家庭で働くルワンダ人たち 後編

ルワンダはキガリからこんにちは、アジアンキッチンの唐渡です。

7月ですね。
日本では7月初旬というとまだ夏休みに入っていませんが、
エキスパッツ(ルワンダに駐在している外国人たち)家庭の子どもが通う学校は、遅いところでも6月末には学年度末となります。

息子の学校も夏休みに突入し、家で仕事しててもずっと話かけてきます。
そしてランチ問題。
夕飯はたいていアジキチのものをテイクアウトしてごまかしてますが、一日二回はやりすぎだよね?
でもナニーさんがいれば解決!
息子はナニーさんの作ってくれるフライドポテト大好き!
それにかまけて最近主に芋しか買ってない私。

ナニーさん活躍しすぎて、たまに5か月児がいることを忘れるほどです。
授乳以外出番ないです。

いつもお箸を左右に離して添えてくれます。

離任の季節

そうなのです。離任の季節なのです。

多くのルワンダ駐在外国人が任期を終えルワンダを去ります。
それに伴って、そうした家庭で働いていたルワンダ人が一気に大放出されます
エキスパッツ内に流れる人材情報を漁って、片っ端から会う。
結構色々人間模様が見れて面白いです。

ボスの国や組織ごとに雇い方に傾向が出るし、
例えばインド人のもとで3年働いた、とかだと我慢強そうだなとか。

それにしても、産業がない=職がないので、エキスパッツ家庭での仕事は上級職の扱い。
エキスパッツ家庭のナニーは高給職。
エキスパッツ家庭のナニー、そのナニーのナニー、と階級社会の縮図がここにもあります。

6月~7月にかけての買い手市場

ルワンダを去った駐在員の後任が来るのは8月頃から。

それまでは、買い手市場。
一瞬ですが、需要を供給が大きく上回り、買い手市場になります。

この時期にたまに遭遇するのが、
元の雇い主に相場よりもかなり高い給料で雇われていた人が職探しに苦労するパターン。

その人は一時ハッピーだけど、
市場価値と連動しない大金を特に理由なくもらえて自分の市場価値認識が狂い、
任期を終えた雇い主が去るとき、次の職にありつけない、かつ元の生活水準に戻るのに苦労する。

もちろん雇用主は良かれと思ってやってるんだけど、
市場値に上乗せする場合やはり市場より優れてるスキルがあるとか、
勤続年数がある年数を超えた(これは働くのが続かない人が多いルワンダでは確固たる価値証明になると私は思います)とか、
何がどう評価されての提示だということを理解できる人じゃないとダメだと思います。

ボーナスも、インセンティブに働く場合とそうでない場合がありますから…
(詳しくはこちらの記事をご覧ください。「『インセンティブ』の難しさ」)

総じて、何の対価か不明なお金はあまりその人を良い方向に導かないなというのが、この国に4年いて分かってきたことです。

あげる方は、お金が正直一番楽かもしれないけれど。
ましてや家庭で働いてもらう人たちなら、お金でゴキゲンになってもらうことが一番。
そして数年経てば自分はルワンダを離れる。
でも実は、自分はいつかいなくなるかもしれない身であればこそ、
お金を簡単にあげることには慎重になった方がいいと思うのでした。

中間管理職とサステイナビリティの話

ルワンダはアジアンキッチンからこんにちは、唐渡です。

「法に則り、5/31までにアップデートしなかったら、口座凍結の恐れあります。」という銀行からのお知らせが5/30の夕方に来まして、月末バタバタしております。

最近流行りのお店のマネージャー

さて最近、アジキチの競合と言われるお店に行ってみました。
オーナーは北米人。

ファンシーな雰囲気で、
欧米人の好きそうなアジアンテイストにまとめられた、お金のかかっている内装、
バーも充実していて、
これは独身男性とかがゴキゲンにお金落としていきそうだなぁ…という感じ。

インポートと思われる数々のモノ

マネージャーは、噂に聞いていた通り、
とあるレストランから引き抜かれたフィリピン人。
彼女は夫とペアで動いていて、味・サービス・スタッフ・日々の現金を全て切り盛りしている模様。

正直、いいなーって思いました。
私も、そういう人が雇えたらなー、と。

そういう人というのは、店のマネージができる人材。

味とサービスとスタッフと現金を、
私が毎日介入しなくても問題なく回せる人
です。

中間管理職を担う人たち

ここルワンダでは、そういう人材は、
雇われている場合は自ずと外国人(アジアまたは近隣アフリカ諸国)
または外国で暮らしたことのある富裕層ルワンダ人
になってきます。

こうした人材と、
例えばアジキチで、コックから育て上げた一般のルワンダ人現場マネージャーの間には、
言ってしまうと、雲泥の差があります。

事業拡大の最大障壁はそこかもしれません。

中間管理職がいない。

ビジネス的には、外から連れてくる、が正解かもしれません。
でも、そうしないのには理由があり。

まず、雇えない理由。
高い。(哀)
今の資金力では、まかなえませんね…
(ただ、その分現場マネージに私が自分のリソースを割くことになるので、一概に高いと言い切れない面もありますが)

雇わない理由

サステイナブルじゃないから。

サステイナブルじゃないというのは、ビジネス的に、というよりも、ルワンダという国的に。

この中間管理職に、
圧倒的大多数の一般のルワンダ人がなれるようにしないと、
いつまで経ってもルワンダ人が搾取なく雇用される社会は来ない。

外から中間管理職連れてきても、
その下にローカルをたくさん雇えば雇用創出、なのかもしれないけど、
そのローカルワーカーたちのスキルアップが図れない構図だと、それはやはり搾取だと思います。

そしてスキルアップどころか、
人権侵害まがいの待遇で働かせているのも散見されます。
どこの国かは言いませんが。
(でもアフリカ大陸は今やその国なしでは発展しえないという事実)

定型ジョブしかやってこなかった人は、
雇用主にとって常に代替がきく以上、圧倒的に立場が弱い。賃金も上がらない。

もちろん万年皿洗いで幸せな人もいるだろうし、
(「幸せ」の定義も日本人のそれと結構違うようなのでなかなか深いんだけど)
そうした定形ジョブすら圧倒的に不足してるのがルワンダの現状ではあるものの。

でも、長い目で見て、
今外から連れてきてる中間管理職を、ローカルが務められるようになるような仕組みづくり・教育は絶対するべき。

ルワンダは、外国人が搾取にくる場所であってはならないし、
期間限定でちょこっと外貨を落としにくる場所にもしてはならないなと。

これは、ともすれば特に後者になってしまうなという自戒を込めています。

例えばムズング(白人・アジア人)が、ムズングクオリティに満足して来ているだけの小規模な店のままではただの自己満なんですよね。

一方そのおしゃれアジアンレストラン、
価格帯を見てみると、そのマネージャーの人件費込みなプライシングな訳ですが、
その高付加価値分についてもその分の税金が国に落ちるので、
ルワンダのためになっているとも言えます。

という訳で。

要はアジキチ頑張れってことですね。
頑張ります。

開業のいきさつ Asian kitchen@Rwanda 

こんにちは、ルワンダAsia Kitchenのからとちさです。本日も順調に水は止まってます。

断水13日目、さすがに水道局に乗り込もうとしましたが、「今日祝日になりましたんで」とのこと。

いきなり祝日決まるのやめて。そして祝日広報が噂レベルなのなんとかして。「俺は昨日ラジオで聞いた。」とかそういうのやめてー。

 

毎日家と店を4往復して水を運びます

毎日何往復も車で水を運びます

 

さて掲題の件。

友人・知人に近況報告すると、「なんでルワンダ?なんでタイ料理屋?え?ウガンダ?」と、とにかく聞かれます。

果ては再婚おめでとうというメッセージまでいただきました。ありがとうございます。

 

 

30歳のとき、私いつまで今の生活続けるんだっけ。と漠然と、でも確実にタイミングを見計らっていたときに、

幼馴染かつ元同期の友人夫妻を訪ねてルワンダを訪れる機会がありました。

行ってみると、いろんな期待・予想を遥かに上回る?下回る?別次元?な世界が待っていて、

なんにもない感じが、でもこれからなんでもありな感じがして、

「なんだかここなら、一旦ゼロになれそう。ゼロから始められそう。」

そう思って、決めました。

それになんだか、気持ちいいとこだったんです。空というか風というか空気というか。それも決め手です。

ルワンダの東の地域にある国立公園にて。

ルワンダの東の地域にある国立公園にて。

 

幼い頃からの憧れとか、(あっでもアフリカは想定外。笑)

東京でシングルワーキングマザーやる中で生活やキャリアについて感じてきたこととか、

子どもをどこで何人(なにじん)として育てるかとか、

いろいろな思案が巡りましたが(おいおい書きます)、

行くこと自体は自然な流れでした。

 

こうしてルワンダで息子と生活することに。

さて。なにをしよう。

自分はこの国で何をしたい?何ができる?何をすべき?

(出たWILL CAN MUST)

・・・

・・・・・

・・・・・・・・・分からない。

(そりゃそーだ)

 

じゃあ、何かやりながら見つけてこう

(息子食わせにゃならんし。)

 

旅行したとき、物資もないしサービスもなかったなぁ→初期投資的に製造業よりはサービス業かなぁ→観光業ってゴリラ頼みだったなぁ→手近なのはレストランかなぁ。全然バリエーションなかったなぁ→でも購買力あるのって今のところ外国人(特に欧米人)→欧米人ってタイ料理好きだけどタイ料理なかったよね!?これじゃない!?

最後のステップだけ跳び幅が大きい気もしますが、

 

そう、まずは始めることが大事!

 

かくして、2015年7月末付で会社を退職、8月初旬、ルワンダへ。

オープンまでの珍事とか、オープンしてからの日々とか、その中で見えてきたこと、少しずつ綴って参ります。(Instagramも見てね♪)

 

そんな感じで始めたこのビジネスですが、

「場をもつこと」

「現地の人を雇うこと」

にはこだわりがありました。

(あ、すみません後者はこだわりというかノーチョイスというか)

 

場をもつことは、顧客接点をもつこと。現地のカスタマーの声に日々直接触れないと。ルワンダど素人としては。

そして、一度「場」をつくると、人脈とか、情報とかのはハブにできるのではないかと。思いまして。

Asian Kitchen店内。いろんな出会いの場です♪

Asian Kitchen店内。いろんな出会いの場です。

 

そして、現地の人を直接雇うこと。

ってのがどういうことかも分からずに、とりあえずやってみると、これがまぁ苛立たしく、難しく、面白い。

 

現地の雇用創出に貢献!なんて聞こえはそれっぽいけど、

会社の意図と社員の要求のせめぎ合いに、イライラしたり気が滅入ったりしつつ、

とにかく今は、今の社員の雇用を守る、ことで必死です。

「雇用を創出し続ける」 ところまで行きたいと思います。

みんな個性もバックグラウンドも様々。

つづく

唐渡 千紗