他力本願の真骨頂 最終日に起こった奇跡

 昨年に引き続き、京都が誇る工芸の展示会「DIALOGUE+」に出展してきた。控えめに言って、最高だった。展示会には40くらいのブランドが集結していたので、まわりの方々からの学びがナイス過ぎたし、ありがたいことに新たなご縁もたくさんできた。

 ほかのブランドさんの作品にふれて、ものづくりに対する姿勢を改めようと思った。この1年で成長を感じられたぶん、至らなさも痛感した。ときめきってだいじ。かわいいは正義、かっこいいがすべて。どのようなトーンでお客さんに届けるかを、いま一度、考えさせられた。

 実はこの展示会、それだけでは終わらなかった。予期せずして、ぼくのモットーである他力本願の真骨頂をみせた。最終日、メディアの方から取材を受ける予定があったのだが、そこに願ってもない助っ人が現れたのだ。そのひとは、百貨店で長らく装飾を担当されていた方で、カメラが入る1時間前に即興でブースのアレンジをしてくださった。見違えるほどに、いい感じのブースに早変わりした。

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 ちゃんとディスプレイしてもらうと、作品がめちゃくちゃ輝いてみえた。職人さんたちに一生懸命につくってもらっても、さいごに見せかた、伝えかたをしくじると、たいへんなことになる。それは創業して半年後に向かったパリで確かに感じていたはずで、あれから2年も経っているのに、まったくと言っていいほど成長がないことに気づいた。

 振り返ると、ツメの甘すぎる生きかたをしてしまっていたけれど、これからはお客さんに届けるとき、届けたあとのことに、もっと心を寄せたい。奇跡的に、その全体のディレクションを担ってくれる人たちには、すでに出会えている。この出会いを大切に、新年度もまたベストを尽くと心に決めた。

 創業して2年半、このままのペースでは遅すぎるけど、おかげさまでいい人たちに囲まれている。あとになって後悔しないように、やれることは全部やってやる。オフェンスこそ最大のディフェンス!

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工房を移転します

3月から探し続けていた新しい工房ですが、ようやく良い物件に出会うことができ、本日契約してきました。

(ウガンダの不動産事情ですが、マーケットにいい物件が出ているとものすごいスピードで決まっていきます。こちらが価格の交渉をしている傍らで、「別の人が1年分の家賃を支払ってくれたからごめんね!」と交渉を打ち切られることが多々あったり(こちらは家賃の前払いが基本で、最低でも3ヶ月、長くて1年求められます。大家がかなり強いのです)。世知辛い世の中です涙)

RICCI EVERYDAY3か所目の工房。これからたくさん雇ったとしても、十分に受け入れられるキャパシティがあります。しかも広いお庭付きで激安価格。果物の木も生えているので、仕事の合間におやつの時間に食べたいです。

ちなみに1か所目の工房は3m四方の小部屋でした。私たち(私・スーザン・グレース・ナジュマの4人)が小さなプロジェクトとしてこの事業を始めようとした際、お金が全然なかったので場所を借りるのもどうしたものかと途方に暮れていたところ、それを見かねた知り合いのスリランカ人のおじさんが、「うちの部屋を使えばいいよ」と、差し出してくれた場所でした。そこはおじさんのいわばダイニングルーム。冷蔵庫や食器、炊飯器の横にミシンを一台置いて、サンプル作りをスタートさせたのでした。スリランカ人のおじさんは、ウガンダの縫製産業に長く勤めている人で、今でも事あるごとにアドバイスをくれます。本当に彼なしではこの事業はスタートしなかったと言っても過言ではない。。。ありがたい限りです。

2か所目は、その部屋の斜向かいにあるアパートです。テレビの取材を受けた時はこちらで仕事をしていました。2部屋あるうち、一つがミシン部屋、もう一つは布を切る部屋(革は土台と針と糸さえあればどこでも縫えるので、ベンチを置いて縫ってもらっています)。ミシン部屋には今ミシンが3台あるのですが、今後人を採用して機材が増えることを考えると手狭になること間違いなしだったので、今回移転を決意したのでした。

新しい工房ではどんな歴史が刻まれていくのか、今から楽しみです!ぜひ皆さんもウガンダに来た際にはお立ち寄りくださいね!

Chizu