行政規制と実態経済活動のズレ
明けましておめでとうございます。
ここ一か月で起こった出来事の中で、少し考えるところがあり、投稿致します。
(これは私の事業をしているウガンダの例ですが、日本でもどこでもレベルの差はあれ、起こっている事だと思います。)
抜き打ちの行政検査
まずは事の経緯から。
昨年12月初め(1か月前)に、突然オフィスに行政機関の職員と警察官が8名ほど抜き打ちの検査にきました。(いわゆるガサ入れです)
最初は何がなんだかわからずでした。
こちらは昼食時だった事もあり、せめて食事後に対応したい旨を伝えても、強引にオフィス内に入ろうとします。
そのまま、土足で上がるので、土足禁止な旨を伝えましたが、高圧的な態度で無視しようとします。
※弊社は土足禁止でオフィス内へはスリッパに脱ぎ変えて入るようにしています。
さすがに、ウガンダといえど、土足禁止な私的施設に拒否されたにも関わらず入るのは大変失礼だと思います。
1時間ほどのやり取りがあり、理解したのは、『弊社が行政機関の発行する国内郵便・宅配サービスの許可認定業者ではない。』という理由でした。
この許可認定の存在は当然知っていて、事業を始める前(2016年)に一度当該行政機関の職員に相談していました。
その際には、ビジネスモデルや事業規模から該当しない。との説明を受けていました。
(本許可認定は、全国で郵便サービスなどをする場合に行うもの。との事)
今回のガサ入れ時にも、2016年の事を説明したのですが、聞いてもらえず、結果として、営業停止命令(執行猶予1か月)の処分を言い渡されました。
『年明け1月4日に出頭する事。それまで事業は続けられるが、それまでに対処しなければ、営業停止となる。』のような内容です。
そこから、様々な方にサポート頂き、監督行政機関、警察、弁護士、同業者などと話していく中で、実態が見えてきました。
2017年11月に、違法業者摘発強化の指導があり、それに基づき、片っ端から検挙しているとの事です。
12月中旬には、新聞に違法業者を摘発している旨の記事が出て、20程度の業者の名前が上げられました。弊社の名前もそこで出ました。
(当然ですが、違法かどうかの判断がついていない段階で、違法業者として公表する事は侵害です。公表後に、行政機関の弁護士にも伝えましたが、当然聞き入れてはくれませんでした。)
まずは、競合や元従業員の嫉妬や妬みによるリーク(タレこみ)ではなかった事にまずは一安心です。
結果として、2018年早々に、許可認定の申請書を作成し提出すること。
また、過去分について、過年度訴求やペナルティなどはなく、営業を継続できる事になりました。
実態にそぐわない行政規制
ここで、本題の『行政規制と実態経済活動のズレ』になります。
この許可証は元々、全国(または国外)へ大規模に配送する宅配業者向けのものです。
弊社のような小規模なバイク便やメッセンジャーを想定していません。
(日本でいう、ヤマトや佐川、DHLのような業者)
そのため、許可認定の要件もバイク便や中小企業の実態とは離れた内容になっています。
(詳細は割愛しますが、保険関係や設備関係、配送地域などなど)
国の経済発展を考えた場合でも、業者を許可認定し、その流れを徹底させる事は重要な事だと思います。
違法業者がインフォーマルセクターで活動している事で、経済発展を停滞させている例は多々あります。(小売店、レストランなどなど)
一方で、過度な行政規制、実態とは離れた規制が経済活動やイノベーションを阻害する事も多々あります。
市民生活へ貢献する行政ルールへ
1月4日木曜日、指定された時刻に出頭してきました。
12月中に、行政機関の担当者や責任者の方と数度打ち合わせしていた事もあり、特に問題はなく、今後許可認定を受ける事でこれまで通りの営業活動を行える事になりました。
一方で、現在の許可認定の要件が実態にそぐわない旨は、担当責任者および行政機関の弁護士の方を交えて、意見してきました。
多くの場合、行政機関の対応は非常に高圧的で、論理的な説明以前に、話を打ち切り、こちらの意見を聞き入れる事はないのですが、今回は、真摯に対応頂きました。
こちらの実態を最後まで聞いてくれた上で、
・現実にそぐわない要件については、商業実態(や顧客ニーズ)を踏まえて柔軟に対応する
・(口約束とはいえ、)今後、評議会で検討する。
・認定業者となれば、評議会メンバーにもなるので、ぜひ、そこで意見をしてほしい。
旨の回答を得ました。
本件について、ゴタゴタはありましたし、繁忙期の12月シーズンへの影響は大きかったですが、基本的には前向きに捉えています。
許可認定の存在、認定の強化自体は、経済発展、ウガンダ国民の生活向上に繋がり大切な事ですし、
一業者としても、(きちんと運用されれば)未認可業者への差別化にもなり得ます。
(ここを未認可業者が担当者への賄賂などで逃げてしまうと問題なのですが。。許可認定自体は結構なコストがかかります。)
今後、許可認定を受ける事ができましたら、現実にそぐわない部分は、一業者として進言し、宅配業界やウガンダ社会の貢献に繋がればと思っています。