いつもどおりが難しい

トーゴに到着した。ありがたいことに、今回はぼくの密着取材でメディアの方も同行してくださっている。これまで1年くらいかけて築いてきたことを見てもらっているのだが、ぼくもトーゴの職人も、すこしソワソワしている。

早速、提携している職人さんとの仕事を取材してもらっているのだが、カメラのまえではエウェ族の人たちも、もちろんぼくも心なしかシュッとしてしまっている。表情や振る舞いがぎこちなくて、これまでその場のノリで物事を進めてきたことが、いかに刹那的だったかを思い知らされた。誰かに見られているなかで、いつもどおりにするのは難しい。

しかしそれは、奇跡ともいうべき時間を彼らと過ごしてきた証ではないかとも思えた。たまたまその時間、そこに居合わせた人たちとの対話のなかで生まれていく生き物のようなアイディアや感性を大切にしてきた。ロジカルに、建設的に組み立てた戦略ではないにしても、なによりここの人たちと一緒にワクワクする時間をつくりあげてきたことを、改めて認識した。

まだまだ事業としては駆け出しで、実績や売り上げも積み上げていかなければならないが、それ以上に、ここの人たちとの充実した時間をこれからもつくっていきたいし、そういう財務諸表にはのらないような価値ある「資産」を増やしていきたいと思う。実際に、そんな資産が今の事業を後押ししてくれているのは間違いない。ぼくたちなら、もっとできる。いろんな景色を見に行くことができる。