No.14 TOP Bakery 再生期・前半

ガーナのパン屋の石本です。
前回は約二年間石本不在だったTOP Bakeryの状況のついて書かせて頂きました。
今回は事業再生の前半について書かせて頂きます。

 

ガーナに帰りたいが生活の基盤がなくどうしようかと考えていた時、以前からいつか一緒に仕事をしてみたいと考えていた方からお声掛け頂き、カカオの専門商社の一員として、2018年6月からガーナに駐在させて頂く事となりました。
非常に理解のある上司と同僚に恵まれ、パン屋再生の為の資金の一部を借り入れることが出来、事業再生計画を進めることが可能となりました。

 

事業再生資金を確保できた事をスタッフの皆に報告し、これからは石本を筆頭に再度経営改善をしていく旨を皆に周知し、会計会社にも協力してもらいながら会社として再スタートを切る準備を進める事となりました。

 

そして、月の半分ほどをクマシのパン屋で過ごしながら、借入資金が振り込まれるまでの3ヶ月間、できる限りの経営改革に取り組む事にしました。ここからまた頑張るぞ!という皆の熱意も感じられ、マネージャーも再び信用を取り戻そうと頑張っている様子が伺えました。

 

そんな時、二つの隠された事実が明るみになりました。

 

支払っていたはずの工場の家賃(1年分前払い)が支払われておらず、地主から立ち退きを迫られる事になりました。警察を連れてきたり、裁判所に連れていくと警告書を送りつけられたり、毎日執拗な嫌がらせが続きました。
また、全ての負債を精査したはずなのに、後から30万円ほどの隠された小麦粉サプライヤーへの負債が発覚し、こちらからも裁判所へ訴える旨の通知が送られてきました。

 

全ての負債について、正直に全部話すと約束し、皆で再生計画を作ってきたのに、急に出てきた2つの隠された負債。
マネージャーは「これには言うに言えなかった理由があったんだ、俺はなんとかしようとしたんだ。。。」と言い訳を始めようとした為、マネージャー含め、その事実を知っていた主要メンバー全員に対して怒りをぶちまけてしまいました。

 

「もう一度みんなで頑張ろうと借入までしようとしているのに、こんな信用できないメンバーと仕事なんてできるか!TOP Bakeryなんか潰れちまえ!」

 

怒りが収まらなかった為、スタッフ達から掛かってくる電話も無視し、私が滞在していたホテルに謝罪しにきても会いませんでした。翌日、早朝からマネージャー含む3名が謝罪の為にホテルのフロントにきていました。自分たちの過ちについて、信用を裏切る様な行為に対し、泣きながら謝罪するメンバーに対し、どうする事が正解かわからなくなっていた私は、2つの条件を与える事で1ヶ月間様子を見る事にしました。

 

1つは、マネージャーにはパン屋を一ヶ月離れて、そして、その上で自分がパン屋の為に何ができるのかレポートを上げ、また失った信用(対石本・対スタッフ)をどう取り戻していくのか考える様に伝えました。
もう1つは、残されたメンバーで単月黒字化を達成する事でした。改善できる箇所については既に指摘してあった為、追加資金のない中で自分たちで工夫し、言い訳をせずに努力する様に伝えました。

 

そして、2018年8月、TOP Bakeryの進退をかけた激動の1ヶ月が始まりました。