ピンチをチャンスに (突然の契約破棄からの)

12月入ってすぐの事。
宅配を依頼している代理店(Agent)からいきなりサービス打ち切りをされました。

何があったのか。

 

弊社は、ウガンダ120県全国に宅配をしています。
ただ、自社で宅配出来る地域は限られており、各地方へは信頼できる代理店と契約して宅配しています。

カンパラにオフィスがあり、その地域に所縁がある会社を選別し、地方への配送を依頼しています。
元々は10社以上と契約をしていましたが、今は選別して5-6社前後で120県をカバーしています。

弊社の場合、7割がオンラインショップの宅配。その9割以上は現金代引である事から、非常に通常の宅配と比べても信頼性の高い取引が求められます。(商品を届けた際に顧客から代金を回収し、それを銀行送金やモバイルマネー送金してもらうため)

 

 

ここ2年半で、様々な代理店を試すなかで、会社の規模もあり、組織体制もしっかりしており、ビジネスルールの通じる現地企業を選別して依頼してきました。
騙されるという信用のリスクもあるのですが、それ以上に地方のスタッフとの現金のやり取り、回収、そのフォローアップ、管理をきちんと行えるところは多くはありません。

現金代引の大きな課題

 

日本をはじめとした先進国では、通販の時代から、現在のオンラインショッピングまで、大半の注文は前払いで行われています。クレジットカード、電子マネー、銀行振込など。

一方、キャッシュレスな支払手段が整備されていない国では、現金代引によるオンラインショップが主流です。
リスクも高く、非効率ですが、それを避けていてはここでは商売はできません。

 

自社スタッフによる配送でも、一日で彼らの年収以上のお金を集金し、治安のよくないカンパラ市街をバイクで戻ってくることはリスクです。

スタッフによる盗難だけでなく、路上での盗難、事故時に盗まれるなどもあります。
弊社も初期のころは、ドライバーによる盗難や不正に悩まされましたが、昨年の6月から一件も起きていません。

 

これが地方配送になると、一気にハードルが上がります。

数百キロ離れたインフラの整っていない地域に対して配送し、現金を集金し、送金してもらう。
相手側との信用関係を構築する重要性もありますが、こちら側のフォローアップ体制、しっかりした現金管理体制が要求されます。

 

これまで、カンパラ市内にオフィスがあり、地方にもオフィスのある会社と取引していたのは、このフォローアップ部分を相手側に任せられる事も大きなポイントでした。

 

これまでの経験で、現在お付き合いのある代理店は、これまでと比べれば、しっかりしています。
これまでは、お金が戻ってこなくても、こちらのせいにされたり、色々なイチャモンを付けられて、踏み倒された事が何度かありました。

今はお金が戻ってこない事はあっても、粘り強く交渉する事で、時間はかかっても戻ってくる確率がぐっと高まりました。

 

とはいえ、120県もあるため、地方によっては全くお金が戻ってこない事があります。
今年の6月段階では、1か月以上お金が戻ってこないものが、総額で1億シリング(300万円程度)ありました。

そこから、弊社のマネジャーと根気強く入り込み、
代理店のスタッフが、まともなフォローアップもしておらず、1-2か月も放置している箇所が多々ありました。

フォローアップが出来ていないこともあり、地方側のスタッフが使い込んでしまい、現金が戻らない等が続きました。

また、お金は振り込まれていても、どの注文に対するお金か?代理店側で把握できておらず、本来は1注文の回収金額なのに複数の注文の金額として認識されていたりなど、ミスが多発していました。

 

弊社のスタッフ達が時間をかけ、彼らにやり方を伝え、一緒に隣でやってみせて、5か月かかり、11月下旬には多くの代理店で解消し、残り1600万Sh(50万円程度)まで減らすことが出来ました。

 

本来は代理店側で行う、配送確認、振込額と配送の突合作業など、こちらが相当の時間と労力を使い、代替していました。

 

日本であれば、契約不履行で訴える事が出来ますが、ウガンダで法に訴えても時間とお金がかかるだけで、ほとんど実効性はありません。
また、彼らと契約解消しても、他に出来るところがないのが実態で、これでも他と比べてだいぶマシな事から、
彼らのスキルアップをしながら、一緒にやっていこう。と協力をして取り組んでいました。

 

突然の契約解消

 

11月末になった頃、各代理店に残りの金額を賠償してほしいと要求しました。

既に、半年以上が経過しており、契約上は15日以上遅れたら、月2%の金利を支払う旨が書かれています。
これまで、その2%の金利は要求せず、加えて、弊社スタッフを動員して先方の作業を代替してきました。

代理店のスタッフでは、このようなフォローやお金の突合(データ分析)は出来ないのは重々理解していたので、先方のマネジャーにも『ここまでしていますよ。』と伝え、相手からも『感謝している。』と言われていました。

 

ただ、さすがに半年が経ち、突合作業も終わった段階で、先方のスタッフの使い込みによる不足分なので、返してほしいと要求しました。
そうしたところ、先方の経営陣から『この現金代引の配送はリスクが高い。ここ半年試してきたが、弊社では負えない。取りやめにしたい。』と言われました。

 

さすがに、相手側も手に負えないと思っている事は薄々感じていたので、この話し自体は突然だったとはいえ、ある程度想定はしていました。

 

しかし、

『なので、明日から注文を引き受けない。』

と言われ、固まりました。。

契約上は、一方的な契約解除は可能だが、1か月前の通知が必要となっています。

弊社も既に各顧客から注文を受けており、今日も明日も明後日も注文は来ています。突然止めると言われても困ります。

 

このような状況が11月最終週から12月にかけて4代理店から言われました。

 

全国での現金代引サービスをしている弊社が、突然、限られた地域でのみ現金代引を受け付けます。となったら、多くの顧客が離れるのは間違いありません。

また、移行期間が1か月程度あるならばともかく、突然、『今受けているオーダー分も含めて、配送できません。』など、ウガンダ以外の顧客に対して通用しません。信用を大きく落としますし、二度と取引してくれないでしょう。。

地方への配送取引をしている大手(バルク)のお客さんは8割を超えます。彼らが取引を取りやめたら、来年から(いや今月から?)、一気に仕事がなくなります。。

 

私もアフリカで起業して4-5年が経ち、様々なトラブルや困難に遭遇してきたため、多少の事ではショックも受けないでし、どうにかなるかなと思いましたが、

これはさすがに困った事態になったと、頭を抱えました。。

 

オンラインショップの巨人Jumiaでもてこずる現金代引

 

今回のように、複数社からの突然の取りやめには、Jumiaが関係しているようです。

アフリカ全域で展開するオンラインショップの巨人(アフリカのAmazon)、Jumiaがあります。
アフリカ唯一のユニコーン企業といわれ、ゴールドマンサックス、アクサ生命、ロケットインターネット、MTNなどが出資しています。

 

2年ほど前、Jumia UgandaのCOOだった方と話していた際に、
『Cash on Delivery(現金代引)はリスクが高い。しかし、アフリカでオンラインショップをやるには、避けられない。DHLもリスクが高くて手を出さない。Aramexも出さない。でも、我々はやるしかない。』
と語っていたのが印象的でした。

 

しかし、Jumiaは今年のいつ頃からか、地方配送の現金代引を取りやめています。
噂では、現金代引でトラブル(資金の盗難、不正、横領など)が起こっていたようです。

 

Jumiaはウガンダでは断トツトップのオンラインショップですが、自社で配送手段はもっていません。
非常に単価が安く、現地企業複数社を買い叩いて使っています。
その状況で、現金代引の管理は出来なかったようです。

 

確かにリスクがあることは否めませんが、ここ2年の経験から、代理店とのやり取りから、多くの会社が現金代引で失敗している理由は、
相手に持ち逃げされるなどの信用リスクもさることながら、それ以上にフォローアップや現金管理の仕組みが杜撰な事を痛感しました。。

 

超短期間で自社代理店網を構築する

 

さて、明日から配送しない。では困ります。。
このまま、相手とネゴを続けても、再開の見込みは分からず、それまでに注文は溜まる一方、このままではヤバいです。

 

そこで、何としてでも、自社で独自の代理店網を築くことにしました。

これまでも自社で代理店網を築く試みはしてきましたが、全国120県に現地で直接代理店を開拓することは、とんでもない労力と時間、お金がかかります。今はそんな余裕もない事から、まずはカンパラ周辺をメインに事業を構築するのだ。と後回しにしてきました。

開拓には半年から1年以上はかかると想定していましたし、各地で信用できる人を探すだけでも一苦労です。

 

しかし、この状況では、やるか・潰れるかの二択ですので、やるしかありません。

 

そこで、ここ2週間、死に物狂いで手を打ってきました。
・これまで知り合ったビジネス関係の人で、各地方に所縁のある人から紹介を受ける
・その地方に住んでいる友人に、『バイクを持っていて、その土地で長年商売を営んでいる信頼できそうな人』を紹介してもらう。
・スタッフの親戚などから紹介してもらう。

そして、
・競合で地方に代理店を持つところから横流しをしてもらう。

など、色々試しました。

本当に色々な方に助けて頂き、全国各地で代理店を紹介してもらいました。

 

人間、やってみて、出来ないことはないなと思います。

10日弱で、120県中、60県の代理店を構築できました。自社・残っている代理店で10県くらいなので、残りは50県ほどです。
ゴールが見えてきました。

 

ピンチをチャンスに変える

 

今週から本格的に代理店管理を始めているため、代理店との信頼関係、信用構築、現金管理、コミュニケーション、などこれから多くの課題が出てくることでしょう。

ただ、一方で、これまで競合他社などが、なぜ現金代引を避けてきたか、なぜ試したが撤退したか、大きな要因の一つは、内部統制、管理システム、フォローアップ体制などのオペレーションに原因があると思っています。

一般的なウガンダ人、またはウガンダ企業は、この部分は非常に苦手です。
大手でさえも、内部統制の仕組みや、セキュリティ、データ管理など、抜け穴が多くあります。

ここは、弊社の得意とするところだと自負しています。

 

来年春には、IT(モバイルアプリ)による管理システムも導入する予定です。
それにより、アプリによる透明性のあるデータ管理、リアルタイムなコミュニケーション、シームレスなデータ連携が実現できます。

 

ウガンダで、(いやアフリカ全体で)、きちんと現金代引の宅配サービスが提供できる事を強みにし、
オンラインショッピングをはじめとした、デジタルチャネルの流通網の繁栄をドライブし、
ウガンダ、アフリカのロジスティックシーンから物流・流通革命を起こせるようになっていきたいと思います。

もちろん、現金代引の先には、アフリカならではのキャッシュレス決済があります。
ウガンダでもFintech企業は70社あると言われています。(実際に活動していないところも含めて)
Uganda Fintech協会には30程度の団体が参画しています。

現金代引の先には、キャッシュレスな社会も描きつつ、模索を続けていきたいと思います。