現地ニーズに沿ったサービス開発とは?

グローバルに展開されるオンラインサービスが増える中で、その土地その土地の環境にあったカスタマイズが重要というのは、以前から言われている事です。

 

特にウガンダのような国では、先進国とは大きく異なる条件があります。
電気が不安定で停電が多い。清潔な水を常備するのは困難。公共交通機関がない。天候に大きく左右される交通インフラ。低速かつ不安定なインターネット回線。一般家庭でも警備員による治安確保が必要。などなど

 

弊社の宅配事業で言えば、住所システムがない。正確な地図がない。現金以外の決済がほとんど使えないため現金代引きが主流。などでしょうか。

 

これらは、こちらに居住すれば、見えやすく、人にも説明しやすい条件です。今回話したいのは、そういう分かりやすい例ではなく、もう少し見えにくい例。

サービス開発を続ける中で、上記とは異なり中々見えづらい条件があります。
それが、ユーザーやパートナーの行動(Behavior)です。

 

ウガンダにも新たなサービスがどんどん出てきていますが、上記の分かりやすいインフラ等の状況に左右されづらいサービスでも、先進国のようなサービスにならないケースがあります。

 

個人間売買のサービス

例えば、中古品を個人間で売買するサービス。日本でいうメルカリ。
ウガンダでは、OLXやJumia Dealなどのサービスがあります。

インターネット環境さえあれば、上記のインフラの影響も受けないシンプルなマッチングサービス。
ウガンダでは、宅配サービスは通さずに、個人間でアドレスを共有して買い手が取りに行くのが一般的のため、宅配インフラにも左右されません。

そのようなサービスでも、利便性の高いサービスにならない場合があります。

先週、オフィスでのイスを探すため、OLXとJumia Dealで良さそうな椅子があったので、オファーしました。
最初に数名の方にオファーをいれたのですが、メッセージをしても、数日経っても返信がありません。何度かリマインドするも、返答がありません。

そこで、さらに数名を追加し、合計10名ほどにオファーをしましたが、結果、返信があったのは2名でした。。

さらに、一名は『既に売れてしまった』との事。(しかし、そこから10日経っていますが、まだDealは残っています。)
もう一名は、『倉庫のカギを持っている担当者が国外にいるので、数日待ってほしい。』との事。
その後、何度かやり取りをしていますが、1週間しても帰ってこず。。10日が経過した現在、こちらのメッセージは無視されています。

10件以上のオファーを出し、2週間が経過して、結局、オフィスチェアを得られていません。

ライドシェアサービス

次の事例。
ウガンダの首都カンパラでも、UberやTaxify(エストニア発のサービス)などのライドシェアサービスが普及しています。Uberがサービス開始して2年ほどが経った現在でも、先進国のようなサービスとは程遠い現状があります。

ざっと例を挙げると、

  • ドライバーがリクエストを承認したからといって、ピックアップに来るわけではない。(こちらから電話をしないと来てくれない事が多い)
  • ドライバーがピックアップの地域すら把握していない事があり、こちらの場所を伝えると、”Too far”(遠すぎる)と電話を切られる。さらにドライバーからキャンセルされない事もあり、新しいドライバーをリクエストできない。
  • ドライバーは1-2分の距離にいるのだが、こちらの場所が分からず、『キャンセルしてくれ』と言われる。(もちろん、ドライバーはGPSを持っている)

※バイクのライドシェアの場合、GPSを持っていても場所までたどり着けない事は仕方ない部分もありますが、車の場合は、Google mapに入れ込めば、カンパラでもナビに従えば大抵の場所までは行けます。

  • 上記のように、数分の距離でも、ドライバーが到着するのに数十分かかる事もある。にも関わらず、数分待たせただけで『遅すぎる』とクレームを言われる。(数日前にありました。。)

※特に、Uber、Taxifyの車の場合、酷い時はキャンセルが4-5回続き、オーダーしてからピックアップまで1時間近くかかる事もあります。。(20-30分はよくある)

  • 到着しても、こちらがクレジットカード払いだと分かると、キャンセルさせられる場合がある。
  • トリップを終了せずに過大請求する。

などなど挙げればキリがありません。

 

 

さて、ここで言いたいのは愚痴ではなく、新たなサービスをデザイン、導入する際に、気を付ける点です。

仮にニーズがあっても、ユーザーのBehaviorで阻害される事が多い点を理解し、検証する事が大切だなと思うわけです。
サービスのニーズ自体の検証。最初に上げたインフラ的な制約条件での検証は重点的に行われるわけですが、このユーザー・パートナーの行動パターンについては、初期段階で軽視されがちだなと思うわけです。

 

せっかく良いサービス・プラットフォームで皆が(潜在的に)求めているものでも、関係者が皆Win-winになれるようなプラットフォームでも、このユーザーのBehaviorをどうにかしない限り、中々広まっていきません。

 

そこをレピュテーションで担保するのが現在の仕組みですが、全員レピュテーションが低いと、結果それ以外に選択肢はないため、あんまり効果がありません。。
他には、処罰(報酬割合を低くするなど)で対応する場合もありますが、これも根本的な解決(行動変容)には繋がらないようです。

 

ウガンダのような国で、新たなサービスを展開する場合、

先進国では上手くいったモデルも、ユーザーの行動で広まらない場合があると、肝に銘じたいなと思います。。