走るのと立ち止まるのと

 京都精華大学のサコ学長が企画とナビゲートを務める「現代アフリカのパワーと可能性を知る」というイベントで、恐れ多くもお話する機会を頂戴した。人前で話すのはいつまで経っても慣れない。居酒屋とかでお酒を飲みながらだったら、けっこう雄弁になれる自信がある。ただ、こうして普段あまり体験できないことがあると、いい出会いがある。そんな出会いに支えられて、ぼくはここまで走ってきた。


 しかしいつまでも走り続けるというスタンスでは、限界がある。一流選手は、立ち止まることを恐れない。まわりと波長をあわせながら、うまく間をとって、立ち止まる勇気をもつ。たとえば、サッカー史上最高の選手といわれるメッシは、トップスピードで走り込んでくるまわりの選手に同調しながらも、立ち止まったり歩いたりすることで、いとも簡単に相手を出し抜いている。走り続けることしかできない人は、結果として立ち止まる人に追いつけないのだ。


 会社が2年目を迎えて、将来を考えることが多くなった。もちろん資金繰りは心配で、いつまで耐えられるかわからないのも悩みのタネだ。しかしそんなことより、昨年度のような動きでは越えられない壁があるという現実のほうが気掛かりだ。1年前のことを思うと、信じられないくらいの人たちが声を掛けてくれるようになった。ぼくは何もできないけれど、まわりの人たちを総動員すれば、何とかできる気もする。


 そしてぼくは、壁を越えていくにあたって、その鍵を握る人物に辿り着いている。これまで集めてきたピースを整理しながら、かなり大きく前進した未来を描いている。まだ紙とペンで描いた二次元の世界だが、もっとクリアにして三次元に落とし込んでいきたい。それを実現するのにどれくらい時間がかかるのかわからないけれど、今は走り続けたい。走り続けた人だけが、立ち止まることができるとも思う。