VERDE AFRICAインターン日記 ⑦ 最終回
BOA TARDE! こんにちは。Verde Africaの有坂です。最近は雨の日々に続き灼熱の晴れの日々が続いています。
しばらく続いた雨のせいで木炭の供給ラインは滞っているらしく、弊社商品MACAMANENEの売れ行きは絶好調です。これを機会に安定した需要を生み出してくれる販路開拓に励みたいと思います。生産チームもうだるような暑さの中、頑張って日次平均1トン生産してくれています。平均生産量が上がり始めている背景には、機械保守や生産のノウハウが少しずつ蓄積されてきていることがあります。このまま炭の高需要シーズンを突っ走りたいです!
3月1日に弊社で半年間インターンを務めてくれた久保さんが帰国しました。一緒にご飯を食べて仕事をした久保さんがいなくなり私達も社員達も寂しい限りです。
ということで今回はVERDE AFRICAインターン日記の最終回をお送りさせて頂きます。インターンの成果についての私の感想はブログの末尾に綴らせて頂きました。
(送別会後の集合写真。)
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こんにちは、Verde Africaインターンの久保劍将です。8月半ばから始まったモザンビークでの生活を終え、先日無事帰国いたしました。この約6ヶ月半の間、個人として考えると多くの新しいことを経験することができ、そして多くの学びがありました。インターンの業務では、いわゆる発展途上国で働く面白さと難しさを同時に学ぶことができただけでなく、自分は何が得意で不得意か、好きか嫌いかを改めて知ることができました。それと同時に反省点も多くあり、自身の活動を振り返る意味も込めて率直にお話ししたいと思います
“従業員の労働環境とVerde Africa, Lda.の生産性を総合的に向上させるための提案をして、実行に移す。社員の仕事に対する意識の向上をはかり、仕事に対する満足度を高める。”
当初このような目標を掲げて始まったインターンですが、達成度は高くありません。その理由として、自分自身の意見として提案することができなかったことがあります。インターン開始当初は、有坂さんが“やりたいけれど時間を割くことができていないこと”を中心に自分が実行していき、生産スタッフと関わる中で改善が必要であると思うことを提案・実行していこうと考えていました。しかし、実際にはそれができなかったと感じています。本来ならば有坂さんとは違う視点で生産スタッフの求めているものや環境を指摘し、改善していくべきであったにもかかわらず、有坂さんが既に考えていることばかりで、自分の意見として提案することができなかったと思います。その中で同様に、途上国の企業やNGOで学生インターンとして活動している方の情報を探し、その人はどのような視点からどのように提案し、それを実行まで移しているのか参考にしたこともありましたが、それを自分に当てはめてみてもやはり難しく感じることが多くありました。先にこうなるであろうと予想を立て、それが成功に繋がらないと思うと実行に移すことができませんでした。頭の中ではやってみなければわからないことは理解していたもののそれを行動に移せないと意味がありません。
しかしながら、このようなネガティブなことばかりを日々感じていたわけではなく、モザンビーク人と働くこの経験は、考えや行動を理解できない時があり、難しい部分も多くありましたが、非常に有意義なものでした。当初、発展途上国を含めた自分とは異なる地域に住む人々と近い目線で物事を捉えることができるといいなと考えていました。自分にとってのその現地の人たちという対象は、ブリケットを販売する顧客のモザンビーク人ではなく、生産現場で多くコミュニケーションを交わすモザンビーク人の生産スタッフで、彼らの必要としているもの感じ取り、それを実行に移す解決していくことができればと考えていました。彼らの必要としているものの1つにお金があり、生産量に応じたボーナスを週次で生産スタッフに支払うという仕組みを機能させることで、生産スタッフの仕事へのモチベーションが向上し、生産量の増加につながったと感じました。年末にはミキサーの試運転を行い、それによって初めて生産量が1000kgを超える日があり、炭で真っ黒に汚れてしまう仕事だけれども、生産スタッフが盛り上がって働いている姿を見ることは自分のモチベーションにも繋がっていきました。彼らと近い距離で働くことができて良かったと思います。1月以降は、機械の不調や悪天候によって生産量にはムラがありますし、まだまだ働いている最中にマンゴーを食べたり、友人と電話を頻繁にしたり、彼らが集中して業務に取り組むことができていないのが現状で、そのような環境を作ることができればさらに良かったと感じています。
日本とは異なる文化を持つモザンビークですが、その中で自分の感じたモザンビーク人の良いところの1つに、新しく入って来た人をすぐに受け入れてくれることがあります。急に来た自分自身に対しても、新しく入って来たスタッフにも変に先輩風吹かせて気を遣わせるような面倒臭い環境を作らず、コミュニケーションを交わしていました。そのおかげで最初は言語の問題で会話をすることが難しいところから始まったにもかかわらず、すぐに打ち解けることができました。このように気持ちよく半年間一緒に働いてくれたモザンビークの現地人スタッフに感謝するとともに、本来はインターンを募集しておらず、急なお願いにもかかわらず受け入れていただいた有坂さんにも感謝の気持ちで一杯です。知人をきっかけに初めて知ったVerde Africa、モザンビークを訪れることは決して意図してきたわけではありませんが、来てよかったと素直に感じています。帰国後もポルトガル語の勉強はもちろん継続していきますし、規模や距離感、職種はまだわからないものの、モザンビークを含めた途上国の発展に関わるいわゆる国際協力に携わりたいと考えています。と言っても具体的に将来のことは、まだわかりません。しかし、いつか何らかの形で有坂さんまたはVerde Africaにお返しできるように成長していきたいと思います。短い間でしたが、本ブログをご覧いただきありがとうございました。
( 送別会では久保さんがスタッフに日本についてのプレゼンをしてくれました。皆ワイワイ言いながら楽しそうに聞いていましたが、一番うけていたのは日本の満員電車の様子でした。スタッフ達は久保さんという存在を通して、日本をまた少し身近に感じ好きになってくれたと思います。)
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(再び有坂です。)
久保さんの6ヶ月のインターンの成果として最も大きかったことは社内の生産インセンティブ制度が認知され、機能するようになったことです。弊社では1年程前に生産出来高により生産スタッフの給料が上乗せされる仕組みを導入しました。しかし、何故か生産チームのモチベーションが上がっているようには見えず、悩む日々が続きました。結局の問題点は生産量の記録を担当していたモザンビーク人社員の管理が正確ではなかったため、生産量の増加が歩合給に繋がっているという実感を他社員が得られていなかったことでした。
久保さんが来てから、まず生産量を彼自身が正確に記録してくれたことにより、社員の目の色が変わり始めました。そのようにインセンティブ制度の存在が認知され始めると、担当のモザンビーク人スタッフも真剣に生産量の管理記録に取り組むようになり制度として機能し始めたことが実感できました。その後は、久保さんがいなくても生産量を管理できるように生産チーム1人1人に責任を割り当てて、日々の実行を手助けし定着させるところまで完了してくれました。
沢山作れば沢山給料がもらえるという仕組みが機能すれば、会社にとっても社員にとってもWIN-WINです。インセンティブ制度にやる気を出したスタッフ達は『1000キロ~!レレレレレレ~!(アフリカ的雄たけび)』と叫び、自主的に盛り上がりながら『レレレレレレ~!』を賑やかに連発しながら生産するようになりました。これは“今日は1日1000キロ作って大台を超えるぞ”という意味で、ポルトガル語だと『ミリキーロ(mill kilo)! 』となり、何だか可愛らしい響きなのです。こんな様子を傍から見ていると私も幸せな気持ちで一杯になります。
久保さんが達成してくれたことは他にも沢山ありますが、インセンティブ制度の機能は弊者の今後の成長にとって必要不可欠なものであり、その土台を築いてくれたのは明確な成果だと言えます。モザンビークの弊社のようなローカルな環境で、ものごとの進捗が遅いのはある程度仕方ない部分があります。そんな中で、明確な業務成果を残しモザンビーク人スタッフの心に残る存在になったのは大きな達成だと思います。
久保さん、半年間お疲れ様でした。そしてどうもありがとうございました!
(スタッフからの餞別、モザンビークの布”カプラナ”を受け取る久保さん。)