銭で何とか暮らしている人達なので、そこからの暴動にも繋がります。

一方で、ワゴン車に14人(定員)が密集する車内はクラスターになりやすいので、そこをむやみに使わないでほしい。というのが大統領の考えかなと思います。

大統領は

  • 自家用移動手段(車、バイク、自転車など)を持たない人は家にいてください。
  • マタツやバスは、熱や咳の症状のある人は乗せないようにしてください。乗車前にサニタイザーで消毒してから乗車させるようにしてください。

という発言です。

つまり、解釈によっては、マタツは原則禁止。ボダ(バイクタクシー)もダメ。Uberも自家用車ではないからダメ。とコンサバに考える事も出来ますし、

逆に、注意すれば運行してよいのだからマタツもバスも良いのだろう。と考える人もいます。

この解釈は、KCCA職員(カンパラ市役所職員)の取り締まり、交通警察官、そして一般市民、マタツ運行者などでバラバラになり、

警察官がマタツだけではなくボダを取り締まったり、それに対して市民が反抗したり、、、などのリスクがあります。

街中、社会の受け止め方の様子見から

上記のリスクを見極めたかったために、月曜日はマネジャ―陣のみ出勤として、

各スタッフに連絡して、

  • スタッフがそれぞれコロナに対して、周りに対してどれくらい不安に思っているのか、恐怖に感じているのかのヒアリング
  • 彼らの自宅周辺の治安状況のヒアリング
  • 彼らの自宅近所のマタツやボダの運行状況のヒアリング

などをして情報収集に努めました。

同時に、マネジャ―の中には若干パニックになっている人もいて、冷静な判断が出来ず、スタッフに対しても恐怖を煽ったりしていたため、私から

  • コロナウイルスとはどういう病原菌なのか?(他のエボラやマラリアとの違い)
  • 同じインフルエンザ系(風邪?)のウイルスと比べて、なぜ危険視されているのか?
  • それぞれの病気の感染数、年間死亡率などを比べた上で、どれほどの危険性で捉えればいいのか
  • なぜ、各国政府は隔離政策を取っていて、なぜウガンダでは感染者がゼロの状態から施策を打ち、1名の状態で国境閉鎖まで考えるようになったのか?(重篤患者が出た場合に、ウガンダの医療レベルではほとんど救う事が出来ない事から、先進国と違いかなり早めの対処が必要と考えていると思われる)
  • 今後どういうシナリオがあるのか?

を1時間くらいかけて説明しました。

それで、やっと落ち着いて、リスクや感情をマネージメントできるように段階で、各スタッフへのヒアリング状況も踏まえて、自社としての方針を出しました。

自社の方針の概要

  • この期間の不規則な勤務体系や休暇措置などに対して、雇用および給与は完全に保証する。
  • 基幹事業である宅配オペレーションは継続する。カンパラ市内に住むスタッフはマタツではなくボダで通勤する。
  • オーダー数が減っているため、毎日出勤する必要なく、オーダー数に応じて出勤する者は適宜調整する。
  • カンパラ市外に住むスタッフで在宅でも出来る仕事が多いものは、週に1-2回の出勤として、その他は在宅とする。(通勤はボダとする。)
  • 新規事業については、市場が機能していないため、サービスの継続はせずに、サービス改善や向上を主とする。
  • なるべく在宅勤務し、週に1-2回、出勤できるものはそこで打ち合わせを行い、基本は在宅勤務とする。
  • 遠くに住んでいてボダでカンパラに来れないものは、完全在宅勤務として、日次でZoomによる進捗会議をする。
  • 上記の方針は、今後の感染数の増加、社会での暴動や情勢不安などにより、即座に変わる事がある。

全スタッフへの説明

翌日3/24火曜日に出勤出来るスタッフは出勤してもらい、在宅の人はZoomで繋ぎ、自分の口で説明をしました。

マネジャー陣と相談し、パニックになっていたり、逆に楽観的で対策をしないスタッフもいる中で、きちんとコロナウイルスについて、状況について、政府の方針を事実を元に伝え、その上で会社の方針を伝えたほうが良いと判断しました。

基本は上記の内容を話したのですが、ポイントは

・ウガンダで蔓延している他の病気と比べてコロナは決して死亡率も高くなく、感染者も非常に少ないのが現状。むやみに怖がると、冷静な判断が出来ずに自分の生存リスクを下げる事になる。

・一方で、他国の事例で感染が非常に速く、特に高齢者で重篤症状になる場合が多い。政府の方針に従い、混雑した場所に行かない、近寄らない、手洗い等の基本の感染症対策は入念に行う事。特にウガンダでは重篤になったら助からないと思った方がいい。楽観視するのも自分の生存リスクを下げることになる。

・その上で、政府がなぜここまで隔離に躍起になっているか?ウガンダや日本など他先進国との人口心肺やICUの数を比較し、感染者が入らないようにする事がいかに重要か説明。

・一方で、この国において経済を止めることがいかに情勢不安のリスクを高め、暴動やデモに繋がるかを説明。私個人としてはスタッフが感染して重篤になる確率よりも、暴動に巻き込まれて怪我や命を落とす方をよっぽど心配していると説明。

(貯蓄がなく、日銭で何とか暮らしているセクターの人たちに大打撃になるため。1週間も続けば各地で暴動が起こってもおかしくない)

・その暴動に巻き込まれないためにも、感染を抑えるためにも、マタツには乗らない。現在はボダ通勤でも良いが、街中が荒れてきたら出社禁止に切り替える事も考えている。

のような事です。

その後、不安になっていたスタッフも、楽観していたスタッフも一様に纏まり、冷静に行動してくれるように見受けられます。

自分が退避するリスクにも準備

最後に、マネジャー陣には、今後街中の暴動があれて、その怒りの矛先が外国人に向けられ、私および日本人スタッフの滞在に大きなリスクがある場合は、僕らの退避も視野にいれて準備した方が良いと伝えました。

こういう緊急事態だからこそ、トップ、リーダーである経営者の役割の重要性を感じております。

まだまだ予断を許さない状況が続きますが、自身の健康と安全も確保しつつ、合理的な範囲で商売活動は継続し社会の経済活動を不要に止めないようにしていきたいと思います。