住所がない国での配達業

ウガンダで宅配業(バイク便事業)をしていると、日本とは違う事が多々あります。

その一つが、住所システムがない事。
正確にいうと、住所と呼ばれるものは二種類あります。郵便の住所と物理的な所在地を示す住所です。

 

郵便の住所はいわゆる私書箱であり、郵便局に年間2500円程度を払い、私書箱を持っている個人や企業が持っています。(P.O.BOXと呼ばれます)
郵便局の郵便システムもほぼ機能していないため、私書箱もあまり使われていませんし、我々のような玄関先まで届ける宅配業には関係ありません。

さて、物理的な所在地を示す住所ですが、システムになっていないため、それが物理上どこを指すのかは誰にもわかりません。
東京でいえば、『東京都新宿区2530』。もう少しマシな例だと『東京都千代田区靖国通り50』。

これでは、それがどこにあるのか分かりません。。配送には使えません。
ちなみに、この住所はいつ使うのか?土地の登記や契約、賃貸契約、銀行口座開設くらいでしょうか。

そのため、宅配サービスを提供する我々にとって、お客様のご自宅まで届けるのは一苦労になります。

 

では、住所の存在しない国で、どのように物を届けるか。

先人の方々が様々な工夫をしていますが、まだ確立された方法はありません。試行錯誤しています。

そんな中、我々は原始的ですが、荷物を届ける前にかならず電話を入れ、建物やスーパーなどのランドマークを確認し、それを元に荷物を届けています。

宅配注文時には、受取人の名前、エリア(中野区、新宿みたいな)、電話番号に加え、ランドマークは大事です。

例えば、『新宿のドン・キホーテの近く』などと言われて、ドン・キホーテまでいき電話をします。電話すると、相手が『その先のxxを右に曲がって・・・』などと伝えます。

 

政府機関や大企業、名前の有名なビルやモールを除き、事前に電話をせずに荷物を届けるのは、難しくなります。

ですから、相手が電話に出ないと配送不可になってしまいます。。
また、僻地の田舎によっては電波が繋がらない、繋がりにくい地域もありますので、玄関先までの宅配は非常に困難となります。そのような地域では、村の中心部まで来て頂き、そこで受け渡しなども良くあります。この場合は、相手が時間通りにそこにいないとロスになります。

 

最近では、独自に住所を設定できるサービスを展開するスタートアップ起業も増えています。しかし、私の知る限りでは、まだ実用的なサービスになっているところはありません。

GISに関わるカンファレンスなどもあり、7月にウガンダでも行われました。https://sotmafrica.org/

ちなみに、Google MapやGPSも、時々当てにならないので、それを頼りに配送すると全く違う場所だったという事もあります。