TOPISH Bakery No.93 ~ガーナの医療事情について~

ガーナのパン屋の石本です。

早速新制度で揉めていますが、最初の2週間は何とか合意した金額をマネージャーたちから納めてもらいました。創業からずっと手伝ってくれているKofiにはいつまでも苦労をかけているなぁと申し訳なくなります。

Kofiについて話をすると、Kofiの両親は聴覚障害を持っており、小さい時におばあちゃんの下に引き取られて育てられてきました。(Kofiと弟は健聴者であった為、両親と一緒にいると話す機会が少なく、Kofi達も話せなくなってしまうのではないかとおばあちゃんが心配した為だそうです)

その為、deafの人たち為のパン屋を作ろう、と話した時に自分ごとの様に喜び、全力で応援してくれ、TOPISH Bakeryの草創期から支えてくれた、不器用ながらも信頼できる大事な人材です。2019年初頭、若いマネージャー達へ体制を移す事となり、KofiにはTOPISH Bakeryのマネージャーから退いてもらい、石本の代理人という立場で事業を見守ってもらう事となりました。

TOPISH Bakeryの為に色々動いてくれてはいますが、Kofiの給料はTOPISH Bakeryからは出ておらず、別にお願いしている仕事から支払われているのですが、それでも、deafのみんなの為、手がかかる弟分であるスタッフ達の為、何とかTOPISH Bakeryが存続できる様にと今も頑張ってくれています。

昨年秋頃、Kofiは奥さんとの間に子供ができたと嬉しそうに話をしにきてくれました。Kofiも子供ができたから頑張らなきゃ、まずは二人で住む家を借りたいと忙しい合間をぬって場所を探していました。

お給料や日当が出ると、せっせと奥さんにプレゼントを買ったり子供の検診費用にしたりと、幸せそうなKofiでしたが、嬉しい連絡をもらってから2ヶ月後、急遽奥さんの容態が悪くなって病院に入院することになってしまいました。言われた通りに妊婦健診に通っていた様ですが、どうやらお腹の中の赤ちゃんが亡くなってしまったとの事で、手術をしなければいけなくなってしまいました。

連日、仕事が終わると病院に行き、奥さんの側につき添うKofi。ガーナ第二の都市クマシであっても、手術をするとなると不安です。そもそもお腹の中の子供の異変も検知してもらえなかったとあって、病院に対する不信感もあります。Kofiはこのままでは奥さんまで失ってしまうのではないかとひどく心配して疲れきっていました。自分も同じ環境だったらと思うと胸が締め付けられる思いがしました。

数日後、Kofiから手術は無事終わり、赤ちゃんを埋葬してきたとだけ電話がありました。

翌週Kofiと会って話をすると、赤ちゃんの事は残念だったけど、きっとまた自分たちの所にきてくれると信じてるし、奥さんが無事だったことを神さまに感謝している、と言っていました。世界中どこでも子供や大切な人を失う悲しみは同じです。日本にいたら良い医療サービスを受けられて、医者や看護師の診断も信じられ、必要な薬も手に入るけど、そうではない場所はまだまだ多くあり、久しぶりに理不尽さを感じました。

奥さんの治療の経過も芳しくなく、しばらく出血が続いたりと1か月ほど家事もできずご飯も食べれないほどでした。Kofiの看病もあり、今年頭からは知り合いのご飯屋さんに手伝いに出れるほどに回復しました。その知らせを聞き、Kofiと二人でご飯を買いに行くと、奥さんが照れ臭そうに迎えてくれ、いつも私たちを支えてくれて有難うございます、とお礼を言われました。いつも私を支えてくれているのはKofiの方ですよ、頑張り屋さんのいい旦那さんですね、と伝えるとKofiが嬉しそうに笑い、奥さんを抱き寄せました。

翌日パン屋に顔を出すと、スタッフの一人から、昔働いていた同郷から来た女の子の一人が亡くなったとの知らせを受けました。その子は子供ができたから実家に帰ると言い、出産後は彼氏が消えた為、お母さんに子供を託して働きながら頑張っていた様です。スタッフの結婚式の時に一度だけ子供に会った事がありますが、その子にはIshimotoという名前がつけられていました。二人目を授かり、出産をする時になくなってしまったとの事でした。Kofiの奥さんのこともあり、母子ともに健康で安全に出産する事が当たり前ではないという事にガツンと頭を殴られる思いでした。

自分には何もできないけれど、多くの専門家の方々が、日々ガーナの医療サービスを良くしようと奮闘されている姿をみると、本当に尊いなぁと感じます。自分は、自分なりにできる事で貢献していけたらと思います。