勃興するライドシェアサービスへの期待と懸念(1)

昨日、従業員の交通費を話し合う中で、公共交通機関であるTaxi(いわゆるマタツ、ハイエースによるミニバス)とSafeboda(ウガンダにおけるバイクタクシーのライドシェアサービスのパイオニア)を比較し、Safebodaのが安いケースが出てきました。

ここ数年、物凄い勢いで伸びているライドシェア。

ライドシェアにより、カンパラの移動も大きく変化しています。

特に、バイクタクシーが広がっており、市民の重要な足になっています。

一方で、地元経済の持続性を考えた場合に、シェアリングエコノミーの効率的な利便性の高い社会が広がるのか、以前と同じ状況か悪くなってしまうのか、気になるところでもあります。

Uber以前の移動

カンパラにおいては、2016年くらいにUberがタクシー(車)のサービスを始めました。

当時、Uberが出来た事は画期的でした。

それまでの移動は、今から思うと不便で仕方ありません。。

そもそも、タクシー(※スペタク)が主流ではないウガンダでは、街中にタクシーはほとんど走っていませんでした。ショッピングモールやレストランで出待ちしている白タクもほとんどいません。バイクタクシーが主流なウガンダでは、車のタクシーはほとんど見かけませんでした。

(ケニアでは、バイクタクシーの制限があるため、車の白タクは非常に多い。)

※ウガンダにおいて、唯一の公共交通機関のミニバスをTaxiと呼びます。ケニアのマタツ、タンザニアのダラダラの事。そのため、いわゆる”タクシー”は、Special Taxi(日本人の間では通称スペタク)と呼ばれています。

昼間は、ボダ(バイクタクシー)の移動で問題ないのですが、夜間の移動は、流しのボダ(バイクタクシー)は危険な事もあり避けたい。

そのため当時は、馴染みのタクシードライバーの番号、ボダドライバーの番号を携帯に保存し、夜の会食などの後には、事前に連絡して予定を寝ないで起きていてもらうか、ひたすら電話をして捕まえるなどしていました。

当時、友人同士でシェアしていたタクシー、ボダの番号は30以上になります。

時には、来てくれるドライバーを捉まえるのに1時間以上かかる事も。22時に会食が終わり、レストランで1時間以上待つ事もざらでした。

(そういう時は、仕方なく流しのボダに乗っていた事もあります。)

きっかけはUber

2016年6月にUberがサービスを開始してから、利用者が増えるにつれて、利便性が向上しました。

先進国とは違い、地図が読めない、Pick up場所に来るのに数十分もかかる、勝手にキャンセルされている、クレカの支払だと乗車拒否される場合があるなど、課題はありますが、以前よりはずっと楽になりました。

 

とはいえ、元々車のタクシーが非常に少ないカンパラ。

加えて、この4-5年の渋滞の急激な悪化で、車での移動も時間がかかるようになりました。

そんな中、ボダ(バイクタクシー)のライドシェアは必然でした。

Safebodaによるバイクのライドシェアサービス

カンパラには、外国人起業家が始めたSafebodaというスタートアップ、バイクタクシーのライドシェアサービスがあります。

実はSafebodaUber以前にサービスを開始しています。2015年の後半だったと思います。

ただ、最初の2年ほどは、資金も限られている中で、全くイケてないサービスでした。

最初の頃は、アプリでは乗車手配だけ出来ます。ただ、台数がとても少なく、基本的には捕まりません。

 

そのうち、アプリで乗車手配をすると、コールセンターの方が折り返すようになりました。コールセンターの人が近くにいるボダを手配します。なので、自分で道を説明する。。加えて、そこまでのピックアップ料金(迎車料金)もかかり、通常のボダの数倍。時には30分以上も待つ事に。。

ある時に、数億円の投資を受けてから、徐々にサービスが進化しました。

大規模にリクルーティングとトレーニングを開始し、いわゆるUberのようなアプリを提供し始めました。

利便性はぐっと上がりましたし、台数も増えて街で見かける事が多くなりました。

ただ、値段は、私が交渉して乗る時の通常のボダの2-3倍ほど。

(相場はあってない様なもので、ボダそれぞれで相場を持っています。1.5倍から2倍の開きはあります。)

そのため、夜間の利用に限られ、流しのボダや馴染みのボダで移動していました。

 

UberTaxifyのバイクタクシー参入による激化

このような状況の中、2018年に入り、3月くらいから、UberTaxifyもバイクタクシーサービスに参入します。

Taxifyはエストニア発のライドシェアサービスで世界展開をしていますが、ウガンダにも2017年から入っています。

 

 

 

 

 

 

 

グローバルの巨人が、バイクタクシーに力を入れています。

Uber rival, Taxify eyes motorcycles and rickshaws in East Africa as battle for customers heats up

 

Uber and Taxify are going head-to-head to digitize Africa’s two-wheeled taxis

さて、このような競争激化が起こると、価格競争に陥ります。

インドネシアのGojekGrabUberの三つ巴の戦いのように、各社がペイバックをする事で、相場よりも安い値段でライドシェアを使えるようになります。

車のタクシーの場合、利益率も高く、酷い渋滞からの迎車の非効率性、稼働率の増加もある事から、ライドシェアモデルはタクシー相場より下がっても、一日あたりでは稼ぎが高くなりますが、

(ナイロビやカンパラのタクシードライバーの友人に話を聞くと、Uber加入で同じ道程の料金が半額になったが、渋滞の中に相手先まで迎えに行く手間と時間、往復の両方で得られる稼働率の高さで、半額の料金にUberに手数料を取られても、得られる報酬は高くなったとの事)

バイクタクシーの場合、そもそもの価格が安く、利益率も低いです。

車よりも、初期投資やスキルも必要ないため、参入障壁が低いため、供給過多になっています。

カンパラの場合、友人や近所、家族の余ったバイクを借りれば、免許などなくともボダにはなれます。(免許代の高さもあり、免許を保有するボダは5%以下です。)

実勢価格よりも低いライドシェア

 

そんな中、Safebodaが今年の6月にプロモーション価格を始めます。

最初に乗った時は衝撃でした。

通常Safeboda3000Sh、私が流しのボダと交渉しても1500Shの旅程が、500Shになっていました。最初はシステムの故障かな?と思い、ドライバーに『Safebodaの人に確認したら?』といって下車しました。

通常のキャッシュでのプロモーション価格も安いですが、Safeboda creditという前払いの支払方法では、さらに20-30%割引になります。

そこから、プロモーション価格は少しずつ縮小しているようですが、現在でも通常の流しのライドと比べて、7割程度となっています。私はSafeboda Creditを使っているので半額程度です。

(Safeboda creditの広告)

公共交通機関よりも安くなるライドシェア

公共交通機関であるマタツ。ウガンダシリングの価値急落、ガソリン価格の上昇などにより、年々料金が上がっています。

そんな中、冒頭のスタッフの通勤交通費を清算する際に、マタツを使った場合とボダ(ライドシェアタクシー)を使った場合で、タクシーの方が安いという事態になりました。

マタツは利便性は良くなく、移動に物凄く時間がかかります。

・最大の問題は、時間が全く読めない。(酷い渋滞に加え、以下の待ち時間があり、15分で行く時もあれば1時間かかる時もある)

・いっぱいにならないと出発しない。(途中で人が降りると、そのバスステージで客を入れるのにまたされる。)時間が読めないだけではなく、イライラする。

・ルートがかなり限られていて、行きたいところにピンポイントでいけない。

・ハイエースに定員14人(多い時は16人とか)乗るため、快適ではない。狭苦しい。

・日中と夕方で価格が倍近くになったり、雨天時に値段が上がったりするので、価格が不定。

など面倒なわけです。。

ただ、バイクタクシーは高いので、多くの市民はマタツを使います。

 

 

(マタツ車内)

 

さて、長くなったので、残りは次回に回します。

パーソナルモビリティとしてのボダの拡大、ライドシェアによるプロモーションが経済や社会にどのような影響を及ぼすか、考えてみたいと思います。