製造業の未熟なウガンダでの製品開発

大分ご無沙汰です。

ここ2-3か月、事業の合間に、久しぶりにウガンダで製品のプロトタイプを作っています。
(私が手を動かして作っているわけではなく、現地の若手エンジニアに作ってもらっています。)

本業の宅配での新たな宅配サービスと、個人プロジェクトの田舎地域でのサービスの両方で関わっています。
改めて、ウガンダという国でモノづくりをする事の大変さを痛感しています。

2015年ぶりのウガンダでのモノづくり

2014年にウガンダで起業した当初、本業とは別に、ウガンダ発の新たなモノづくりセンターを作るべく奔走していました。簡単に言うと、製造業が発達していないウガンダだからこそ、デジタルファブリケーションによるモノづくりのプロトタイピングの出来るLabが主流になるのでは?と思い始めました。

その当時、Labの立ち上げと同時に、地元のエンジニアの卵と一緒に、電子機器の廃材から3Dプリンターを作ったり等していました。

元々、乗り物が好きで、乗り物づくりに関わりたいと思い、機械工学科へ入学。大学時代はF-SAEという学生によるFormula carを作る活動に関わっていました。
その後、エンジニアとは異なるキャリアを歩み始めてしまったのですが、モノづくりへの関心は昔から強かったのです。

 

改めて痛感。ウガンダでのモノづくりの課題

さて、今回作っているのは、本当に簡単なもの。Arduinoを使いリモートで制御するハードウェアの機器。
そんなものでも、ウガンダで作るには本当に大変だなと改めて痛感しました。

1.部品の入手可能性がとても低い。
日本だったら、ホームセンター、東急ハンズ、秋葉原の店頭で買えるような部品ですら、全て海外から取り寄せ。
Aliexpress、Alibaba、Ebay等で検索して取り寄せ。。

日本だったら数百円の品物が、品物代だけで数千円に。。
さらに、送料が数日から1週間の速達だと、100ドルを超える事も。。
安く抑えるならば、3週間や1か月かかるものもありますが、大幅に遅れますし、それでも安い部品代くらいはします。。

ちょっと部品がないだけ、他の部品で試したいのに、それだけで、お金もかかるし、時間もかかります。

ウガンダ人の友人で、電子工作部品をネット販売している会社があり、彼のおかげで、4年前と比べると随分部品が入るようになりました。
ただ、それでも少しマイナーな部品はないですし、機械部品は取り扱っていません。
価格も日本の数倍はします。(税金や送料で仕方ない)

4月に製造業のメッカであるシンセンへ行きましたが、シンセンのファーチャンペイ(華強北)で購入した部品は、ウガンダでは5-10倍程度でした。

※シンセンでの事はFBにて。

ちなみに、機械部品ではありませんが、発泡スチロールを作る工場は、私の知る限り、ウガンダに1つしかなく、それもサイズが決まっていて、欲しいサイズを作ってもらう事はできません。以前、欲しいサイズがなく、ケニアから輸入しました。。

2.ある程度の品質を担保できる町工場・メカニックがいない。。
旋盤やフライス盤、その他工作機械でちょっと加工してほしいものが、ここでは一苦労です。
もちろん、旋盤もフライス盤も町工場街にいけば見かけます。古い物だけど、土台がしっかりしているものも見かけます。
ただ、ちゃんとした品質のものを作ってくれるメカニックを探すのが一苦労です。。。

また、手作業で品質が担保できないならば、CNCなどで機械に任せて品質を担保する。というのも手ですが、
ウガンダには産業用のCNCは非常に少ないです。大学などの教育・研究機関に小型のはありますが、それ以外ではほとんど見かけません。
(日本では、本当に精細な作業は、CNCなどでプログラミングせず、職人技で創り上げますが、ここではCNCプログラミングの方がずっと精度が高い場合が多いです。)

また、スキルや経験があっても、品質をないがしろにしてしまうメカニックも多く見かけます。
例えば、ノギスを使って、コンマmm単位で計測できるのを知っていても、『まぁ、いいか』で済ませてしまう人もいます。
その『まぁ、いいか』が何度か行われて誤差が指数関数的に表れて、最後はヘンテコなものが出来上がります。

3.工作の設備がない。
日本であれば、簡単にできる加工作業が、国中探しても見つかりません。
多くのケースでは、加工設備・加工機械がない事が原因です。

4.停電などのインフラの未熟さ
停電も起業当初の5年前と比べれば大分マシですが、それでも季節によっては頻発します。。
せっかく、溶接しようと人を集めてみても、停電がおきて、その日一日は何もできない。なんてのも日常茶飯事です。

この環境の中、モノづくりに興味を持ち、実際に苦労しながら作業してくれているエンジニアの彼ら・彼女たちには感謝です。

ITのように、ネットのオフィス環境があれば、スキルさえ伴えばある程度のものが作れるのと違い、
HWの場合は、製造業のサプライチェーンが肝ですし、とても時間がかかります。

ただ、技術の進歩とともに、時代は急速に進んでいます。
また、製造の様式も多様化していますし、どんどん進化しています。
メイカーズ、プロシューマのようなスタイルも出てきています。

ケニアでは友人が、数年前にGearboxというHWのプロトタイプのLabを作っています。
※3年ほど前にGearboxを訪問した際のFB投稿

 

近い将来、この製造業の地盤がないウガンダでも、製造業のサプライチェーンに関われるようなモデルが生まれてくるかもしれません。