工場を引っ越します

マプトでは8月24日25日にTICAD閣僚級会合が開催されます。こちらの会合は昨年ナイロビで開催されたTICAD VIで合意された開発目標の進捗を確認するフォローアップ会合で日本だけでなくアフリカの様々な国も参加予定です。既にマプトへの日本人訪問者が増えている様子です。弊社も民間企業向けのサイドイベントに参加させて頂く予定で、楽しみにしています。

今月の弊社ビッグイベントは引っ越しです。工場が手狭になったことに加えて、近隣住民や大家から炭の粉塵発生について苦情を受けて困っていたところ、同じ家賃で屋内屋外ともに作業スペースが10倍以上の物件に出会い決断しました。

(工場になる予定の建物)

 (自宅になる予定の建物。大家さんの使っていないミキサーも貸して頂けるそう)

現在の場所では限られた敷地で近隣に気を使いながらの生産しているので、新工場では生産効率向上が図れるはずです。また現在の大家とは電気開設や家賃交渉や物件メンテナンスにおいてトラブル続きで、安心して投資できる環境が必要でした。

今回の引っ越しで多大な力添えをしてくれた方がいます。Chef do Quaraterao(以下省略 シェフ) という役所から任命されているコミュニティ・リーダーです。日本でいうと町内会長のようなポジションですが、役場から正式に任命され仕事をしていて、住所証明の発行から住民同士のいざかいの仲裁など幅広い業務を担当しています。役場に所属はしているものの、役場には必要に応じて出勤するのみで別に本業がある人もいます。

モザンビークに来たばかりの時はさっぱり理解できなかったこの仕組みですが、今では土地探し関係で何人かのシェフにお世話になっています。シェフはQuarateraoというモザンビークの最小行政地域を管轄し、大体数百~千戸の住民を組織しているそうです。

シェフもそれぞれに個性豊かで威圧的だったり酒飲みだったり様々です。私達が住んでいる地区のシェフは自身のNGOを経営する人格者です。

シェフの力添えは近隣家庭からの弊社に関わる苦情から始まりました。シェフは弊社の立場(土地探しが難航していること、大家とのトラブルがあること、炭の粉塵を減らすための投資を進めていること)などをじっくり聞いてくれたうえで『君たちの払っている家賃ならもっと生産に適した環境にある物件も借りられる』と物件探しを申し出てくれたのです。罰金を要求したり、退去を命じることもできたと思います。

引っ越し先は隣の地区だったので、シェフはご自身のネットワークを駆使して2週間程度で幾つもの物件下見に連れて行ってくれて契約締結まで面倒をみてくれました。交渉の最終段階で賃上げされて破談になった件もありましたが、その際も労を惜しまず最善のアドバイスをしてくれました。

地域行政の方には理解してもらえない場合もありますが、なかにはこのシェフのように弊社の活動を応援してくれる方がいます。こんなモザンビーク人の方との繋がりは本当に宝です。今あるご縁を大切にしつつ、今後も地域レベルでの関係構築に励んでいきたいと思います。

 (敷地内の送電網を整備しています。とにかく敷地が広い。)