モザンビークのアフリカ人達

私達はマプト市の中心部から車で40分程北に走った、市の境界線ぎりぎりのエリアに住んでいます。中心部へのアクセスは良いですが、ヨーロッパ的な雰囲気を残すアパートが立ち並び通りにはカフェが並ぶ中心部とは雰囲気が全然違っています。

どう違うのかというと、家は質素なのに庭はやたら広い基本的に平屋作りの住宅が多く、その大部分が建設途中です。アフリカの人々は銀行口座にお金を貯める代わりに、マイホーム建設で資産を形成する傾向があり、お金がある時に少しずつブロックやセメントや木材を買い家族で現場監督や作業をしながら長い年月をかけてマイホームを建設するのです。ちょっと話は逸れましたが、私達が住んでいるのはそんなモザンビーク庶民のマイホーム・ドリームが広がるエリアです。

 

(購入した土地にマイホームを建てながら暮らす、弊社スタッフのアイレス君。これから、壁を塗ったり、部屋を増やしたり、窓を付けたり、ペンキを塗ったり、いろいろなTO-DOがあるそうですが彼が40歳になる頃にはマイホームが完成しているはずです。ローンを組まずにマイホームが建てられるこの方法はある意味合理的?!)

 

そんなエリアで日々の買い物をする場合、スーパーマーケットはなく個人商店がまだまだ主流です。そんな商店のオーナー達について今回は書いてみたいと思います。この辺にはいわゆる”エキスパッツ”と言われる企業や国際機関勤めの外国人は住んでいませんが、外国人は沢山います。それは主にコンゴ民人、ルワンダ人、ナイジェリア人です。外見では外国人だと判断できませんが、お店に通い世間話などをするうちに分かってくるので面白いです。

一番最初に仲良くなったのは食料雑貨用品店を経営する、クラウドです。彼はコンゴ民主共和国の出身で兄弟と一緒に難民としてモザンビークにやってきたそうです。故郷はウガンダ国境に近い、地方都市で今でもお父さんにお金を送っているそうです。彼は基本的にずっとひとりで店を管理していて、週7日10時間くらい働いています。休みたくても次の商品の支払いができなくなるので休めなくて、時間がないから、料理も結婚もできなのだとか。ポルトガル語も堪能でシャンガナ語も話せて、すっかり地域に溶け込んでいるモザンビーク・ビジネスの大先輩です。

最近良く利用している食料品店はルワンダ人の家族が経営しています。彼らもまた難民としてモザンビークに来たそうですが、こちらは子供4人と両親の大家族です。ケニアにも住んでいたらしく、英語が堪能です。店頭を仕切っている子供達はどの子もとても賢そうです。長女はセーシェルの大学に留学していて、長男はアイフォンやドローン購入に興味があり、クラウドと違い比較的経済的余裕のある様子です。食料雑貨品店の経営は何故かルワンダ人とコンゴ民人が多いです。

マイホーム建設のためか、近所に食料品店に続いて多い店が金物店です。小規模の金物店の店主は圧倒的にナイジェリア人が多いです。徒歩3分圏内に7店舗もナイジェリア人の金物店があるので競合しないのかなと思うのですが、在庫のない品物をアミーゴのところで借りて来て販売したりと助け合っているようです。販売している金物は中国製ですが、それらの商品を中国から卸す貿易商がいるそうです。彼らは中国とマプトに拠点を持つナイジェリア人です。中国人貿易商も多いですが、信頼できないのだとか。肌の色が同じなので分かりにくいですが、アフリカ各地に散らばっているナイジェリア人の数は相当多いと思われます。

 

 (こんな感じの小規模な金物店が多いです。)

 

これらの人達と私達の共通点は外国人で英語を喋るということです。そのため不思議な安心感と連帯感があり、英語での会話も弾みます。中央アフリカなど縁遠い国から来た人と知り合う機会もあります。どんな背景があってどんな期待を抱いてモザンビークにやってきたのか、遠い他のアフリカの国に想いを馳せるのもなかなか楽しいものです。