売上が鈍っています
マプトを含むモザンビーク南部では4月~6月は気温が低くて雨が少ない季節です。最低気温が15度程度になる日も度々あります。この季節を過ごすのは初めてなのですが、体を洗う時に水を浴びるのは寒く(我が家はバケツ風呂で自動湯沸かし器がありません)眠る時には毛布とスウェットが欲しいです。
モザンビークの皆さんに言わせると今の季節は『冬』だそうです。
最近弊社の売上が販売開始時に比べて鈍っています。
相変わらず生産したブリケットはすべて売り切れですが、2月~3月のようにお客さんが弊社商品を買うために喧嘩することはありません。これまで主要ターゲットとしてきた食堂(バラッカ)のみでは売りさばけない日もあるので、裾野を広げて新規顧客の開拓に励んでいます。今回は何故売上が伸び悩んでいるのか、またその対策を綴ります。
【何故売上が伸び悩んでいるのか】
① 木炭の値段が下がった
今年2月に至上最高価格を記録した木炭の価格は現在その半額に落ち着いています。80キロの大袋が1200メティカル(2,260円現在 XE.com)程度です。弊社のブリケットは80キロが750メティカル(1,411円)なので今でも価格勝負では歩がありますが、一時期のような圧倒的な魅力はないようです。
② 食堂(バラッカ)産業の景気が悪い
これまでほぼ固定客のみで売り切れていた商品が余るようになった理由として、バラッカの売上減少があると考えます。『買いたいけどお金がないのよ』というのが一般的な断り文句なのですが、木炭で間に合っている人と本当にお金がない人が半々くらいだと察しています。実際にお客さんの入りも少ないですし、『商売が厳しい』と言って元気のない表情をしているオーナーも度々います。今の時期店を閉めてしまっている人も少なくありません。弊社スタッフいわく『冬は仕事が終わったら家にまっすぐ帰る人が増えて、外食や娯楽に興じる人が減るので景気が下がる』そうです。
③ ブリケットの品質
馴染みのお客さんから『ブリケットの火力が弱くて困った。』という苦情を聞くことが4月中旬以降数回ありました。苦情を伝えてくれる人ばかりではないと思うので、購入をそっとやめてしまった人もいるでしょう。
【現状への対策】
① 信用取引(つけ払い)の受付
2ヶ月以上毎週弊社の商品を買ってくれるお客さんとは随分馴染みになります。このようなお客さん限定でつけ払いで商品を置いてくるようにしています。
② 販売時間の工夫
市場の小さなバラッカでは日々調理燃料を購入する人が多いです。彼らはいつも朝早くに近くの市場に木炭を購入しにいきます。弊社は8時就業で9時半以降に市場に行く日もあったのですが、これからは8時半到着を徹底します。また昼食ラッシュを終えて時間とお金がある、午後の販売も始めました。
③ 乾燥炉の導入
時間通りに販売に行けない主な理由としてブリケット乾燥を日光に頼っているという点があります。気温が下がった今の季節では尚更です。緊急対策としてDIYのかまど乾燥炉を作り、ブリケットの仕上げ乾燥をします。
これは品質担保の面でも大切です。ブリケットが乾ききっていないと、着火が遅く火力が上がりきらないからです。乾燥炉ができればすべてのブリケットをムラなく乾かすことができるはずです。
④ 原料品質の管理
原料調達では木炭屑を町の木炭売りの人から買っていますが、最近慣れ合いで気が緩んだのか砂が混じった袋が多く見れれるようになりました。『お客さんの苦情の一因は原料の品質に違いない』と指摘してくれてたのは販売マネジャーのアイレスさんです。生産マネジャーと連携してサプライヤーに説明し直し、迅速に改善することができました。
⑤ 固定客感謝グッズの配布
モザンビークではおまけのことを”バセラ”といい沢山買ってくれた人やお得意さんにバセラを渡す習慣があります。売行きが下がり、固定客のありがたみを再認識したこともあり1ヵ月に1度バセラを渡す日を設定しました。
⑥ 苦情があった場合の製品取替
苦情を言ってくれた人にはお礼を言って改善を約束するようにしています。しかし、最も怖いのは苦情を言わずそっと離れていくお客さんです。苦情を伝えてくれるお客さんがいるからサービスを改善できます。苦情を言ってくれたお客さんの話を聞いて販売マネージャーが妥当と判断した場合には製品の無料取替をします。調理燃料は継続して日々購入するものなので、固定のお客さんがついてくれる価値は計り知れません。
これらの対策はどれも商売の基本だと思いますが、始めたばかりの私達にとっては業務を改善する良いチャンスです。モザンビーク南部の冬もあと1ヵ月!春を楽しみに頑張りたいと思います。