モザンビークから見える中国(1/2)
アフリカにいると中国の存在を強く意識している自分を感じます。
アフリカでの中国の意欲的な投資については知る人が多いと思いますが、モザンビークも例外ではありません。モザンビークの輸出相手国は1位 南アフリカ(30%)2位 中国(12%)3位 オランダ(7%)です。(出典:外務省HP平成29年) 町中では食料品や種子やサービスは南アフリカ製が多く、機械類(電子機器、工具、工業器具)や衣類は中国製が多いように見受けられます。市内にはそれらの商品を扱う中国人の店が並び、中国の投資で建てられた大きなホテルや医療機関も目立ちます。
日本も含めて他国の投資と比べて中国投資が特徴的だなと思うのは、個人レベルでの起業が多いことです。私達の住むマプト郊外の街でも中国人オーナー自らが店主を務める小売店が3つはあります。この点についてはハワード・W・フレンチ著(白水社)の『中国第二の大陸アフリカ 100万の移民が築く新たな帝国』という本がとても面白かったです。
ザンビアでも中国の存在は日本でよりは強く感じましたが、モザンビークでは商売をしているからこそ見える側面があり面白いです。モザンビークでは日常的に中国人と間違えられます。街を歩いていて『シーナ(ポルトガル語で中国)』とか『チネーゼ(ポルトガル語で中国人)』と知らない人に呼びかけられるのは日常茶飯事です。こういう人々は純粋に異国人と会話したい人、中国に複雑な感情を持つ人、何も考えていない人など様々です。こういう表面的な側面に加えて、現地で商売をする今抱くようになった印象は”中国人はやっぱり仕事ができる”ということです。
(商品を販売しているZIMPETO市場)
(食材を買いに行く魚市場、貝が安いです)
モザンビークに来た直後の私達は手動の形成機と現地で手に入る製粉機で試作を始めました。そして、客さんに弊社製品を気に入って頂けたことを後押しに、増産の為の自動形成機導入を決めました。
最初そのつもりはなかったのですが、最終的には製造~販売~輸送~通関のすべてで中国企業のお世話になりました。ブリケット製造機械についてはウガンダ、中国、インド、南アフリカの4ヵ国の企業を時間をかけて調べてきました。その結果、ウガンダまたはインド製に決めていたのですが、問題になったのは輸送及び通関サービスでした。
(現在使っている手動の機械と生産担当の女性スタッフ達)
通関会社はモザンビークに幾つかあり、弊社はその中でも老舗と言われるMANICAという企業に見積もりを依頼しました。輸送会社は通関会社より紹介してもらったのですが、MAERSK LINEやMSCといった超大手2社しか探せませんでした。それらの会社に見積もりをお願いしたところ、数週間待たされた後に輸送費約1500ドルと通関費約2,500ドルを提示されました。上記の大手輸送会社ではフル・コンテナ・サービスのみで混載輸送サービスはやっていないのです。輸送費及び通関で4,000ドルという額は、必要なだけ輸入したい中小企業には厳しいです。弊社も現時点では形成機を1台だけ輸入したく、フル・コンテナ輸送しか見つけられない状態に困りました。
そして私が始めたのは、インド系や中国系の工具及び機材店の訪問です。彼らはどこから輸入しているのか、コンテナ・サービスしかないならば彼らのコンテナに弊社製品を混載させてもらう交渉をしたかったのです。最初に訪問したインド系の工具店は『うちにはそういうのは無理だと思う』と断られ、2件目に訪問した中国系の工具店の店主は英語もポルトガル語も話せなくて、拙いポルトガル語で必死に話す私をポルトガル語ができる中国人仲間に紹介してくれました。紹介されて訪問した中国人店主はポルトガル語が堪能だったのですが、今度は私のポルトガル語が拙すぎて『貴社のコンテナに私の買った荷物を積ませてほしい』という意図が伝わりませんでした。結局、隣にいた英語のできるモザンビーク人のお客さんに通訳してもらい意図が通じました。(勉強します 汗)
そこから彼はとても親切で『自分もコンテナは持っていない。コンテナを持っている中国人仲間を紹介する。彼は英語も堪能だ。』と言いました。そしてその仲間と彼の店で面会する翌日アポを設定してくれたのです。
翌日やっと会えた中国人のサムさん(仮名)は、日焼けした笑顔で流暢な英語を話す爽やかな男性でした。颯爽と握手し、テキパキと英語を話し、交換した連絡先を丁寧に再確認するサムさんの姿はカナダの大学にいた中国人留学生達を彷彿とさせました。
サムさんの会社は中国全土からマプトへの混載海上輸送サービスを提供しています。毎月平均8回のコンテナ輸送があるそうです。輸送物の概要を説明して見積もりをとったところ、弊社にとっても持続的な価格で胸をなで下ろしました。同社は中国の倉庫からマプトの倉庫までの輸送サービスを提供しています。
この一連の出来事で私が中国人について思ったことは、ごちゃごちゃ言わず仕事をする姿勢がある、自分のメリットになるかどうか分からないことでも大きなコストがなければ親切にやってくれる、起こるかどうか分からないような細かいリスクを気にして目の前のビジネスチャンスを逃すことはない、小さな商談でもキチンを拾いあげるなど『一緒に仕事しやすい』ということでした。モザンビークでビジネス周辺サービスが少ない中、尚更そのように感じるのかもしれません。このような背景があり、最終的に機械は Alibaba.com で購入しましたが、その様子は次回のブログで書きたいと思います。
(続く)