ウガンダにおける低温物流(2)

低温物流の整備が求められている理由は色々あります。

低温物流で配送されるものは、大きく食品と医療品となります。(日本などでは精密機械やゲノムなどもあるらしいです)

食品は、乳業(生乳、チーズ、バター、ヨーグルト、アイスクリーム、生クリーム)、精肉・魚、果物、野菜など多岐にわたります。

コールドチェーンと聞くと、富裕層向けも”贅沢”なサービスと思われるかもしれません。

実際に、経済が発展することで中間層が増え、食の質が向上したり多様化する事で、ニーズが急増している背景はあります。

一方で、爆発的な人口増加をしている地球、特にアフリカ大陸においては、持続可能性のある平等な社会を築くには、コールドチェーンの普及が非常に重要だと思っています。

食の安全性、食糧廃棄の改善、貧困削減、医療の充実など様々な分野でコールドチェーンの必要性が叫ばれています。

一つずつ説明していきます。

1.深刻な食糧不足と食糧廃棄の改善

食糧廃棄問題は世界中で申告となっており、特に途上国では40%以上の食糧が廃棄されている現実があります。

人口爆発が問題となるアフリカ(※アフリカ大陸の人口は現在10億人程度。2100年には4倍の40億人になります。)

食料危機が叫ばれる中、大量の食糧が廃棄されています。

先進国における食糧廃棄の多くは、調理後の食材の廃棄と言われています。(日本のレストランやホテル、コンビニなど)

一方で、途上国の食糧廃棄の多くは、生産地(農地)から消費地(市場や小売店、家庭)に届くまでの間に起こっています。

(カンパラ市内のローカルマーケットで売っているヴィクトリア湖から漁獲された魚。)
(カンパラ市内のナカセロマーケット付近で廃棄されている野菜や果実)

現在、IMechEWRI、ロックフェラー財団、BMGF(ゲイツ財団)、AGRAIDRCなど非常に多くの団体が、食糧廃棄の撲滅に注力しています。2013年、UN FAOSAVE FOOD イニシアティブを立上げ、150以上の団体が参画しました。

食料廃棄の多くは適切な温度管理(コールドチェーン)の仕組みを構築する事で改善できると言われています。

実際に、インドとタンザニアで行われた実験では、コールドチェーン技術により、ポストハーベストの食材廃棄が30%から15%に改善されました。

インドでは、年間1830万トンの食材(生産地における加工前の価値で39億ドル)、タンザニアでは190万トンの食材(生産地における加工前の価値で43200万ドル)の廃棄を減らせるとの事です。(*)

これが消費地における市場価格になれば数倍になりますし、加工後の価値はさらに数倍以上になります。

*2014年のPostharvest Education Foundationによる研究結果『Exploring the Potential for Cold Chain』

急増する人口を支えるためには、農業の生産性向上も必須ですが、今ある食料を有効活用する事も重要だと思います。

次回は【2.コールドチェーンが格差の小さい平等な経済成長を支える基盤になる】事を語りたいと思います。