現金社会へ逆戻り? モバイルマネーへの課金
前回の記事で、2018年7月1日よりSNSへの課税という愚策を始めたウガンダですが、
同日より、モバイルマネーへの課税という更なる愚策も始めました。。。
BBC: Uganda to tax mobile money transfers
Daily Monitor: What 1% new tax on mobile money transactions means
モバイルマネーへの課金
モバイルマネー間の送金、モバイルマネーでの支払、モバイルマネーでの引き落としに対して、”取引額”の1%が課税されます。。
これまでも、銀行取引同様に、携帯キャリアが課する取引手数料への10%の課税はありましたが、それは別のもの。。
しかも取引ごとのため、顧客が弊社に対して払う場合、顧客の支払時に1%、口座からの引き落とし(現金化)でさらに1%が課税されます。
そもそも、隣国ケニアに比べて、高額なモバイルマネーの手数料。ウガンダの場合、携帯キャリアは現金化(引き落とし)で1-2%の取引手数料がかかります。(同キャリア間の送金手数料は小額)
今回の課税により、モバイルマネー経由の決済では、3-4%以上の手数料・税金が発生します。。
これは、せっかく育ってきたキャッシュレス社会から『現金社会へ戻れ!』という施策に他なりません。。。
数少ないイノベーションの種を奪う
従来の労働集約的な経済発展から遅れているアフリカ諸国にとって、数少ないポテンシャルは、人口成長に支えられた経済成長のポテンシャル、未整備なインフラからのリープフロッグです。
リープフロッグが起こるベースには、SNSのようなフリーかつ公平な情報活用そして、新たな決済手段により現金では非効率だったシームレスな取引の実現だと思います。
アフリカのイノベーションで最大の成功例と呼ばれているモバイルマネー。(モバイルマネー自体は2007年というイノベーションの世界では古いサービスですが)、モバイルマネーによる銀行の代替化、田舎・BOP層へのキャッシュレスの浸透、マイクロペイメントの実現など、様々なサービスが生まれています。
モバイルマネーをベースにしたSocial innovationも多く生まれています。
今回の課税は、そのモバイルマネーの動きを止めるものです。。
中国を先頭に、世界中で広がるキャッシュレスの新たな社会づくりへの取り組み。
暗号通貨による、取り組み。
今回の課税は、それらのイノベーションと縁を切る事と同義だと思います。
近隣諸国、アフリカ諸国の中で、決して経済規模でも人口規模でもGDP成長でも優位性があるわけではないウガンダ。
ケニアやルワンダのように新しいイノベーションを支える政策や政府支援があるわけではない中で、多くのウガンダの若手起業家、国外の起業家がウガンダで新たなサービスを起ち上げています。
- 今後、SNSに課税し、モバイルマネーに制限をかけるような国で、イノベーションは生まれるのでしょうか?
- 国内の優秀な若者は、ウガンダで起業したいと思うのでしょうか?ケニアやルワンダで起業すればいいと思うのではないでしょうか?
- 国外の起業家は、敢えてウガンダを選ぶ理由はあるのでしょうか?
- 外部の投資家は魅力を感じるのでしょうか?
平均年齢は16歳と世界でも稀にみる若い国、ウガンダ。
しかし、これらの決定は、時代に取り残された高齢者が目先の1-2年の税収増だけを目的に行った愚策です。。
先日訪問したエストニアは、独立当初、国の中枢が30-40代で編成され、その若さもあり、1990年前半からIT国家として生き残りをかけるという決断をしたと聞きます。
国全体の平均年齢は低くとも、国のガバナンスには反映されないのは悲しくなります。。
とはいえ、前言撤回も多いウガンダ。
数か月のうちに、両法案とも、撤回される事を強く願います。