TOPISH Bakery No.32 ~意識の変化~

ガーナのパン屋の石本です。
クリスマス商戦は年に一度の超売り手市場で、マリオがスターを得て敵に突っ込んでいく位、パン屋が売りたいだけ売れる超無敵モードに入る唯一の時です。

 

そんな中で芽生えたスタッフの意識の変化については今日は書きたいと思います。
過去2年間で失墜したスタッフから会社・マネージャーに対する不信感を拭い去るべく、この半年間は必死に会社の立て直しやスタッフの待遇改善を図って来ました。

 

未だ未だ利益が十分ではない中、11月末にはスタッフ全員の給料を20~25%上げる事にしました。これは、2年前からの約束であり、石本不在中にマネージャーによる使い込みがあった為実現できていませんでした。

 

会計会社からは、なんで利益が十分ではないこの時期に給料をあげるのか、ともう少し時期を考え直す様に助言されましたが、これは石本自身とスタッフ達との結果に対するコミットメントの表れでもありました。

 

給料を上げるからには、結果を出さないと会社が立ち行かなくなる。それは直接にスタッフ達の雇用に跳ね返って来ます。その結果、スタッフ達の中には、会社が十分に儲かっているのかどうか気になって積極的に数字の管理に関わってくる者も出て来ました。

 

大きな変化は、生産マネージャーが経費の使い方・インプットが正しいかをチェックし出したり、自分で販売計画の数量を管理したり、ディストリビューターとの交渉をする様になりました。今までは、「俺は作ったら終わり、後はお前ら(ディストリビューター&マネージャー)の仕事だ」と言った態度だったのが、少しずつ自分以外に会社の事も考える様になって来た様です。(結果的に自分に跳ね返ってくるというのを理解した様です)1月末からはマネージャーと一部のスタッフ達を中心に、NBSSI(中小企業支援をしている政府機関で、JICAの改善プロジェクトのカウンターパート)の3日間の集中講義(PC・基礎会計・ビジネスマネージメント)を受講することにしました。費用の半分は会社が払い、半分は自己負担してもらう事になりました。

 

また、管理側のマネージャーは、このクリスマス商戦中、思った以上の需要に対してもっと販売できる様に生産量をあげよう!と自発的に生産チームと交渉し、12/23と24の早朝で合計50袋生産(当初は40袋の計画)を決めました。その中で、生産チームが「こんなに働くんだから追加で払え!」と抗議。マネージャーは「12月は売上が悪くて、お前達前半は全然働いてなかったじゃないか!たった3日間忙しいだけで文句を言うな!」と強気の反論。生産チームが「沢山作ればディストリビューターも会社も儲かるのに、生産チームだけが何も得ないのは不公平だ!」と騒ぎ始めた所で石本登場。状況が分からない中、いきなり「金払え!不公平だ!」と言う抗議に困惑しながらも、事情を確認、双方が納得する金額を算出し、1日20ghs(約500円)を全員に支給する事で決着がつけました。

 

しかし、マネージャーは納得言っておらず、「石本はスタッフに甘すぎる、これじゃあクリスマスが終わった後に売上が落ち込んだ時にどうするんだ。全く、、、」とぼやいていました。

 

また、翌日、マネージャーは更に需要が伸びている事もあって、24日のクリスマスイブも生産しようと言い出しました。ただ、24日は事前にみんなで休日にすると約束していた日なので、勝手に会社都合で撤回することはできない、と説明すると、マネージャーは「どうして売れる時に休むんだ。俺たちは皆そんな怠惰であってはいけないんだ。会社をしっかり継続する為には時には自分たちを犠牲にする事も必要だろう?」と、まるで日本のブラック企業の上司のような事を言い出したので、思わず笑ってしまいました。

 

「売上は大事だけど、皆家族がいて、年に一度のクリスマスを楽しみにしているだろう?今日沢山働いてくれたから、明日くらい休もうよ。」

 

そう言葉をかけると、さっきまで殺気立ってたマネージャーも、「そうだね、クリスマスだもんね」と優しい表情に戻り、「強制はしないけど、もし生産チームが、別途日当を払ったら生産するって言ったらいいよね?」と言うので、「もう君らの好きにしていいよ」と返しました。

 

暖かく見守りたいと思います。