大切なこと④ 誰から見ても「公平」なこと

前回、ルワンダ人スタッフのマネジメントの難しさを書きました。

実はもう一つ、ルワンダならではのポイントがあります。

 

それは、「公平」であること

 

ルワンダには主に二つの民族がいます。

長い歴史の中で、二つの民族の関係は複雑に続いており、それが最悪の結果に表出したのが1994年。

それは、突然始まりそして終わったことではありません。

(過去記事:それぞれの1994年と2016年の日常

 

日常生活では民族問題はタブーなので、どちらの民族だとか直接的に会話には出てきませんが、

うちのスタッフもよーーく見ていると、

あまり関わらない二人とか、

何かとうまく行かない組み合わせとか、

あります。

民族との関係もゼロではないでしょう。

普段はまとまり感もあり面白い人たち

普段はまとまり感もあり面白い人たち

 

なので、誰かを昇格させるときなどは、細心の注意が必要です。

「誰が見ても納得できるように評価・褒賞する」ことが大事です。

「●●だから昇格した」

「△△だから評価されている」

ということのないように、昇格のときでなくても、普段のコミュニケーションから、特に褒める際には、

どの行動がどう良かったか、その行為自体を具体的に言及するようにしています。

 

また、ポジションは様々ですが、

職業に貴賤なし、

どのポジションの人が偉いとか、上とか、そういうのは排除するように心がけています。

 

長年、支配されてきた、虐げられてきた、他方が富を独占することによって不遇に遭ってきた、

そういう思いが根底にある社会、

そして今ここに厳然と存在する格差、

長年日本で育ってきた身としては自分ごととしてはなかなか直感では入ってこないですが、

私なりに最大限想像力を使って。

 

そして、まだまだ微力ですが、いずれは、

民族とか、生まれとか、そういうのに関係なく、

努力・能力・結果自体が評価される、

頑張ったらチャンスを掴めるかもしれない、という希望が持てる、

そういう土台がある社会に貢献していけたら、と思っています。

大切なこと③ Visionを共有する

Visionを共有する、とか、聞こえはとってもそれっぽいけど、実際どういうことなのだろう?

自分が雇われの時にもよく聞いていたこの言葉。

数年後の自分がこの記事を見返して微笑ましい気持ちになっているかもしれないけど、

Asian Kitchenの一年目の私なりに、書いてみようと思います。

 

Asian Kitchenでは四半期に一度、スタッフとのKick Off MTGを開催。

Asian Kitchenがどういう店でありたいか今後どういうことをしていきたいか、少し先のことを具体的に語りました。

その一方で、スタッフにも、

将来、それか少し先でも、どうなっていたいか?

そのために、Asian Kitchenという場所で何ができるか?

という問いかけをしました。

 

その二つが交差するところをそれぞれに見つけてもらう

そうすることで、日々の業務、自分のポジションへの取り組み方が変わってきます。

 

要は、

スタッフに対して、「存在を認めている」ということを示す

-ゴールを共有することで、苦境時や、それぞれの判断が分かれる場合でも、立ち返る場所を作ることで組織としての目的達成からぶれないようにする

この二つがポイントなのだと思います。

まりんちゃんが印刷して見えるところに貼ってくれています

まりんちゃんが印刷して見えるところに貼ってくれています

 

こういう写真、FBにアップするとなんだかリア充に見えると思いますが、

実際のところは、経営側と従業員の利害は基本相反するものですし、いろいろなせめぎ合いは毎日のようにあります

だし、相手は自分のもつ常識を飛び越えたところから来ますから、もういろいろカオスです。

ただ、こういうMTGの場を持つようになってから(その後月一で全員集合の定例MTGを持っています)、少しやりやすくなったと思います。

 

私自身、こうした取り組みに半信半疑だったのですが、

インターン生のまりんちゃんが素直な気持ちで、

「やってみましょう!千紗さんの考えてること、スタッフに伝わってないのがもったいないです!」

ときっかけを作ってくれました。

 

まりんちゃんはちょうど今日が最終出社日だったのですが、

彼女の多大なる貢献の一つが、オーナー社長とスタッフの間で、うまく調整役を果たしてくれたことです。

 

私は当たり前ですが、 利益の最大化、 それしか考えてないです。考えないようにしています。

利益の最大化、Asian Kitchenの継続、

そのための施策、そのためのカット、そのための新ルール・・・

なのですが、スタッフからは、時として締め付け、としか感じられないときもありますよねきっと。

実際その頃、7月頃の私は、夏季休暇による売り上げ減と、長引くドライシーズンでのコストアップに、正直焦っていたので、だいぶ眉間に皺が寄っていたと思います。

 

 

私は正面から逃げ場なく注意してしまうことがあり(要改善)、スタッフの方も はいそうです としか言えず、鬱憤が溜まる面もあったと思いますが、彼らの不満が本格的になる前に、なんらか立ち回ってくれました。

というのもあって、私も安心してバシバシ厳しくできました。(結局厳しい)

 

マネジメントへの不満をアラファト氏主導で話し合っていると思われる場面。こういうとき言葉通じないっていいですね

マネジメントへの不満をアラファト氏主導で話し合っていると思われる場面。こういうとき言葉通じないっていいですね

 

ルワンダ人はおそらく近隣のアフリカ諸国と比べると、その国民性はとても穏やかな方だと思います。

多分陽気なケニア人と比べてしまうと陰気なくらいだと思います。

日本に近いところもあるかもしれません。

心では相手を嫌いだと思っていても、それを態度には出しません。笑顔です。

 

それゆえに、一見従順なんですが、コミュニケーションがやや複雑になることも時々あります。

私は日本にいるときよりも意識的にずっとストレートな物言いをしていると思いますが、

それでも変化球しか返ってこなくて困ったりすることもあります。

 

うーん。

でも総じて、うちのスタッフはみんないい人です。採用こだわりましたし。

いい人というか、みんな「いい目をしている」っていう表現がいいかもしれません。

バックグラウンドは、本当に様々なのですが。(過去記事:それぞれの1994年と2016年の日常

 

先日とある方に事業についてアドバイスをいただく機会があり、

経営者としての私に対しては全部ダメ出しでしたが、

(起業後のダメ出しをいただける機会は、びっくりするくらい貴重です)

唯一褒められたのが「スタッフ、死んでる目の人がいないね」ということでした。

 

嬉しいですね!

 

でもやっぱり、このテーマは難しいですね。

まだまだ暗中模索です。

今日も、とあるスタッフの要望を断りましたが、あー。なんかもっとやりようあったのかな?とかとか、夜な夜な考えてしまったりします。

寝ます!

3時間後は息子の起床時間ですが、最近私がベットから起きれなくなりすぎて、勝手に学校に行ってくれるようになりました。

おやすみなさい。

いろいろ紛糾しつつも、MTG後は何かと記念写真をとるとなんだかまとまり感が出てくる

いろいろ紛糾しつつも、MTG後は何かと記念写真をとるとなんだかまとまり感が出てくる

 

 

大切なこと② まずはなんでも自分でやる

まずはなんでも自分でやる。

これも大事です。

大きく、二つのポイントがあります。

一つは、自分の目で見たもの以外、基本は信用できない、という点。

もう一つは、自分がなんでも率先して足を運び手を動かさないと、周りはついて来ない、という点。

 

一つ目について、

これは、前回の記事の「対人関係における前提」にも紐づいてきますが、部下や業者に出した指示・依頼が自分の思った通りに完遂されることはまず、ないです。

 

 

買い物系だと、買いに行った人と、店が結託して実際より高い額の領収証を出し、差額を折半して懐へ。

特に自分が相場を知らない場合、結構な額をぼられます。

 

毎日の食材買い出しは、基本スタッフにお使いを頼んでいますが、

時々は自分が行って相場の変化を確かめないと、良くないことになります。

 

雑然としたローカル市場では、次から次へと売りつけようと人が割り込んできます

雑然としたローカル市場では、次から次へと売りつけようと人が割り込んできます

野菜くらいならまだ良いですが、お店の施工では、結構痛い目を見ました。

当然相みつをとる、他の飲食店等にリサーチをするなどは一通りしましたが、それでもやはり高く、それを防ぐには、自分が資材マーケットまで足を運び、鉄材の相場、木材の相場、それぞれを全部自分で確かめないと、見積もりを提示されたときに、「ここおかしくない?」という指摘ができない、ということを学びました。

 

そして、ドアの取り付け一つにしても、見張っていないと、指示と全く違うことをします。

一度、スライドドアの取り付けに際して、

現地語でも説明して、youtubeでスライドドアの動画まで見せて、

あぁあのドアをスライドさせるのに必要な、上下に取り付ける部品売ってるところ知ってる、

という会話までして、

開戸がつきました。(やっぱりどや顔)

部屋半分潰れてますけど…

 

なので、まずはなんでも自分でやってみて、

相場やポイントをつかんだ上で、他の人でも不正なく回せる仕組みを作る。

本当に、細かいところまで、全部マニュアルにして、特に画にして落とさないと、なかなかその通りになりません。

言われた通りにできる、約束通りできる、ズルをせずできる、これは日本のビジネス環境って本当にすごいなと改めて思います。

 

二つ目については、これは日本でも結局同じことだと思います。

お店はお客様にたくさん来ていただけると、当然忙しくなるし、閉めるのも遅くなりますが、それでもスタッフがフレキシブルに働いてくれるのも、マネジメントが誰よりも働いているのを見ているからだと思います。

時々来て、できてないところだけを指摘して、さっさと帰るような人の言うことを、スタッフは聞き入れません。

日々それぞれのポジションに順々に入って、実際に自分でオペレーションを回して気づくこともたくさんあります。

前に私が指示したやり方は実際やりにくいな、とか、ちょっと無理があるな、とか、自分で実際に回してみて初めて分かります。

これをやらずに指示だけされても、スタッフ側も不満がたまるだけでしょう。

 

とういわけで、お察しの通り、かなり気力と体力が要ります!

 

 

大切なこと① 日本での前提を捨て去る

アフリカでビジネスで成功するためには何が必要だと思いますか?の問いを、ここのところ私なりに考えてきました。

それを数回に渡りお送りしたいと思います。

 

今日は、まず最初に必要になると思われる、超基本の心構えについて。

これ、私のブログの中で一番有益な情報かもしれません。いきます。

それは、

日本での前提を捨てること。

「●●は△△なものだと【置く】」こと。

はい、文字にするとフツーですね。でもこれが、なかなか難しいんです♪

平和な国、日本

平和な国、日本

 

水は止まるもの。

電気も止まるもの。

ネットは途切れるもの。

相手はアポには来ないもの。

雨の日には仕事に来ないもの。

口約束は果たされないもの。

目を離したら不正はされるもの。

 

などなど。

今日も電気がおかしくて一個冷蔵庫動きません。

水と電気が止まってもなんとか営業

水と電気が止まってもなんとか営業

 

先日はトイレが故障し、すぐさまプランバーを呼んで原因究明&応急処置。

なんですが。

プランバーが二日かかりでいろいろ調べてのソリューションがこちら。

「トイレ使用後は、よく水を流しましょう」 (どや)

よくってなんや!Flush Wellってなんなん…

論拠が「子どもがいる家庭のトイレの方が詰まりやすい」ってどゆこと?

便器外して何見てたの?

画期的すぎる提案に思わず膝を打ちつつ、ルワンダの前提がまた一つ更新されました。

トイレは詰まるもの。

 

その後も何度か故障しました。

でも安心してください。

トイレは詰まるものですからね。

 

トイレなんかは、日本とは比べてはいけない最たるものです。

もう日本のトイレは最早トイレではないです。医療機器ですね。

でもちなみにアフリカの中ではルワンダはとてもきれいな方です。

また、最近日本に帰国したときに実家でシャワー浴びたとき、その水圧の高さ(←いえ普通の水圧です)が、ちょっと痛かったですからね。いつもチョロチョロですからね。

停電してると浴びれませんしね。

 

一時帰国時のもう一つの感想:

「わぁ~みんな毎日シャワーしてるって感じ」

 

話が水回りの話になっちゃいましたが、でもこれはあくまでも、「前提」の話です。

こういうものとして諦める、という話ではありません。

この前提の中で、何ができるか考える、という話です。

 

もちろんレストランのトイレをそのままになんてしておけないですからね。

ルワンダの水洗トイレは水洗と言い切れない、というところからの、何ができるか、です。

そもそも水の供給が安定しないので工夫が必要です。

うちはトイレの清潔感にはこだわりがあります。日本人のプライドとして。

鬼気迫る感じで掃除し直す私に、スタッフは最初ポカーン。(引いてる)

でも、トイレを褒められる度、スタッフのモチベーションもどんどん上がっていったようです。

是非お気軽に見にいらしてください。

 

このあたりは、「便利」か「便利じゃない」か、の話なので、大したことではないです。

なきゃないで。

 

ただ一方で、医療なんかはシビアですが。それはまた書きます。

 

あとは、対人関係の前提。これもなかなかやっかいです。

 

例えば業者とのやり取りでも、相手の言葉を鵜呑みにしていては、何も進みません。

 

10時に来る、という約束だったら、

実際に10時に来てもらわないとまずい場合、

朝イチから

「おはよう今どこ?」

「ねぇ今どこ?」

「んで今どこ?」

ストーカーばりに確認を入れないと来ません

 

というか入れても来ないことの方が多いので、ギリギリの時間、日程は指定してはダメです。

たいてい彼らは”I’m coming”と永遠に言い続けます。

近所の人なのに朝から夕方まで”I’m coming”の返答しかありません。

一体どこから来てるのでしょうか。

で だいたいcoming中に親戚的なネイバー的な誰かの葬式が発生して今日は行けない、ってなります。

 

なので一度捕まえたら、その時に全部タスクをなるべく完了までもっていくことが肝要です。

「続きはまた次回」というのは、「ここらで逃げます」という意味です。

いろんな意味で一期一会です。

 

あと”Don’t worry.” “No problem!” って言われたときは、たぶん由々しき事態が勃発しているので注意が必要です。

 

あとは雨だと来ません。

先日息子に「今日空手どうだった?」と聞くと、

「あー今日雨だからね、先生来なかったよ。」

 

えっ…?いや私空手の心構えとかは詳しいわけじゃないけど、それでいいの?ねぇいいの?

っていうかアンタもしょうがないとか言ってたらアカン!

次、大雪の日の首都圏交通情報のyoutubeを見せてやる!!と思いましたが、

まぁあれはあれでちょっと狂気の沙汰なので、やめました。

(と思いますがいかがでしょうか)

 

 

ルワンダに来た当初は、それはまぁイライラしました。

治安はいいけどこのままじゃ憤死する。

ということで、開き直り。これ大事。

 

ただ何度も言いますが、

だからと言って流しちゃダメなのです。

その中で、何ができるか。何をすべきか。どうやるべきか。

私も日々模索中ですが、新鮮な毎日です。

高確率でエンスト

高確率でエンスト

一期一会で日銭を追う

私のやる飲食店事業は、ビジネスモデルが画期的なわけでも、最先端のIT技術を駆使しているわけでも、レバレッジの効いた効率よく儲かるビジネスでもありません。

シンプルに日銭を追うビジネスです。

今日はそのことについて書こうと思います。

Asian Kitchenバージョンアップ開始から一か月。

少し結果が出始めました。

まずテコ入れしたのが内装。

大きく”Thai Cafe & more”の看板をつけ、照明を増やしました。効果、テキメンです。

何屋であるかをクリアにし、お店のウリをピックアップした看板

何屋であるかをクリアにし、お店のウリをピックアップした看板

10月、日々の日商目標はかなり上振れております!

ですが、油断は禁物。

なぜならば、12月、1月と凹むのが目に見えているので、今が書入れ時なのです。

Asian Kitchenはキガリにいる外国人の数に直接的に左右されます。

12月、クリスマスシーズン。国に帰ります。1月半ばまで。

4月、ジェノサイドメモリアルウィークのため、自粛モードになります。オフィスも閉まるので結構国に帰ります。

6月、夏休み。国に帰ります。

7月まだ夏休みです。8月から学校再開し出します。

つまり年のうち5か月が閑散期です。って半分近いやないか!

当店は昨年12月オープンから、まだ2日しか休業していませんが…

みなさまの期待に応えたいですからね!

この浮き沈みに耐えうるべく施策を検討しています。

ところで、サラリーマン時代の私の最後の部署は、「IT戦略室 ITマネジメントグループ」でした。

(と言ってもITに疎かったワタシ)

からの、アフリカで飲食店。

プリミティブなこと始めたなぁと我ながら思うのですが、

でもこの日銭を追ってる感じが楽しいです。

今日いったとかいかなかったとか、ランチ少なかったからディナーで取り返そうとか。

前職の上司におしえてもらったことですが、

「負け越さない」ことを心掛けています。

もちろん毎日勝ち続けるのがベストですが、売上が凹む日もやっぱりある。凹む月もある。

でも、2回負けても、必ず3回勝つ。

クリスマスシーズンの繁閑期に備えて、今が勝負!です。

今月末でインターンを終えて日本に帰ってしまうマリンちゃんのラストスパートは気合いたっぷり。

新しくインターンに来てくれたミカちゃんも、到着して1週間ですが連日深夜までお店に立って、どんどん吸収しようと動いてくれています。

内装の次は、メニューバージョンアップに注力しているのですが、今1時AM回っていますが、二人とも私の横で、明日から出すメニューをせっせと作ってくれています。

(※別途書きますが、2017年3月からのインターン生、激しく募集中です!!)

ディナーのサイドをもっと充実させていきますよ!

コロッケとオムレツ。ディナーのサイドも、もっと充実させていきますよ!

前職では新人時代を含め3年間営業をやっていました。

毎日、日商が人ごと、グループごとにランキングされて、残数字(あといくら売らないといけないか)とともに、誰が達成していて、誰がしていないか、全員にメールが回っていましたが、

それでも今ほどの意識はなかったです。

リクルート営業時代、たくさんのすごい人を見てきましたが、みな経営者のような当事者意識で臨むと腹を決め、鬼気迫る様相で数字を追い、達成していました。

その「決め」ができる人が最後は強かったように思います。

さて話を戻すと、ルワンダは改めて、マーケットが圧倒的に小さいです。

東京に帰ったとき、飲食店の数に改めて驚くとともに、マーケットの大きさも改めて思い知らされました。

次から次へ、どんどん新しい人が来てくれる。

でもアジアンキッチンは、お客様が来てくれる毎日が一期一会です。

今日来てくださったお客様に、いかにリピートしていただけるか

一度離れてしまったお客様の心は戻りません。

お店が続けられるかはそこ次第です。

小さい街なので、街中で前にテイクアウェイで来てくださったお客様など見かけると、

つい どうでしたか? と声をかけてしまいます。

先日日本に帰った時に、実家近くのとある小料理屋というか、居酒屋というか、言ってしまうと何の変哲もない、小さな飲み屋に行きました。

奄美大島出身のおばあちゃんと、旦那さんが二人で切り盛りする場所で、

80近いおばあちゃんはコマメにお客さんと会話し、元気ハツラツとしていました。

聞くと、もう数十年続いているお店だとか。

きっと、これまで東京で行ってきたお店はどこも、接客が気持ち良かったり、こだわりが光っていたり、細部に工夫が凝らされていて、だからこそ飲食店ひしめく街で続いているお店なんだと思いますが、そんなこと、全然気づきませんでした。

ああやって、お客さんと交わす会話、ちょっとした気遣い、メニューの貼り方一つからのこだわった内装、その一つひとつがどういう意味をもっているか。

考えたことも正直なかったです。

東京という街で、なんとなーく過ごしてました。

もったいないことしてきたなぁ・・・と今だから思うのですが。

とりあえず、仕事帰りに銀座で飲み歩いていた自分に言いたい。生とキンミヤでご機嫌になっている場合じゃない、と。

ワインとかももっと飲んでおけと。

本当に夜中でも眠らない東京。38階に勤めていた時は、残業しながらの夜景に何も感じなくなっていました

本当に夜中でも眠らない東京。38階に勤めていた時は、残業しながらの夜景に何も感じなくなってたなぁ…

まぁでも、今からでも遅くはない。今は東京にいなくても、ネットでなんでも見れるのだから、そこからも日々勉強です。(ほんとネット安定してほしい…)

明日投入の新メニュー、どのくらい出るかな!

今日はそろそろ寝ます。

シングル子連れで事業をするということ

先日誕生日を迎え、また一つ歳を重ねました。

実は一瞬日本へ出張していたのですが、

(みなさまご連絡できずすみません!ほぼ仕事で埋まりきってしまっていたので、次回ゆっくり帰れる時に是非遊んでやってください)

後半は連日徹夜でも仕事も荷物も収まりきらず、泣きたい気持ちでTake off。な誕生日でした。

日付が変わりルワンダへ帰国すると、スタッフがサプライズでお祝いしてくれ、息子からは手紙をもらいました。

文面は大人が考えたにしても嬉しいものです。

文面は大人が考えたにしても嬉しいものです。

経営状況は正直厳しく、息子は周りに預けっぱなし。

経営者として、母親として、自分の不甲斐なさを突き付けられつつ、でも落ち込む暇もなく毎日笑顔で店に立たねばならないこの状況に、逆に救われている。そんな32歳です。

 

ブログを読んだ方からいただくメッセージで特に多いのが、女性の方です。

端的に言うと、たくましさに励まされますと言ってくださいます。

読んだ方に、何らか情報や、プラスの感情をお届けできていたらとても嬉しく思います。

 

「シングルマザーが会社辞めてルワンダへ飛んで店開いてる。わーお。」と驚かれることも多いです。バイタリティの固まりのように見えているかもしれません。

でも実は、ここ数年(もっと?)いろいろな葛藤がありました。ここで少し、自分の気持ちの整理がてらしたためてみたいと思います。

 

やっぱり自分の中のテーマで大きいものが、「仕事と子育ての両立」。

両立って、なんでしょうか。

私はシングルなので仕事が成功しないと、子どもを養えません。

両立か、両方ダメになるかの二つに一つです。

(と言うとなんだか重たいですが、まぁ最悪でも死にはしないでしょというのが私の基本思想です)

 

現在週7日、朝から深夜まで働いていますが、まだ自分が収入をとれる段階ではなく、サラリーマン時代に貯めた貯蓄を何度も会社に注入。

 

私はこれまでも、息子がいながら財産がマイナスになった時期があります。

 

ただ大きく今と違ったのは、お金を借りていたのが無期限無利息の親であったこと、大企業の正社員というポジションにあったということ。

1歳児と借金を抱えて、年間1億の売上ノルマを追う生活はかなりタフで、今思えば身体も神経もギリギリでしたが、親への返済はすぐに終わりました。

だって、毎月同じ日に口座にお給料が必ず振り込まれていましたから

売上ノルマを外していても、どんなに大きなミスをしていても。

(全く年功序列の会社ではなく評価制度がしっかりしていたので、結果を出せないと額面は大きく下がる会社でしたが)

 

今自分が無収入なのは、ブラック企業に勤めているからでも、給与不払いに遭っているわけでもありません。ルワンダだからでもありません。

自分の力量です。

 

子連れ離婚の経験から、定職についていることのありがたみを誰よりも分かっているつもりですが、

(職がなく、親の援助もない女性が社会の隙間から子ども共々こぼれ落ちていくのを、何人も目の当たりにしました。私はラッキーでした)

それでも自分で会社を辞めることにしたのだから、誰にも何の言い訳もできないし、誰も守ってくれません。

 

でも。今の方がいいです。

ルンルン楽しいのとは違うかもしれません。やりがいがあるというのも月並みすぎます。

無我夢中。が近いかな。

 

これまでのライフイベントから破天荒な性格に思われるかもしれませんが、とても小心者で、大事な商談の前夜は遅刻する夢を見て何度も起きてしまったりするような性格です。

日本にいたころの私は、実は常識や世間の「こうあるべき」にとっても縛られるタイプで、自分の内なる気持ちとのダブルスタンダードに苦しむことが多かったです。

ちゃんと仕事もしないと、でも「父親」役も「母親」役もちゃんとしないと、そんな風に自分で自分をがんじがらめにしていくうちに、自分が何をしたいのかどんどん分からなくなっていき、

仕事も中途半端、育児も十分やれてない、(そしてこの「十分」は誰基準だという話なのですが)そんな自分を責める日が続き、

自分の心のままにやりたいことを追いかける職場の人たちが眩し過ぎて、どんどん後ろに下がっていくようになってしまいました。

完全に自縄自縛ってことを頭では客観的に理解できていても、なんか、ダメでした。はまっちゃっていました。

 

ルワンダに来たのは、そこから抜け出す賭けでした。直観で即決しましたが。

 

来てみるとやっぱり正解で、ルワンダでは前提も何もかも違いすぎて、なんだかそんなものどっかにぶっ飛ぶし、

息子にかかわる大人が増え、「それじゃ子どもがかわいそう」、という目で見られることもなくなったし、

それに実際、悩んでる場合ではない状況が、私を楽にしてくれた気がします。

今日も一緒に寝てやれないな…と気に病んでいる暇があるなら、一人でも多くのお客様に来ていただかないと、生活成り立ちませんから。

だからと言って罪悪感が消えるわけではないです。これはきっと永遠に消えないんだと思います。

でも、それを原動力にできるようになった気がします。後ろに引っ張られるのではなくて、前に押してもらえているような。

 

というわけで、とにかく事業を、まずはAsian Kitchenを、成功させたい。続けたい。

一つの小さな飲食店だけど、人生賭けて子どもとルワンダに来たのだから、このお店にも、ここで過ごす一日一日に、人生賭けてます。

息子を一人で育てるということも、大企業を辞めるということも、自分が選んだ道なのだから。

季節もなく毎日慌ただしいけど、ふと見上げた空を青く感じられることは、ひとつの心のバロメータ

季節もなく毎日慌ただしいけど、ふと見上げた空を青く感じられることは、ひとつの心のバロメータ

アジキチ、バージョンアップ!

この二週間ほど、お店の改装・メニューテコ入れ・収支計画見直しにてんてこ舞いでした。

 

外観とフロア

外観とフロア

目的①新規顧客の獲得

・タイ料理屋であること、Cafe利用も歓迎であることをアピールする看板を新たに設置

・外から見て、明るい、目立つ照明

目的②来店頻度のアップ

・居心地の良い空間づくり、改めて清潔感、プラスアルファのおしゃれ感

・ランチ、ディナー、カフェタイムで使い分けをしていただける店に。そのための演出およびメニュー改定

目的③客単価のアップ

・手にとりたくなるディスプレイで販促

・ドリンク、サイド、デザートメニューの拡充

揚げていない、おから入りのヘルシー手作り焼きドーナツ。

揚げていない、おから入りのヘルシー手作り焼きドーナツ。

 

とまぁ、目的の置き方とアプローチとしては定石中の定石なのですが、言うは易し…。

実は開業時に一番苦労したのが内装で、ブログが3本は書けるほど珍事のオンパレード。そして騙されたりぼられたり…さんざん痛い目に遭いました。

一年前のフロア。二週間で施工完了の約束から数カ月経ったときの写真

一年前のフロア。二週間で施工完了の約束から数カ月経ったときの恐ろしい写真

 

同じ轍は踏むまいと心して再チャレンジ、今回の改装はこれまでで一番スムーズでした。

と言っても、

必要のない穴をたくさんほられたり、

違う場所に取り付けられたり、

目を離したすきに施工管理者が逃亡したり。

私がキッチンと接客の仕事に回れなくなったので、日本人の友人に資材調達のところから一日張り付いてもらいました。まずは施工者を物理的に「確保」することがファーストミッションです。からの、自分で図面引き直し、最後の方は彼がのこぎり引いてました。感謝!

なんでも、自分が手足を動かさないと進みません。それが苛立たしくもあり面白くもある。そして体力必須

重すぎて素材変更となった看板

重すぎて素材変更となった看板

 

新メニューのレシピ化、マニュアル化、オペレーション作成はインターン生のまりんちゃんが頑張ってくれました。

 

そして私がほぼ家にいない間、息子の面倒を見てくれた多くの大人たち。

変わった内装に驚いていた息子

変わった内装に驚いていた息子

 

多くの方々に多大なご協力をいただいた今回のバージョンアップですが、

色んな局面で自分が経営者として一回りも二回りも大きくならないと潰れるな、という現実を何度も突き付けられました。

 

 

今回のバージョンアップも、結果が出てなんぼ。継続してなんぼ。

 

世の中に飲食店は山ほどあるのに、それを続けることがこれほどまでに難しいとは…!

と、今更ですがやってみて初めて分かる。

財政面は正直まだまだ厳しいですが、まずは軌道に乗るまで、そしてそれを続けられるまで、ただやるのみ!です。

母ちゃん結果出すぞー

ルワンダ人でタイ料理屋3 本場の味への道のり:後編

金銭面から外食、ましてや異国の料理を食べる、という経験などないルワンダ人スタッフが、どのようにタイ料理を習得していったか、についてのお話です。

 

基本的にレシピは全部私が決め、実際に作るのはルワンダ人スタッフです。

彼らからすると、思いっきり異国の料理。タイという国自体、知らなかった人もいるくらい。(それでいうと日本の位置を言えるルワンダ人とか少数派です)

よく見ると日本が大陸と地続きになっているアジアの地図

よく見ると日本が大陸と地続きになっているアジアの地図

 

まずそもそもルワンダの人たちは、どんな食生活を送っているのか?

都市キガリの実感地で言うと、
フルーツや野菜は豊富、収入のある人は一日二回の食事をとれていて、
「飢え」のイメージとは程遠い。

ただ、例えばペットボトルのコーラを買える人はお金持ちだし、外食ができるのも富裕層に限られる

先日インスタでもアップしましたが、
Asian Kitchenの例えばランチセットで一番安価なカレーセットでも、スタッフの日当を超えています。

あああ

日当超えのチャーハン。時給ではありません

地方では、自給自足で暮らす人が多く野菜は各家庭にあります。
でも、塩がなかったり、油がなかったり。

 

WHOで働く方に伺ったお話しだと、

ルワンダの3人に1人の子どもが慢性栄養失調。たとえば芋は畑でどっさりとれるけれども、それだけ食べていても栄養素が十分ではありません。発育不良になったり、脳の成長が遅れたり。

またお肉が食べられるのも富裕層に限られ、一個約0.1ドルの卵は高級品なため、低所得層は「自分で食べるものではなく、お金に変えるもの」という意識があるそうです。

 

ちなみに私はここに来るまで、アフリカの食糧事情といって思い浮かべる、とある一枚の有名な写真がありました。

ハゲワシと少女

「ハゲワシと少女」

この写真にまつわる報道、人道についての論争は当時は知りませんでしたが、
何かの紙面で見たその写真は、遠く離れた日本の小学校低学年の子に、その後20年くらい?そのイメージを植えつけるほどのインパクトが、確かにあったんですよね。
今でも、アフリカ=飢餓のイメージのある日本人は少なくないと思います。

アフリカが一括りになってしまっていることと、全然アップデートされていないことが象徴的ですが。

 

話を戻して、ではルワンダ料理ってどんな料理??

食材は芋、キャッサバなどの炭水化物、
調理方法は炭で起こした火で煮る、
味付けは塩orマギーorトマトソース。

基本的はこれ。だいたいこれ。昼も夜もこれ。毎日これ。
朝はパンでお昼にパスタを食べたら夜は和食か中華が良い日本人からすると、超飽きます。

地元の飲食店のビュッフェはどこもこんな感じです。みんな超大盛り食べます

地元の飲食店のビュッフェはどこもこんな感じです。みんな超大盛り食べます

ちなみにルワンダはお芋が美味しいです!
(そのせいかこちらに来て体重が激増ですがそれはまた別のお話)

うちのスタッフはまかないはルワンダ飯(るわんだめし)です。
人気店のまかないって、ちょっと邪道だけどたまらなく美味しくて、知る人ぞ知る裏メニューがついにメニュー化されました的なやつあるじゃないですか。

あれやりたいんですが結構難しいです。でもイノベーションはコンビネーションから生まれますからね。

これは彼らの要望です。「タイ料理はいらないから芋を煮たい」と。

売上の多い月は、ウガリになることも。キャッサバ粉を練ってつくるものです。

ソースは毎日同じだけど芋がウガリになるだけでテンションアップ!なスタッフ

芋がウガリになるだけでテンションアップ!なスタッフ。ソースは毎日同じです

こんな風にルワンダ人は、割と新しい料理に消極的だと感じるのですが、
それはきっと国民の多くが
他国の料理を楽しむという習慣が金銭面からない点と、
塩味のみの味付けに幼い頃から慣れ親しんでいる点が大きいのではと個人的には思っています。

少ない栄養分からの吸収効率とか実はあるのかもしれません。

アジアンキッチンのお客様の2割ほどがルワンダ人ですが、
話を聞くと海外経験があり、
NYで好きなタイレストランがあったとか、
UKで食べたことがある、
とかそういう人たちが多いです。

そんなこと一つとっても格差を感じたり。

たいていのルワンダ人は、外食で食べたいものはフライドポテトとハンバーガーでしょう。(もちろんマックなどありません)
さてそんな彼らにタイ料理のコックになってもらいます。

トレーニング実技初日。
コック経験者ですからね、座学も挟んだし、一旦ベーシックなレシピを渡してそれ通りに作ってもらいますか…
というヨミがおお甘でした。

・「レシピ」に基づいてつくる
・計量する
・時間をはかる

という観点がない。

ココナッツミルクが1缶にナンプラーが20ml、砂糖が15gで塩が小さじ1、
炒める順番はこうでこうでこう、
全部ルワンダ語で紙に落としてあるのですが。

誰も計量してない!
全部雰囲気で入れてる!
手順も全く無視!
ていうかレシピ読んでない!

すごい全員まったく違うものできた!

トレーニング序盤。この後 壁がマニュアルで埋め尽くされます

トレーニング序盤。この後 壁がマニュアルで埋め尽くされます

何事も準備が大切!
キューピーさん(スポンサー様です!)の3分クッキングだって、全部下準備がしてあるから3分で終わるんです!
とにかく基本の説明をひたすら繰り返す毎日が始まりました。

最初に材料を計量してから調理する、
火をつけるまえに、ココナッツミルクの缶はあけておく、
大匙と小さじはテーブルにちゃんといつもセットしておく、
タイマーはこう使う、
そこ勝手に人参食べるなぁ!
などなど…

前職ではどうやって作ってたの?レシピとかなかったの?

はい、なかったそうです。全メニュー、シェフの気まぐれなんとかってやつでしょうか。

 

それでもどーにかこーにか一緒に作ってそれなりにできたものを試食すると彼らの反応はたいてい

I don’t like this.(真顔)

・・・

ええ、塩味のみ、からの、
パームシュガーの甘味とナンプラーの塩味とスパイスの辛味・苦味とタマリンドの酸味とシーフード系の旨味のハーモニーやー(あの人まだいるのかしら)
ですからね。
とりあえず一旦いいです。
一旦いいんでとにかくレシピ通りにお願いします

というところからスタートして9ヶ月。

やはり「レシピを忠実に守る」
というのがなかなかできず、私も当初はずっと目を光らせていましたが、
今では、ちょっと私が出ていた隙になんじゃこりゃぁ!!みたいなものを作っている、
ということはだいぶ減りました。

どうやってここまできたか、無我夢中過ぎて覚えてませんが、
とにかく、紙に落とす、
写真にして貼る、
やってみせる、
うるさく言い続ける、
これを9ヶ月続けて、
今では彼らの方が私よりもレシピを正確に覚えています。

外食したことも、ましてやタイ料理を食べたこともなかった彼らが、
「ちょっと今日は味がおかしい気がする、味見してもらえますか?」なんて聞いてきたり。

また、手に入るブランドが安定しないので、実際味や食感がぶれますが、
そんなところも調整の提案をしてきたり。

今日は、アジキチのメニューを、社割で買いたいという申し出があり、あら嬉しい。タイカレー嫌いって言ってたのに。

改めて、アジキチスタッフ、毎日頑張ってます!!

allmember

ルワンダでタイ料理屋3 本場の味への道のり:前編

前回は顧客は誰か、ということを書きました。今回は、その顧客に提供する価値は何か?についてです。

顧客=外国人が今他の何かに使っているお金を、どううちに使っていただけるか、です。

それをルワンダ国内の日常消費領域で使ってもらいたいと考えたとき、

外国人(特に欧米人)が好きなタイ料理屋が一軒もないではないか!

ということでジャンルは決定。

タイ最高

タイ最高

 

どこからどうひっくり返すか?

やっぱり飲食店をやるからには「味」で勝負か?

ただこのマーケット、

「ここのタイ料理は宮廷料理を基調としながら、イサン地方のメニューも取り入れ、・・・(中略)・・・、ここのカレーはスパイスの調合とココナッツミルクの配合が独特で他にはないコクがたまらんのですよね!!」

という観点で当店を選ばれる方、当面はきっとルワンダに住んでいる人口の0.0001%(12人)もいません。

だって他にタイ料理屋ないですし。

改めて整理すると、

あああ

って全然見えなくてすみません。「『タイ料理』というだけで新たな価値提供になるがリピーター獲得に一定の味は必要条件」ということを書いています

ということで、「タイ料理」という新たなジャンルを提供し、一定の味を担保したあとは、サービス面(早さ、便利さ、居心地の良さ、おもてなし)の磨きこみを優先させるべきと考えています。それぞれはまた別途詳述。

 

ちなみに、さっきから何度も「唯一のタイ料理屋」と繰り返してきましたが、実は、奇しくも同時期に、同じキガリ内にタイ料理屋がオープンしていたのです!

それもタイ人オーナー

噂を聞いて速攻食べに行きましたが、美味しい。本場や。でもなぜうちの3倍の価格!?

そのお店は今年5月に閉店しました。

プライシングが原因だったのでしょうか。

ここはひとつ言わせていただきますよ、タイ人のタイ料理屋に勝った、と。

確かに立地と内装は初期投資がかかっていそうでした

確かに立地と内装は初期投資がかかっていそうでした

 

そしてもう一つ細かい補足をすると、タイ料理屋はかくしてうちだけですが、アジアンフュージョンレストランは以前からあります。グリーンカレー、パッタイ、あります。

が、ここもひとつ言わせていただきますよ。あれはグリーンカレーではない、と。

でもそれまではキガリで唯一のグリーンカレーだったので、お客さんは「グリーンカレーってこんな感じなんだ」と思ってしまっていたかもしれません。あれは緑色のシチューですね。ブロッコリーたくさん入ってるし。そしてパッタイはなぜかものすごく朱色です。

ココナッツとは違うクリーム感

ココナッツとは違うクリーム感

 

そう、唯一ということは、「これがタイ料理です」と言ったもん勝ち的な荒業もできなくはないです。

が、やはり各国料理が一般家庭の食卓に並ぶという稀有かつハイレベルな食通国家、日本、その国の一員としては、そんなことはしたくありません。

家庭の食卓に、普通のおかんがラザニアも出せればビビンパも出せて休日は軽くパスタか親子丼、変わり種ではナシゴレン、気合入れればパエリアもボルシチも作れるし炒飯ギョーザなんぞ朝飯前ぇ!なんて国は日本だけです。

やるからには、偽物ではなく、本場に近い、美味しいものを提供したいのです!

それに実際問題、この小さなマーケットではご新規さん獲得よりもリピーター確保がとても重要になってきます。美味しくなかったらまた来ていただけませんよね。

 

それをどう実現したか。今回はその前編、レシピができるまで、です。

 

まず、手に入る食材からメニューを選定。(経緯はこちら 陸の孤島の物流編

そこからインターネットや各種料理本、出国前に習ったタイ料理教室でのメモなどとにらめっこしながら、まだ施工が終わらないので家のキッチンで毎日毎日タイ料理を作る日々が始まったのです。

一番苦労したのはカレー。カレーペーストです。

各種スパイスを調合し、フードプロセッサーで混ぜ、ペースト状にする。

が。グリーンカレーが何度やっても赤にしかならない。

やればやるほど味が分からなくなってきます。

タイ料理でカレー出さないって、やっぱりなしだよねぇ・・・?なーんて。

激辛で苦いだけのグリーンカレーを毎晩毎晩食べさせられていた息子からのアドバイスは

「ママ、もっと美味しいのにしたら?」チーン

グリーンでもなんでもないカレー

全然グリーンじゃないグリーンカレー

そんな私に同居人のとある女性(ちなみにこのお方、私ってなんて枠にはまりきった退屈な人間なんだと思わされるような大胆さをもつ一方で、仕事の進め方はポイントを外さず何事も即決、200人のルワンダ人部下を統率するすごい女性)から一言。

「とりあえずタイ行ってきたら?今週末。

 

というわけで息子を姉さんに託して一路バンコクへ。

1時間のトランジット1回のみの片道合計14時間って、超近い!(アフリカに来るとこんな感覚になれます)

タイレストランとタイ料理教室を2泊4日で回りまくる。

ルワンダになくとも、なんのハーブがどう機能しているかを知ることは大切

ルワンダになくとも、なんのハーブがどう機能しているかを知ることは大切

 

いろいろ収穫がありました。

 

タイの高級店から露店までいろいろ食べて味を思い出し、

(というわけで、年に数度はバンコク、東京、近場ではナイロビでタイ料理を食べることをルーチンに)

現地の人に、食材買い付けに適した卸売スーパーや、ローカルマーケットをおしえてもらったり、

白人の観光客が多く参加するタイ料理教室では、欧米人の好みの味を探ることもできました。

 

そしてどうやらペーストづくりでは、スパイスを炒る時間が長すぎたことが判明。

グリーンカレーが赤くなってしまう現象は、えびペーストのブランドを変更して解決。

「グリーンカレーがどうしても赤くなってしまうのですが」と

日本で知り合ったタイ料理家の方に、大真面目に相談していた私。

先生もさぞかし心配されたことかとおもいます。

「このアフリカの子大丈夫かしら・・・」と。

 

 

そんな感じでどのメニューも何度も何度もアップデートを重ね、レシピを作っていきました。

さてそれを次はスタッフへトレーニング。

これがまたとんでもなく大変なのですが、それはまた別のお話…

ルワンダでタイ料理屋2 ~誰のための?編~

こちらでのレストラン経営は日々トラブルシューティングで日が暮れる(夜が明ける?)のですが、

今日は、店舗存続の危機発生一件、警察沙汰一件、断水、倉庫キー紛失などフルラインナップ。(どれも未解決)

 

レストラン事業はとりあえず生活のための日銭稼ぎ、顧客接点づくり、現地人の雇用、という観点から始めましたが、これを軸足にスケールできる事業展開は常に考えています。

一度ここで、改めてこのレストラン事業の顧客と提供価値について、整理したいと思います。

関係ないですが息子の放課後アクティビティサッカー。

関係ないですが息子の放課後アクティビティサッカー。

 

 

そもそもなぜタイレストランなのか。

それにはまず、顧客は誰か?の問いから始まります。

その答えは外国人です。

国内の経済規模から考えると、ルワンダでビジネスをするには外貨の獲得が必然です。

平たく言うと、お金を持っているのは外国人です。

 

国としてはマウンテンゴリラの観光業に力を入れています。とにかくゴリラ推しです。お札の絵柄でもビザの絵柄でもなんでもゴリラです。

トレッキングツアーは、750$です。高っ と正直思いますが、予約がとれない時期もあります。

そして「トレッキング」というと聞こえは軽いですが、落ちたらケガじゃ済まないような斜面を四つん這いで進んだりと、思ったよりもハードでした。

ゴリラ好きのお友達をお誘いあわせの上是非遊びに来てくださいね!

この写真では一ミリも伝わらない臨場感

この写真では一ミリも伝わらない臨場感

 

観光客ビジネスも大切ですが、首都キガリには、UN関連や各国大使館、NGO勤務など、外国人も結構います。といっても1万人程度でしょうか。日本人は数十人です。

その人たちがあまりキガリに期待をしていない分野があります。それが外食分野。サービス分野全般かもしれません。

飲食店のレベルは近隣諸国と比較しても明らかに低く、数も少なく、バラエティもなく、サービスレベルも正直かなり低いです。串焼き一本1時間とかかかったりしますもん。メニューの8割 not availableとか。営業時間とか自由だし。

「キガリはこんなもんだよね」と諦めている部分もよく垣間見られ、長期休暇での帰国を楽しみに普段の退屈な生活を我慢している風なところもあります。

 

もったいない!

せっかく治安も圧倒的に良いというのに。

そしてそういう人たちは、例えば子どもを年間200万円近い学費のところに通わせていたりする層です。

もっとルワンダで日常的に消費行動を楽しんでもらおうではありませんか!

彼らが単に食材を買うだけのところを、付加価値をつけ提供すると、その約3倍のお金がルワンダに落とされるのですから。

 

Asian Kitchenは、一見すると、ムズングの、ムズングによる、ムズングのためのレストランに見えるかもしれません。(ムズングというのは黒人以外の人を指す言葉です)

日本人が欧米人にタイ料理を出しているお店。ですが、そのサービスの提供者はあくまでもルワンダ人

そしてサービスに価値を感じてくださり対価をいただけるなら、それはルワンダに入るのです。税金はルワンダ政府に入ります。

地道ですが、こうした飲食店が増えていけば、業界のレベルもアップし、物流も変わってくるでしょう。

観光業だってもっと盛り上がります。

 

現地スタッフと働いていて時折感じるのが、「ムズングの会社に入ったから一旦安泰っしょ」的な心構え。

確かに、ムズング経営の会社は、他では当たり前のようにある契約書を渡さない、給与不払い半年、などは少ないです。

でもスタッフには、ムズングとつながっておけばお金がもらえる、のではなく、自分がサービスを提供して、その対価としてお金をもらっているのだ、という感覚は必ず持ってほしいと強く思います。前職の影響もあるかもしれません。

 

 

ちなみに、ルワンダ人マーケットへの進出について、もちろん考えています。

今ターゲットにしている層の千倍のマーケットですし、進出は時間の問題です。

ですが現状はなかなかシビアで、今日という日を数ドル以下で過ごす、定期的な現金収入はない、という人たちがマジョリティの国です。

新しいものにはなかなか保守的というルワンダ人の食文化もありますし、長期的な視点で業態を工夫していく必要がありますが、

ルワンダ人が徐々に上がっていく可処分所得を「食」分野でハッピーに使っていく、そのマーケットに何が提供できるだろう。ルワンダ人のライフスタイルになんらか貢献していきたいです。

Life Style Rwanda Ltd.

Managing Director

Chisa KARATO

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